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HARD BLOW !

証人尋問の前に

 明日5月28日二時より東京地裁801号法廷にて、JBCの森田健事務局長の証人尋問が行われます。これをもって一連の解雇職員とJBCの裁判も大詰めとなり、いよいよ判決が近づいて来ました。

 三年前に、冗漫なアナウンスが持ち味のリングアナウンサーと癒着しているゴシップライターが仰々しく書いていた数々の疑惑(不正経理や業者との癒着)は全て否定されて裁判では無かったことになっています。ただ「怪文書が出るような人、週刊誌に載るような人は辞めて欲しい」と言う論理のみです。これは逆に言えば怪文書を書いてマスコミにリークすれば気に入らない奴は首にできると言うことであります。
 
 当時浦谷氏をはじめとする試合役員が「安河内が辞めなければ新組織を作る」といわゆる『新コミッション』に言及し、JBCの分裂を画策したのはご記憶の通りです。そんな彼らが今「新コミッションを企図した」という理由で安河内氏や谷川氏を放逐しようとしています。

 怪文書発の解雇自由が破綻したJBCは、敵対する解雇職員を排除する為に高山勝成選手にあらぬ疑惑を向け、大沢宏晋選手からは言いがかりに等しい理由で一年間の選手生命と世界ランキング、東洋タイトルを奪いました。これは立派な人権問題です。その『事件』の片棒を担いだのは専門誌の編集者と著書もある高名なボクシングライター達でした。ジャーナリストとしての最低限の矜持であるはずの「取材で知りえたことを報道目的外で使用しない」というルールを破り、JBC側に情報提供して裁判に協力した彼らはもはや御用記者・茶坊主ライターです。JBCに揉み手で近づき媚を売ったボクシングマガジンはその後部数を伸ばしたのでしょうか?

 JBCが安河内氏を排除し多くの職員を解雇して現体制になってから

・清水智信の休養王者問題
・公益法人格の放棄
・健保金制度の廃止
・赤字経営への転落
・亀田興行での体重超過に端を発するルール確認ミスによるトラブル

等々様々な問題が多発しています。果たして現JBCのスタッフにボクシング興行を統括する職能・責任感があるのでしょうか?

 この事件にJBC側で連座した人たちは、判決後果たしてどのように振舞うのでしょうか?「ボクシング村の論理は法律に優先する」とばかりに居直るのでしょうか?

 まずは明日の証人喚問です。事実上のトップからどのような見解が語られるのか?注目して待ちたいと思います

 (6月は沖縄に行きまくる)旧徳山と長谷川が好きです
 

 

 

 

ある裁判記録 その10 ― 被告 準備書面4 (前半)―

この裁判は、原告が被告を訴えた民事裁判である。 
訴状は原告により平成24年5月24日某地裁に提出され受理された。
以下は被告準備書面4(平成24年12月27日提出)の要約である。

※〔 〕は要約者による注。
※ 準備書面とは、民事訴訟において原告・被告双方が、自らの主張と証拠となる事実を示すための書類である。実質的に裁判の進行状況を示す書類である。
※ 書証(証拠となる書類・写真・録音テープ等)は要約の対象外とした。
※ 要約者が要約に困難を感じたために原文通りとした(ただし実名は除く)部分があり、始端と終端に記号を付し、▼原文▲のように示した。

■■■■

被告 準備書面4(H24年12月27日)


第1 はじめに

1.本質的解雇事由と「共謀」

 ▼被告は本件において、本件の当事者が立場を変えて訴えを提起し、もしくは申立をした解雇の有効性を争っている諸事件において「本質的な解雇事由」を主張しているところ、本準備書面をもってその詳細を陳述する。
 本質的解雇事由は略言すれば、後述の通りW、jらのグループ(以下「チームW」という)がWの世界タイトルに挑戦したいと欲していた意図と、原告が抱いていた被告の改革構想及びその後における原告、L、I、J(以下「被解雇者ら」という)が被告に対して抱いていた反抗意図が合作し、日本において被告と別の組織を立ち上げ及びこれを成就せしめるためにおこなった被解雇者らによる被告組織の壊乱その他の行為が被告の就業規則に違反したことを問題にしている。
 ここにおける被告の関心は、もちろんかかる企てが被解雇者らと「チームW」との間に通底する様々な行動によって遂行されたことに対しても向けられており、本準備書面においてはこのことについて論ずるけれども、専ら問題にしているのは、被解雇者らがチームWと意思を共同にしたこと(以下「共謀」ということもある)それ自体、ないしは、共同意思によって成立した「共謀」そのもののというよりは、むしろかかる全体的行動の重要部分を占める被解雇者らの行為が被告の懲戒解雇に該り、解雇ないしそれに伴う処分が正当であることについてである。▲

2. 「チームW」とJ

 〔Wの経歴。省略〕
 Jは南アフリカ・ブラクバンでのv記者としての取材を通じ、j(トレーナー兼マネージャー)、k(サポーター)などからなる「チームW」メンバーと知り合い、当時のメンバーM(マネージャー補佐)と昵懇となった。

3. 同じ頃、原告とJは、fに関しても、ゆくゆくはfは中国へ進出することについても共通認識を持った。
 ▼一方、原告は被告事務局長として予てからボクシングと格闘技を統括する団体(格闘技統括団体という)を構想しており、J(ないしチームW)の話は、原告にとって共感を覚えるものがあったと推察され、やがて被告と別団体を立ち上げ、日本においてW戦を開催する企てへと「チームW」を巻き込んで展開してゆく。▲

