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明日5月28日二時より東京地裁801号法廷にて、JBCの森田健事務局長の証人尋問が行われます。これをもって一連の解雇職員とJBCの裁判も大詰めとなり、いよいよ判決が近づいて来ました。 三年前に、冗漫なアナウンスが持ち味のリングアナウンサーと癒着しているゴシップライターが仰々しく書いていた数々の疑惑(不正経理や業者との癒着)は全て否定されて裁判では無かったことになっています。ただ「怪文書が出るような人、週刊誌に載るような人は辞めて欲しい」と言う論理のみです。これは逆に言えば怪文書を書いてマスコミにリークすれば気に入らない奴は首にできると言うことであります。 当時浦谷氏をはじめとする試合役員が「安河内が辞めなければ新組織を作る」といわゆる『新コミッション』に言及し、JBCの分裂を画策したのはご記憶の通りです。そんな彼らが今「新コミッションを企図した」という理由で安河内氏や谷川氏を放逐しようとしています。 怪文書発の解雇自由が破綻したJBCは、敵対する解雇職員を排除する為に高山勝成選手にあらぬ疑惑を向け、大沢宏晋選手からは言いがかりに等しい理由で一年間の選手生命と世界ランキング、東洋タイトルを奪いました。これは立派な人権問題です。その『事件』の片棒を担いだのは専門誌の編集者と著書もある高名なボクシングライター達でした。ジャーナリストとしての最低限の矜持であるはずの「取材で知りえたことを報道目的外で使用しない」というルールを破り、JBC側に情報提供して裁判に協力した彼らはもはや御用記者・茶坊主ライターです。JBCに揉み手で近づき媚を売ったボクシングマガジンはその後部数を伸ばしたのでしょうか? JBCが安河内氏を排除し多くの職員を解雇して現体制になってから ・清水智信の休養王者問題 ・公益法人格の放棄 ・健保金制度の廃止 ・赤字経営への転落 ・亀田興行での体重超過に端を発するルール確認ミスによるトラブル 等々様々な問題が多発しています。果たして現JBCのスタッフにボクシング興行を統括する職能・責任感があるのでしょうか? この事件にJBC側で連座した人たちは、判決後果たしてどのように振舞うのでしょうか?「ボクシング村の論理は法律に優先する」とばかりに居直るのでしょうか? まずは明日の証人喚問です。事実上のトップからどのような見解が語られるのか?注目して待ちたいと思います (6月は沖縄に行きまくる)旧徳山と長谷川が好きです
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この裁判は、原告が被告を訴えた民事裁判である。 訴状は原告により平成24年5月24日某地裁に提出され受理された。 以下は被告準備書面4(平成24年12月27日提出)の要約である。 ※〔 〕は要約者による注。 ※ 準備書面とは、民事訴訟において原告・被告双方が、自らの主張と証拠となる事実を示すための書類である。実質的に裁判の進行状況を示す書類である。 ※ 書証(証拠となる書類・写真・録音テープ等)は要約の対象外とした。 ※ 要約者が要約に困難を感じたために原文通りとした(ただし実名は除く)部分があり、始端と終端に記号を付し、▼原文▲のように示した。 ■■■■ 被告 準備書面4(H24年12月27日) 第1 はじめに 1.本質的解雇事由と「共謀」 ▼被告は本件において、本件の当事者が立場を変えて訴えを提起し、もしくは申立をした解雇の有効性を争っている諸事件において「本質的な解雇事由」を主張しているところ、本準備書面をもってその詳細を陳述する。 本質的解雇事由は略言すれば、後述の通りW、jらのグループ(以下「チームW」という)がWの世界タイトルに挑戦したいと欲していた意図と、原告が抱いていた被告の改革構想及びその後における原告、L、I、J(以下「被解雇者ら」という)が被告に対して抱いていた反抗意図が合作し、日本において被告と別の組織を立ち上げ及びこれを成就せしめるためにおこなった被解雇者らによる被告組織の壊乱その他の行為が被告の就業規則に違反したことを問題にしている。 ここにおける被告の関心は、もちろんかかる企てが被解雇者らと「チームW」との間に通底する様々な行動によって遂行されたことに対しても向けられており、本準備書面においてはこのことについて論ずるけれども、専ら問題にしているのは、被解雇者らがチームWと意思を共同にしたこと(以下「共謀」ということもある)それ自体、ないしは、共同意思によって成立した「共謀」そのもののというよりは、むしろかかる全体的行動の重要部分を占める被解雇者らの行為が被告の懲戒解雇に該り、解雇ないしそれに伴う処分が正当であることについてである。▲ 2. 「チームW」とJ 〔Wの経歴。省略〕 Jは南アフリカ・ブラクバンでのv記者としての取材を通じ、j(トレーナー兼マネージャー)、k(サポーター)などからなる「チームW」メンバーと知り合い、当時のメンバーM(マネージャー補佐)と昵懇となった。 3. 同じ頃、原告とJは、fに関しても、ゆくゆくはfは中国へ進出することについても共通認識を持った。 ▼一方、原告は被告事務局長として予てからボクシングと格闘技を統括する団体(格闘技統括団体という)を構想しており、J(ないしチームW)の話は、原告にとって共感を覚えるものがあったと推察され、やがて被告と別団体を立ち上げ、日本においてW戦を開催する企てへと「チームW」を巻き込んで展開してゆく。▲ 4. 原告による被告切崩し工作 原告は本部事務局長として、被告内部の統制と組織の掌握に失敗し、おそくとも平成23年初頭には被告事務局は原告に反発するグループと同人を支持するグループとの間に意見の対立をみるようになった。そして前者グループから経理不正をはじめとする疑惑がコミッショナー宛に告発され、調査委員会の調査を経て、平成23年6月28日、調査報告書が提出され、同日理事会にて原告は降格処分を受け、同日理事の地位からも辞任する意思を表明した、これをもって、原告は自らの被告における地位が不安定になったことを遺憾に思うようになった。即ち、かねて構想していた格闘技統括団体を立ち上げ、g及びfのボクシング興行を認定・管理せしめ、他方においてボクシング興行のプロモーター会社を設立して、g・fの日本における興行を行い、原告を含む支持者の経済基盤を確立することを企て、かくすれば被告の組織を壊乱して、その社会的地位は低下するが、そうなっても構わないとの認識のもとに、被解雇者ら内にあって自らを支持するL、I及びJらと意思を通じて、 ① 公益通報その他の手段を用い、被告のガバナンスを頽廃させて内部分裂を図り、被告執行部の力を減殺し、 ② 格闘技認定団体の設立を準備し、 ③ プロモーション会社の設立を準備し、 ④ gの日本興行の実現に向けg等と接触し、 ⑤ gに対して選手に関する情報を漏えいした のである。 5. 就業規則違反 これら行為は、L、原告、I、J、M、K、及びWらが意思を共同して行ったもので、被解雇者ら従業員であったL、原告、I、Jについては、各人の各行為が被告就業規則55号各号に定める懲戒解雇事由に該当することは明らかである。 各行為と就業規則違反については以下該当箇所で指摘する。 第2 共謀の形成 1. 被告の課題 (1) 被告のプロボクシング界における位置づけ 昭和27年4月21日設立、一国一コミッションを標榜し、日本においてプロボクシング競技を統括する唯一の機関で、d、e、zに加盟している。 (2) 日本におけるg、fの世界タイトルマッチ開催 近年g、fが有力なチャンピオンを輩出していることから、Wをはじめ挑戦機会を求め、国内ライセンスを放棄して海外に拠点を移す選手も目立つようになり、現状では選手の海外流出が加速し、現行でのクラブ制度が崩壊しかねないとの懸念も関係者内で広がっていたことから、被告x〔たんなるxの誤りか〕では平成22年10月に、g・f両団体加盟申し入れを表明した。 これら状況に配慮した被告は、平成23年2月28日、g・fについて日本ジム所属の、d、e王者との統一戦に限り認めることに決定した(防衛戦は不可)。但し、当時事務局長の原告は、展開次第で、まず海外で防衛戦、そして国内で防衛戦と段階を踏んでいく見通しとの見解を示した。このように被告にとって課題であったg・f問題は原告にとっても同様であった。 (3) 他競技との関係 ▼ところで、K-1・PRIDEを初めとする新興格闘技の人気上昇に伴い、近年はボクシング引退後に他の格闘技へ転向する選手も多くなっているが、これらの選手の中にはボクサー時代に心身ともにダメージを受けている者も多く、その上で格闘技の激しい試合をすることは健康管理上からも非常に危険と判断されている。このことはプロボクサーの健康管理と安全防護を事業目的とする被告にとっても重大な関心事であり、eが平成17年よりムエタイ(タイのボクシング)部門を設立したこともあって、原告は被告を格闘技全体の統括団体(日本アスレチックコミッション)へと発展させる構想を秘めていたかもしれない。▲ 2. W、M、Jらの関係 (1) 〔Wの経歴。省略〕平成22年9月1日南アフリカにおける「g世界ミニマム級挑戦者決定戦」に勝利し、挑戦権を獲得。 (2) 平成1月29日、Wは南アフリカのブラクパンで、Xに挑戦。3R負傷ストップ。無効試合となったため、Xはgの規約上、Wと再度タイトルマッチを行わなければならなくなった。 (3) 〔Wの経歴。省略〕WvsX戦をvの記者であったJが取材。チームWのメンバーと知り合った。 3. 被告の混乱と原告ら (1) Jの被告事務局への接近 Jは業界の内側からボクシングに関わりたいと考え、平成22年11月取材で知り合った被告関西事務局長へ就職の話を持ちかけ、Oは原告と相談。空席がなく職員になれなかったJは予てより取材を通じ原告とも顔見知りになっていた。 (2) 原告に対する●●〔要約者の責により2文字欠落〕 平成23年4月18日の差出人不明の書面(告発文)に原告とSと思われる写真が同封されており、Sを採用(同年3月20日付)したのはOであり、原告とOが極めて近い関係にあったということができる。 この告発文は被告内外に大きな波紋を呼び、同22日東京試合役員会の総会で、(被告専務理事Bほか、F、R、T、V、Qも出席)、原告の解雇を求める意見が噴出した。(上記、F、R、T、V、Qのほか、後に原告の解雇を主張するHを加え、反原告派と言ってよい。) Bは同23日a理事会、同25日本部事務局会議にも出席したが、いずれの会議でも原告の解雇を求める意見が大勢を占めた。 (3) Jの採用 ▼同じ頃である。3月23日か24日に、JはOに電話をしたところ、Oから困ったことが生じたため取り急ぎ事務局業務を手伝って欲しいと言われた。また、同月25日頃に原告よりJに電話があり、今日からでも事務局に入ってほしいとのことであった。ただし、そこで条件提示などは一切なかったため、Jは、話を聞かせてほしい、と言ったところ、原告からは、かねてより被告事務局の弱点であった広報業務、そして、英語力を活かせる国際関係の業務に従事してほしい、などと言われている。 おそらく、原告とOとしては、Sを情実により関西事務局職員に採用したとの批判を恐れ、Sが辞職した後に直ちにJを雇い入れれば、Sを採用したのはあくまで業務上の必要があったからであることを裏付けられるとする意図もあったと考えられる。しかし、それだけではなく、Jを雇い入れることを検討した時期はg世界タイトルマッチを日本で開催することが取り沙汰されていた(結局実現せず)時期とほぼ同時期であり、このことに照らすと、原告はJがWのg世界タイトルマッチを取材した経験を買い、その意味で国際関係の業務を担当させるつもりでJを採用したものと思われる。▲ (4)原告への告発と事務局長解任 ① 同年5月10日「被告東京試合役員会話、事務局員合同調査委員会」名義で、同月9日付「調査報告書」と(以下「通告書」)及び「真相究明と原告事務局長の解任を求める連判状」が被告に提出された。通告書は、告発文の真偽を確かめるための調査を行った結果を報告する体裁をとっているが、「原告事務局長の責任追及の総意に基づくもの」である旨記載されることから、原告に関する各事実に関する告発の通告であって、各事実が真実であれば明らかに懲戒解雇事由に該当する内容を含むものであった。 ア. 不正経理を通じて横領行為や背任行為に及んだとする事実 イ. 情実により権限を濫用してSを不正に採用した事実 ウ. 本部事務局職員Iに対して程度を超えて親密に接し事務局長としての体面を汚した事実 エ. 執務上の職務を懈怠し、ないし職場を離脱したり職場を放棄したとの事実 オ. 事務局職員に対し「パワーハラスメント」に及んだとする事実 そこで被告は、調査委員会設置を決め、原告に1か月間(5月10日~6月9日)の休職を命じた。同年5月16日、被告は理事会で調査委員会を設置した。 ② ▼このような被告における混乱状況の中、Oは、調査委員会設置と同日である5月16日に、試用期間3か月の約定でJを関西事務局員に採用した。これにより、被告関西事務局長は、O、H、Jの3名で組織されることとなった。 ところで、本部事務局及び関西事務局の職員のうち、上記原告の解雇を求めた事務局職員を除く者、即ち、O、L、Iは、いわば原告派とも称すべきものであり、Oに採用されたJもやがてこの原告派の一員となった。▲ ③ 平成23年6月28日、被告は調査委員会の調査報告書を受理。緊急理事会を開催し、出席理事全員(特別利害関係にあるため一旦退席した原告を除く)の賛成が得られたので、議長である被告代表理事が原告の事務局長職を解き、一般職員への降格処分を決定。その際、新しい本部事務局長としてD、B専務理事が辞することに伴いCが専務に就任することを決議した。そして、再び理事会の場に入った原告に対し、議長A代表理事が降格処分の旨を告知すると、原告は、出席理事全員に向かって深々と頭を下げ、処分に従う旨を態度で示し、また、同日、マスコミ各社に、降格処分を真摯に受け止めて、理事を辞任することを発表した。しかしながら、後に判明するように、原告は内心では上記処分に対する強い不満を持ち、自身が被告の内部における然るべき地位に復帰する強い決意を秘めていたと考えられる。事実、マスコミに表明した理事の辞任についても辞表を提出していない。 反原告派の事務局職員は、被告らに対し、少なくとも原告と同一の事務所で勤務することは出来ない旨を強く申し入れてきた。▼そこで被告としては原告の女性問題に端を発して上述のような大騒動になった以上、少なくとも1年程度の冷却期間を設けないと被告における業務に差しさわりが生じると判断し、原告に対しs新宿ビル4階にあるU事務所において勤務することを命じた。▲ (5) 関西事務局の混乱 ① 平成23年7月5日、関西試合役員会より、被告に対して「O関西事務局長の一連の問題について同問題に関する確実な真相究明と厳重処分を求める要請書」(乙第48号証)と題する書面が提出された。これは、上記原告に対する告発事実にOが関与したことに関する調査を行い、これに基づく処分を求めたものである。これに対し、DとCは、Oに対し、関西地区試合役員会とよく話し合うことを求めた。 ② 同年7月上旬頃、DとFは、被告の財政状態が厳しいので、関西事務局員を1名増員し3名とする余裕はなく、2名で十分業務を行えること、Jの採用が同年5月16日で試用期間3か月であることから、その満了1か月前の7月15日には解雇予告しなければならないと考え、7月14日午後5時頃、DはOに電話し、経費節減のため、Jを8月15日付で使用期間満了を理由に解雇することを通知した。 Oは、Jを解雇する合理的な理由はなく、寄付行為上、関西事務局職員の任免権は自分にある(寄付行為第29条)ことから、Jの解雇には承服できない旨回答した。 しかしながら、Fは、Dの許諾を得て、同日、関西事務局J宛にD名義のJに対する「試用期間満了に伴う通知」(甲第23号証)と題した解雇予告通知を郵送し、同通知は翌15日に関西事務局に到達した。 ③ Cは同年7月14日~18日、休暇をとって、DがJに解雇予告を通知したことを、休暇明け19日頃Fからメールで事後報告を受けた。CはFを呼び出し、Fに対し、試用期間であっても解雇するというのは重大なことであり、十分に解雇理由を調査し、その理由がなければできないことを注意した。同月20日、Jへの解雇予告を撤回することとし、21日にDがOにその旨伝えさせた。Cは、Dに指示して、D名義の7月25日付解雇予告撤回書(甲第24号証)をJに郵送させ、これは27日にJに到達した。 ④ ▼以上のとおり、撤回したとはいえ、D及びFが解雇予告通知を送付してしまったことをきっかけとして、Jは現執行部に強い反感を持ち、ますます原告派に傾倒して行ったことは想像に難くない。▲ その後被告は、平成24年6月16日付解雇通知書(乙第49号証)をもってJを懲戒解雇した(就業規則55条4号、同6号、同11号、同18号違反を理由とする)。 なお、Oは、上述のとおり、C及びDから自身の問題に関して関西試合役員会と話し合うことを求められていたが、結局話し合うことなく、7月29日付の退職届を被告に提出し、8月15日をもって被告を退職する旨の意思を表示した。 4. 公益通報 Jへの解雇予告発送以来、平成23年7月~11月中旬にかけ、原告派に属する職員から、C、D並びに反原告派に対し、次々と公益通報(公益第2~10号)がなされ、被告はその対応を余儀なくされた。 原告に属する者が次々と公益通報(第1号の申立を除く)を行った真の目的は、反原告派に対する意趣返しもさることながら、反原告派に処分を科し、C、Dをその職から追い落とすことにより、被告組織を壊乱し、被告の組織立て直しには原告に期待する外なしとする原告待望論を醸成して、原告の事務局長復帰を果たすことにあったものと考えられる。なお、原告はいずれの公益通報の通報者にもなっていないが、Lが被告に返却したパソコン内に残っていたメールのデータによれば、いずれの公益通報も原告がLらに指示して行ったものであると認められる。 ア. 被告公益通報第2号:解雇予告通知問題(平成23年7月16日付公益通報書) ①公益通報者 :O、J ②被公益通報者:C、D、F イ.被告公益通報第3号:情報改竄問題(平成23年7月16日付公益通報書) ①公益通報者 :L、I ②被公益通報者:D、F ウ.被告公益通報第4号:詐欺問題(平成23年7月24日付公益通報書) ①公益通報者 :L、I ②被公益通報者:H エ.被告公益通報第5号: (平成23年7月28日付公益通報書) ①公益通報者 :L、I ②被公益通報者:H オ.被告公益通報第6号: (平成23年8月2日付公益通報書) ①公益通報者 :L、I、O ②被公益通報者:H カ.被告公益通報第7号:暴行・傷害問題(平成23年8月4日付公益通報書) ①公益通報者 :L ②被公益通報者:Q キ.被告公益通報第8号:脅迫・強要問題(平成23年8月15日付公益通報書) ①公益通報者 :L ②被公益通報者:Q ク.被告公益通報第9号:立替金処理問題(平成23年9月28日付公益通報書)(乙第50号証) ①公益通報者 :L ②被公益通報者:B ケ.被告公益通報第7号:背任問題(平成23年11月7日付公益通報書)(乙第51号証) ①公益通報者 :L ②被公益通報者:C、D (2) ▼第9号公益通報に関連してのことであろうと思われるが、平成23年9月29日、午前10時57分、Lは原告に対し、 ミッションB、ミッション千鳥ヶ淵とも完了です。 とメールを打っており(その用件名は「けけけ」としてふざけている。乙第52号証)、また、同日午後1時19分、原告に対し、 ミッション妖怪の最終版です。秀逸の添付資料1をご覧下さい。 ともメールを打っている(乙第53号証)。Lが原告と通謀してかかる申し立てを行っていることが明らかである。文中「妖怪」とはBを指している。▲ (3) 被告は上記通報を調査するため平成23年10月21日調査委員会を設置。平成23年11月25日に上記1~8号、平成24年2月2日に9、10号につき調査報告書をとりまとめた。被告が公益通報を懲戒解雇事由としたのは、上記9、10事件の事実であり、9、10号の通報内容には多くの虚偽が含まれており、「公益通報」と称するに値しない。被告はかかる虚偽事実の通報によって、Lが被告事務所内の風紀秩序を乱したことを懲戒解雇事由とした(就業規則第55条2号違反)。 ■■■■ 以上。(後半につづく) by いやまじで
