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HARD BLOW !

再びメキシコへ!高山勝成統一戦最終調整レポート

小野戦前の近畿大学ボクシング部でのスパーリングの様子はこちらから

シルバノ戦前のスパーリングの様子はこちらから

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 『彷徨う拳』から『戦う高校生』へ、今年も激動のボクサー生活を送る高山勝成選手がまたも大きな勝負に出ます。
 今度はなんと敵地での統一戦、そしてミニマム級でのメジャー4団体制覇をかけた大一番であります。昨年のJBC認可直前の敵地での戴冠の次は、敵地での統一戦と今年もイケイケドンドンで世界に打って出る高山勝成選手とそのチーム。このスピード感は日本のボクシング界の常識からは余りに異質であります。

 試合の舞台は8月9日(日本時間10日)メキシコの北東部モンテレイ。8月4日にはメキシコに向けて出立するこというで、今回は調整もハイペースで、8月1日に行われたジムワークが練習の打ち上げとなります。今回も昨年末のシルバノ戦、五月の小野戦に続いて、陣営のご好意によって最終のジムワークを見学させていただくことが出来ましたので、その模様をレポートしたいと思います。

 今回は大橋ジムでの井上尚哉選手との出稽古スパーリング中に古傷を痛めるというアクシデントがあり、予定のスパーリングがこなせなかったというトラブルがあったようですが、果たしてその影響はあるのでしょうか?

 実は私、高山選手の現在の所属ジムである仲里ジムにお邪魔するのは初めて。ジムは大阪の『リトル沖縄』大正区にあり、ジムの入り口ではシーサーがお出迎え。

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 取材記者の皆さんでごった返す仲里ジムで待つこと数分、高山選手がひょっこりと登場。チャンプ自ら椅子とポスターが貼られたコルクボードをセッテイングすると

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「中出トレーナーはあと30分くらいで来るので先やっといてくれと言われたんで、(囲み取材から)始めましょうか」

と記者に自ら声をかけて、記者団からも笑いが漏れる。

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 チャンピオンが取材で話されたことは皆様メデイア情報を適宜チェックしていただくとして、私が印象に残ったのは「ボクシングはただのド突き合いじゃないということを見せたい」という発言でありました。

 その後チャンプの通う菊華高校の校友から送られたという千羽鶴の前でポーズをとって写真撮影。

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 「ああ新聞記事って、こうやって出来ていくんだなあ」と感心していると、なんと山口賢一選手が登場。

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山口賢一選手のインタビューはこちらから
 「今日のパートナーですか?」と聞くと「そう。仮想ロドリゲスですわ」とのこと。「メキシコに行くんですか?」と尋ねると「行きますよ。俺が行かな始まらんでしょ!」というらしいお返事。ヤマケンと高山チャンプが揃うというHard Blow!的には大変豪華な練習となりました。山口選手にも今複数の対戦オファーがあるようで、前戦の敗戦後お話を伺った時に「負けたほうがオファーは来るんですよ」と仰っていた通りでありました。この辺が外部にいる人間にはなかなか分からないリアリズムであります。

 とふとジムの外に目を転じると、中出博啓トレーナーがジムの前の歩道で囲み取材の真っ最中。
そこを通りがかったヤマケンが取材中の中出氏に得意のカンチョー決める等といった和やかな一幕もございました。こういうチームだからこそ海外でも力が出るんでしょうねえ

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 高山チャンプにも少しだけお話を伺いました。

HB「目はどうですか?」
高山「大丈夫です」
HB「井上はパンチありましたか?」
高山「あの日は体重差が10キロあったのでまあ仕方ないです。ロドリゲスはフライとかライトフライでやってるような選手なので、プレッシャーの強い選手とやるのは良い練習になりました」
HB「試合会場はメキシコシティじゃないんですね」
高山「そうなんですよ。なんかまず台北に行って、それからロスに行って、陸路でテイファナから国境越えて、そこから国内線で現地に行くみたいで…。まあ一回やってるから(昨年三月のマリオ・ロドリゲス戦が同じコースでの現地入りだったそうです)心の準備は出来てますけど」
(この後中出氏より旅程が変更になって空路での現地入りとなったと伺いましたが、出発直前の変更はなんにせよアウェイの洗礼と思えます)
HB「フランシスコ・ロドリゲスは攻撃的でスイッチを多用する選手なので見ていて、面白い試合になると思うのですが」
高山「自分もそう思います」