4. 原告による被告切崩し工作

 原告は本部事務局長として、被告内部の統制と組織の掌握に失敗し、おそくとも平成23年初頭には被告事務局は原告に反発するグループと同人を支持するグループとの間に意見の対立をみるようになった。そして前者グループから経理不正をはじめとする疑惑がコミッショナー宛に告発され、調査委員会の調査を経て、平成23年6月28日、調査報告書が提出され、同日理事会にて原告は降格処分を受け、同日理事の地位からも辞任する意思を表明した、これをもって、原告は自らの被告における地位が不安定になったことを遺憾に思うようになった。即ち、かねて構想していた格闘技統括団体を立ち上げ、g及びfのボクシング興行を認定・管理せしめ、他方においてボクシング興行のプロモーター会社を設立して、g・fの日本における興行を行い、原告を含む支持者の経済基盤を確立することを企て、かくすれば被告の組織を壊乱して、その社会的地位は低下するが、そうなっても構わないとの認識のもとに、被解雇者ら内にあって自らを支持するL、I及びJらと意思を通じて、

 ① 公益通報その他の手段を用い、被告のガバナンスを頽廃させて内部分裂を図り、被告執行部の力を減殺し、
 ② 格闘技認定団体の設立を準備し、
 ③ プロモーション会社の設立を準備し、
 ④ gの日本興行の実現に向けg等と接触し、
 ⑤ gに対して選手に関する情報を漏えいした

のである。

5. 就業規則違反

 これら行為は、L、原告、I、J、M、K、及びWらが意思を共同して行ったもので、被解雇者ら従業員であったL、原告、I、Jについては、各人の各行為が被告就業規則55号各号に定める懲戒解雇事由に該当することは明らかである。
 各行為と就業規則違反については以下該当箇所で指摘する。



第2 共謀の形成

1. 被告の課題
(1) 被告のプロボクシング界における位置づけ

 昭和27年4月21日設立、一国一コミッションを標榜し、日本においてプロボクシング競技を統括する唯一の機関で、d、e、zに加盟している。

(2) 日本におけるg、fの世界タイトルマッチ開催

 近年g、fが有力なチャンピオンを輩出していることから、Wをはじめ挑戦機会を求め、国内ライセンスを放棄して海外に拠点を移す選手も目立つようになり、現状では選手の海外流出が加速し、現行でのクラブ制度が崩壊しかねないとの懸念も関係者内で広がっていたことから、被告x〔たんなるxの誤りか〕では平成22年10月に、g・f両団体加盟申し入れを表明した。
 これら状況に配慮した被告は、平成23年2月28日、g・fについて日本ジム所属の、d、e王者との統一戦に限り認めることに決定した(防衛戦は不可)。但し、当時事務局長の原告は、展開次第で、まず海外で防衛戦、そして国内で防衛戦と段階を踏んでいく見通しとの見解を示した。このように被告にとって課題であったg・f問題は原告にとっても同様であった。
 
(3) 他競技との関係

 ▼ところで、K-1・PRIDEを初めとする新興格闘技の人気上昇に伴い、近年はボクシング引退後に他の格闘技へ転向する選手も多くなっているが、これらの選手の中にはボクサー時代に心身ともにダメージを受けている者も多く、その上で格闘技の激しい試合をすることは健康管理上からも非常に危険と判断されている。このことはプロボクサーの健康管理と安全防護を事業目的とする被告にとっても重大な関心事であり、eが平成17年よりムエタイ(タイのボクシング)部門を設立したこともあって、原告は被告を格闘技全体の統括団体(日本アスレチックコミッション)へと発展させる構想を秘めていたかもしれない。▲


2. W、M、Jらの関係

(1)
〔Wの経歴。省略〕平成22年9月1日南アフリカにおける「g世界ミニマム級挑戦者決定戦」に勝利し、挑戦権を獲得。

(2)
平成1月29日、Wは南アフリカのブラクパンで、Xに挑戦。3R負傷ストップ。無効試合となったため、Xはgの規約上、Wと再度タイトルマッチを行わなければならなくなった。

(3)
〔Wの経歴。省略〕WvsX戦をvの記者であったJが取材。チームWのメンバーと知り合った。


3. 被告の混乱と原告ら

(1) Jの被告事務局への接近

 Jは業界の内側からボクシングに関わりたいと考え、平成22年11月取材で知り合った被告関西事務局長へ就職の話を持ちかけ、Oは原告と相談。空席がなく職員になれなかったJは予てより取材を通じ原告とも顔見知りになっていた。

(2) 原告に対する●●〔要約者の責により2文字欠落〕

 平成23年4月18日の差出人不明の書面(告発文)に原告とSと思われる写真が同封されており、Sを採用(同年3月20日付)したのはOであり、原告とOが極めて近い関係にあったということができる。
 この告発文は被告内外に大きな波紋を呼び、同22日東京試合役員会の総会で、(被告専務理事Bほか、F、R、T、V、Qも出席)、原告の解雇を求める意見が噴出した。(上記、F、R、T、V、Qのほか、後に原告の解雇を主張するHを加え、反原告派と言ってよい。)
 Bは同23日a理事会、同25日本部事務局会議にも出席したが、いずれの会議でも原告の解雇を求める意見が大勢を占めた。