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この裁判は、原告が被告を訴えた民事裁判である。 訴状は原告により平成24年5月24日某地裁に提出され受理された。 以下は原告準備書面4(平成24年11月13日提出)の要約である。 ※〔 〕は要約者による注。 ※ 準備書面とは、民事訴訟において原告・被告双方が、自らの主張と証拠となる事実を示すための書類である。実質的に裁判の進行状況を示す書類である。 ※ 書証(証拠となる書類・写真・録音テープ等)は要約の対象外とした。 ■■■■ 原告準備書面4(H24年11月13日) 被告準備書面1「第3 懲戒解雇事由」に対する認否・反論 第1 パソコンデータについて 1. 本件データを被告が発見した経緯について 被告は平成24年3月23日にLを「自宅待機にした際」、Lのパソコンを調べ、明らかになったとしているが、事実と異なる。 事実は、Lを「懲戒解雇した後」パソコンから何らかの手段で抽出したものである。 同年4月9日に実施されたLの「聞き取り」時に、Eは明確に「(Lが使用していたパソコンに)メールも何も残っていない」と発言している。更にLは4月12日付で懲戒解雇されているが、懲戒解雇事由に当該メールデータの件は一切示されていない。また、Lの本訴準備書面1で被告は、「4月12日以降に本件メールデータの存在が判明した」としていることからしても(1頁最終行~2頁2行目)、「3月23日付Lを自宅待機にした際」に発見したとの主張は虚偽であり、Lの解雇後に何らかの不正な手段を用いて復元したものである。 2. 違法収集証拠の排除の主張 被告は、Lの本訴準備書面1において、Lが使用していたパソコンを懲戒解雇後に調べたところ、メールのデータが残っていることが判明したと述べるが、このメールデータは、Lが、被告在籍時に業務上使用していたメールアドレスではなく、全く私的に使用していたメールアドレスから発信・受信されたものである。被告は何らかの不正な手段によりLのパスワードを入手後、当該パスワードを使用して、Lの上記メールアドレスのメールボックスにアクセスして、収拾したものと考えられる。 かかる行為は、不正アクセス行為の禁止等に関する法律3条1項に違反し、「3年以下の懲役または百万円以下の罰金」(同法11条)に処せられるべき違法な犯罪行為である。このように被告はLの私信であるメールをLの許諾なしに不正かつ違法な手段により収集したものであるから、これらは証拠の申し出は違法であり、却下されるべきである。また、これら証拠はいずれも証拠能力がなく、違法収集証拠として排除されるべきでる。 第2 “JAC”の設立準備について 原告指摘事実を全て否認し、就業規則55条第15号に該当するとの主張は争う。 1.共謀の不存在 (1) 被告の主張は、Lの私用のGメールアドレスの送受信ボックスに保存されていたメールを勝手につなぎ合わせて作り上 げた全く虚構のストーリーにすぎない。 被告は懲戒解雇事由として、原告がM、W、K、J、L及びIの6名と「共謀」して“JAC”の設立準備を行った旨主張する。 しかし、原告が共謀者とされる人物のうちWとは面会はもちろん電話、メール等の連絡を取り合ったこともない関係であることが示すように、原告と共謀者とされる人物との関係は、被告指摘のように「共謀者それぞれがJACの活動を利用し利益を図ることを目的」とするような関係になかった(甲25、週刊朝日のW記事)。 被告は、Lの私用Gメールアドレスの送受信ボックスに保存されていたメール「のみ」を手がかりに、M、W、Kからなんら事情聴取することなく、原告が上記6名と「共謀」して“JAC”の設立準備などを行った旨主張するが、これは共謀者とされる人物らから直接聞き取り調査など行わずに、被告が原告らのメールを都合良く繋ぎ合わせて作り上げた全くの虚構のストーリーである(甲26、内容証明文書)。 (2) 原告と共謀者とされる者との関係について 以上、原告と共謀者とされる者との関係の説明。以下の人間関係は、相互に面識のない者も含まれており、到底被告と事業が競合する新しい団体の設立を共謀したとはいえないことは明らかである。 ア. Mとの関係 Mは大阪在住、個人事業としてプロボクシングのマッチメークを行っている者。 原告は、平成23年9月ころに、被告関西事務局員Jを通じて、Mから今後のボクシング界での活動等について相談されたことをきっかけに、1、2度会ったことのある程度の関係である。 イ. Wとの関係 Wとは、大阪在住、平成12年デビューのプロボクサー。平成17年4月、世界ミニマム級チャンピオンになっている。原告とWはボクサーと被告職員という立場でいちおうの面識はあるものの、個人的な交流は一切なく、メールのやりとりをしたこともない。(甲25、週刊朝日、W記事) ウ. Kとの関係 Kは、平成18年に被告の「マッチメーカー」ライセンスを取得した者。平成24年8月13日に原告とほぼ同様の理由により、被告から「マッチメーカー」ライセンスの無期限停止処分を受けているが、これに対し「聴聞の機会も与えられず、捏造された事実で一方的に処分された」と主張している。(甲27、日刊スポーツ記事) エ. Jとの関係 Jは、元vの記者であり、平成23年5月に被告へ入所。被告関西事務局に勤務していた者である。 Jは平成24年6月に原告とほぼ同様の理由により懲戒解雇されているが、無効であるとして大阪地裁に地位確認等を求める訴訟を提起しており、現在係争中である。 オ. L及びIとの関係 L及びIは、被告在職時での本部事務局での同僚。上記両名とも被告から解雇され、当該解雇は無効であるとして、東京地裁に地位確認を求める訴訟を提起しており、現在も係争中である。 2. そもそも“JAC”なる団体は存在しないこと (1) 原告、M、W、K、J、L及びIの合計7名が「JAC」なる団体を設立したとする被告の主張は、平成23年9月下旬~同24年2月上旬までの間に原告を含めた上記7名の間でそれぞれ別個の案件について取り交わしたメールのみを根拠とするものである。これらメールはそれぞれ別個の案件について取り交わされており、相互に関連性がないものである。そして、被告は、M、W、Kから事情聴取も全く行っていない。これらのことから、被告の主張は、被告がこれらメールの内容を一方的な憶測に基づいて無理やりに繋ぎ合わせ、勝手に作り上げた、虚構のストーリーあるいは空想の物語にすぎない。 (2) 被告が、原告らが「“JAC”設立準備を行った」ことの証拠として提出した乙27号証等のメール内容を見ても、平成23年12月にMが原告に「そろそろJACの設立にご注力いただけないでしょうか。」との勧誘の記載があるが、これはそもそも原告自身がJAC設立に注力していないことを示す事実である。そして、このメールに原告は一切返信していない事実は、原告、J、Lが、Mのメールによる勧誘に全く応じていないことを示すものである。 そして、その後のMらのメールには「JAC」との文言は一切出てきていないことから、 ①原告、J、及びLの3名が平成23年12月12日の時点で、JA設立準備に関わっていなかったこと、 ②上記3名がMからの乙27号証のメールによる勧誘にも応じず、 ③結局、JACは設立されなかったことは明らかであり、原告がJACなる団体を設立しようとしたとする被告の主張が事実無根であることは明らかである。 (3) 以上のとおり、原告はJACを設立しておらず、設立しようと考えたこともないので、原告にとってJACがいかなる団体かは知るところではない。一方、被告は、「JAC」を被告とは別のボクシングタイトル認定団体であると勝手に解釈しているが、被告が提出した証拠からいかなる根拠でかような団体と認められるのか全く不明で、被告が示す解雇事由は全く根拠の裏付けがないといわざるをえない。 そして、「共謀者それぞれがJACの活動を利用して利益を図ることを目的として」(被告準備書面1、12頁)という点についても、原告を含む各人がいかなる方法で「具体的に」利益を図ることを意味するのか全く明らかにされていない。 被告は、JACの事業が、被告と「競合」し、「被告の利益を損なう」と主張するが、その具体的な意味を証拠に基づいて全く示していない。営利企業でなく、スポーツを管轄する財団法人であり、プロボクシングの試合管理を行う被告との関係において、いかなる意味で、いかなる市場で「競合」するのか、被告は全く具体的に明らかに示していない。 さらに被告は、原告らの行為が「被告の利益を損なう」と主張するが、かかる主張は極めて抽象的なものにすぎず、被告が損なわれる利益はいかなるものか(例えば、被告の売り上げが減少するということなのか)、具体的には全く示されていない。 (4) 以上の通り、被告の「“JAC”の設立準備」とは、被告が原告らのメールのみを根拠に、そのメールを都合よくつなぎ合わせて独自の解釈をした上で、作り上げた虚構のストーリーにすぎない。 それ故、その内実があまりにも曖昧で、具体性を欠くものであって、全体としておよそ意味不明であり、到底、懲戒解雇事由となりうるものではない。 3. ア JACの設立を具体化するためにGの協力・支援を得ようとして接触を保ったとの指摘に対する反論 (1) 被告は、原告がJAC設立の具体化のためgの協力・支援を得ようとして接触を保ったことの証拠として、3つのメール(乙25、28、29)を挙げているが、文面から原告がgの協力・支援を得ようとしている事実がどこから読み取れるのかが、全く不明である。また、これらメールから、gの強力な支援を得ることが、いかなる意味でJAC設立を具体化することになるか、全く不明である。以下、メール毎に原告の真意を説明する。 (2) 乙25号証は、MからJ、原告、Lに発信されている。文面から、平成23年10月23日にMがg本部でg本部関係者と会見したことの報告になっているが、原告からMに対しg関係者に接触するように依頼したことはない。Mがg訪問の事実を一方的に報告したにすぎない。 なお、このメールに原告は一切返信しておらず、その後も、g関係者と面会もメール接触を図ったことも一度もない。 (3) 乙28号証は、日本政府観光局から<gの会議を日本で開催したいという話があり、被告に連絡した方がよいのか>との問い合わせの電話があり、Iが<よくわからないので、明日連絡するようにLにお願いした>旨答えたというメールを見て、来年はgの会議はハワイで開催が決まっていたと原告は認識していたので、なぜgが日本観光局に打診したのか疑問であったことから、「来年はハワイでの開催が決まっています。ちょっとくさいですね」と答えたにすぎず、このメールの返信がいかなる意味で、JACなる団体の設立の具体化の証拠となるのか全く意味不明である。 (4) 乙29号証は、日本政府観光局のy氏から、今後直接「gが被告にアプローチを希望した場合、被告の連絡先を伝えて構わないか」との問いかけに対し、その場合は私のメールアドレスをお伝えくださいと、Lの被告業務用メールアドレスを伝えただけで、このメールがいかなる意味でJACなる団体の設立を具体化するものか全く不明である。 (5) なお、乙29号証メールは乙41号証からの流れのメールで、日本での会議開催を希望するgの問い合わせへの対応を、LがDに相談したうえ、Lが「対応できない」と返事をしたメールを受けてのもの。乙41号証でもLは、外国のボクシング関係者から日本の政府機関を通じて被告にアプローチがあること自体は、日本のボクシングの国際化の観点から悪いことではないと考え、「今後も諸外国からのアプローチがございましたらご連絡をいただきたく、心よりお願い申し上げます」と答えている。これを受けて、日本政府観光局から、今後g側からのアプローチがあった場合に被告の連絡先を伝えて構わないかとの問い合わせがあり、それに対しLは被告業務用メールアドレスを答えたのである。 そもそも被告が主張する、被告と競合する別のボクシングタイトル認定団体の設立準備行為としてgに接触を保つなら、被告業務用メールアドレス使用するはずがない。そもそもgは被告の連絡先を知りたがっていたのであり、「JACなる団体の設立準備者」の連絡先を知りたがっていたのではない。このような競業行為を画策するのに、日本政府観光局を通じて接触を図るはずがないことは明らかである。 このように乙28、29号証からJACの設立の具体化のためにgとの接触を保とうとしたと断定する被告の考えには、著しい論理の飛躍があり、こじつけというほかない。 4. イ.JACに関係する合同会社(LLC)を設立するための定款案を作成したとの指摘に対する反論 (1) 原告は、JからMが今後ボクシング界でマッチメーク等を行っていくうえで助言をもらいたいとの依頼を受け、あくまでM個人の会社として、定款案を作成したにすぎない。 被告は、原告が、JACに関係する会社として、プロボクシングその他の格闘技等のマネジメント、興行、コンサルタンティング業等を営む合同会社(LLC)を設立するための定款案を作成したことが、被告と競合する別団体(JAC)を設立する行為と断定するが、この定款案作成が、いかなる意味でJAC設立の準備行為につながるのか全く不明である。 被告自身も、原告が「JACに関する会社の定款案を作成した」と認定しているように、これはJACなる団体の定款案ではない。 なぜこの定款案の作成がJACなる団体の設立準備行為と言えるのか、全く不明である。以下メール毎に原告の真意を説明する。 (2) 乙30号証は、Jから、Mへの助言の依頼を受け作成。原告は、市場規模の小さいボクシング界で活躍するには、個人事業主では心もとないが、株式会社は運営に負担が大きいので、LLCという法人格をアドバイスした。J以外にも送信したのは、今後厳しくなるのであろうボクシング業界について考える上で参考にしてもらえればという程度である。このメールには、結局誰からも返信がなかった。原告は、この定款案がどのように活用されたか、また、JACと関係する団体の設立されたか否かについて知るところではない。 (3) 乙31号証は、乙30号証のようなJを通じたMからの依頼に対し、定款案を作成、送信した。この時点で原告はMと面識がなかったが、参考資料として作成した。 原告とMは上記のような関係だったので、依頼者のMの真意をよく知らないで作成していることがメールの文面から明らかである。(「一人会社です。複数で考えているようでしたら」) 被告主張のようなJACに関連する事業会社のような重要な組織であれば、その後も綿密に打ち合わせ等を行うはずだが、LLCの件はこの乙30、31号証で完結しており、以後全く話題にもなっていない。Jら宛先人からの返信も一切ない。その後の活用、関係団体の設立の有無も知らない。 5. ウ.JACの収支予算を試算するなどして、被告とは別のコミッション及び会社の設立を具体化しようとしたとの指摘に対する反論 被告は、乙32、34号証のメールを根拠に、この収支予算書はJACの収支予算書と断定するが、この収支予算書は、JACなる団体のものではない。 そもそもこの予算書は、キックボクシングというプロボクシングとは競技性もファン層も全く違うスポーツの収支予算書につき、経理に詳しいLが依頼され、作成したものである。 別のメール(乙27号証)でJAC設立に関心を持つと思われるMは送信先になく、Jも送信先にないことからも、先の定款案と無関係であることが明らかである。 原告はメールのC.C.に加えられただけで、具体的に何ら関与していない。KがLに依頼したものであり、原告は関係していないし、読んでもいないし、返信もしていないし、助言を与えていないし、予算書に関する発言もしていない。 6. 被告がJACの設立準備行為の具体的事実として列挙するア、イ、ウの相互関係について ア乃至ウの事実は、それぞれ関連性のない全く別個独立の行為である。被告はそれらを勝手に繋ぎ合わせ虚構のストーリーを作り上げたにすぎない。 被告は懲戒解雇事由の存在の立証責任を負うが、M、W、Jらの事情聴取も行わず、メールのみを根拠にした被告の主張は、懲戒解雇事由の存在を立証したものとは到底いえない。 7. 就業規則第55条第15号の適用について ア. 懲戒解雇という処分の重大性から鑑みると、同号「職務上の地位を利用して営利行為もしくは特定の第三者の利益にあたる行為をしたとき」とは、第54条では「虚偽の事項を報告し、被告に不利益をもたらしたとき」(5号)や「被告を誹謗中傷する目的をもって外部に対し告発をしたとき」(7号)でさえも減給または停職処分事由に留まることとの均衡からすると、単に職務上の地位を利用して営利行為を行ったのみでは足りず、「当該労働者が職務上の地位または権限を不正に利用して営利行為もしくは特定の第三者の利益にあたる行為を行い、その結果、実際に当該組織に具体的な重大な損害を与えたり、実際に当該組織の業務の正常な運営を阻害したとき」に限られるというべきである。 イ. 被告は、原告らの送受信メールのみを根拠にし、原告が職務上の地位を利用し営利行為もしくは特定の第三者の利益に当たる行為をしたときに該当すると主張するが、原告らはこれらメールの送受信によって何ら実際に当該組織に具体的な重大な損害を与えたり、実際に当該組織の業務の正常な運営を阻害したりしておらず、実際に被告はそのような事態に陥っていない。原告らは、JACを設立しておらず、その意思もなかったのであるから、原告らにとってJACとはいかなる団体であるか知るところではない。それ故原告は被告に具体的で重大な損害を与えたり、実際に当該組織の正常な運営を阻害するような行為を何も行っていないといえる。 以上のことから、原告の行為が就業規則第55条第15号に該当しないことは明らかである。 第3 情報の漏洩について 1. Lのメールで送信した情報は業務上の重大な秘密に当たらない。 (1) 被告は、乙35乃至39号証のメールを根拠に、原告がL・Iと共謀して、被告の業務上の重大な秘密を谷漏らしたと断定しているが、Lがメールで送った情報は重大な秘密に当たらない。理由は以下のとおりである。 (2) 乙35号証 平成23年9月当時、ボクサーoについて、過去に頭部外傷を負い、被告から引退勧告を受けた経緯が判明。Lは、o選手に健康管理上の重大な問題があると判断し、同選手の所属のwのマネジメントに関する東京代理人を務めるKに対し、その経緯を説明したもので、ボクサーの安全管理を預かる被告の職員として当然の行動であって、業務上の秘密にあたるものではない。 (3) 乙36乃至39号証 ボクサーの戦績をLがメールで送信したもの。ボクサー戦績は、元々対外的に公表される性質の情報であり、外部に流出されても被告は全くの損害が生じず、正常な業務の運営が阻害されていないのであるから、「業務上の重大な秘密を他に漏らしたとき」に該当しないことは明らかである。 (4) また、被告は、Lが行ったメールによるボクサー戦績、健康状態の送信が、「別組乃至会社設立すること」によって「被告の組織を弱体化させる」「被告内部の秩序を壊乱し」「ガバナンスを崩壊せしめ」「被告〔JACの誤りか〕と共謀すること」を「意図して行われた一連の行為」と位置づけているが、LのメールはJACなる団体と全く無関係のことである。 この点につき、被告の主張は、被告のこじつけというほかない。 (5) そして、そもそも原告は乙37、38、39号証に関しては一切関与しておらず、情報開示に具体的な行動をとっていない。共謀者とされるIは、乙35号証において事務連絡をしたのみで、他は一切関与していない。 (6) 以上のとおり、原告の行為が就業規則55条6号に該当しないことは明らかである。 第4 独断の行為について 1. 独断の行為には該当しないこと (1) 被告は、乙28、29、40~42号証メールを根拠に、これらメールがJAC設立後gと協調して事業を展開する準備行為としてgと通信・接触したと断定するが、何をもって準備行為といえるのか全く意味不明である。以下メールの真意である。 (2) そもそも被告に対してgが接触したいと電話連絡があったのではなく、日本政府観光局から、gから同観光局へ日本国内でのg会議開催希望の問い合わせがあり、こうした場合、日本のプロボクシングの管理団体である被告に連絡した方がよいかと問い合わせがあったのである。 (3) 「Dに伝達せず」「Lがあたかも被告の窓口であるかのように装い」と指摘があるが、実際にはLは、平成23年12月28日、13:10頃、秋葉原「麹蔵」〔飲食店〕にて、Dに問い合わせ内容を報告し、Dから被告はgに加盟していないので協力できない旨の回答をするよう指示を受けている(甲28、反訳資料)。 (4) 同日14:27、日本政府観光局y氏に「被告として対応できない」旨の電子メールを送信している。したがって報告の主張は事実無根である。 (5) 以上のとおり被告の懲戒解雇事由は全く事実に反し、Lの行為は「著しく自己の権限を越えて、独断の行為があったととき」には当たらず、ましてメール発信者でない原告はなおのことである。 第5 被告内部秩序の壊乱について 就業規則第55条18号に該当との主張は争う 1. 被告内部秩序の壊乱について (1) 就業規則55号第11号「損害を与えたとき」には該当しない ア. JACなる団体は、実体的活動はおろか、設立すらされておらず、それ故、被告の業務に具体的な影響は生じておらず、実害が生じていないことは明らかである。よって「故意または重大な過失により被告に損害を与えたとき」(11号)に該当しない。 イ. 別団体・会社の設立による、被告組織の弱体化、被告内部の秩序の壊乱、ガバナンス崩壊、事業における被告との競合を意図して行われた一連の行為とは、全く抽象的で、雇用関係における極刑というべき懲戒解雇処分の適用にあたって、きわめて不明確な事実認定というほかない。 少なくとも、別組織乃至会社が株式会社、合同会社、財団法人、などのいずれにあたるのか、いかなる意味で被告組織を弱体化させるのか(引き抜きなどの人的資源を奪う)などについて、被告は全く客観的根拠にもとづいて立証できていない。 ウ. 以上、被告主張の懲戒解雇事由もまた、意味するところが曖昧かつ不明であり、到底懲戒解雇事由とはなりえない。 (2) 「その他前各号に準ずる程度の行為があったとき」(18号)には該当しない。 このような包括条項の規定の設定が許されるのは、就業規則上の懲戒解雇事由は労働者保護の観点から限定列挙と解される一方で、個々の職場の実情に応じて、予め類型化して規定することは難しいが、限定列挙事由と同程度の著しい職務規律違反と言うべき行為についても懲戒解雇事由とすべき必要が認められるからであることは先に述べたとおりである。 かかる観点からすると、同条11号で「被告に損害を与えたとき」と現実に損害を与えた場合に限定して懲戒解雇事由としているのに、本件に同条18号の規定を適用することは、現実に損害が生じていない場合にまで拡張して適用するものに等しく、厳格な適用が求められる懲戒解雇の規定の適用として到底許されるものでないことは明らかである。 以上のとおり、本件では、原告の行為により被告には全く損害が生じていないのであるから「被告に損害を与えたとき」(11号)「に準ずる程度の行為があったとき」(18号)に該当するとの解釈及び適用は不当なものであり、このような就業規則規定の誤った解釈及び適用による懲戒解雇処分は無効であることは明らかである。 ■■■■ 以上 by いやまじで