 怪我については「仕方ない」とサバサバ総括して、「プレッシャー対策になった」と言えるところはさすがにベテランであります。今まで世界戦前のスパーを二度ほど見学させて貰っていますが、その時も高山選手は意外とクロスレンジでパンチを貰っていました。スパーリングは勝ち負けを競うものではないし、減量過程では被弾するのも当たり前、その中でいかにテーマを持った調整が出来るか?を冷静に判断出来ているという感想を持ちました。

 高山チャンプの準備も整っていよいよ練習開始であります。まずはリングでのシャドーから、ミット打ち。現時点ですでにリミットまで400グラムということでしたが、動きも軽快で玉の汗がほとばしりフィジカルのコンデイショニングのよさが伺えます。ミット打ちでは相手のスイッチ際に合わせるパンチや、捨てパンチからのボディ撃ちを入念に確認していました。

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 続いて山口選手がリングに呼び込まれてマススパー。逃げる山口選手を徹底的に追いかけるというシチュエーションから、ロープ際やコーナーでの打ち合いを想定したシチュエーションも。4Rのスパーを終えてリング降りた山口選手に感想を聞くと「動きも切れてるし、手数もよう出てるし調子はええと思います」という感想が出ました。

 今回の調整で特徴的に感じるのは高山選手の肉体の仕上がりぶり。細くしなやかな体ながら、薄い皮膚を通して見える背筋や胸筋の浮き上がりぶりが以前と違うのです。この辺はケビン山崎氏との合作の成果なのでありましょう。

 その威力がまざまざと伝わってきたのがその後のバッグ打ちでありました。移動しながら休み無く4っつのバッグを打ち込んでいく様はまさにド迫力で、ミニマムとは思えない力感。特に右ストレートと左のボディフックは印象的で、試合の帰趨を決めるパンチになると感じました。
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 右ストレートはオーバーハンドもさることながら、コンパクトなショートストレートのスピードと予備動作の無さ、ナックルにドスンとパワーが伝わる無駄の無いフォームが印象的で間近で見るプロの技術というのは凄いものだなあとただただ感動。自分はたまたまジムの奥で見学していたので目の前でバッグ打ちを見学できてまっこと眼福でありました。

 その後再びリングに戻ってフットワークの確認とシャドー。体力的には限界と見える高山選手に中出トレーナーが「これが4団体目の12Rや!相手はヒヨッ子や!」とハッパをかける。最後のラウンドが終わり、高山選手が汗取りのウエアを着たまま精根尽き果てたようにリングに横たわると、仲里義竜会長自らがマッサージ。一時間ほどの練習ですが、物凄い密度で、高山チャンピオンも最後は相当キツそうでしたが、体が流れたり、足元が乱れることもなくまさに絶好の仕上げと見えました。

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 7月4日に脳の動脈瘤の手術を受けた直後ながら、熱血指導の合間にリングで軽快なシャドーも見せていた中出トレーナーにも少しお話を伺いました。「中出さん手術して少し元気になったんじゃないですか?」と冗談を言ったら「アホか!死にかけたんやからな」と怒られましたが…。

 フィジカルの充実振りといいますか、肉体改造とも言えるような体の変化について尋ねると「今までから更に上を目指してやったから」とかなり手応えを感じている風でありました。

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ジム内に飾られていたエディ賞の賞状 横書き、エディさんの写真入り、ガッツさんの名入りといろんな意味でかっこいい
 アクシデントを受けて調整法を工夫したことでコンデイショニング的にはさして問題はないのではないかと感じました。この辺はチームとしての経験の厚みからくるものでありましょう。個人的には小野戦で両方が切れた瞼がやはり不安要素で、敵地だけに不完全燃焼のストップだけが心配であります。

 対戦相手のフランシスコ・ロドリゲスjrは長身ながら攻撃的で、スイッチを多用するような器用さも併せ持つ侮れない選手。年齢も若く、ラッシュも得意でローマン・ゴンザレス相手にも一歩も引かずに打ち合った気の強さもあります。高山選手は経験とフィジカル、ヘッドワークを生かして、いかにこの若者と戦い勝つのか?練習を見る限りはインファイトを中心にした攻撃的な試合が予想されますが、その戦略も含めて期待して試合を待ちたいと思います。

 FACEBOOKを使ってボクサー本人に直接統一戦を呼びかけたこともあるという高山チャンピオン。何かと政治が幅を利かす昨今のボクシング界でありますが、相手も場所も選ばず試合に臨むその姿勢は、日本のボクサーの皆さんも大いに学ぶものがあるのではないでしょうか?実際4団体時代となり海外に活躍の場を求めるボクサーは更に増えてくると思います。後に続く選手達の指標となるような素晴らしい試合を見せて欲しいと思います。

高山選手のバッグ打ちを間近で見て縮み上がった(旧徳山と長谷川が好きです)