(3) Jの採用

 ▼同じ頃である。3月23日か24日に、JはOに電話をしたところ、Oから困ったことが生じたため取り急ぎ事務局業務を手伝って欲しいと言われた。また、同月25日頃に原告よりJに電話があり、今日からでも事務局に入ってほしいとのことであった。ただし、そこで条件提示などは一切なかったため、Jは、話を聞かせてほしい、と言ったところ、原告からは、かねてより被告事務局の弱点であった広報業務、そして、英語力を活かせる国際関係の業務に従事してほしい、などと言われている。
 おそらく、原告とOとしては、Sを情実により関西事務局職員に採用したとの批判を恐れ、Sが辞職した後に直ちにJを雇い入れれば、Sを採用したのはあくまで業務上の必要があったからであることを裏付けられるとする意図もあったと考えられる。しかし、それだけではなく、Jを雇い入れることを検討した時期はg世界タイトルマッチを日本で開催することが取り沙汰されていた(結局実現せず)時期とほぼ同時期であり、このことに照らすと、原告はJがWのg世界タイトルマッチを取材した経験を買い、その意味で国際関係の業務を担当させるつもりでJを採用したものと思われる。▲

(4)原告への告発と事務局長解任

 同年5月10日「被告東京試合役員会話、事務局員合同調査委員会」名義で、同月9日付「調査報告書」と(以下「通告書」)及び「真相究明と原告事務局長の解任を求める連判状」が被告に提出された。通告書は、告発文の真偽を確かめるための調査を行った結果を報告する体裁をとっているが、「原告事務局長の責任追及の総意に基づくもの」である旨記載されることから、原告に関する各事実に関する告発の通告であって、各事実が真実であれば明らかに懲戒解雇事由に該当する内容を含むものであった。

ア. 不正経理を通じて横領行為や背任行為に及んだとする事実
イ. 情実により権限を濫用してSを不正に採用した事実
ウ. 本部事務局職員Iに対して程度を超えて親密に接し事務局長としての体面を汚した事実
エ. 執務上の職務を懈怠し、ないし職場を離脱したり職場を放棄したとの事実
オ. 事務局職員に対し「パワーハラスメント」に及んだとする事実

 そこで被告は、調査委員会設置を決め、原告に1か月間(5月10日~6月9日)の休職を命じた。同年5月16日、被告は理事会で調査委員会を設置した。


 ▼このような被告における混乱状況の中、Oは、調査委員会設置と同日である5月16日に、試用期間3か月の約定でJを関西事務局員に採用した。これにより、被告関西事務局長は、O、H、Jの3名で組織されることとなった。
 ところで、本部事務局及び関西事務局の職員のうち、上記原告の解雇を求めた事務局職員を除く者、即ち、O、L、Iは、いわば原告派とも称すべきものであり、Oに採用されたJもやがてこの原告派の一員となった。▲


 平成23年6月28日、被告は調査委員会の調査報告書を受理。緊急理事会を開催し、出席理事全員(特別利害関係にあるため一旦退席した原告を除く)の賛成が得られたので、議長である被告代表理事が原告の事務局長職を解き、一般職員への降格処分を決定。その際、新しい本部事務局長としてD、B専務理事が辞することに伴いCが専務に就任することを決議した。そして、再び理事会の場に入った原告に対し、議長A代表理事が降格処分の旨を告知すると、原告は、出席理事全員に向かって深々と頭を下げ、処分に従う旨を態度で示し、また、同日、マスコミ各社に、降格処分を真摯に受け止めて、理事を辞任することを発表した。しかしながら、後に判明するように、原告は内心では上記処分に対する強い不満を持ち、自身が被告の内部における然るべき地位に復帰する強い決意を秘めていたと考えられる。事実、マスコミに表明した理事の辞任についても辞表を提出していない。
 反原告派の事務局職員は、被告らに対し、少なくとも原告と同一の事務所で勤務することは出来ない旨を強く申し入れてきた。▼そこで被告としては原告の女性問題に端を発して上述のような大騒動になった以上、少なくとも1年程度の冷却期間を設けないと被告における業務に差しさわりが生じると判断し、原告に対しs新宿ビル4階にあるU事務所において勤務することを命じた。▲

(5) 関西事務局の混乱


 平成23年7月5日、関西試合役員会より、被告に対して「O関西事務局長の一連の問題について同問題に関する確実な真相究明と厳重処分を求める要請書」(乙第48号証)と題する書面が提出された。これは、上記原告に対する告発事実にOが関与したことに関する調査を行い、これに基づく処分を求めたものである。これに対し、DとCは、Oに対し、関西地区試合役員会とよく話し合うことを求めた。


 同年7月上旬頃、DとFは、被告の財政状態が厳しいので、関西事務局員を1名増員し3名とする余裕はなく、2名で十分業務を行えること、Jの採用が同年5月16日で試用期間3か月であることから、その満了1か月前の7月15日には解雇予告しなければならないと考え、7月14日午後5時頃、DはOに電話し、経費節減のため、Jを8月15日付で使用期間満了を理由に解雇することを通知した。
 Oは、Jを解雇する合理的な理由はなく、寄付行為上、関西事務局職員の任免権は自分にある(寄付行為第29条)ことから、Jの解雇には承服できない旨回答した。
 しかしながら、Fは、Dの許諾を得て、同日、関西事務局J宛にD名義のJに対する「試用期間満了に伴う通知」(甲第23号証)と題した解雇予告通知を郵送し、同通知は翌15日に関西事務局に到達した。