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2014
この裁判は、原告が被告を訴えた民事裁判である。 訴状は原告により平成24年5月24日某地裁に提出され受理された。 以下は被告準備書面3(平成24年11月13日提出)の要約である。 ※〔 〕は要約者による注。 ※ 準備書面とは、民事訴訟において原告・被告双方が、自らの主張と証拠となる事実を示すための書類である。実質的に裁判の進行状況を示す書類である。 ※ 書証(証拠となる書類・写真・録音テープ等)は要約の対象外とした。 ■■■■ 被告 準備書面3(平成24年11月13日提出) 第1 被告は、人事権を行使して原告の本部事務局長職を解いたこと(降格) 1. 会長(代表理事)の権限について 被告所定の寄付行為第29条は次のとおり定めている。 第29条 法人の事務を処理するために本部事務局、地区事務局を設け、事務局長その他、必要な職員を置く。 ・ 本部事務局、地区事務局は、会長が任命し、それ以外の職員は、当該事務局長が任命する。 ・ 職員は有給とする。 本部事務局長に対する人事権は会長(代表理事)にあり、会長は本部事務局長を解職する権限を有している。すなわち、 本部事務局長の解職は最終的には会長の裁量にもとづくものである。 2. 調査委員会の調査と理事会決議 被告準備書面1「第2」記載の通り次の事実が存在する。 ① 本件は平成23年4月18日告発文が全国のボクシングジム及び被告事務局に送付されたことに端を発し、原告の軽率な行動により被告の信用が大きく毀損されたこと。 ② B理事が事態収拾に努めたが、事務局職員、試合役員会、aの原告への不信感が強く、奏功しなかったこと。 ③ 同年5月10日通告書と連判状が被告に提出され、原告に関し、真実であれば明らかに懲戒解雇事由に相当する内容を含む各事実に関する告発がなされたこと。 このため被告は、事務局職員、試合役員会、aなどプロボクシング関係者の被告に対する 不信感がこれ以上募らないようにしなければならなかった。 そこで被告は、会長の人事権の行使の相当性が外部に明らかになる手続きが必要である と判断し、上記告発に対する処分について理事会の審議を経ることにした 3. 原告の降格が人事権の行使の結果であること 平成23年6月28日、被告理事会は、調査報告を受け、原告の事務局長職を解くことを審議し、出席者全員(利害関係者たる原告を除く)がこれに賛成した。そこで会長が人事権を行使し、調査報告、理事会決議、その、その他の事情を斟酌し、原告の事務局長職を解き、一般職員とすることに決した。 第2 原告に対する賃金減額が降格に伴う結果であること 1. 被告の賃金規定は月給制、基本給、諸手当(家族、通勤)、割増賃金(時間外、休日、深夜)から構成され、役職手当に関する規定はない。 2. 基本給は第3条「…総合的に勘案し、各人ごとに考慮して決定する」と規定するところ、会長が人事権に基づき同条の定めに従い、地位、職責など諸事項を総合的に勘案し●万円と決定した。 3. 事務局長を除く従業員給与の最高額は●万円であったので、それを超える分は便宜上役職手当と解され、会長の裁量で支給されていた。原告は事務局長でなくなったので●万円を賃金とすることは不合理(地位、職責などの諸事項)であり許されない。 そこで賃金規定の第3条に基づき、かかる事情を勘案して、従業員給与の最高額である●万円とした。懲戒としての減額処分ではない。 ■■■■ 以上 by いやまじで
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この裁判は、原告が被告を訴えた民事裁判である。 訴状は原告により平成24年5月24日某地裁に提出され受理された。 以下は原告準備書面3(平成24年11月13月提出)の要約である。 ※〔 〕は要約者による注。 ※ 準備書面とは、民事訴訟において原告・被告双方が、自らの主張と証拠となる事実を示すための書類である。実質的に裁判の進行状況を示すものである。 ※ 書証(証拠となる書類・写真・録音テープ等)は要約の対象外とした。 ■■■■ 原告 準備書面3(平成24年11月13日提出) 被告準備書面2に対して反論する。 第1 原告の降格処分の根拠について 1. 原告の降格処分の相当性を根拠付ける理由として、原告が被告事務局職員、試合役員会、aらからの信頼を失ったことを挙げている点について 原告準備書面1で主張した通り、降格理由を示した書面は「ご報告」であり、「部下に対する接し方に行き過ぎが認められ、有給休暇を認めて然るべきところを判断を誤り欠勤扱いにし、不十分な説明に基づく雇用契約上の不利益変更を行ったことは、不相当と認めざるを得ないところ」等と記載されるのみである。 被告が主張する被告事務局職員・試合役員26名が解任を求めることについては処分時には全く原告に示されておらず、後付けの理由である。被告は、答弁書でも、被告理事会は26名が解任を求めていることを根拠に不適任であると判断したと主張するが、議事録には、「調査結果に基づく事後の対応」としか記載されておらず、このことからも後付けの理由であることは明らかである。 そもそも通告書〔試合役員及び事務局職員有志による調査報告書、以下同〕の調査の結果、通告書の主張には著しい論理の飛躍あるいは何を根拠にして主張するのか疑問が残るとされ、結果その大部分が事実と認められないという結論に至ったのに、通告書を提出した人物らからの信頼を失ったことを理由に原告を降格処分にするのは、全くの自己矛盾というほかない。 2. 賃金減額の根拠について (1) 減額の根拠が、賃金規定第3条を挙げるのみで、懲戒処分にもとづく減額なのか、人事権による役職の降格なのか明確にされていない。 (2) 基本給の限度額は賃金規定に記載されておらず規則も存在しない。処分時の原告と原告以外の従業員基本給の差を役職手当と解し、約3割の基本給減額を行うことは人事権濫用であり、労働協約上到底許されるものではない。 (3) 被告は事務局長以外の基本給の限度額は●万円とするが、原告は事務局長就任前の時点で月●万円の給与を支給されており、このような被告の賃金に関する極めていい加減な事実認識からも、減給処分が合理的根拠に拠らず場当たり的になされたことがわかる。 (4) 被告は平成23年7月1日、C、Gと面談した際に、基本給●万とすることに原告が同意したと主張するが(被告準備書面1)事実に反する。原告は同日、Cから一方的に伝えられたにすぎない。同月中旬ごろ、C、Dが基本給●万とした「雇い入れ通知書兼雇用契約書を手渡し署名・捺印を求めたが、原告は、 ①勤務地が本部事務局となっている点 ②賃金減額の理由 ③基本給●万の根拠 の説明を求めたところ、C・Dから明確な説明がなかったために、これを拒否し、署名できない旨伝えた。 (5) 被告準備書面2で、被告は、原告の給与を決定したのは代表理事の裁量によると主張したが、答弁書では、決定したのは原告自身であると主張している(答弁書7頁、10頁)。処分(平成23年6月28日)から一年以上経過しても明確な回答ができず、回答自体も変遷している被告の態度は、降格処分時の被告の降格事由を裏付ける根拠が薄弱であったことを示すものである。 第2 Eらが提出した書面(乙4、6、9~24号証)はいずれも全く内容虚偽のものである。 被告は準備書面1で、各種書証をあげ降格処分の経緯について主張するが、原告準備書面2で主張のとおり、被告提出の上記書証は被告調査委員会で事実として認められないと判断された事実に関する証拠である。したがって本件降格処分とは何ら関係がないが、被告が上記書証の内容があたかも真実であるかのように主張しているため、念のためこれら各書証の内容がいずれも何ら根拠のない虚偽事実であることにつき、以下説明を加える。 1 Fらによる「被告に関する公益通報について」と題する書面(乙12号証)について 同年5月31日、Fら職員は公益通報と称して各社マスコミに対し、原告について刑法上の「背任罪」に当たる行為があった旨の告発を行った。原告が大阪の飲食店で被告職員ら3名と会食、1万7180円を被告の経費で支払ったことを背任罪に該当するとした。 しかし一般的な社会常識から、刑法上の背任罪に当たらず、被告調査委員会の調査によっても、「4名中3名が被告職員であって、~純粋に私的な飲食とは言えないうえ、~勘定科目の仕訳について原告は何ら指示していないのであるから、同人に不正行為は認められない」と結論付けられている。 2 Eらによる通告書について 被告は通告書の事実が真実であれば、懲戒解雇事由に該当する内容を含むと主張するが、通告書の内容はEらが原告を被告から「追放」することを目的に、何ら裏付けのない虚偽の事実ばかりを列挙したものである。 現に被告調査委員会の調査でも、不正行為はないとされた。主張には著しい論理の飛躍があり、何を根拠に主張するのか疑問が残るとされ、その内容の大部分について事実であると認められないと結論づけられている。 ◆◆◆◆ ※「調査報告書(乙46号証)〔被告調査委員会による調査報告書〕により不正行為はないとされた事項の一覧表」〔一部抜粋〕 ・「原告に不正は認められない」 ・「著しい論理の飛躍があると言わざるを得ない」 ・「経費の不正使用は確認できなかった(平成21年1月1日~平成23年4月30日の間、経理のPCでデータを調べた結果)」 ・「私的な交際を行ったとことを認定することはできない。」 ・「論理の飛躍であって、何を根拠にして~主張するのか疑問の残るところである」 ・「~問題は認められない」 ・「~本件通告書の指摘には問題点を見出しがたい」 ・「原告が私腹を肥やしとは認められない」 ◆◆◆◆ 3 2つの連判状について (1) 連判状は、Eが何の根拠もなく原告が横領等の不正行為を行ったことを前提として、試合役員、被告職員から署名を集めたものである。 (2) 関西試合役員会による連判状も、Eが試合役員会会長の地位を利用して、(1)同様に集めたものである。このことは、被告関西事務局長のO(当時)が、r(関西試合役員会会長)が勝手なことをやるはずがない、と証言していることからして明らかである。 ※ Eが原告を恫喝した5月12日の場面の反訳。 (3) 東京の連判状には「すべての疑いが晴らされない限り、原告を解任すること」と記載され、その後被告調査委員会により事実として認められないと結論付けられ、疑いは晴らされたのだから、連判状の署名は何ら意味をなさない。 関西試合役員会の連判状も「諸問題に対する東京試合役員会の意見を全面的に支持する」とあるから、何ら意味のないものである。 第3 本件降格処分に関する被告の主張に対する反論 1 被告ホームページ上の理事一覧からの原告の名前の消去について 被告は答弁書で、原告が平成6月28日付降格処分の際、自ら理事を辞任する旨表明したので、理事一覧から原告の名前を消去したが、被告が一般法人になり、原告も当座理事に留まることになったので、原告を再度理事一覧に登載した旨主張する。 被告の主張は平成23年6~7月当時、原告が結局辞任届を提出せず理事に留まっていたことを明確に認識しながら、意図的にホーページ上の理事一覧から原告の名前を消去した事実を認めるものである。 原告は同年6月27日、被告コミッショナーAから、理事をやめてもらうと一方的に通告を受けた状況下で、自ら理事辞任を表明しなければ解雇されるおそれがあると考え、やむなくマスコミの取材に表面上辞任の意向を表明した。しかし、Cから届けの提出を求められた際、元々辞任すべき理由がなかったため拒否。その後も被告は原告に理事解任の正当な理由がなかったことから、原告を解任できなかった。 2 被告本部事務所及びボクシング会場への立ち入り禁止について 被告は「要請」したことはあるが禁止したわけではなく、立ち入ったとしても業務命令違反の対象とはならない旨主張する。 これは詭弁である。「使用者」から「労働者」に対して指示がなされたのだから、業務命令以外の何ものでもない。被告の主張は、業務命令が一般常識に照らして余りに不合理で正当性を欠くものであることを、自ら認めるものである。 3 手続きの違法性 被告は答弁書で「5%の減給1か月」「停職1か月」の処分の事実を否認している。 しかし、被告提出の乙17号証3頁11行目「原告を5%減給とする~というよりも、決まったことだからやってくれという言い方」との記載から処分は明らかである。また平成23年5月16日付、B専務理事からa宛のコミッショナー示達の「停職1ヶ月」の記載からも明らかである。これに加えて三度の処分が重ねてなされたことは手続き的にきわめて重大な過誤があり、違法かつ無効である。 4 U新宿事務所への原告の配置転換の命令の無効について (1) U新宿事務所での原告の勤務実態について ア 被告は原告に公益法人化の準備を担当させたのであり、配置は正当と主張する。しかし、配置転換は必要が全く無く、原告を退職に追いこむためのいやがらせ、報復目的であることは明らかである。 イ 〔実態は訴状に述べたとおり。〕 ウ この広さの事務所に朝から夕方まで誰とも会話を交わさない生活を強いて問題なしと主張すること自体、被告の人権意識の鈍麻と言わざるを得ない。 エ 被告は、原告が3人に面識がないことは配置転換に伴い生じた事態であり、新宿事務所は用意しただけで、勤務を強いたという表現は不正確と主張する。 しかし被告は原告の勤務地を変更し勤務を命じており、環境の変化は分かりきっている。 Uの職員にとっても全く異業種の人間と隣り合わせで仕事をするのは戸惑いが生じ、原告に奇異の視線を向けることは当然生じうる。被告はそれを認識した上で、原告を職場にいたたまれなくさせ、退職に追い込むという不当な目的をもって、あえて新宿事務所勤務を命じたのである。 (2) U新宿事務所では原告に勤務させる業務の必要性は全く無い ア 被告は答弁書で、被告は原告に公益認定申請の業務を命じ、一般法人化に方針決定(平成24年2月28日)後も将来の公益財団法人化を目指すことから準備を担当させたと主張する。 イ しかし訴状にあるとおり、 ・実際にはY弁護士に依頼していた。 ・原告が行ったのは定款案作成及びY弁護士との打ち合わせのみ(定款は事務局長の時にすでに検討を初めており、2、3日で完成する程度。Y弁護士との打ち合わせは平成23年6月29日から平成24年6月15日の一年間に2回)である。 原告は上記の仕事外何もすることがなく、ただ座っていることを強いられた。 ウ 原告は一般法人化への理事会の決定(平成24年2月28日)も知らされなかった。被告は業務を与えながら実際には原告を担当者と考えていなかったのである。 エ 公益申請に関する業務を担当させていれば、本部事務局の担当職員らとも十分打ち合わせが必要で、本部事務局で仕事をする必要があり、Uで仕事をする業務上の必要性は全くない。 オ Uは、Cが代表取締役であった会社と聞く。このことから被告が原告を隔離・孤立させるため、被告の意をきいてもらえる会社に原告を押し込んだことは容易に想像される。 (3) 小括 ・業務上の必要性のないこと ・配置転換は人事権の濫用であり、それゆえ違法かつ無効である。 ・原告を自主退職に追いこむためのいやがらせであり、報復目的によるきわめて悪質性の高い違法な命令である。 5 「特命事項」担当について ・被告は答弁書で、被告が原告を全業務から排除したとの事実を否認し、定款等規定類の整備を「特命事項」として担当させたと主張する。 しかし、被告は原告に3月13日付示達をメールで送付したのみで、特命事項の具体的内容を説明すべきところ一切説明していない。被告は原告に対して「特に業務については指示する必要はなかった」と主張するが、被告が何の業務も与えなかったことは、被告が原告の全業務からの排除の意図を有していたことを自認するものである。 6 メーリングリストからの除外について 被告は答弁書で、 ①メーリングリストは職員が業務円滑化のために自発的に作成したもので、 ②D事務局長がアドレス掲載について命令する筋合いのものでなく、 ③原告はL、Iとメールのやりとりをしているのであるから、 原告が業務の情報を与えられず関与できない状態が続いたということはないと主張する。 しかしこの主張は、原告のみがリストから除外され、逆にL、Iのメールがなければ通常業務に関する情報が何も与えられず関与できない状況にあったことを認めるものである。 L、Iは同僚として適宜必要な情報を伝えたに過ぎず、被告が原告を極めて異常な職場環境に置いたことを正当化する事情にはならない。 7 ミーティングからの除外について 被告は答弁書で、被告が原告にミーティング参加を命じないのは、担当業務の性質上必要なかったからで、除外したわけではないと主張する。 しかし、このような主張は、被告が原告にミーティング参加を命じていなかったこと、および、被告が原告に一年間何ら意味ある業務を与えていなかったことを自認するものである。 公益申請業務を担当させていたとしたら、打ち合わせが必要で、ミーティング参加も必要なはずである。1年間に一度もミーティング参加を不要とする被告の主張は、被告が原告を公益申請業務担当者として考えていなかったことを示すものである。 第4 被告が原告に対する降格処分等を強行した背景事情について 被告は乙4~6号証、乙9~24号証を提出し「被告が原告を降格処分とした経緯等」について主張するが、準備書面2で主張したとおり、上記書証は、被告調査委員会の調査で事実とは認められないと結論付けられた事実に関するもので、降格処分には何ら関係がないと判断された事実に関する証拠である。ゆえに、詳細な認否は不要だが、念のため、上記書面が作成された経緯を含む本件紛争の背景事情について、以下説明を加える。 1 はじめに 本件降格処分及び配転命令(平成23年6月)、懲戒解雇(平成24年6月)に至る一連の出来事 tボクシング(部)の先輩後輩として親しい関係にある現被告本部事務局長「次長」Eと、現事務局「主任」Fが共謀して、周到な計画の上、原告を被告から追放を図った、いわばクーデターである。 当初、元職員のT、Vも加担したが、平成24年3月13日にEが「次長」、Fが「主任」昇進後は、両名が被告の実権を握ったことに嫌気が差し、6月15日に自主退職している。 E、Fは原告を降格、ついには懲戒解雇させ、原告の完全追放に成功する。 原告と親しい関係にあると見なした職員、L、I、元関西職員Jの3名も次々と解雇された(平成24年4~6月)。6月15日にT、Vが自主退職。全職員14名のうち6名が退職に追い込まれるという極めて異常な事態となる。 2 E、F、及びDらの関係 (1) Eについて ア t卒。レフェリー。平成24年3月職員採用までに、東京試合役員会の会長を務める。53歳。 イ tボクシング部時代、Dがコーチ、Fは後輩に当たる。 ウ 平成24年3月13日、本部事務局の「次長」に就任。 (2) D ア 昭和34年ボクサー、昭和39年レフェリー、77歳。 イ 平成18年、被告理事に就任。 ウ Eのコーチ、仲人であり、公私に渡り親しい。 エ 平成23年6月20日、事務局長代行に就任、同年6月28日事務局長に就任した。 (3)F ア t卒。リングアナ、平成10年被告職員に採用される。50歳。 イ tボクシング部に在籍。 ウ 平成24年3月13日、コミッショナー示達により被告本部事務局「主任」に就任。 (4)V ア 大学卒業後、平成19年、被告職員に採用される。30歳。 