 Cは同年7月14日~18日、休暇をとって、DがJに解雇予告を通知したことを、休暇明け19日頃Fからメールで事後報告を受けた。CはFを呼び出し、Fに対し、試用期間であっても解雇するというのは重大なことであり、十分に解雇理由を調査し、その理由がなければできないことを注意した。同月20日、Jへの解雇予告を撤回することとし、21日にDがOにその旨伝えさせた。Cは、Dに指示して、D名義の7月25日付解雇予告撤回書(甲第24号証)をJに郵送させ、これは27日にJに到達した。


 ▼以上のとおり、撤回したとはいえ、D及びFが解雇予告通知を送付してしまったことをきっかけとして、Jは現執行部に強い反感を持ち、ますます原告派に傾倒して行ったことは想像に難くない。▲ 
 その後被告は、平成24年6月16日付解雇通知書(乙第49号証)をもってJを懲戒解雇した(就業規則55条4号、同6号、同11号、同18号違反を理由とする)。
 なお、Oは、上述のとおり、C及びDから自身の問題に関して関西試合役員会と話し合うことを求められていたが、結局話し合うことなく、7月29日付の退職届を被告に提出し、8月15日をもって被告を退職する旨の意思を表示した。


4. 公益通報

 Jへの解雇予告発送以来、平成23年7月~11月中旬にかけ、原告派に属する職員から、C、D並びに反原告派に対し、次々と公益通報(公益第2~10号)がなされ、被告はその対応を余儀なくされた。
 原告に属する者が次々と公益通報(第1号の申立を除く)を行った真の目的は、反原告派に対する意趣返しもさることながら、反原告派に処分を科し、C、Dをその職から追い落とすことにより、被告組織を壊乱し、被告の組織立て直しには原告に期待する外なしとする原告待望論を醸成して、原告の事務局長復帰を果たすことにあったものと考えられる。なお、原告はいずれの公益通報の通報者にもなっていないが、Lが被告に返却したパソコン内に残っていたメールのデータによれば、いずれの公益通報も原告がLらに指示して行ったものであると認められる。

ア. 被告公益通報第2号:解雇予告通知問題(平成23年7月16日付公益通報書)
 ①公益通報者 :O、J
 ②被公益通報者:C、D、F

イ.被告公益通報第3号:情報改竄問題(平成23年7月16日付公益通報書)
 ①公益通報者 :L、I
 ②被公益通報者:D、F

ウ.被告公益通報第4号:詐欺問題(平成23年7月24日付公益通報書)
 ①公益通報者 :L、I
 ②被公益通報者:H

エ.被告公益通報第5号:  (平成23年7月28日付公益通報書)
 ①公益通報者 :L、I
 ②被公益通報者:H

オ.被告公益通報第6号: (平成23年8月2日付公益通報書)
 ①公益通報者 :L、I、O
 ②被公益通報者:H

カ.被告公益通報第7号:暴行・傷害問題(平成23年8月4日付公益通報書)
 ①公益通報者 :L
 ②被公益通報者:Q

キ.被告公益通報第8号:脅迫・強要問題(平成23年8月15日付公益通報書)
 ①公益通報者 :L
 ②被公益通報者:Q

ク.被告公益通報第9号:立替金処理問題(平成23年9月28日付公益通報書)(乙第50号証)
 ①公益通報者 :L
 ②被公益通報者:B

ケ.被告公益通報第7号:背任問題(平成23年11月7日付公益通報書)(乙第51号証)
 ①公益通報者 :L
 ②被公益通報者:C、D

(2)
 ▼第9号公益通報に関連してのことであろうと思われるが、平成23年9月29日、午前10時57分、Lは原告に対し、

 ミッションB、ミッション千鳥ヶ淵とも完了です。

とメールを打っており(その用件名は「けけけ」としてふざけている。乙第52号証)、また、同日午後1時19分、原告に対し、

 ミッション妖怪の最終版です。秀逸の添付資料1をご覧下さい。

ともメールを打っている(乙第53号証)。Lが原告と通謀してかかる申し立てを行っていることが明らかである。文中「妖怪」とはBを指している。▲

(3)
 被告は上記通報を調査するため平成23年10月21日調査委員会を設置。平成23年11月25日に上記1~8号、平成24年2月2日に9、10号につき調査報告書をとりまとめた。被告が公益通報を懲戒解雇事由としたのは、上記9、10事件の事実であり、9、10号の通報内容には多くの虚偽が含まれており、「公益通報」と称するに値しない。被告はかかる虚偽事実の通報によって、Lが被告事務所内の風紀秩序を乱したことを懲戒解雇事由とした(就業規則第55条2号違反)。

■■■■

以上。(後半につづく)

by いやまじで

ある裁判記録 その9 ― 原告 準備書面4 ―

この裁判は、原告が被告を訴えた民事裁判である。 
訴状は原告により平成24年5月24日某地裁に提出され受理された。
以下は原告準備書面4(平成24年11月13日提出)の要約である。

※〔 〕は要約者による注。
※ 準備書面とは、民事訴訟において原告・被告双方が、自らの主張と証拠となる事実を示すための書類である。実質的に裁判の進行状況を示す書類である。
※ 書証(証拠となる書類・写真・録音テープ等)は要約の対象外とした。

■■■■

原告準備書面4(H24年11月13日)

 被告準備書面1「第3 懲戒解雇事由」に対する認否・反論

第1 パソコンデータについて

1. 本件データを被告が発見した経緯について
 被告は平成24年3月23日にLを「自宅待機にした際」、Lのパソコンを調べ、明らかになったとしているが、事実と異なる。
 事実は、Lを「懲戒解雇した後」パソコンから何らかの手段で抽出したものである。
 同年4月9日に実施されたLの「聞き取り」時に、Eは明確に「(Lが使用していたパソコンに)メールも何も残っていない」と発言している。更にLは4月12日付で懲戒解雇されているが、懲戒解雇事由に当該メールデータの件は一切示されていない。また、Lの本訴準備書面1で被告は、「4月12日以降に本件メールデータの存在が判明した」としていることからしても(1頁最終行~2頁2行目)、「3月23日付Lを自宅待機にした際」に発見したとの主張は虚偽であり、Lの解雇後に何らかの不正な手段を用いて復元したものである。


2. 違法収集証拠の排除の主張
 被告は、Lの本訴準備書面1において、Lが使用していたパソコンを懲戒解雇後に調べたところ、メールのデータが残っていることが判明したと述べるが、このメールデータは、Lが、被告在籍時に業務上使用していたメールアドレスではなく、全く私的に使用していたメールアドレスから発信・受信されたものである。被告は何らかの不正な手段によりLのパスワードを入手後、当該パスワードを使用して、Lの上記メールアドレスのメールボックスにアクセスして、収拾したものと考えられる。
かかる行為は、不正アクセス行為の禁止等に関する法律3条1項に違反し、「3年以下の懲役または百万円以下の罰金」(同法11条)に処せられるべき違法な犯罪行為である。このように被告はLの私信であるメールをLの許諾なしに不正かつ違法な手段により収集したものであるから、これらは証拠の申し出は違法であり、却下されるべきである。また、これら証拠はいずれも証拠能力がなく、違法収集証拠として排除されるべきでる。


第2 “JAC”の設立準備について

 原告指摘事実を全て否認し、就業規則55条第15号に該当するとの主張は争う。

1.共謀の不存在

(1) 被告の主張は、Lの私用のGメールアドレスの送受信ボックスに保存されていたメールを勝手につなぎ合わせて作り上 げた全く虚構のストーリーにすぎない。

 被告は懲戒解雇事由として、原告がM、W、K、J、L及びIの6名と「共謀」して“JAC”の設立準備を行った旨主張する。
 しかし、原告が共謀者とされる人物のうちWとは面会はもちろん電話、メール等の連絡を取り合ったこともない関係であることが示すように、原告と共謀者とされる人物との関係は、被告指摘のように「共謀者それぞれがJACの活動を利用し利益を図ることを目的」とするような関係になかった(甲25、週刊朝日のW記事)。
 被告は、Lの私用Gメールアドレスの送受信ボックスに保存されていたメール「のみ」を手がかりに、M、W、Kからなんら事情聴取することなく、原告が上記6名と「共謀」して“JAC”の設立準備などを行った旨主張するが、これは共謀者とされる人物らから直接聞き取り調査など行わずに、被告が原告らのメールを都合良く繋ぎ合わせて作り上げた全くの虚構のストーリーである(甲26、内容証明文書)。

(2) 原告と共謀者とされる者との関係について
 以上、原告と共謀者とされる者との関係の説明。以下の人間関係は、相互に面識のない者も含まれており、到底被告と事業が競合する新しい団体の設立を共謀したとはいえないことは明らかである。

ア. Mとの関係
 Mは大阪在住、個人事業としてプロボクシングのマッチメークを行っている者。
 原告は、平成23年9月ころに、被告関西事務局員Jを通じて、Mから今後のボクシング界での活動等について相談されたことをきっかけに、1、2度会ったことのある程度の関係である。

イ. Wとの関係
 Wとは、大阪在住、平成12年デビューのプロボクサー。平成17年4月、世界ミニマム級チャンピオンになっている。原告とWはボクサーと被告職員という立場でいちおうの面識はあるものの、個人的な交流は一切なく、メールのやりとりをしたこともない。(甲25、週刊朝日、W記事)

ウ. Kとの関係
 Kは、平成18年に被告の「マッチメーカー」ライセンスを取得した者。平成24年8月13日に原告とほぼ同様の理由により、被告から「マッチメーカー」ライセンスの無期限停止処分を受けているが、これに対し「聴聞の機会も与えられず、捏造された事実で一方的に処分された」と主張している。(甲27、日刊スポーツ記事)

エ. Jとの関係
 Jは、元vの記者であり、平成23年5月に被告へ入所。被告関西事務局に勤務していた者である。
 Jは平成24年6月に原告とほぼ同様の理由により懲戒解雇されているが、無効であるとして大阪地裁に地位確認等を求める訴訟を提起しており、現在係争中である。

オ.  L及びIとの関係
 L及びIは、被告在職時での本部事務局での同僚。上記両名とも被告から解雇され、当該解雇は無効であるとして、東京地裁に地位確認を求める訴訟を提起しており、現在も係争中である。


2. そもそも“JAC”なる団体は存在しないこと

(1)
 原告、M、W、K、J、L及びIの合計7名が「JAC」なる団体を設立したとする被告の主張は、平成23年9月下旬~同24年2月上旬までの間に原告を含めた上記7名の間でそれぞれ別個の案件について取り交わしたメールのみを根拠とするものである。これらメールはそれぞれ別個の案件について取り交わされており、相互に関連性がないものである。そして、被告は、M、W、Kから事情聴取も全く行っていない。これらのことから、被告の主張は、被告がこれらメールの内容を一方的な憶測に基づいて無理やりに繋ぎ合わせ、勝手に作り上げた、虚構のストーリーあるいは空想の物語にすぎない。