イ 平成24年6月15日、自主退職。 (5)T ア 大学卒業後、平成19年被告職員に採用される。52歳。 イ 平成24年6月15日、自主退職。 3 被告が原告に降格処分を強行した事情背景 (1)怪文書の送付 平成23年4月18日に怪文書が全国のボクシングジムと被告事務局に送られた。 (2)「5%減給1か月」 4月26日にFら職員が処分が「軽い」と反発。被告が撤回。 (3)Eらが通告書、連判状を提出 ア Eが会長を務めるJBC東京試合役員会及び本部事務局職員合同調査委員会と称する者らが、5月10日に通告書を被告に提出、原告の不正行為を報告した。また連判状を提出して、被告に原告の解任を求めた。 イ 通告書の内容は大部分が虚偽である。 例:①Iの有給休暇と原告の関西出張の重複がひんぱんにあったとするが、実際には1日のみであった。 ②Z関連会社のuから原告の口座に毎月20万円の入金があったとするが、uの帳簿を調べると当該事実は認められなかった。 他にも裏付けのない事実ばかりを列挙した。 ウ 連判状は、Eが虚偽事実を前提に署名を集めたものである。また試合役員26名中20名とあるが、実際には試合役員は45名である。 さらに連判状には、「上記の調査により、全て疑いが晴らされない限り、原告事務局長を解任すること」と記載されるが、調査委員会の報告書で全ての疑いは晴らされたのだから、連判状の署名は何ら意味のないものである。 (4) 原告に対する「停職1か月」の処分 被告はBを中心に内部調査を行った(6回)。経費の不正流用は認められなかった(平成23年5月16日付、Bからのa宛文書による)。それにもかかわらず被告は5月10日、原告に対し「自覚を欠いた行動により周囲の方々に誤解を与え、今回のような重大な事態を招いたこと」に重い責任があるとして「停職1か月」(5月10日~)の処分を下した(平成23年5月16日付、Bからのa宛文書による)。 被告は準備書面1の7頁で、原告に「休職」を命じたと主張するが、上の文書中のコミッショナー示達には「停職」と記載されている。懲戒処分としての「停職」であることは明らかである。 (5) Eの原告に対する退職の強要 5月12日にBがEに、5月16日示達の内容及び通告書の内容を、調査委員会を設置し調査することを説明するために招集した会議で、関西事務局長及び西部事務局長他も同席する中、Eは原告に対して下記のような乱暴な物言いで、原告があたかも背任や横領を行ったかのように発言し、原告を恫喝して、直ちに退職することを強要した。 ◆◆◆◆ (録音テープ反訳) 「はっきりしてくれ、これ以上、(テーブルを叩きながら)男の出処進退を、お前、ここまで、どうすんだよ、お前。二度と言わないぞ。今なら、お前まだ立ち直れ得るよ。これが出たらわかんないよ。俺(オラ)ぁ、ほんとB専務理事には、悪い、今日、ほんとうに協力しようと思ってたけど、お前が決めろ。」 ──────────────── 「そうじゃねえよ、自分自身で決めろつってんだよぉ。」 ──────────────── 「だから、自分で決めろ。そうしなかったら、コミッションは終わるぞ。頼むよ。」 ──────────────── 「これを誰も受け付けなかったらどうするよ。明日から試合できなかったらどうすんだよ。これはあくまでも、(テーブルを叩きながら)君の背任や横領を、これから示唆しようとしてるもんだぞ。つまらないことで、これ以上もまた、傷を深くすんのか。」 ──────────────── 「そこまで生き延びたいか。」 ◆◆◆◆ (6)「公正な調査を求める申し入れ」と題する書面の提出 5月17日、B専務理事が、個人的な調査では原告の不正行為は見つからなかったと発言。これがマスコミで報道されると、Eは19日、被告に対し「公正な調査を求める申し入れ」と称する書面を提出し、被告の許可を得ずに単独でマスコミ向けの記者会見を開き、Bの発言を「きわめて不適当」であるとして批判した。 (7) Fらによる「公益通報」と称する不当な告発 5月31日、職員Fらは、公益通報と称して、各社マスコミに、原告の刑法上の「背任罪」に当たる行為があった旨の告発を行った。 しかし、この告発で指摘した経費支出の問題は、上述の通り、一般的な社会常識から見て、到底刑法上の背任罪に当たらないのは勿論、調査委員会の調査によっても「不正行為は認められない」と結論付けられている。 (8) 「被告試合役員会が原告事務局長の解任を求める公益通報職員を指示〔「支持」の誤りか〕する意見を表明」と題する書面を公表。 同日Eは、被告調査委員会事務局が不正経理問題について「金額が少ない」、「この程度は事務局長の裁量の範囲内」等と発言したことを知るや、上記書面を公表し、Fらの告発を支持する旨を表明し、改めて原告の解任を強く求めた。 (9) Eによる「原告事務局長問題に関する意見について」と題する書面の提出 同年6月2日、Eはさらに上の書面を提出。Fの告発を支持し、原告事務局長解任を求めた。 なお、上記書面は個人名義ではなく、東京試合役員会長の肩書き付きである。本件クーデターの首謀者である同人はともかく、一般的社会常識をもつ試合役員が、1万7180円の経費支出を殊更に問題にし、刑法上の背任に当たり事務局長解任の事由に当たるとする上記公益通報の告発を、本心から支持していたとは到底考え難い。むしろ原告を解任すべく異常なまでの執念を持っていたEが、試合役員会長の地位を利用して、他の試合役員を煽動して同調させたものと見るのが自然である。 (10) 原告の暫定的な職務変更 6月10日、被告は原告対し、6月28日理事会で予定されていた調査委員会の調査報告を待たず、本部事務局長から「専務理事付事務局長代行補佐」へ降格させる暫定的な職務変更を命じた。 (11) Dによる原告の解任要求 6月24日、DはZ本社において、被告代表専務理事A、G弁護士及びB専務理事に対して、「私は原告の▲▲ネタを持っている。彼を辞めさせなければぶちまける」と言って、原告の解任を強く要求した。 (12) Dの本部事務局長代行への就任。 6月20日。 (13)「中間答申及び示達に対する公開質問状」の提出 6月13日、Eは被告に、上記書面を提出。質問の形を借り、執拗に原告が不正行為を行 っている旨の主張を繰り返した。 (14)Dを中心とする新団体設立の公表 6月23日、Dは、E及びFと共謀の上、マスコミ向けの記者会見を開き、被告に代わりプロボクシングの試合管理を行う新団体を設立する意向を表明。他方、被告と歩み寄るには事務局長補佐として留まっている原告の「追放」が絶対条件になると述べた(平成23年6月24日付朝日新聞記事による)。またDは、24日に記者会見で、原告について6月28日理事会で「追放処分」が下されれば新団体を設立しないことを示唆(同年6月25日付朝日新聞記事による)。Eも同席し、レフェリー、リングアナの大半も新団体に移ると明言(同年6月24日付朝日新聞記事による)。 (15) aによる新団体設立を支持する旨の方針決定 同日、aは、「暫定的な試合管理団体について」と題する書面を公表し、被告内部の混乱の短期収束の見通しが立たないことから、Dを中心とする新団体の設立を支持する旨を決議した(朝日新聞記事等による)。 (16) Eによる試合役員宛の新団体設立に関する書面の作成及び送信 aの「暫定的な試合管理団体について」の書面公表を受け、Eはこれを利用し、原告を被告から排除する動きを強めるため、試合役員各位宛に下記内容の書面を送信した。 ①D中心に被告職員を雇用、被告試合役員を受け入れる新組織団体を設立する。 ②新組織は6月28日被告理事会開催を待たずに設立する予定。 ③上記①②をaから被告コミッショナーA宛に申し入れること。 ④ただし、今後、被告コミッショナーAより原告及びBの排除を条件に、被告体制堅持の要請があれば、現行の被告の体制維持について検討すること。 ⑤新組織の設立に備え、試合役員は被告ライセンスを返上する準備をするようaは要請していること。 E作成の上記書面には、aの書面にはない「原告及びB専務理事の排除」に関する事項が記載されていることから、Eがaの動きに乗じて試合役員会長の立場を利用し、原告を被告から排除する方針へと各試合役員を煽動していことがわかる。 なお、上記書面は試合役員のEから各試合役員に宛てたものだが、照会先は試合役員ではない「F」とされていることから、今回のクーデターの首謀者がEとFであることは明らかである。 4 小括 (1) Eは、平成23年5月以降、原告の解任を求めるために執拗に5度に渡り、原告の不正行為という虚偽の事実を記載した書面を提出し、また被告が原告を解任しない場合は、新組織団体を設立し、試合役員全員が移ることを明言。これを盾に、被告に強硬に、原告を被告から「追放」することを迫った。 被告は、Eによる試合役員の大量離脱を伴う新組織設立を盾にした申し入れに屈する形で、原告に対する降格処分等を強行した。 なお、被告は処分後も、さらに原告の被告内での影響力を削ぐために、同年7月14日、被告が原告と親しいと見なした関西のJ(平成23年5月入所)に突如解雇処分を言い渡した。Jが理由がないとして無効を主張するや、被告は解雇の不当を認め、解雇を撤回した。 (2) 被告が原告に降格処分等を行ったのは、過度に組織防衛を優先し、新団体設立を盾とした理不尽な要求を受け入れたためであり、そもそも原告を降格させるべき正当な理由は存在しなかった。したがって降格処分は実質的な処分理由を欠くものであるから、当然に無効である。 そして配転命令及び業務命令は無効である。 降格処分に伴い発せられ、かつ、原告の名誉権及び人格権を侵害し、職場内外で孤立させ、労働意欲を失わせ、やがては自主的に退職に追い込む、不当な動機・目的のためになされたものであるから、使用者に許された裁量権の範囲を逸脱し無効である。 さらに、原告に対する解雇処分も、上記のとおり、平成23年6月当時から原告を被告から「追放」する固い意志を有していたE、F及びDが、原告を懲戒解雇するために、「JAC」なる団体の設立準備などという虚偽の事実を作り上げて、強行したものであるから、当然に無効である。 ◆◆◆◆ ※ 添付資料「〔被告調査委員会作成の〕調査報告書により不正行為はないとされた事項の一覧表」 (例)関西事務局の女性職員について (ⅰ) (通告書〔試合役員及び職員有志作成の調査報告書。以下同。〕) …原告の足取りが不明。××の自宅に宿泊した可能性が否定できない。 →(ご報告〔被告調査委員会作成の調査報告書。以下同。〕) …その日のうちに帰宅。日帰り運賃請求。証拠に基づかない憶測。 (ⅱ) (通告書)…某職員の採用は不適切。 →(ご報告)…O〔関西事務局長〕主導の採用であり、原告に不正は認められない。 (ⅲ) (通告書)…4月5日~8日のSの勤務実態は新規採用職員として常軌を逸している。 →(ご報告)…Oの許可を得ている。 (ⅳ) (通告書)…4月14日にSにいかなる業務があったのか事情聴取する必要がある。 →(ご報告)…自動車運転免許更新をしている。 ■■■■ 以上 by いやまじで
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この裁判は、原告が被告を訴えた民事裁判である。 訴状は原告により平成24年5月24日某地裁に提出され受理された。 以下は被告準備書面2(平成24年10月2日提出)の要約である。 ※〔 〕は要約者による注。 ※ 準備書面とは、民事訴訟において原告・被告双方が、自らの主張と証拠となる事実を示すための書類である。実質的に裁判の進行状況を示す書類である。 ※ 書証(証拠となる書類・写真・録音テープ等)は要約の対象外とした。 ■■■■ 被告 準備書面2(平成24年10月2日提出) 原告準備書面(1)に対して 第1 「第1 求釈明」について 1. 第1項について 被告は準備書面(1)第10頁以下で降格の経緯を説明。原告も異議なく受け入れたので、それ以上の釈明の必要を認めない。 2. 第2項について 基本給は就業規則の賃金規定第3条に基づき決めた。役職手当は規定にはない。降格後は会長の裁量で従業員給与の最高額に当たる額にした。 第2 「原告の求釈明に対する被告の回答に対する反論」に対して 1. 第1項について 否認する。 被告提出の書証乙9-24は原告が職員・試合役員会、aから信頼を失ったこと、降格処分の相当性を証明するものである。 被告は調査報告書を提出する。 2. 2項について 争う。 被告は理事会議事録を提出する。 ■■■■ 以上 Byいやまじで
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この裁判は、原告が被告を訴えた民事裁判である。 訴状は原告により平成24年5月24日某地裁に提出され受理された。 以下は原告準備書面2(平成24年8月28日提出)の要約である。 ※〔 〕は要約者による注。 ※ 準備書面とは、民事訴訟において原告・被告双方が、自らの主張と証拠となる事実を示すための書類である。実質的に裁判の進行状況を示す書類である。 ※ 書証(証拠となる書類・写真・録音テープ等)は要約の対象外とした。 ■■■■ 原告 準備書面2(平成24年8月28日提出) 被告の答弁書(平成24年7月6日付)および被告準備書面(1)(平成24年8月28日付)に対する求釈明と、原告求釈明に対する被告回答に対する原告反論。 第1 求釈明 1. 被告は準備書面で、原告を降格処分とした理由を調査報告書以外に、当時の状況や、そ れまでの原告の言動、能力などを総合的に勘案した結果としているが、具体的に何を指す のか。 2. 原告の降格に伴う賃金の減額について契約上の根拠が被告の賃金規定に照らして明確でない。賃金規定の文言に即して明確にされたい。 第2 反論 1. 調査報告書について 被告が証拠として提出している報告書は、被告自らが事実でないと認めている事実に関する書証である。事実でない理由について述べた調査報告書を提出しないのは極めて不当である。 2. 緊急理事会議事録について 被告は調査報告の内容以外の理由も勘案して6月28日緊急理事会で原告の降格処分を決めたと主張しているのだから、その議事録を開示すべきである。 開示しないならば、被告の主張は証拠により立証できていないことになる。 ■■■■ 以上 by いやまじで
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この裁判は、原告が被告を訴えた民事裁判である。 訴状は原告により平成24年5月24日某地裁に提出され受理された。 以下は被告準備書面1(平成24年8月28日提出)の要約である。 ※〔 〕は要約者による注。 ※ 準備書面とは、民事訴訟において原告・被告双方が、自らの主張と証拠となる事実を示すための書類である。実質的に裁判の進行状況を示す書類である。 ※ 書証(証拠となる書類・写真・録音テープ等)は要約の対象外とした。 ■■■■ 被告 準備書面1(平成24年8月28日) 第1 被告組織概要、関係者等に関する説明 1.組織概要〔省略〕 2.関係者 (1)ライセンス保持者〔省略〕 (2)試合役員会〔省略〕 (3)興行関係者〔省略〕 第2 降格処分の経緯 1.発端…写真と告発文 2.B専務理事の事態収拾努力 ・HがS宅を訪問、Sは退職 ・a、役員会の意見聴取…原告解雇の意見。 ・Bは原告の貢献・横領の未確認から慎重な対応を主張。「減給5% 1ヶ月」で収拾図る。試合役員と職員は解雇を求める。 ・5月10日、試合役員と職員が調査報告書(通告書)と連判状提出。前者は以下の疑惑を挙げた。 ア 不正経理 イ 情実による職員不正採用 ウ 特定職員との過度に親密な接し方 エ 職場における懈怠 オ パワハラ 4.被告が調査委員会を設置 5.混乱状態 ア.5月19日、Eが「公正な調査を求める申し入れ」。L・Iの休職を求める。 イ.5月24日、F・Rが原告の問題行動に関する書面提出。 ウ.5月31日、F、T、V、Hによる公益通報記者会見。役員会がB専務理事の管理責任を問う意見書を理事とコミッショナーに提出すると発言。 エ.6月2日、Eが「原告問題に関する意見について」との書面提出。 オ.Vが書面提出。 カ.関西役員会が東京役員会の全面支持を表明、真相究明を求める連判状を提出。 キ.被告の示達…原告を事務局長代行補佐、Bを事務局長代行に。 ク.bジムが試合会場への原告の立入拒否を通告。 ケ.試合役員会が「公開質問状」提出 ←被告調査委員会の回答 ・「領収書の精査」、「支払先の顧客人数等の照会」「クレジットカードの使用履歴の照会」「宿泊人数及び宿泊者名を明らかにした宿泊証明書の発行」 コ.被告はDも代行と示達 サ.cジムが試合会場への原告の立入拒否を通告。 シ.aにおいて、被告から独立した別団体を設立すること等が決議され、Eが試合役員会に対し内容を送信。 ス.原告の処分に関する新聞報道で、職員のほとんどが仕事を続けられないとの姿勢を示す。(5月27日) 6.原告に対する降格処分 (1) 調査委員会の報告書 以下の4点は認められなかった。 ①不正経理による横領・背任 ②情実により権限を濫用しSを採用 ③Iに対して度を越して親密に接し事務局長としての体面を汚した。 ④執務上の職務懈怠ないし職場を離脱・放棄 ただし、次の2点については不相当な行為として認められた。 ⑤部下に対する接し方に行き過ぎが認められる。 ⑥職員に対して有給休暇を認めて然るべきところを欠勤扱いした。不十分な説明に基づく雇用上の不利益変更を行った。 原告の被告発展への貢献を認める。 ・国際化への尽力 ・ライセンス等に関する統括管理システム開発導入 ・暴力団排除への積極的取組 ・就業規則制定 ・ルールブック改定 同人の貢献も斟酌し今後の被告の国際化へ向け組織の発展に尽力せしめることが望ましいと思料するとしめくくる。 (2) 6月27日、Aに事前説明。 ・原告のマネジメント能力欠如からの不適切な言動。 ・解雇も考えられるが、これまでの貢献に鑑みるとともに、原告が今後反省、信頼関係を築き上げ、マネジメント能力を養い、再びその能力を発揮することを期待し解雇しない。 ・ただし、マネジメント能力の欠如から事務局長を降格する。 (3)6月28日、緊急理事会 ・原告は処分に従う旨を述べ深々と頭を下げた。 ・新聞報道(6月29日)…原告が理事辞任と降格処分を真摯に受け止める旨をマスコミ各社に発言。 (4)C、Gと面談。次のことに従う旨を明言。 ア.s〔都内某所〕勤務 イ.勤務時間10:00-17:30 ウ.給与月額●万円 エ.職務は公益か一般かの検討 以上のように降格処分には正当な理由がある。 第3 懲戒解雇事由 1.パソコンデータ L使用のパソコンからのメールデータで明らかになった事実は、原告を懲戒解雇にする事由に十分なものである。 (もともとLを懲戒解雇(平成24年3月23日)にする事由を調査するため。) 2.JAC 原告はM、W、K、L、I、Jと共謀し、平成23年9月30日~平成24年2月に、被告と競合、利益を損なうと知りながら、JAC(日本アスレチックコミッション)というボクシングタイトル認定団体(別コミッション)と会社(LLC,マネジメント会社)の設立を具体化しようとした。 ア.gとの接触(メールによる) イ.定款案作成 ウ.収支予算の試案 就業規則55条15号「職務上の地位を利用し営利行為もしくは特定の第三者の利益に当たる行為をした時」に該当。 3.原告はL、I、Jと共謀し、ボクサーの個人情報をK、Mに開示した。Mはgランキング委員に提供した。 …就業規則55条6号「業務上の重大な秘密を他に漏らしたとき」に該当。 4.独断の行為 原告は平成23年11月29日から平成24年2月の間、K、L、I、Jと共謀し、gとメール・電話(スカイプ)で通信接触。無断で他団体と接触した。 …就業規則55条4号「著しく自己の権限を越えて独断の行為があったとき」に該当。 5.被告の内部秩序の壊乱 上記各行為は、被告の組織弱体化、内部秩序壊乱、ガバナンス崩壊、被告との競合を意図している。 …就業規則55条11号「故意又は重大な過失により被告に損害を与えたとき」に「準ずる程度の行為」(同18号)に該当。労働契約上の誠実労働提供義務、および、企業秩序遵守義務に違反。 第4 原告準備書面(1)について 1.「第1 答弁書に対する反論」について (1)第1項「調査報告書が提出されていない点について」 一部事実を認め他は争う。 降格処分は調査報告書だけでなく、当時の状況やそれまでの原告の被告における言動・能力などを総合的に勘案した結果である。 (2) 第2項 降格理由について 否認乃至争う。 〔以下(1)と同内容〕 2.「求釈明」について 否認乃至争う。 調査委員会の調査報告書及び被告理事会議事録は被告における内部文書であり、調査結果は甲6(「ご報告」平成23年6月28日〔被告調査委員会による調査報告書〕)によって明らかであるから、目下、提出の必要があるとは認めない。 ■■■■ 以上 by いやまじで
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この裁判は、原告が被告を訴えた民事裁判である。 訴状は原告により平成24年5月24日某地裁に提出され受理された。 以下は原告準備書面1(平成24年7月6月提出)の要約である。 ※ 〔 〕は要約者による注。 ※ 準備書面とは、民事訴訟において原告・被告双方が、自らの主張と証拠となる事実を示すための書類である。実質的に裁判の進行状況を示す書類である。 ※ 書証(証拠となる書類・写真・録音テープ等)は要約の対象外とした。 ■■■■ 原告 準備書面1(平成24年7月6月提出) 第1 被告答弁書に対する反論。 1 被告が設置した調査委員会の調査報告書が証拠として提出されていない点について 原告は、降格処分の根拠となった平成23年6月28日の被告理事会に報告された調査報告書の提出を求めていたが、被告は、試合役員会が作成した「通告書」〔告発文〕を提出した。この「通告書」は「怪文書」とほぼ同じ内容であり、調査報告書においては事実として認めることができないと判断された事実に関する書証である。調査報告書を提出せず「通告書」を提示したことは、裁判官の判断を誤導するもので極めて不当である。 2 原告の降格理由について 被告は原告の降格理由を「試合役員会及び被告事務局職員の合計26名が原告に解任等を求めていること」(いわゆる「連判状」による)が根拠だとしているが、原告の降格理由を示した書面は「ご報告」〔被告調査委員会による調査報告書〕であり、これには上記のような解任を求めているとの事実の記載はなく、原告もそういった事実を降格処分の根拠として聴かされたことは一切ない。連判状は降格処分の根拠とはならない無意味な証拠である。 第2 求釈明 被告は被告調査委員会による調査報告書と平成23年6月28日理事会議事録を証拠として提出されたい。 ■■■■ 以上 by いやまじで
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むおはや~おおくうの~すえつめいをひつやうとしない~ という説明の意味が分からないのですが。なんだあれ...。あの長広舌に需要があるのでしょうか? 実況アナウンサーはネリオを「難攻不落のメキシカン」って表現してたけど村田戦の前戦も6RTKO負けだけど... TBSの『偏向実況』と質的に何が違うのでしょうか?. 村田選手はスタイルの変更を慎重に試みていますね。冷静であります。勝利者インタビューの出身校イジリも面白かったです。 広島に住んでたけどカープは嫌いな(旧徳山と長谷川が好きです)
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この裁判は、原告が被告を訴えた民事裁判である。 訴状は原告により平成24年5月24日某地裁に提出され受理された。 これに対する被告答弁書が平成24年7月6日に提出された。 以下はその要約である。 ※〔 〕は要約者による注。 ■■■■ 被告答弁書(平成24年7月6日提出) 第1 請求の趣旨に対して 1 請求はいずれも棄却 2 訴訟費用は原告が負担すること 上記2点を求める裁判を求める。 第2 当事者 被告の訴え1の(2)は認める。しかし、原告訴状5〔要約者注…「6.本部事務局長であることを確認すべき利益」〕について:原告の業務改革が「大きく、被告引いてはボクシング界の発展に貢献してきたとの事実は否認。原告が自身の功績として挙げる事蹟については被告事務局長として当然の業務であり、ことさらに賞賛するには足りない。 2. 第2項 原告に対する処分等に関して (1)「(1) 降格、減給について ・否認する。 ・処分したのは平成23年6月28日 (2)「(2)業務命令・配転命令について ・否認する。 ・立ち入りを控えるよう要請したが禁止したわけではない。 ・Uへの配転命令は平成24〔23の誤りか〕年7月1日である。 3. 第3項「降格・減給は違法・無効」について (1) 「(1)降格の違法性」について ①処分内容の違法性 1)告発文〔=怪文書〕が発端(平成23年6月〔要約者注…「4月」の誤りか〕23日) 2)同5月10日に試合役員会、事務局員合同調査委員会の「調査報告書」及び「真相究明と原告の解任を求める連判状」と題する書面が提出された。 試合役員26名中20名、本部事務局職員8名中5名、西事務局職員2名中1名の合計26名が署名 3) 通告書は告発文の真偽を確かめるため調査を行った結果を報告する体裁となっているが、「原告の責任追及の総意に基づくもの」である旨が記載されているところから、原告に関する下記の各事実に関する告発の通告であって、各事実が真実であれば、明らかに懲戒解雇事由に該当する内容を含むものである。 ア 不正経理を通じて横領行為や背任行為に及んだ事実 イ 情実により権限を濫用して訴外Sを不正に採用した事実 ウ 本部事務局職員Iに対し、程度を超えて親密に接し、事務局長としての体面を汚した事実。 エ 執務上の職務を懈怠、ないし職場離脱や職場放棄したとの事実 オ 事務局職員に対し、「パワーハラスメント」に及んだとする事実 4) 被告は5月16日に調査委員会を設置。5月20日から合計5回、事情聴取(原告を含む職員8名等)と資料収集を行い、6月28日に理事会に報告した。 5) 調査報告書においてア、エは認められず、「〔部下に対する接し方に関する〕行き過ぎ」、「有給休暇を認めて然るべきところを判断を誤り欠勤扱いにしたこと」、「不十分な説明に基づく雇用契約上の不利益変更を行ったこと」は認められた。 6)・試合役員会・職員26名が解任を求めている。 ・部下への接し方に行き過ぎが認められる。 → 懲戒解雇には至らないが管理・指導の能力に欠けるところがあることが事務局長として不適任と判断し降格したのであり、降格の実質的な理由があるのであるから人事権の濫用に当たらない。 ②「イ 手続きの違法性」 ・「5% 減給1ヶ月」と「停職1ヶ月」の処分は下していない。 ・5月9日に1ヶ月の休職を命じたが調査委員会の調査を円滑に進めるためである。 ※6月25日の給与(基本給)は減額されていない。 (2)「(2)減給処分の違法性」 ①「ア」 ・否認乃至争う ②「イ」 ・特に基準となる給与テーブルは定められていない。 ・原告自身が就業規則、賃金規定が制定された当時の事務局長であり、賃金規定3条に基づいて、事務局長●万円、職員●万円の月額基本給を決定したのは原告である。 ・●万と●万の差額●万は事務局長の役職手当と解される。降格したのであるから、役職手当を受給する根拠がなくなり、月額基本給●万となった。 4 第4 「4 配転・業務命令の無効」について (1)訴状8頁7~11行目について否認乃至争う。 (2)「業務上の必要性のないこと」について ①「ア 勤務場所について」 ・U事務所を勤務場所として用意しただけであって、そこに勤務を強いたという表現は不正確。 ・公益法人化の準備作業等業務を与えていた。 ・Uの社員3名、執務環境として十分なスペースもある。 ・Uは、従業員が不在で原告一人になる場合は「巡回中」等の札をかけ、ドアに鍵をかける(内側から開けられる)。来客があってもUの従業員がいないと判断できるようにするためである。来客や宅急便の対応を禁じたことは一切ない。そもそもこれらは原告が取り扱うものでない。これをもって被告・Uが原告を「存在しない人間」と見ていたとするのは著しい論理の飛躍、こじつけである。 ②「(イ)業務内容」 1)「ⅰ)」について ・本部事務所への立ち入りを控えるように要請したことはあるが立ち入り禁止にしたことはない。 2)「ⅱ)」について ・公益申請の業務を与えていたし、一般法人移行の方針が決定した後も、その準備全般を担当させることにしていた。 3) 従前通りの業務を特命事項として担当させることとした。したがって、特に業務について指示する必要などなかった。部・課から排除したわけではない。 (3)「差別的取扱いによる著しい不利益」について ①「(ア)メーリングリスト等からの除外」 ・本部事務局長Dはメーリングリストの用意を命じたことはなく、職員が自発的に作成したものである。被告はメーリンングリストを構築していない。したがって原告のアドレスを載せるように命じる筋合いのものではない。なお、原告はL・Iと就業時間中頻繁にメールのやりとりをしているので、ただ一人何も情報を与えられず、一切関与できない状態が続いていたということはない。 ②「(イ)ミーティングからの除外」 ・否認。担当業務からして参加の必要がない。ことさらに除外したのではない。 ③「(ウ)本部事務局への立ち入り禁止」について ・否認。L・Iと頻繁に連絡を取り合っているので、全く孤立していない。 ④「(エ)試合会場への立ち入り禁止」 ・否認する。 ⑤「(オ)全ての部・課からの除外」について ・否認する。 (4)「ウ 不当な動機・目的」 ・否認する (5) 「エ 小括」 ・否認乃至争う。 5. 第6 (1)「(1)原告の被告におけるキャリア及び業績」について ①「ア」について ・評価(主観的評価)については否認。 ②「イ」について ・原告が平成18年以降ライセンス統括管理システムを開発・導入した事実、平成19年以降警視庁などと協力してプロボクシング界からの暴力団排除運動に携わった事実は認め、その余は否認する。原告の貢献がなかったとまではいわないが、原告一人によって「飛躍的な」効率化・近代化が実現したとまでは言えない。原告が被告ひいてはボクシング界発展に「大きく」貢献してきたとまではいえない。 (2)「(2)本件降格処分による重大な不利益」について ①「ア」に対して ・原告の主観に関する記述につき不知。 ②「イ」に対して ・e・dが役職を解いた。これらの役職就任は被告における肩書に依存したものであり、肩書を失ったのは本人の責である。 ③「ウ 暴力団排除の業務」 ・否認する。降格だけなら関与できたが懲戒解雇となったので関与できない。 (3)「(3)本部事務局長たる地位確認の利益」について ・原告は復帰してプロボクシングの国際化に貢献しうる、暴力団排除業務を行うとの理由で、事務局長復帰(地位確認)の利益があるとするが、懲戒解雇処分を受けているので復帰は不可能であり。ゆえに、地位確認の利益が存在しなくなった。 6.不法行為について ・否認乃至争う。原告のうつ病については不知。 7. 賃金請求について ・否認乃至争う。 8.統語 ・すべて争う。 第3 「第3 関連事項」に対して 1.「事実経過」に関して (1)(「平成23年4月18日 怪文書到着と一部職員からの疑惑の指摘」について) ・事実はおおむね認める。 (2)全て否認 (3)「3」B専務理事の内部調査の事実は認め、他は否認する。 (4)~(7)事実は認める。 2.「本訴提起に至る経緯」に関して ・申し入れの事実は認めるが、同環境によって原告の心身が限界にきている旨の言には根拠がない。 ・被告関係者の原告に対する不信感払拭のため降格から1年は原告がU事務所で勤務する必要を告げている。業務からの排除が主旨ではない。 ◆◆◆◆ ・「訴え変更申立書」(平成24年6月20日提出)に対する答弁 第1 請求の趣旨に対する答弁 1.原告の請求を棄却 2.訴訟費用は原告の負担 との裁判を求める。 第2 請求の原因に関して ・懲戒解雇は認め、他の原告の主張は否認乃至争う。 ・被告が原告を懲戒解雇した事由はいずれも就業規則違反に該当する。詳細は追って述べる。 ■■■■ 以上 by いやまじで
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2014
はじめに この裁判記録を、この問題について知り、考えるためにここに記す。 この裁判は、原告が被告を訴えた民事裁判である。 訴状は原告により平成24年5月24日某地裁に提出され受理された。以下はその内容の要約である。 ※〔 〕は要約者による注。 ※ 準備書面とは、民事訴訟において原告・被告双方が、自らの主張と証拠となる事実を示すための書類である。実質的に裁判の進行状況を示す書類である。 ※ 書証(証拠となる書類・写真・録音テープ等)は要約の対象外とした。 ■■■■ 訴状(平成24年5月24日提出) 1.請求内容は次の4つである。 (1) 被告事務局長の地位の確認、その給与に値することの確認。 (2) 被告事務局及びボクシング会場への立入禁止の業務命令の無効。 (3) 給与の減額分の支払いと慰謝料の支払い (4) 被告が訴訟費用を負担すること。 2.請求原因。被告による原告への次の処分である。 ①事務局長降格処分(平成23年6月28日付) ②約3割の基本給減額処分 ③立ち入り禁止等の業務命令(事務所及び試合会場) ④他社職場への配転命令 3.処分の違法性と無効性 被告事務局に怪文書が到着、その内容についての被告が調査を行ったが、不正経理疑惑について事実は認められなかった。それにもかかわらず、 ①ある職員について有給休暇を認めて然るべきところを欠勤扱いにした ②ある職員に対して、雇用に関する不利益変更を行った の2点を理由に処分を行った。しかも実際にはこのような事実はなかった。 理由を欠く被告の処分は、社会通念上著しく妥当性を欠き、人事権の濫用であり違法である。 またこれに伴う減給処分は就業規則の定めによっておらず同意もなかった。これは労働契約法第3条1項、8条、10条に違反し、労働者が受忍すべき程度を著しく超える不利益である。 さらに「5%の減給処分1か月」(平成23年4月下旬)→撤回→「停職1ヶ月」(同5月9日)→「本件処分(降格処分)」は、同一事実に関する3度重ねての処分。違法であり、無効である。 4. 配転命令・業務命令 ・被告は業務上の必要性が全くないにもかかわらず、他社の職場での勤務を原告に命じ、実質的業務も与えなかった。原告は従来業務に関わることも禁止され、そのため誰とも会話せず一日中席に座っていることを強いられた。 ・名目上は与えられていた公益認定申請に関する業務も、平成24年2月28日に理事会で一般財団法人への移行の方向が決まったことでなくなった。 ・平成24年3月31日、配置転換が行われ、「特命事項」担当とされるが、その内容について指示はなく、組織図上もすべての部や課から排除された。 ・メーリングリストから除外された。 ・ミーティングから除外された。 上記の被告の原告に対する対応は、原告を退職に追い込むための嫌がらせが目的であり、名誉権・人格権を侵害している。 ・使用者の裁量権の逸脱 ・労働契約上の付随義務としての、人格を傷つけない配慮義務に違反している。 5.〔要約者注…不在。ナンバリングミスか。〕 6. 本部事務局長であることを確認すべき利益 ・原告はこれまでボクシングの発展、被告組織の発展に尽力・貢献してきた。現在は地位を喪失し、ボクシングに関わる従来のキャリアを否定され、その能力を発揮する機会を奪われている。 ・ボクシングに関わる業務に関係し、キャリア・人脈を生かし業務推進するために、復帰する必要がある。 7. 不法行為 ・人格権(名誉)の侵害 ・うつ病罹患等、精神的損害は500万円を下らない。 8.賃金(平成23年7月以降の基本給差額・支払われるべき賞与の支払いを求める。) 9.結語 (1)地位・給与の確認 (2)他職場への勤務は雇用契約上の義務のないこと (3)業務命令の無効 (4)減額分給与の支払い (5)不法行為への支払い 第3 関連事実 1 事実経過 (1)平成23年4月18日 怪文書到着と一部職員からの疑惑の指摘 (2)5%減給1か月→職員が「(処分が)軽い」と反発→撤回 (3)B専務理事(当時)中心に内部調査(6回、一切不正なし) →5月9日「停職1か月」:自覚を欠いた行動により誤解を与え重大な事態を招いたことへの責任 (4)一部職員がなおも「処分が軽い」と反発 →調査委員会の設置(下記含め計6名) ・G弁護士(当委員会事務局長) ・Y弁護士 ・q弁護士(元仙台高検検事長) (5)5月31日に一部職員が被告に無断で「公益通報」と称し不正経理問題に関する記者会見を行う。 (6)6月28日に調査結果が発表され、1か月の調査で不正経理は一切認められなかった。不正が認められなかったのは下記①~④についてである。 ①不正経理(横領・背任) ②情実による権限濫用で女性の不正採用 ③本部女性職員に程度を越して親密に接して事務局長としての体面を汚した。 ④執務上の職務の懈怠、職場の離脱・放棄 ただし、部下に対する接し方に行き過ぎが認められた。 ①有給休暇を認めて然るべきところを判断を誤り欠勤扱いにしたこと ②不十分な説明に基づく雇用契約上の不利益変更を行ったこと これらは不相当であったと認めざるを得ない。 以上の調査結果を受け、被告は処分を行った。 2 本訴提起に至る経緯 〇原告はD事務局長、C専務理事らに再三現状の過酷で心身共に限界であること、本来業務への復帰の要望を伝えたが、無視された。 〇平成24年2月6日にC専務とG弁護士に、2月10日にD事務局長に面談し訴えた。 〇3月6日にD事務局長にメールで改善を訴えた。 〇3月13日、全職員の配置転換が行われ、原告は組織図の上で全ての業務から排除された。これにより原告を半永久的に排除し、自主退職に追い込む被告の意図が明らかになったため本訴提起に至った。 **** 訴え変更申立書(仮執行の宣言を求める)(平成24年6月20日提出) (懲戒解雇の無効の申し立て) 被告が平成24年6月15日に解雇通知書を原告に郵送。それによると、 ①原告は別コミッションと会社の設立を具体化しようとした ②Kに被告管理のボクサーの個人情報を、Mにボクサーの戦績を開示した。 ③Lが被告窓口であるかのように装わせgに通信・接触せしめた。 ④ ①②③は別団体ないし会社設立により被告組織弱体化、被告内部秩序の壊乱、ガバナンス崩壊、事業による被告との競合を意図しており、就業規則上、懲戒解雇に相当する。 上記の①乃至④は事実無根または就業規則の当てはめの誤りであり、②③は懲戒解雇事由に該当しない。したがって懲戒解雇は無効である。 ■■■■ 以上 by いやまじで
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2014
ニュースへのリンク→<ボクシング>亀田ジムが新会長での再出発を検討 私もこの報を聞いた時には思わずコケそうになりましたが、本田会長が後見人と言うんだからまあ既定路線なんでしょう。 まあ大竹さんが会長になられたところで亀田兄弟の試合が急に面白くなったりはしないでしょうから、自分としては何ら期待するところは無いです。なんでこんな無駄なクビの挿げ替えをしないといけないのか全く意味が分かりません。体重超過と言うファイターやプロモーターには責任の無い事件にJBCがエキセントリックな対応をしたことでこんな大事になったというだけだと思います。イヤホンマやってること無駄だらけですよ。 そういえば協栄ジムが一時『業務提携』をぶち上げていた『情報商材マルチ業者』が破産しちゃいましたね。ああいうどこから見ても胡散臭い人間と手を組もうとする一方で、佐藤洋太の世界戦を海外に売ったり、大竹さんやボクマスさんのような功労者を放り出したりしてしまった協栄ジム。一説には深刻な財政難も噂されていますが、そんなジムの会長でも亀田を批判したら『よく言った頑張れ』みたいになるんだから本当に短絡なファンを操るのはチョロいですね。一方で大竹さんみたいな人は「亀田と組むなんてガッカリです」みたいに評価が180度変わってしまう。分かっちゃいるけどみんなもうちょっと落ち着いて自分の頭で考えようよ。 それと亀田サイドの人間が本田会長を批判してるという体の安もんの怪文書で針小棒大にギャーギャー騒いでたゴシップライターさんは、業界事情などなんもご存じないと言うことがバレちゃいましたねえ。ついでに今回の亀田ジム復活の動きは、彼と彼のお仲間のJBC職員が亀田兄弟とやってるしょうもない裁判に対するボクシング業界からのアンサーとも言えるんじゃないでしょうかね。きわめて常識的なリアクションですが。 ジムを潰されて国内で試合が出来ないぞ!三男のメキシコの試合がキャンセルされたぞ!TBSから切られたぞ!とハシャいで吹き上がってた偏狭なファンの期待とは裏腹にMGMグランドでの防衛戦を決めてジムまで復活させてしまった亀田一家。内藤大助をゴキブリ呼ばわりしてましたが、どうしてどうしてあんたらのほうがよっぽどゴキブリみたいだよ。凄いしぶとさじゃないですか。 宇宙ステーションから出てきた若田さんがレイザーラモンRGに似ていたので『宇宙ステーションあるある』をやってほしくなった(旧徳山と長谷川が好きです)
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2014