(2)
 被告が、原告らが「“JAC”設立準備を行った」ことの証拠として提出した乙27号証等のメール内容を見ても、平成23年12月にMが原告に「そろそろJACの設立にご注力いただけないでしょうか。」との勧誘の記載があるが、これはそもそも原告自身がJAC設立に注力していないことを示す事実である。そして、このメールに原告は一切返信していない事実は、原告、J、Lが、Mのメールによる勧誘に全く応じていないことを示すものである。
 そして、その後のMらのメールには「JAC」との文言は一切出てきていないことから、
 ①原告、J、及びLの3名が平成23年12月12日の時点で、JA設立準備に関わっていなかったこと、
 ②上記3名がMからの乙27号証のメールによる勧誘にも応じず、
 ③結局、JACは設立されなかったことは明らかであり、原告がJACなる団体を設立しようとしたとする被告の主張が事実無根であることは明らかである。

(3)
 以上のとおり、原告はJACを設立しておらず、設立しようと考えたこともないので、原告にとってJACがいかなる団体かは知るところではない。一方、被告は、「JAC」を被告とは別のボクシングタイトル認定団体であると勝手に解釈しているが、被告が提出した証拠からいかなる根拠でかような団体と認められるのか全く不明で、被告が示す解雇事由は全く根拠の裏付けがないといわざるをえない。
 そして、「共謀者それぞれがJACの活動を利用して利益を図ることを目的として」(被告準備書面1、12頁)という点についても、原告を含む各人がいかなる方法で「具体的に」利益を図ることを意味するのか全く明らかにされていない。
 被告は、JACの事業が、被告と「競合」し、「被告の利益を損なう」と主張するが、その具体的な意味を証拠に基づいて全く示していない。営利企業でなく、スポーツを管轄する財団法人であり、プロボクシングの試合管理を行う被告との関係において、いかなる意味で、いかなる市場で「競合」するのか、被告は全く具体的に明らかに示していない。
 さらに被告は、原告らの行為が「被告の利益を損なう」と主張するが、かかる主張は極めて抽象的なものにすぎず、被告が損なわれる利益はいかなるものか(例えば、被告の売り上げが減少するということなのか)、具体的には全く示されていない。

(4)
 以上の通り、被告の「“JAC”の設立準備」とは、被告が原告らのメールのみを根拠に、そのメールを都合よくつなぎ合わせて独自の解釈をした上で、作り上げた虚構のストーリーにすぎない。
 それ故、その内実があまりにも曖昧で、具体性を欠くものであって、全体としておよそ意味不明であり、到底、懲戒解雇事由となりうるものではない。


3. ア JACの設立を具体化するためにGの協力・支援を得ようとして接触を保ったとの指摘に対する反論

(1)
 被告は、原告がJAC設立の具体化のためgの協力・支援を得ようとして接触を保ったことの証拠として、3つのメール(乙25、28、29)を挙げているが、文面から原告がgの協力・支援を得ようとしている事実がどこから読み取れるのかが、全く不明である。また、これらメールから、gの強力な支援を得ることが、いかなる意味でJAC設立を具体化することになるか、全く不明である。以下、メール毎に原告の真意を説明する。

(2)
 乙25号証は、MからJ、原告、Lに発信されている。文面から、平成23年10月23日にMがg本部でg本部関係者と会見したことの報告になっているが、原告からMに対しg関係者に接触するように依頼したことはない。Mがg訪問の事実を一方的に報告したにすぎない。
 なお、このメールに原告は一切返信しておらず、その後も、g関係者と面会もメール接触を図ったことも一度もない。

(3)
 乙28号証は、日本政府観光局から<gの会議を日本で開催したいという話があり、被告に連絡した方がよいのか>との問い合わせの電話があり、Iが<よくわからないので、明日連絡するようにLにお願いした>旨答えたというメールを見て、来年はgの会議はハワイで開催が決まっていたと原告は認識していたので、なぜgが日本観光局に打診したのか疑問であったことから、「来年はハワイでの開催が決まっています。ちょっとくさいですね」と答えたにすぎず、このメールの返信がいかなる意味で、JACなる団体の設立の具体化の証拠となるのか全く意味不明である。

(4)
 乙29号証は、日本政府観光局のy氏から、今後直接「gが被告にアプローチを希望した場合、被告の連絡先を伝えて構わないか」との問いかけに対し、その場合は私のメールアドレスをお伝えくださいと、Lの被告業務用メールアドレスを伝えただけで、このメールがいかなる意味でJACなる団体の設立を具体化するものか全く不明である。

(5)  
 なお、乙29号証メールは乙41号証からの流れのメールで、日本での会議開催を希望するgの問い合わせへの対応を、LがDに相談したうえ、Lが「対応できない」と返事をしたメールを受けてのもの。乙41号証でもLは、外国のボクシング関係者から日本の政府機関を通じて被告にアプローチがあること自体は、日本のボクシングの国際化の観点から悪いことではないと考え、「今後も諸外国からのアプローチがございましたらご連絡をいただきたく、心よりお願い申し上げます」と答えている。これを受けて、日本政府観光局から、今後g側からのアプローチがあった場合に被告の連絡先を伝えて構わないかとの問い合わせがあり、それに対しLは被告業務用メールアドレスを答えたのである。
 そもそも被告が主張する、被告と競合する別のボクシングタイトル認定団体の設立準備行為としてgに接触を保つなら、被告業務用メールアドレス使用するはずがない。そもそもgは被告の連絡先を知りたがっていたのであり、「JACなる団体の設立準備者」の連絡先を知りたがっていたのではない。このような競業行為を画策するのに、日本政府観光局を通じて接触を図るはずがないことは明らかである。
 このように乙28、29号証からJACの設立の具体化のためにgとの接触を保とうとしたと断定する被告の考えには、著しい論理の飛躍があり、こじつけというほかない。