4月30日、午前10時、東京地裁にて、被告側証人尋問が行われた。浦谷氏、羽生氏、秋山氏の順で、個別に行われた。各人冒頭、真実を述べる旨の宣誓を行った。 以下は各人の証言内容である。( )内は質問内容、〔 〕内は要約者の注である。 (2014年5月16日追記…関係者よりの要請により一部実名を記号に変えました。) ■■■■ ◆浦谷氏 □被告側弁護人による尋問 (東日本大震災時の対応) ・安河内氏は安田氏の体調が悪いから自宅に送ったと言うが、それならドーム近くの病院やホテルを利用できたはず。責任者が現場で指揮すべきだった。 (怪文書の写真を見て) ・ふしだらだと思った。試合役員・職員は憤慨していた。責任者、リーダーとして失格だと思った。 (試合役員と事務局職員の合同調査委員会の報告書について) ・了承した。 (連判状について) ・試合役員が作成した。強制はしていない。アンケートとして署名させてはいない。 (安河内氏に退職を迫ったか) ・自分自身で決めろと言った。自分で責任をとれないのは情けないと思った。 (長時間にわたり退職を迫ったか) ・してないと思います。反訳でもほとんど発言していないし、会議の始まりが10時なので、その後2時間というのはおかしい。 (関西事務局からの連判状について) ・要請していない。自発的に作成されたもの。 (新組織の立ち上げと東日本協会からの支持について) ・試合がストップしないよう新組織設立を考えた。あくまで暫定的なもの。第2JBCなどの表現はマスコミがセンショーナルに書きたてたもの。われわれの意図とは違う。試合をすることが目的なので、この件で〔自分たちが〕処分されるべきではない。 (安河内氏がいないと試合ができない?) ・トップにいることは非常に影響があった。それが試合役員の総意。 (原告は一連の騒動を浦谷氏と羽生氏が画策したクーデターと主張するが) ・すばらしい作り話。すべては安河内氏の行動から出たもの。安河内氏は試合役員会の会議にも出席を拒否した。 (IBFと安河内氏の接触について) ・ピープルズ氏からの回答によると、安河内氏はスカイプで新団体設立をIBF会長ピープルズ氏に伝えた。ボクシングマガジン誌にも記事が掲載された。非常に信憑性がある。 (安河内氏との連携について*氏に事情聴取しなかったのか。) ・*氏にはライセンスがない〔のでしなかった〕。 (情報漏洩について) ・職員でない方に情報を教えるなら森田氏の許可を得て行うべき。選手の個人情報を外部に出すべきではない。 (メールの発見について) ・5月中旬(平成24年)に発見した。 ・就業時間中のメールということで、これ自体就業規則違反であり、懲戒解雇にあたると思った。 ・森田氏、秋山氏に見せるとたいへんおどろいていた。弁護士と対応を協議した。 ・安河内氏らに弁解の機会を与えたが「わからない」「記憶にない」と言うばかりだった。6月に解雇、懲戒解雇とした。安田氏を普通解雇としたのは、従の立場だったから。 ・決定は森田氏が行った。 (最後に) ・すべては安河内氏の行動から出たことである。それを忘れてほしくない。それをこのように訴えるとは…。 〔原告側弁護人より異議あり、完全に意見なので削除を要求。〕 □原告側弁護人による尋問 (試合役員会と事務局職員の合同調査委員会による「報告書」には、JBCの関連会社から安河内氏に毎月20万円の振込があったとの疑惑が挙げられているが、調査はしたのか) ・そのような話を前から聞いたことがある。 (それが調査か) ・それが調査ということ。 (JBCの調査委員会の調査報告書で支払いは認められなかったが) ・JBCの報告書は報告書。JBCに任せたので異議はない。とやかく言うつもりはない。決めるのはJBC。 (記者会見を開いて徹底究明を主張したのは) ・うやむやにする雰囲気が当時あったから。「公正に」ということ。徹底した調査を行い、客観的証拠によるしかるべき処分を求めた。 (JBCの調査報告書で、①フグ屋での飲食、④大震災での職場放棄の疑惑は事実と判明したのか) ・そう思っている。 (JBCの調査報告書で認定された?) ・パワハラは認められた。 (JBCの調査報告書では大部分が事実として認められなかったのでは?) ・すべてはJBCに任せた。 ・われわれの認識はちがう。 (JBCの調査は厳正な調査だったと思うか。) ・そう思う。 ・われわれが納得するしないの問題ではない。JBCの判断はJBCの判断。それに異議を唱えるつもりはない。 (懲戒解雇事由について。中出氏、林氏、*氏、高山氏に事情聴取をしなかったのか?) ・聞く時間がなかった。 ・その後、中出氏からは話を聞いた。 ・「共謀者」に話を聞かなかったのは事務局の判断。森田氏の判断。秋山氏、弁護士にも相談はした。) ・メールの内容を見て解雇しかないのではと思った。 (解雇通知書中の「JACに関連する会社」とは?) ・JACに関する何らかの会社… (解雇事由とされるほどの問題だが、その程度の認識か?) ・「その程度」というのは意味がわからない。 (IBFとの面談) ・主な出席者は、ピープルズ氏、タッカー氏、秋山氏、森田氏、浦谷氏。ボクシングマガジン平田氏作成の質問を代理して質問した。 (どういう質問をしたか) ・ボクシングマガジンの質問をした。 ・高山氏については新コミッションとは無関係だった。以前は関係があると思っていた。 ・*氏はライセンスがないので話を聞かなかった。 ・林氏には1,2月頃話を聞いた。林氏からは謝罪があった。JACの騒動について林氏は和解した。 (平成23年5月12日、安河内氏に辞任を迫ったか) ・問題が大きくなりそうだと思ったので、自分で決めた方がよいのではと言った。 (9通の書類をJBCに提出したが、あなたが騒動を大きくしたのではないか) ・試合役員会の総意だった。 (陳述書について。安河内氏による試合役員・職員らに対するパワハラに関する記述はどこまでが体験か) ・相談は受けた。体験はしていないが事実は知っている。高山氏の件はライターから聞いた。体験ではない。 (あなたは安河内氏に対して個人的な恨みはありますか) ・ありません。 (あなたの会社の口座にJBCから毎月10万円の振込があったのが、安河内事務局長になって、なくなりましたね) ・はい。 □裁判官による尋問 (安河内氏が事務局長として不適切なほど叱責した件について) ・羽生氏、染谷氏、安原氏らから相談された。 (叱責の理由を安河内氏に確認したか) ・していない。相談者の話を聞いてそう判断した。 (平成23年4月22日の会議で安河内氏の事務局長解任を求めたのは?) ・試合役員と職員の総意。 (大久保氏の名前は辞任決議にないが、総意の根拠は?) ・大部分が賛同した。 (大部分とは?) ・大部分です。 (あなたの認識ということですね。) (報告書の提出は試合役員会に諮ったか) ・諮っていない。私の責任ではなく総意。 ・安河内氏は試合役員会に来なかった。きちっとするべきだと思った。 (きちっとするとは?) ・大震災時の対応など安河内氏が自分のやったことを認めて辞めること。 (JBCの調査報告書では職務懈怠は認められなかったが?) ・辞めるべきだというのがわれわれの認識。けじめをつけるべきだ。 (JBCに斎藤専務理事や安河内氏を排除しない場合は新団体が維持されると要求したが) ・そういうことではない。きちっとした結論になると思っていた。新団体設立は試合は続けたいという気持ちからだった。役員会で決議はしていないが、試合会場でそのつど話していた。安定した精神状態で試合をやりたかった。 (安河内氏の影響とは?) ・あれだけのことをして信用が失墜したこと。 (あれだけのこととは?) ・多くのパワハラ、震災時の行動、関西での女性との交際など。 (平成23年5月31日記者会見での「JBCの調査委員会の認識は疑問だ」との発言はJBCの信用を失墜させる行為では? 調査委員会に対してではなくマスコミに対してあのように言う必要があったか?) ・何とかしてもらいたいという思いからだった。 (鮫島氏による情報漏洩の件について。伊集院氏の情報を出すべきでない理由は?) ・森田氏(事務局長)に通すべきだということ。 (内部的にルールは決まっていたか) ・あったと思う。当時私は職員ではなかったので分からない。今はある。 ・戦績公表は禁じられていないが、IBFへの提出だったので禁じられている。内規にはないが今の気持ちとしてはおかしいなと思う。 (懲戒解雇について協議は開かれたか。) ・懲戒委員会かどうか分からないが協議はあった。記録は聞いたものについては残っている。 (安河内氏の2回目の懲戒解雇については) ・協議はあったと思う。私はタッチしていない。 ◆羽生氏 □被告側弁護人による尋問 (陳述書にあるパワハラは体験か。) ・体験です。何もできなかったのは逆らえばクビになると思ったから。 ・〔安河内氏から〕やめろ、やめろと数え切れないほど言われた。 ・震災前の時点で、安河内氏は利己的で思いやりがない人物、事務局長としてふさわしくないと思っていた。 ・石田氏、石塚氏も安河内氏と口を利かなくなった。 ・大手ジムにはいい顔をするが中小ジムには無視する態度をとった。斎藤専務理事には必要以上にゴマをする。 ・震災時に「安田を送ってくる」とすれちがいざまに言われた。混乱した現場を責任者が離れるとは考えられないと思った。鮫島氏への指示は聞いていない。安河内氏の携帯につながらず安田氏の携帯につながった(公衆電話から)。「渋滞にまきこまれた。動けないが(事務局に)帰る」と言われた。世界戦についての指示はなかった。世界戦がどのように中止になったか確認していない。安河内氏が事務局に帰ったのは見ていない。 ・大塚氏は中山氏〔関西事務局長:当時〕が雇ったが、当時の事務局長の権限は絶大で、安河内氏は中山氏とも親しかった。愛人はプライベートな問題だが、採用はプライベートではない。 ・辞めるべきだと思った。他の職員も私と同じ意見だった。 ・斎藤専務理事は安河内氏をかばっている感じだった。 (試合役員と事務局職員有志による調査報告書と連判状の提出について) ・林コミッショナーに会ってゴタゴタの問題と安河内氏が事務局長にふさわしくないことを言いたかったが、会えないので文書にして発表した。(福地氏、染谷氏、内田氏、石塚氏、羽生氏ら試合役員及び職員8名)。安河内氏が辞めようとしないので、連判状を出した。アンケートと称して募ってはいない。 ・浦谷氏が安河内氏に対して「やめろ」などと言ったことは全くない。反訳の中でも不平・不満は言っていない。 ・安河内氏が業界で信頼を失っているので辞めるべきだと考えた。 ・業界プロモーターが安河内氏とはできないと言っていた。 (八王子中屋ジムによる試合会場立入拒否の文書について) ・中屋会長に作ってくれと頼まれて作成した。中屋会長が署名・捺印した。 ・ボクシング関係者のほとんどが解任を求めていると思った。 ・第2団体設立発表時に、鮫島氏と安田氏を除く事務局職員が森田氏に辞表を提出した。 (安河内氏の降格処分後について) ・安河内氏が解雇にならなかったことに強く不満を覚えた。一緒に仕事はできないと思った。とりあえず顔を合わせないので森田氏を支えようと思った。 ・森田事務局長になってからメーリングリストは使用せず、必要な時に必要な相手にメールを送った。 ・安河内事務局長時代の毎週の全体ミーティングは森田事務局長になってなくなり、必要なときに担当者同士で打ち合わせをするようになった。 ・安河内氏との接触を絶つように言われたことはない。 ・文科省から呼び出され、山田氏に関する情報の漏洩について注意された。安河内氏らの画策だと思った。 (最後に) ・安河内氏らには処分を真摯に受け止めてほしい。 □原告側弁護人による尋問 (試合役員及び事務局職員有志による調査報告書について) ・作成した。 ・調査は試合役員にききとりしたもの。複数の関係者の証言に基づく客観的事実。 ・JBCの調査ではくわしくわからない。 (JBCの調査報告書で疑惑の大部分は認められていないが) ・調査委員会は実情を知らなかったのでは。JBC調査委員会の調査が不十分とまでは言わないが。 (公益通報について) ・なかなか意見を聞いてもらえなかった。斎藤専務理事にマスコミに会わせてもらえなかった。 (斉藤専務理事から調査委員会を設置する話は?) ・記憶にない。 ・JBCの調査委員会の報告書は谷口弁護士に話した内容。 (陳述書を提出しているので調査委員会に伝わっているのでは?) ・そうかもしれない。パワハラの主張が認められたかどうかは分からない。 ・解雇でないことを知って強く不満を持った。不満を訴えなかったのは森田氏の下で次々と仕事を処理しなければならなかったから。安河内氏とは一緒に仕事はできないと言った。「がまんして(一緒にやってくれ)」とは言われなかった。 (東日本協会理事会の内容について) ・暫定的な団体立ち上げのことかなと思った。積極的に知ろうとは思わなかった。新たな暫定団体を作ろうとは思わなかった。 (書類に「ご不明の点は『羽生氏に』」とある点について) ・問い合わせが殺到すると思った。対応するのは自分。 (協会の決定なので協会が対応するのでは?) ・ボクシング界ではJBCに問い合わせが来てしまうので。 (対応はした?) ・記憶にないが対応したと思う。 ・メーリングリストは存在したが使っていなかった。使用すると混乱すると思った。 ・ほとんどの中小ジムは安河内氏に反発していた。 ・ワタナベジムから文書作成を頼まれたので作成した。 (「協会からの要望書に返答があるまで」と〔ワタナベ会長が〕書き足した理由は?) ・思い出せない。 (谷川氏の解雇通知について) ・秋山氏には聞いていない。森田氏と相談し、〔雇用期間が〕3か月ぐらいなら違法性はないからいいと思った。事後に秋山氏に報告して「自分に相談してほしかった」と言われた。 (陳述書について) ・〔怪文書の〕写真を見て、誰もがそう〔愛人関係と〕思うだろう。JBCの調査報告書も「親密な関係」は認めたのだから、不倫の関係を暗に認めた。 (JBCの調査報告書について) ・内容についてはよく知らなかった。 ・平成26年7月以降に読んだ。ぼくらの考えていることがそのまま反映されているとは思わなかった。 ・受け入れるかどうかというより、どうしようもない。 ・コミッショナーに現状を知ってほしかった。調査委員会に伝わったことで現状は伝わったと思う。 ・コミッショナーは解任(しようと思った)と思うが、明確な証拠がなくて解任できなかったと思う。 ・こういうもの〔怪文書〕が出てきたら即クビだとみなさんおっしゃっていた。 (みなさんとは誰?) ・個人的な友人。 ・森田事務局長になってメーリングリストが廃止されたかどうはわからない。 ・森田事務局長になって石塚氏、内田氏が辞めた理由は聞いていない。 □裁判官による尋問 (安河内事務局長時代のミーティング内容) ・前日の試合管理、日頃の業務に関して。本来やるべきことができていないと執拗に注意された。 (たとえば?) ・とるに足らない話がいろいろありすぎて、すぐに思い出せない。ちょっとした連絡ミスで数十分、数時間も叱責された。 (叱責される理由はなかったのか) ・理由があるとしたら私を辞めさせたいから。 (調査委員会の報告書について) ・調査委員会の調査には数時間にわたって話した。 (試合役員がライセンスを返上したのは?) ・解雇じゃなければというつもりではない。現場がまわらなくなると心配したので。 (4月22日の採択は?) ・挙手という形だったと思う。全員〔安河内氏の解任に賛成〕だったと思う。 (震災時について) ・夜8時に安河内氏に電話した。 (試合会場立入拒否の書類について) ・安河内氏、斎藤氏を試合会場に入れるなとプロモーターから話があったので、必要を感じて書面をつくった。 (メーリングリストについて) ・森田事務局長になってから、全員連絡の必要な時はあったが、メーリングリストは使わず、いちいち全員にメールした。メーリングリストは安河内氏らが情報伝達に使ったように悪用されている気がした。 ◆秋山氏 □被告側弁護人による尋問 (怪文書・写真を見て) ・ツチヤから告発文を見せられてびっくりした。こういう写真が出回ること自体がJBCの不徳の致すところ。一般的に見て愛人関係、男女の関係。社会通念上、ふつうの会社なら懲戒解雇。 ・週刊新潮にも同様の写真が出た。日本で文春と並ぶ本に出たことはまことに遺憾。 ・プライベートという見方もあるが、財団法人の事務局長、全ボクサー、全ジムの信頼を受けているのに、真実かどうはわからないが、全く以て遺憾。 ・まずは本人が辞任すべき。個人的意見としては懲戒解雇が当然。 (専務理事就任の経緯) ・斎藤専務理事の辞任の意向を受け、林コミッショナーには40年来部下として仕えてきたので、火中の栗を拾うようなものだが引き受けた。 (降格の中心的理由) ・これまでの行状、実績。 ・社会通念上、週刊誌に出て、JBCの社会的信用を激しく傷つけた。 ・組織掌握できなかった。全体をまとめられなかった。 ・JBCの調査報告書に基づくが、その上に立って判断を下すのがふつう。 ・安河内氏は責任転嫁している。告発文が出回ること自体、本人の不徳の致すところ。 ・斎藤専務理事も林コミッショナーも温情があった。 ・ボクシング界の反応は、早く収束させてほしいというものだった。処分について理解は得られたと思う。 (労働条件について) ・林氏、秋山氏、弁護士らで・給与、勤務場所、業務内容を協議して決めた。 ・職員、試合役員から顔も見たくないという声が出ていた。安河内氏がかわいそうなので別の勤務場所を私が手配した。 ・一般業務は他の職員と接触・交流するもので避ける必要があった。 ・一般・公益〔財団法人移行問題の研究〕を特命事項として命じた。 ・業務に関する指示がなかったとの主張は安河内氏の認識不足。重大な仕事。 ・職場環境はふつうであり、よくないというのがわからない。 ・雇用契約書を提示した際、安河内氏は奥さんから「こんなことでは生活できない〔と言われたので〕、考えさせてくれ」と言った。 ・オークションは引き継ぎをしていなかった。社会通念上は異動するものが引き継ぎ書を作るが、彼はつくっていなかった。引き継ぎは次の事務局長にするものであって、鮫島氏に言っても無意味。 (鮫島氏の公益通報について) ・「まさか陰でやらせていないだろうね」と安河内氏に言ったら「私だったらこんなことはやらない」と、自分だったら一発で悪を暴くというような意味のことを言った。 ・鮫島氏は安河内氏にいちいち指示を仰いでいる。これだけのメールがあって、ないというのがおかしい。私自身は背任の疑惑をかけられて心外だった。背任といったら刑事事件として立件されるもの。名誉棄損で告訴しようかと思ったぐらいだ。 (平成24年3月30日の) ・組織図の特命事項については、最後の指示と変わらない。 (メールについて) ・メールの発見には驚いた。懲戒解雇に値するのではないかと思った。 ・安河内氏に森田氏や浦谷氏が事情聴取をしたが、「わからない」「覚えていない」と言うだけだった。 ・私と浦谷氏と森田氏で協議し懲戒解雇を決めた。 (二度目の懲戒解雇の理由について) ・メールその他による。共同正犯だ。 ・JBCの権威を著しく傷つけた。莫大な損害を与えた。 ・安河内氏は仕事は個別的にはできるが、ガバナンスをとりまとめていくについては全くできていない。安河内氏は斎藤氏、林氏〔コミッショナー〕の温情にこたえるべきなのに、それをこんな〔訴えるというよな〕真逆なことをしている。 □原告側弁護人による尋問 (ふつうの会社なら懲戒解雇というのは?) ・今もそう思う。 (降格については) ・職員、試合役員、ジム、協会から信用を失った。安河内氏が任にとどまれない世論が形成された。 ・6月28日時点の報告書には自分の意見は入っていない〔任期前なので〕。 ・職員・試合役員に「〔安河内氏と〕いっしょにやろうと」と説得したことはない。 ・目に見える形で安河内体制の終わりを示す必要があった。移さないと収拾がつかない。試合役員や職員から年がら年中言われた。 ・降格後の給与は前の事務局職員の最高給与を基にした。事務局職員に言われたものをそのまま受け入れた。確認はしていない。 ・谷川氏の解雇には、「まずい」とすぐに撤回させた。〔解雇は〕就業規則に書いてあっても、慣習上そう簡単にできることではない。 (解雇事由について) ・関係者に聞いてくれという安河内氏の話は聞いていない。話は聞く必要がない。〔ライセンスのない〕高山氏や*氏を咎める筋合いにはない。それだけのメールがあったら十分。今どきメールがいちばんの理由。メールを見ればすぐに分かる。 ・競合する別団体を設立することによってJBCを攪乱しようとした。結果的にできていないが、そのように推測される。しかもJBCに在籍しながら、勤務時間中にメールをやりとりした。「共謀」相手に確認を取る必要はない。 ・安田氏はメールの発信が1,2回であることから補助的な役割と判断した。 ・それ以外にも〔解雇事由は〕ある。 (それ以外とは?) ・わからない。調査は森田氏、浦谷氏、羽生氏に任せた。調査の結果から、やっただろうと考えた。 ・懲戒解雇には女性問題も加味して決めた。 ・メールはJBCの名誉を傷つけた (公表しなければ傷つかなかったのでは?) ・それだけではない。週刊誌の件もあった。 (懲戒解雇について) ・林コミッショナーは報告とその他の諸々を加味して決めたのではないかと思う。 ・処分ならば理由を示す通告書が必要。 ・秋山氏、森田氏のサインした通告書が、降格処分のオフィシャルな見解と認める。 □裁判官による尋問 (降格理由は①有給休暇を認めなかった件と②不利益契約変更の件でよいか) ・他に雑誌に出たこともある。それと多方面からの不信感だ。 (それらの具体的な根拠は何か) ・根拠は試合役員及び事務局職員による調査報告書や連判状などがそうだ。 (それらはJBCの調査報告書で事実として認められなかったのではないか) ・それ以外に業界全体に不信感があった。 (その不信感の根拠は何か) ・試合役員・職員による調査報告書や連判状などだ。 (勤務場所の変更について) ・松戸公産について安河内氏から異論は出なかった。 ・一般法人・公益法人のいずれにするかは安河内一人で決められる問題ではない。方針決定はだいぶ後。 ・具体的指示はしなかった。前からやっていたので分かるはず。公益法人問題に関して理事会に呼んだことは1,2回ある。 ・試合会場への立ち入りは禁じていた。安河内氏が不信感払拭の努力をしなかったからだ。 ・2回目の懲戒解雇は森田氏、浦谷氏、自分〔秋山〕が協議して決めた。 ■■■■ 今回の傍聴の感想としては、秋山氏が非常に信義を重んじる人物であるということである。 また、浦谷氏はIBFと安河内氏の接触についてのIBF会長からのコメントを挙げ、ボクシングマガジン誌にも記事が掲載され、「信憑性」があると述べたが、そもそもボクシングマガジン誌作成の質問をJBCメンバーが代理してIBFに質問している時点で、ボクシングマガジン誌が報道機関としての正常な機能を喪失していることは明らかであり、質問内容が示されなかった点も考え合わせ、ボクシングマガジン誌の記事にもJBCの主張にも「信憑性」は認められないと言ってよいであろう。 それ以外については、これらの証言の意味を理解するには、まだ諸々の事実、経緯を知る必要があるということである。 以上 by いやまじで