4. イ.JACに関係する合同会社(LLC)を設立するための定款案を作成したとの指摘に対する反論

(1)
 原告は、JからMが今後ボクシング界でマッチメーク等を行っていくうえで助言をもらいたいとの依頼を受け、あくまでM個人の会社として、定款案を作成したにすぎない。
 被告は、原告が、JACに関係する会社として、プロボクシングその他の格闘技等のマネジメント、興行、コンサルタンティング業等を営む合同会社(LLC)を設立するための定款案を作成したことが、被告と競合する別団体(JAC)を設立する行為と断定するが、この定款案作成が、いかなる意味でJAC設立の準備行為につながるのか全く不明である。
 被告自身も、原告が「JACに関する会社の定款案を作成した」と認定しているように、これはJACなる団体の定款案ではない。
 なぜこの定款案の作成がJACなる団体の設立準備行為と言えるのか、全く不明である。以下メール毎に原告の真意を説明する。

(2)
 乙30号証は、Jから、Mへの助言の依頼を受け作成。原告は、市場規模の小さいボクシング界で活躍するには、個人事業主では心もとないが、株式会社は運営に負担が大きいので、LLCという法人格をアドバイスした。J以外にも送信したのは、今後厳しくなるのであろうボクシング業界について考える上で参考にしてもらえればという程度である。このメールには、結局誰からも返信がなかった。原告は、この定款案がどのように活用されたか、また、JACと関係する団体の設立されたか否かについて知るところではない。

(3)
 乙31号証は、乙30号証のようなJを通じたMからの依頼に対し、定款案を作成、送信した。この時点で原告はMと面識がなかったが、参考資料として作成した。
 原告とMは上記のような関係だったので、依頼者のMの真意をよく知らないで作成していることがメールの文面から明らかである。(「一人会社です。複数で考えているようでしたら」)
 被告主張のようなJACに関連する事業会社のような重要な組織であれば、その後も綿密に打ち合わせ等を行うはずだが、LLCの件はこの乙30、31号証で完結しており、以後全く話題にもなっていない。Jら宛先人からの返信も一切ない。その後の活用、関係団体の設立の有無も知らない。


5. ウ.JACの収支予算を試算するなどして、被告とは別のコミッション及び会社の設立を具体化しようとしたとの指摘に対する反論

 被告は、乙32、34号証のメールを根拠に、この収支予算書はJACの収支予算書と断定するが、この収支予算書は、JACなる団体のものではない。
 そもそもこの予算書は、キックボクシングというプロボクシングとは競技性もファン層も全く違うスポーツの収支予算書につき、経理に詳しいLが依頼され、作成したものである。
 別のメール(乙27号証)でJAC設立に関心を持つと思われるMは送信先になく、Jも送信先にないことからも、先の定款案と無関係であることが明らかである。
 原告はメールのC.C.に加えられただけで、具体的に何ら関与していない。KがLに依頼したものであり、原告は関係していないし、読んでもいないし、返信もしていないし、助言を与えていないし、予算書に関する発言もしていない。


6. 被告がJACの設立準備行為の具体的事実として列挙するア、イ、ウの相互関係について

 ア乃至ウの事実は、それぞれ関連性のない全く別個独立の行為である。被告はそれらを勝手に繋ぎ合わせ虚構のストーリーを作り上げたにすぎない。
 被告は懲戒解雇事由の存在の立証責任を負うが、M、W、Jらの事情聴取も行わず、メールのみを根拠にした被告の主張は、懲戒解雇事由の存在を立証したものとは到底いえない。


7. 就業規則第55条第15号の適用について

 ア. 懲戒解雇という処分の重大性から鑑みると、同号「職務上の地位を利用して営利行為もしくは特定の第三者の利益にあたる行為をしたとき」とは、第54条では「虚偽の事項を報告し、被告に不利益をもたらしたとき」(5号)や「被告を誹謗中傷する目的をもって外部に対し告発をしたとき」(7号)でさえも減給または停職処分事由に留まることとの均衡からすると、単に職務上の地位を利用して営利行為を行ったのみでは足りず、「当該労働者が職務上の地位または権限を不正に利用して営利行為もしくは特定の第三者の利益にあたる行為を行い、その結果、実際に当該組織に具体的な重大な損害を与えたり、実際に当該組織の業務の正常な運営を阻害したとき」に限られるというべきである。
 
 イ. 被告は、原告らの送受信メールのみを根拠にし、原告が職務上の地位を利用し営利行為もしくは特定の第三者の利益に当たる行為をしたときに該当すると主張するが、原告らはこれらメールの送受信によって何ら実際に当該組織に具体的な重大な損害を与えたり、実際に当該組織の業務の正常な運営を阻害したりしておらず、実際に被告はそのような事態に陥っていない。原告らは、JACを設立しておらず、その意思もなかったのであるから、原告らにとってJACとはいかなる団体であるか知るところではない。それ故原告は被告に具体的で重大な損害を与えたり、実際に当該組織の正常な運営を阻害するような行為を何も行っていないといえる。
 以上のことから、原告の行為が就業規則第55条第15号に該当しないことは明らかである。



第3 情報の漏洩について

1. Lのメールで送信した情報は業務上の重大な秘密に当たらない。

(1)
 被告は、乙35乃至39号証のメールを根拠に、原告がL・Iと共謀して、被告の業務上の重大な秘密を谷漏らしたと断定しているが、Lがメールで送った情報は重大な秘密に当たらない。理由は以下のとおりである。

(2) 乙35号証 
 平成23年9月当時、ボクサーoについて、過去に頭部外傷を負い、被告から引退勧告を受けた経緯が判明。Lは、o選手に健康管理上の重大な問題があると判断し、同選手の所属のwのマネジメントに関する東京代理人を務めるKに対し、その経緯を説明したもので、ボクサーの安全管理を預かる被告の職員として当然の行動であって、業務上の秘密にあたるものではない。

(3) 乙36乃至39号証
 ボクサーの戦績をLがメールで送信したもの。ボクサー戦績は、元々対外的に公表される性質の情報であり、外部に流出されても被告は全くの損害が生じず、正常な業務の運営が阻害されていないのであるから、「業務上の重大な秘密を他に漏らしたとき」に該当しないことは明らかである。

(4)
 また、被告は、Lが行ったメールによるボクサー戦績、健康状態の送信が、「別組乃至会社設立すること」によって「被告の組織を弱体化させる」「被告内部の秩序を壊乱し」「ガバナンスを崩壊せしめ」「被告〔JACの誤りか〕と共謀すること」を「意図して行われた一連の行為」と位置づけているが、LのメールはJACなる団体と全く無関係のことである。
 この点につき、被告の主張は、被告のこじつけというほかない。

(5)
 そして、そもそも原告は乙37、38、39号証に関しては一切関与しておらず、情報開示に具体的な行動をとっていない。共謀者とされるIは、乙35号証において事務連絡をしたのみで、他は一切関与していない。

(6)
 以上のとおり、原告の行為が就業規則55条6号に該当しないことは明らかである。



第4 独断の行為について

1. 独断の行為には該当しないこと

(1)
 被告は、乙28、29、40~42号証メールを根拠に、これらメールがJAC設立後gと協調して事業を展開する準備行為としてgと通信・接触したと断定するが、何をもって準備行為といえるのか全く意味不明である。以下メールの真意である。

(2)
 そもそも被告に対してgが接触したいと電話連絡があったのではなく、日本政府観光局から、gから同観光局へ日本国内でのg会議開催希望の問い合わせがあり、こうした場合、日本のプロボクシングの管理団体である被告に連絡した方がよいかと問い合わせがあったのである。
 
(3)
 「Dに伝達せず」「Lがあたかも被告の窓口であるかのように装い」と指摘があるが、実際にはLは、平成23年12月28日、13:10頃、秋葉原「麹蔵」〔飲食店〕にて、Dに問い合わせ内容を報告し、Dから被告はgに加盟していないので協力できない旨の回答をするよう指示を受けている(甲28、反訳資料)。

(4)
 同日14:27、日本政府観光局y氏に「被告として対応できない」旨の電子メールを送信している。したがって報告の主張は事実無根である。

(5)
 以上のとおり被告の懲戒解雇事由は全く事実に反し、Lの行為は「著しく自己の権限を越えて、独断の行為があったととき」には当たらず、ましてメール発信者でない原告はなおのことである。



第5 被告内部秩序の壊乱について

 就業規則第55条18号に該当との主張は争う

1. 被告内部秩序の壊乱について

(1) 就業規則55号第11号「損害を与えたとき」には該当しない

ア. 
 JACなる団体は、実体的活動はおろか、設立すらされておらず、それ故、被告の業務に具体的な影響は生じておらず、実害が生じていないことは明らかである。よって「故意または重大な過失により被告に損害を与えたとき」(11号)に該当しない。

イ.
 別団体・会社の設立による、被告組織の弱体化、被告内部の秩序の壊乱、ガバナンス崩壊、事業における被告との競合を意図して行われた一連の行為とは、全く抽象的で、雇用関係における極刑というべき懲戒解雇処分の適用にあたって、きわめて不明確な事実認定というほかない。
  少なくとも、別組織乃至会社が株式会社、合同会社、財団法人、などのいずれにあたるのか、いかなる意味で被告組織を弱体化させるのか(引き抜きなどの人的資源を奪う)などについて、被告は全く客観的根拠にもとづいて立証できていない。

ウ.
 以上、被告主張の懲戒解雇事由もまた、意味するところが曖昧かつ不明であり、到底懲戒解雇事由とはなりえない。

(2) 「その他前各号に準ずる程度の行為があったとき」(18号)には該当しない。

 このような包括条項の規定の設定が許されるのは、就業規則上の懲戒解雇事由は労働者保護の観点から限定列挙と解される一方で、個々の職場の実情に応じて、予め類型化して規定することは難しいが、限定列挙事由と同程度の著しい職務規律違反と言うべき行為についても懲戒解雇事由とすべき必要が認められるからであることは先に述べたとおりである。
 かかる観点からすると、同条11号で「被告に損害を与えたとき」と現実に損害を与えた場合に限定して懲戒解雇事由としているのに、本件に同条18号の規定を適用することは、現実に損害が生じていない場合にまで拡張して適用するものに等しく、厳格な適用が求められる懲戒解雇の規定の適用として到底許されるものでないことは明らかである。
 以上のとおり、本件では、原告の行為により被告には全く損害が生じていないのであるから「被告に損害を与えたとき」(11号)「に準ずる程度の行為があったとき」(18号)に該当するとの解釈及び適用は不当なものであり、このような就業規則規定の誤った解釈及び適用による懲戒解雇処分は無効であることは明らかである。

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以上

by いやまじで