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11
2014
マニラの山口賢一 選手10RTKO負け だったようです。残念。
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09
2014
『そう!そう!ナイス!』のホメ上手ケビンさんからのお花に思わず反応して撮影してしまった筆者 なぜか連休明け初日と言う設定で行き難いったらありゃしないダブル世界戦ですが、昼飯抜きで仕事してなんとか夕方会場に辿りつきました。会場入り口に今回もズラリとランボルギーニが並んでおりましたがあれってなんか意味あるんでしょうかね?成金趣味でちと辟易。まあいいんですけどね。貧乏人の僻みです。 一翔くんがテレビ番組で運転してたランボルもきっとこちらのスポンサーが提供しているものなんでしょうね。その番組中一翔君は、従来のボクサーのイメージを変えたいという思いからスーパーカーを転がしてファッションにも気を配っているという旨発言していましたが、タニマチから頂いた車やジュエリーという記号は失礼ながら昔ながらのボクサーのイメージそのものと言う気がいたします。本来なら国内トップ選手である彼あたりが記者会見で契約書を掲げて「今回のファイトマネーは○○万ドルです!」とカミングアウトし、自分の稼ぎで買った車や家を堂々と見せびらかして欲しいのですが...。野球のメジャーリーガーやサッカーの海外組選手のように腕一本で稼いだ大金を自由に使ってこそ若者の憧れとなれると思うので、是非頑張って頂きたい。 酸欠上等の井岡ジム興行とあって過密状態は覚悟の上で場内に入りましたが、あにはからんやいつもよりは少しマシなくらいの混雑具合で何とか空席を探して着席。ですがTBSの中継カメラの前後の席がかなり潰されておりとても不可解。ある程度スペースはいるかとは思いますがあんなカメラの後ろまで何列も潰す必要はねーだろと思いました。 リング上はOPBFライト級タイトルマッチが始まるところ。中谷正義チャンピオンは井岡・宮崎に続く井岡ジムのホープで、現日本チャンピオンの加藤にも際どく勝利している若き実力者。前から見たかった選手なので急いでかけつけたわけなんですが、リング上で相対した両者を見て少し驚いてしまいました。この日の対戦相手の輸入ボクサー原田門戸選手が大袈裟でなく頭一つくらいサイズが小さいのです。こりゃーちょっと体格差ありすぎだろと思いましたが、中谷もライト級にしては長身(公称182センチ)なのでまあ原田が跳びぬけて小柄と言うわけでもないのでしょう。中谷は序盤から軽快なフットワークに多彩なパンチを見せてペースを支配。評判どおりの豊かな才能を感じさせる戦いぶり。一方の原田は小細工せず、あくまで中谷の正面に対峙しながらインサイドからストレートをバンバン叩き込んで応戦。対格差を物ともせず打ち合いに挑みます。最初はテクニックでいなしていた中谷も中盤以降は徐々に原田の圧力に押されるシーンが目立ち始め、ついに9R原田のラッシュに飲み込まれて防戦一方に。この場面はストップ一歩手前でありました。このピンチをしのいだ中谷は、その後は慎重に距離をとって原田を封じこめてなんとか逃げ切り勝ちしたものの顔はボコボコ。私には原田選手の気風のいい戦いぶりが大変印象に残りました。 そのあと井岡ジム名物の長い休憩を挟んで、『彷徨う拳』から『戦う高校生』になった高山チャンプの二度目の防衛戦。青コーナーから入場した小野選手はフードを深く被って表情は見えませんが雰囲気充分の佇まい。落ち着きを感じさせます。一方の高山チャンプはいつもどおりの軽快な足取り。中出トレーナーをして『フィジカルの調整は失敗したことがない』と言わしめる磐石のコンデイショニングを感じさせます。戦前予想は圧倒的に高山有利と言う見立てが大半ですが果たしてどうなるか?『蜂のように差せ!』のメッセージ入りガウン 高山チャンプはいつもどおり軽快なテンポで小野に迫り、この試合でも1Rから強い右パンチをヒット。昨年末のシルバノ戦のように序盤からペースを掌握するかに見えましたが、そこから小野心ワールド炸裂。目立たないながらも的確なフットワークと上体の動きで巧みにスペースを作って高山のパンチを殺し、独特のタイミングで遅れて出す左ストレートを伸ばして高山の顔を何度も跳ね上げる。パワーは感じさせないが見栄えのいいヒットを重ねて確実にポイントをピックアップしていく小野。高山は噛み合わない相手に根気よくパンチをぶつけて、チャンスを待つ我慢の展開。この日特に目立った小野の左 やはり念願の世界戦ということで小野選手のモチベーションは相当高そうで、不完全な体勢からでも切れる左が途切れない。一方高山は6Rからスピードのあるジャブを織り交ぜて先手を取りペースを奪還しにかかる。高山もジャブで応戦 しかし小野の左の切れは健在。7、8Rと立て続けに高山の瞼をカットして、大きくチャンスを引き寄せる。これに対して高山陣営はプレスを強めてペースアップ。右のタイミングも徐々に合いだしてジリジリと小野を削っていく。パワーアップした右フック 右ストレート リングサイドに小野のジムメイト河野と内山の姿も... 9Rの後半見せ場を作った高山は10Rロープの間に体が入った小野を滅多打ちにしてついにダウンを奪取。 このシーン自分の席からは小野の背中越しで何が起こったか分からなかったのですが『小野が抗議してないから多分ボディが当たったんだよなあ』と思いましたがあとで確認したら全然違いましたね。小野もスタミナが苦しく動きたくても動けなかったのでしょう。ダウンを取った高山は一気に攻勢、終了間際に大きな右フックを決めて小野を吹き飛ばす。11Rは一気に決めたい高山を小野が必死で押し返し激しい打ち合い。小野が死力を尽くして意地の反撃 高山の強烈な左ボディ しかし高山のフィジカルが上回ったか?12Rには無尽蔵のスタミナで最後のラッシュ。スタミナが切れた小野を追い込んで的確に右をヒット。接近戦で小野は崩れるように膝をついて二度目のダウン。体が意思を裏切るような印象的なダウンでありました。小野は意地でストップを拒否したもののダメージは明らか。3-0で高山という判定結果は異議の無いものであったと思います。 どちらかというと噛み合わない展開だった前半戦から一転、後半は白熱の打撃戦となりましたが、そうなったのは高山陣営が小野のスタイルにアジャストして攻略した結果であると思います。展開自体は、世評と違い中出トレーナーの予想通りでしたが、後半3ラウンドで高山がフィジカルと経験からくる巧みな試合運びで明確な差をつけてクロスゲームの帰趨を決しました。負けた小野選手の評価も上がるようなニクイ試合でありました。両選手お疲れ様でした。 ここでまたも井岡ジム名物長い休憩と予備カードとなりましたが、アリーナで観戦していた知人が急用で帰るということで『良かったら私の席で見てください』と言う嬉しい申し出があり、そりゃスイマセンということで仕事帰りで汚い作業着姿のままアリーナに下りると山口賢一選手に遭遇。翌日早朝の飛行機でマニラに発つという山口選手に「調子はいかがですか?」と聞くと「(試合直前で)メシ食ってないのに(応援で)体力使いすぎました。負けたら高山のせいですわ」と疲れているでしょうにサーヴィス精神溢れる回答を頂きました。 さていよいよメイン。スピード三階級制覇を狙う井岡ジムの作戦は果たしてうまく行くのか?まあ実際私にも井岡が負ける姿があんまり浮かんでいなかったのでありますが...。 序盤は井岡は様子見に徹してガードを固めますがこれはいつものこと。一方のチャンピオンアムナットは長い手を生かしたジャブで先制し、井岡のジャブは確実にブロック、前進してくればアッパーで迎撃。中間距離では絶妙のクリンチワークに阻まれて、井岡は思ったように得意のボディが打てない。井岡のパンチの距離やストレートの軌道を見切ったアムナットは3Rあたりからガードを下げてL字ガードに移行。下げた左手を色々な軌道で繰り出して井岡を翻弄。井岡の注意が左手に行けばいきなりの右フック、ストレートで井岡をのけぞらせる。徳山大好きな自分はアムナットのボクシングをみて『こりゃ上手いわ』と大興奮。特に井岡が打ってこないタイミングを予見したかのような手数のまとめ方はまさに徳山を彷彿とさせます。 井岡にとってはアムナットのパンチは予想以上に強く感じたのではないでしょうか?この辺は階級の壁と言いますか、調整試合も無しにいきなりトップ選手と対戦したことの誤算があったのではないでしょうか?後半はアムナットがロープを背負う場面が増えましたが、井岡はプレッシャーをかけるもののまともにパンチが当たらい。結果イライラしクリンチ状態で肩をアゴに入れたり、ラビットパンチをしたり冷静さを欠く場面が目立ってきます。一方のアムナットはボディワークでストレートを外し、フック系は井岡の腕を払って省エネ防御。この辺はムエタイ経験者らしい駆け引きの上手さを見せます。井岡のフックを外に払うアムナット 強くて上手いタイ人! 結局後半動きが落ちたアムナットを井岡は捕らえきれずそのままゴング。まともなクリーンヒットは試合を通じて殆ど無いと言う井岡にとっては悪夢なような展開となりました。2-1という判定結果については、自分には井岡勝利につけたジャッジがいたことが信じられないくらいアムナットが支配した試合と見えました。あの上手い速い井岡をここまで完封したアムナットに感動しました。会場を後にする井岡応援団の皆さんは判定に不服そうでしたが、個人的には大変面白い試合でありました。 サッカーの三浦知良が「失敗してトップ記事になるのが一流選手」と言う名言を残してますが、一翔君も若くしてその境地にあるということでしょう。月並みな言い方ですが敗戦を糧にして更に強くなってほしいと思います。 というわけで大変満足した興行でありました。 あの展開でリードしているという自己分析はちと問題があるのではないかと感じた(旧徳山と長谷川が好きです)
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08
2014
高山×小野はかみ合わない展開を動かして打撃戦で決めた高山選手の気風が素晴らしかった。小野選手は中出トレーナーの予想通り変則でやりにくい素晴らしい選手でした。しかしダウンが無かったらドローと言うジャッジはちと厳しいのでは? アムナット×井岡はアムナットの技術にただただ感動。いやー徳山昌守思い出したわ。こんなうまい選手いるんですね。左アッパー凄いよ。井岡につけたジャッジは?でした。 中谷と戦った原田門戸がスゲー印象的だった(旧徳山と長谷川が好きです)
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05
2014
Part1は→こちらから Part2は→こちらから Part3→こちらから Part4→こちらから 所属ジムを離脱した経緯についてはPart1のⅡ章に書いた通りですが、その後いかにしてジム経営者・プロモーターとなったのか?その経緯を伺いましたⅩⅢ.ジムオーナーへの道 山口「JBCのジムやめて、練習するとこないから地元のアマチュアジム行っとったんですよ。ほんならオーナーの人が『教えるやつがおらんから山口くんやってくれへん』っていわれて。」HB「その時年齢は?」 山口「28,9ですかね。で『おっ月謝払わんでええからラッキーやな』って思って。会員に誰か入ってきたら歩合で入ってくるっていうし。」HB「それが経営者感覚というか『教える側になればお金がもらえる』という体験の原点ですね。」 山口「でもしんどいんですよ。自分の練習の時間とられるからね。」HB「それはそうですね。」 山口「それで手探りで教え始めて。地元で僕がやるって言うたら会員も増えてきたんですけど、そこのジムが狭かったんですよ。段々自分が練習する場所も無くなってきて。それでオーナーの人に『もうちょっと広いところに移れないんですか?』って聞いたんですけど『ちょっと無理やわ』っていうことやったんで、じゃ自分の練習も出来へんし独立してやりますわって。」HB「僕昔この辺に住んでたんですけど、天神ジムの場所って前はエアロビとかやるスタジオでしたよね?」 山口「そこは同じフロアの奥に今もありますわ。あの場所もたまたまね、高山(勝成選手)と天満に中華料理食いに来た時に、ぷらら天満(天神ジムが入っている市場の名称)に来たら今の場所が空いてたんですよ。それで市場の人に聞いてみたら『明日工事入って潰す』って言うから『僕今ジムする場所探してるんですよ』ってお願いして。」HB「凄い偶然ですね。」 山口「運が良かったんです。でも自分がジムをやったことが結果的に良かったんか悪かったんか一概には言えんと思いますよ。逆にその分自分のこと出来へんかったとも言えるし...。『お金は全部出したるからフィリピンにおって練習しとけ』って言ってくれた人もいたんですけど、でもそれは自分としてはなんかちゃうなと思ったんですよ。やっぱり僕は地元で応援してもらってるから自分があるっていうのがあったから。だから地元で動いて応援してもらって海外で試合するという形なら出来ると」HB「後援会の人は今まではIMPホールや府立やっていうのからいきなり、シドニーやメキシコやマニラやってなったのはどう思ってるんですか?楽しんでくれてますか?」 山口「喜んでくれてますよ。今度もフィリピン来てくれるって言うし」HB「そういうのって体験としてなかなか出来ないことやから凄くいいことやと思いますけどね」 山口「僕からしたらありがたいことですよね」 私が前々から感じていたボクシングの良さというのはこうやってローカルなシーンと世界とがダイレクトにつながっていることだと感じていたので、この話には大変感銘を受けました。おらが町のボクサーが世界を股にかけて試合をしているのを一体になって応援するというのは、私も含む市井の人間にはなかなかに得難い体験であると思います。そうやって平凡な毎日に一時の祭りを提供するのもボクサーの大事な仕事だと思えてなりません。ⅩⅣ.ホテル興行で大反響 自主興行のポスター HB「もう一つ、ホテルの宴会場で興行したときものすごい集客だったというのを聞いたことがあるんですけど」 山口「あれは未だにホテルのほうから『もう一回やってくれ』って言われるんですよね。来た人にも凄いインパクトがあったらしくて『あれは次いつや?』って今でも問い合わせがあるらしいですわ」HB「なんでホテルでやろうと思ったんですか?」 山口「オーストラリア行った時にねメシ食いながら試合見るって言うのやっとったんですよ。それ日本ではやってるとこないから、やったらいけるんちゃうかと思ってね。だからディナー席言うのを作って、ボクシング見れて飲めて食えて一人10万円のプラチナチケットにして。」HB「見た人はみんな満足して帰ったんですか?」 山口「みんな面白かった楽しかった言うて帰って行きましたよ。今までそんなん誰もやってないから。終わった後またないんかって問い合わせが結構あったらしいですから。」番外編 高山勝成選手高校入学の真相 HB「もう一つ、高山選手の高校入学は山口さんが関係してるって聞いたんですけど」 山口「あの高山が入った菊華高校に僕の高校時代の恩師がいてるんです」HB「あーそういう縁があったんですね」 山口「その人はもともとボクシングが好きなんですよ。僕の試合もデビュー戦から見に来てくれてるし。そういうつながりで今でも(菊華高校に)走りに行ったりしてるんですよ。学生のとき思い出して『あーあの時こんなしんどいことやっとったな』ってモチベーション上げるために。高山連れて行ったりしてて。」HB「そういえばこの間、高山さんと中出さんに話聞いた時に野球部と合同練習したりしたって言ってましたわ」 山口「タイヤ引きとかね。知ってます?タイヤ引き。」HB「あの『巨人の星』でやってるやつですよね。」 山口「そうそう!普段あんなんこの辺で出来ないじゃないですか。」HB「この辺では無理ですね(笑)」 山口「でも俺ずっとやりたいな~って思ってたんですよ。高山に言うたら『自分もやってみたいです』って言うから一緒にタイヤ引きやったりね。」HB「二人でやったんですか?」 学校のグラウンドでボクサーが二人でタイヤ引きしてる図はちょっと異様な雰囲気のような気もしますが、とにもかくにも以前から交流は続いていたようです。 山口「たまたま去年の末に高山と名古屋行くことがあったから、『じゃ菊華高校行こうぜ』てなって、『おかげさまでチャンピオンとりました』って挨拶に行ったんです。菊華高校は今スポーツに力入れてるんで、ボクシング部の監督になれへんかって話を貰ってたんですよ。その流れで『そういや高山は高校行ってへんよな?俺ボクシング部の監督やるからおまえ高校いけや!』っていうて。高山も最初は『何言い出すんスか!』って言う感じやったけど、だんだんやってみようか言う感じになって来て。」 恩師の後押しもあってトントン拍子で入学となった高山選手。いささか唐突な提案に戸惑ったとはいえ就学の機会を得られたことは素晴らしいことであると思います。菊華高校の学生諸君も世界チャンピオンと机を並べて勉強できるのはとても幸運なこと。そしてヤマケンのアイデアを柔軟に実現していく菊華高校の恩師の人物のデカさも大変印象的なエピソードでありました。 みんな柔軟すぎるよ...。『こまいち』のレジの横にあった入学式での高山選手と女将さんのしっくりしすぎているツーショット 『こまいち』の女将さんについてPart4をご参照下さい→こちらから エピローグ 試合について 5月10日フィリピンマニラで行われる山口選手の試合ポスター なぜかストロベリーパンチというボクシングらしからぬファンシーなネーミングのイベント HB「フィリピンの相手は世界ランカーですか?」 山口「WBOの13位ですね。」HB「サウスポーですね。強いですか?」 山口「強いと思いますけど日本でやったら勝てると思います。でもフィリピンではフィリピン人頑張るんでね」HB「試合に勝ってまたインタビューさせて下さい」 という訳で二時間くらいの取材で長大なインタビューとなりました。 私が山口選手について感じたのはとにかく発想が柔軟だということ。そして徹底して経験と直感を大切にして生きている人だなあと感じました。アイデアを実現していくバイタリティもさることながら、人間関係を大切にしているところも大変印象的でした。 組織の庇護を受けず等身大で地域に根を張りながら世界の市場に臆せず飛び込んでいくという彼のライフスタイルは、大袈裟でなくグローバル時代に入った日本人のあり方として一個の未来図ではないのかとすら思えました。 というわけで『この人を見よ!』という感じで今後も末永く山口選手の動向をお伝えした行きたいと個人的には思っています。 二回くらいのつもりが五回になって驚いている(旧徳山と長谷川が好きです)
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05
2014
裁判所の建物に入ると直ぐにセキュリティチェックが待っている。 飛行機を利用する時と同じ要領だが国際線のそれよりは金属探知機の反応は鈍い。 いつもはこれに引っ掛かるズボンのベルトを外すことも無く通過すると、受付に本日行われるの裁判予定が全て書かれたフラットファイルが置いてある。 それを片っ端からめくって探すわけだが、原告被告の名前や名称が分かっていれば見つける事にそれ程の苦労も無い。 自分はこの日以前に4月11日に636号法廷で開かれた原告側の最終証人尋問の傍聴をしていて要領は解っていたので気も楽だ。11日の内容についてはいやまじでさんが以下の記事で冷静詳細に記しているのでこの日の詳細も後記に託し譲るとして。JBC裁判傍聴記 20140411 JBC問題概観(年表付) 20140420 何ゆえ当事者でもジャーナリストでも無い自分がこの民事裁判を傍聴しなければならなかったのか、そして何故書かなければならないと思ったのか、もう一度記しておかなければならない。 簡単に言えば理由はふたつ。 ひとつにはあれだけの大騒ぎのわりには、いまだに誰もちゃんと書かないから。 その間にも事実に基づかない事も含めて、一方的な世論の形成が行われようとしている気配がある。 いくらボクシング界が村社会とはいえ、実際に傍聴席には大手新聞社の記者がちらっと見掛けられたようだが専門誌記者の顔は見えなかった。 これには正直驚いた。 報道は結果を見なければ書けない事も理解している。 しかし、この裁判はもう大詰めを迎えていて、あとは5月28日の被告側最終尋問を残すのみである。 予定では4月30日この日の被告側証人尋問が最後と思われたが、原告側の要請があったのか意外な展開になっている。 裁判官は判決文を書くにあたって、さらに被告側証人の話しを聞きこの組織の実情を知っておきたかったのではないか?そこに興味を示したのではないか?とさえ思えた。 それにしても、この事件の一部分を既に法的根拠を待つ事無く断罪した専門誌は謂わば当事者ではないのか。 法廷を超越したところで確信があるのか知らないが、経過を見ずに結果だけをひたすら待つのだろうか。 これは重大な事だと思う。 いや、自分が気付かなかっただけで本当はいたのかな? もしそこに居たなら是非とも今日のこの裁判の事を専門誌は当事者として書いて欲しい。 裁判の結果が出てからでもいい。 人権や法律を無視してでも書かなければならなかった本当の理由を。 ふたつめは、これは大した問題では無い。自問自答である。 つまり自己満足に過ぎない。 だから、特別に他の同調を求めるものでも無い。 しかし、今やっておかなければ絶対に自分が後悔をする。 残念な事に自分はふたつの事が同時には力を注げないのだ。 だから、自分自身にけじめを付ける。 ボクシング業界を揺るがせた安河内 剛 前事務局長への疑惑は、全国のボクシングジムやボクシング関係者に送付されたという怪文書を発端としたもので、当初は愛人問題と称する下劣極まりないスキャンダル報道に繋がったものや、不正経理疑惑という刑事事件までを匂わすもの、そして部下に対するパワーハラスメントのほぼ三本柱だった。 事の経緯はすでにこのブログでも何度も書かれているので端折るが、自分は一部メディア報道を大本営発表のように信じ鵜呑みにし、やがて声を上げた。 馬鹿だ。まさに衆愚と言っても良い。自分自身で確かめようともせずに。 はたして自分が馬鹿者なのか、大馬鹿者なのか?少なくとも賢くない事は解っている。 だから正直に感じた事を書きます。 約2年も続く裁判が進むに従い事の全容が明らかになって来た。 既に怪文書による疑惑は一部を残して霧散した印象だった。 午前10時、裁判は定刻通りに証人の宣誓から始まった。 先ず不正経理については、やはり今回もそれを裏付けるものは何も出なかった。 愛人スキャンダルについてはどうやら裁判所の事実認定にも、もちろん解雇理由にもなりそうにない雰囲気だった。 断っておくがこれはあくまでも自分の感想だ。 初めに証言台に立ったのはコアなファンの間では有名な元レフェリーで当時は試合役員。 今は職員となって事務局の重要な役職についている人だった。 かつてはこの人のレフェリングが好きだったが、今はもうそれが見られないのは個人的には残念に思う。 だが、この日はあの流れるようなレフェリングとはいかなかったようだ。 原告側弁護士の厳しい尋問に戸惑う場面が度々見えたが、これは慣れない法廷での事で仕方ないか。 被告側弁護士より盛んにJACなる別団体を画策した証拠として内部メールの内容が列挙され、これを元に懲戒解雇理由に当たると言うわけで、これまでも延々と述べられた。 だが、果たしてこれがその理由に当たるかは正直無理があるように思えた。 何故なら言われる所の別団体の確立に向けての具体的あるいは現実的にそれが行われた事実の証拠とはそのメールが成り得るのか?自分には判断が出来なかったからだ。 そもそもだ。怪文書と共に不正経理とスキャンダルとパワーハラスメント、これが当時第2コミッションを作ると言って業界に揺さぶりをかけた人達の事務局長降ろしの根拠だったはず。 さらに言えば発端となった怪文書を盾に辞任を求めた経緯からは、そもそもだが、その怪文書を作って出したのは誰なんでしょう?という疑惑も湧いてくる。 以前あるボクシング関係者からは「あのやり方は間違っている」という話しを聞いていたので尚更そう思った。 これも明らかにして欲しいと思う。 一々怪文書が出たら辞めなくちゃならない業界って何なの?と思うからだ。 もう怪文書だらけだ。 最終局面のこの裁判の争点は後から被告側から出て来た別団体画策疑惑。 これの有無。もはや被告側の言い分はこれしかないように思えた。 しかし、これが後出しの理由なのは上の年表を見ても明らかに思える。 どういう結末が待っているのだろうか。 もう一つ、盛んに元事務局長の人望の無さが取り沙汰された事があったが、被告側証人として立った元レフェリーへの最後の尋問は特に印象的に見えた。 「貴方は原告に対して恨みを持っていたんじゃないですか?」にはキッパリと 「十年来の友人ですから、それはありません」 「貴方はコミッションから3年以上毎月十万円の金額を受け取っていましたね?」 「そして安河内事務局長の時にそれを打ち切られましたね?」にはこれまた勢い潔くキッパリと答えた。 「その通りです」 傍聴席がざわついて、まるで法廷ドラマを観ているような錯覚に陥った。 そのお金がどういう性格のものかまでは解らなかったが、何れ明らかになるのだろう。 実に印象的だった。 4月11日の尋問で原告である安河内元事務局長は「コミッション組織改革の一環として経理の透明化一本化を目指した」という主旨の回答をしていたからだ。 次にもう一つの争点となるパワーハラスメントがあった事を証言する職員が証言台に立った。 このパワーハラスメントについては、これはどうやら事実としてあったという印象を持った。 何故ならこの職員の訴えに鬼気迫るものがあった、というより憎悪や恨みの念までを感じたからだ。 執拗な部下への叱責は尽く理由あってのものだとも思うが、部下がそれをどう取るかは受け手だけの問題ではないはずだと思う。 裁判には証拠あるいは陳述書として挙がったかは判らないが、自分(B・B)の実際の聞き取りでは、叱責を受けたとする他のある職員はパワーハラスメントとは感じずに、むしろそれをバネにしようとしたし、部下への愛情と受け取った者もいた。 あるいは退職した者の中には当時は上司の厳しい叱責を嫌ったようだが、退職後に「あれはボクシングに対する愛情だったと今は思う」と告白した者もいた。 しかし、反面「絶対に許せません」と本当にこの上司を憎んだのであろう証人が出廷した。 マンパワーコントロールとでも言ってしまえば余りに情の無い話しだが、傷つきやすい人間もいる事は確かだ。 体育会系上司はどこにでもいそうだが、もうその時代では無い気がする。 打たれ弱いと言ってはこの証人に気の毒だが、互いに膝を詰めて話し合う機会は本当になかったのだろうか。 余談だが、この安河内氏は一滴も酒を飲まない。 体質なのか体が受け付けないらしい。 ユーモアもウイットもとびきりのものを持っているのだが、呑べぇの自分としては実に残念だ。 上司たるものコミュニケーションの引き出しは幾つも持っていた方が得だと思う。 真っ正直にワンツーしか打たなければ、この海千山千のリングを渡っていけない。 自分に愚直なボクサーは僕は大好きだが。 いやこれは余分だった。 しかしだ。この職員に対して裁判官の最後の尋問は厳しいものだったと思う。 もしかしたら、裁判官は僕とはまったく違う印象を持ったのかも知れない。 それはこれまでのパワハラの訴えを金槌で打ち砕くような冷徹な尋問だったと感じた。 「スキャンダルや不正経理が無いとされた今でも懲戒解雇は妥当だと思うか?」という主旨の尋問を裁判官から受けた被告側証人は「一般論で言うとそうだと思う」と答えた。 さらに裁判官は「貴方の一般論ではなく、法的根拠は何か?」と尋ねた。 「そうした怪文書が出た事自体がトップとして失格で自ら辞めるべきだと思う、一般的には」という主旨の回答だった。 まるで追及のようだった。 「一般的にとは一体誰の事か?」 「友達です・・」 簡単に言えば仲間がそう言っていると述べているだけで、具体的には何も示す事が出来なかったのだ。 傍聴席からは、ため息が洩れた。 そう言えばある日、原告側証人の一人に聞いた事があった。 「担当裁判官はとても聡明な方と思う。この裁判官の裁定ならどの様な結果をも受け入れられると思う」 感じ方はそれぞれだ。 しかし、この民事事件に関わる事について、あれこれ書いたり言ったりする人は、少なくとも自分の目で感じて確かめるべきだ。 ここで繰り広げられている事は単純に裁判の勝ち負けだけでは無い事が手に取るようにわかるだろう。 ボクシングが好きなら特に解るはずだ。 僕は長い尋問と証言や陳述のやり取りの中この女性裁判官の表情を見てこの裁判の行く末が見えたと感じ、最後まで傍聴せずに法廷を後にした。 続く
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05
2014
●WBA・WBC世界ウェルター級統一戦 メイウェザーのディフェンス、とりわけL字ガード、スウェー、ショルダーブロックを打ち崩すのは、マイダナがブローナーをダウンさせた追尾式ミサイルのような足の長いパンチがではないかと思っている。 実際この日アンダーでブローナーと対戦したモリーナが繰り出したオーバーハンドは、マイダナがブローナーにヒットさせた左ロングフック同様大きな脅威になっていた。 その追尾的パンチがはたして当たるか、それを焦点に試合を見ていた。 当たらなかった。 マイダナは、自分のできることは最大限やったであろう。左ジャブ、右のオーバーハンド、左フック、離れ際のアッパー、とにかくパンチは繰り出した。中盤の失速もブローナー戦ほどはなかった。ただ、クリーンヒットが少なく、与えたダメージはわずかだった。 この日のメイウェザーは、序盤あまり足を使わず、前に出ながら、ある程度マイダナの距離で戦った。相手の前への勢いをつけさせないためであろうが、やや相手を過小評価した面もあると感じた。実際マイダナのエネルギッシュな攻撃に手こずり、最後まで苛立っていた。 それでも中盤以降はマイダナの動きを読んだメイウェザーがクリーンヒットを奪って判定をものにした。 予想通りの展開だが、最後までマイダナの一発がありはしまいかと思うほど、マイダナは頑張りを見せた。 しかしメイウェザーの情報収集能力と分析能力が上だった。マイダナの追尾の電波をメイウェザーは遮断した。マイダナのパンチは柳に吹く風となった。 メイウェザー、次にやってほしいのはダニー・カルシアだ。 **** この日最も印象的だったのは、ブローナーのオーラの消え具合。 第1R、モリーナのプレッシャーに適正な距離をとれなかったこと、そもそもモリーナがブローナーを恐れていないことが、現在のブローナーの位置をよく表している。 ブローナー自身、相手が以前のように倒れてくれないことで、より一層強いパンチを打とうと、前傾する、踏ん張る、上半身を過度に緊張させる。その結果ディフェンス面で反応が遅くなっていた(特に序盤)。 かつてのリツォー戦やデマルコ戦のような上から目線の、相手の眼から闘志の火を失わせるような戦いではなかった。ふつうに頑張っているボクサーであった。おそらく遅れてきた階級の壁に彼も苦しんでいるのだろう。だから1階級下げてタフな相手を再起戦に選んだことはそこそこ評価している。 by いやまじで
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03
2014
パート1は→こちらから パート2は→こちらから パート3は→こちらから Ⅸ.ボクサー山口賢一 はいかに誕生したのか? ここらで原点にかえりまして、ボクサー山口賢一 はいかに生まれたのか?その経緯を伺いましたHB「プロフィールによるとNS学園(某大物お笑い芸人の出身校としても有名な全寮制のスパルタ学校)出身と言うことですが」 山口「僕は野球の特待生で入ってるんですよ」HB「そうなんですか?なんでボクシングを始めたんですか?」 山口「それはうどん屋のオバハンですわ」HB「うどん屋?」 山口選手が現在ジムを構える大阪天満で、ボクサーやボクシング関係者が集う店として有名な『こまいち』 という食堂。その店の女将がボクサーヤマケンの産みの親と言ってよい存在だったのです。 最近改装された食堂『こまいち』と山口選手 高校を卒業し大阪で働き始めていた山口少年は、いかにしてボクシングと出会ったのでしょうか? 山口「高校出てこっち帰ってきて、梅田の大東洋の横のバッテイングセンターでバイトしとったんですよ。その仕事が終わった後、そこのうどん屋によう飲みに行っとったんですよ。その当時はまだこの辺でそんな朝まで酒飲めるようなとこはそこくらいしかなかったんですよ。」 山奥にある全寮制のスパルタ高校で野球部に所属していたという状態から、いきなり自由になった山口少年が当時感じていたであろう開放感は想像するに余りあります。悪友と酒を飲んで朝まで過ごす日々を楽しむ山口少年に、ある日うどん屋の女将が声をかけてきます。 山口「『あんた~エエ若いもんが酒ばっかり飲んでへんとボクシングし』って言うて来て。うっさいの~と思とったんですけど『ボクシングのチケットあげるから一回見に行ってみ』ってチケットくれたんですよ。3000円って書いてあるから『金いらんの?』って言うたら『タダであげるわ』って言うから、ほんなら一回行ってみよかって。で見てみたらね、出てる選手の運動神経とか、これやったら自分でも出来そうやなと思って」 この辺は野球の特待生で進学したというくらいですから、きっと運動能力に自信はあったのでしょう。HB「それまではボクシングは一切視野には無かったんですか?」 山口「無かった。まあ言うたらオバハンがきっかけを与えてくれたというか。最初は『そんなんやれへん』って言うてたんですけど、オバハンがとにかくひつこいんですよ!ひつこい!」 女将のしつこさに根負けする形でボクシング始めることを決意した山口少年は、当時の遊び仲間と袂を分かつことになります。 山口「その当時つるんでた仲間ね、まあ言うたら悪いじゃないですか。『もう俺ボクシングやるから』っていうて『ほんならもうええわ』ってなって。で僕がボクシング始めてすぐそいつら全員捕まってもうて」HB「じゃ良かったんじゃないですか!(笑)」 山口「そう!良かったんですよ」 悪の道一歩手前でボクシング界に足を踏み入れたことで辛くも逮捕を免れたという山口少年。このころから偶然や人の縁に恵まれていたようです。Ⅹ.プロテスト、タイ修行 HB「ジムはどういう基準で選んだんですか?」 山口「最初こまいちのオバハンに勧められたジムに行ったんですよ。でも見に行ったら汚いジムやったんですよ。なんか暗いし、トレーナーもおらんし。で月謝みたら12000円でしょ。うーんこんなもんか…って思って」 そこからどうやって所属の大手ジムにたどり着いたのか。 山口「こまいちのオバハンが『あそこだけは行くな、絶対アカン』って言うてたとこなんですよ。そこは大手やったからオバハンはそこのアンチやったんです。でもそんなん言われたら逆に気なるじゃないですか。ほんで見に行ったら、きれいやしめっちゃ人おるんですよ。活気が全然ちゃう」HB「ボロボロの寂しいジムと、ピカピカの活気のあるジムとどっちがええかと」 山口「同じ12000円出すならこっちやろと。誰でもそうやと思いますよ。でもそこに入ったことはこまいちのオバハンには隠しとったんですよ。店にもしばらく行かへんかったんです。そうこうしてたら一年くらいで僕がプロテストに合格したんですよ。そしたらそれが新聞載るでしょ。それ見たんでしょうね朝の六時くらいにいきなり電話かかってきて朝はよから誰やねんと思たら『こまいちのオバちゃんやで~アンタ一発で合格するなんか凄いやんか!』って。なんで知ってるねん、すごいオバハンやな思て。」 ボクサーヤマケンの産みの親こまいちの女将さんと山口選手 サリド戦のきっかけとなったWBOアジアパシフィックのベルトもこまいちの店内に飾られている ベルトと山口選手 よく見ると修理痕が...サリドとの世界戦とこのベルトの関連はPart2をご参照下さい→こちらから 実はこまいちの女将は店に出入りするトレーナーから山口選手の近況を逐一仕入れていたそうです。げに恐るべき情報網ではありませんか。こうして晴れてプロボクサーになった山口選手にある転機が訪れます。 山口「タイのチュワタナに練習に行ったんですよ。でそこでポンサクレックとかウイラポンともスパーリングすることがあって。その時に強いけどどうもなれへんということないな、と思ったんですよ。」HB「強いけど工夫次第でどうにかできると言う感じですか?」 山口「あいつらの生活ってボクシングだけじゃないですか。これと同じ生活になれば絶対いけるなって言う自信はありましたね。」HB「ボクシング漬けになればあそこまでいけるということですね」 山口「だからタイから帰ってきて生活リズムも変わりましたね。バイトも三つも四つもやってたのもやめて。月にかかる経費なんか実家におったら知れてるじゃないですか。ジムの月謝と携帯代、メシ代だけあったらええんやから。それで空いた時間はとにかく練習しよと」HB「それはタイのトップ選手見てここまでボクシング漬けにならなイカンなと思ったと言うことですか?」 山口「結局プロ意識ですよね。世界チャンピオンになろうと思ったら24時間ボクシングのこと考えとかなアカン。その環境作りですよね。」 このタイでの海外ボクシングの原体験が現在の山口選手のキャリアを決定付けたようです。ⅩⅠ.ネットカフェ難民が天皇に直訴! 国内でもトップ選手とのスパーリングを重ねてきたという山口選手。 山口「長谷川、名城、粟生、山中、下田色んな選手としましたよ。こいつには敵わんとおもったことは一回もないです」 ちなみに山口選手が一番強いと感じたのは下田選手だそうです。これは身体能力を重視する山口選手のボクシング観が出ている面白い視点だと思います。 タイから帰国後、山口選手は上京し泊まりこみで帝拳ジムに出稽古に通う日々を過ごしていました。 山口「3ヶ月くらい東京おったんちゃうかな?泊まるのは漫画喫茶でね。まだニュースとかでネットカフェ難民やなんやって出る前ですよ。だから僕がネットカフェ難民の第一号ですよ!」HB「そこでもパイオニアですか!(笑)『ここやったら泊まれる』って気付いたんが俺や!と(笑)」 山口「そうですよ。で帝拳のジム通ってる時に、たまたま関西の知ってるトレーナーの人がおったんですよ。で『お前どこ泊まってるねん?』って聞かれたから『漫画喫茶です』って言うて、そしたらエーってなって。『いま泊まってる部屋がツインでベッド一個あいてるから泊まるか?』って言われて、『ええんすか?』言うてホテル行ったんですよ。」 この何気ない誘いがヤマケンイズム全開の事件を引き起こします 山口「でそこからホテルに泊めてもらってたんですけど、粟生の日本タイトルマッチが終わった時に『みんなでメシ食うからお前も来るか?』って誘ってもらったから、『ええんすか~』言うてええホテルやから何食えるんやろと思って行ったんですよ。そしたら本田会長とか色んな人がおったんですけどなんかみんなしょうもないカレーかなんか食ってて」HB「しょうもないカレー(笑)」 山口「まあ出してもらってるから文句言うたらアカンのですけど。で仕方ないから自分もカレー食べて」HB「みんなカレーやから仕方ないですよね(笑)」 山口「でも、メシ食ってても全然おもんないし、みんな黙ってるから本田会長に『ちょっと聞きたいことあるんですけど』って言うたら『おうどうしたの?』って聞いてくれたから『日本タイトルマッチしたいけど、どうしたらいいんですかねえ?』っていきなり聞いたら『そりゃ自分とこの会長に相談しないとダメだろ~』って言うから『いや出来ないんですよ。やる気ないからね』って言うたら『そりゃ移籍するしかないだろ~』ってなって」 なんとネットカフェ難民が本田天皇にまさかの直訴!田中正造と山本太郎の間にヤマケンがいたとは歴史の盲点でありました! 山口「そしたら俺を連れてきてくれたトレーナーの人は『コイツ何言い出すねん』って言う感じになって(笑)。でもその時は本田会長は紳士的に話してくれて。ちゃんと話聞いてくれましたよ。」 この話を聞いた私は天皇だなんだと遠ざけられがちな本田会長も実はこうやって若いボクサーから意見をぶつけられたいのではないか?とふと思ったのでした。 とび出す形で辞めたかつての所属ジムもにしても、無名の若者にこうして色々なチャンスを与えてくれた舞台でありました。 山口「だから色々あったけど今でも元おったジムには感謝してるんです。あの時が無かったら今も無いわけですから。」 というわけで一向に最終回になりません!次回こそ本当の最終回です。 連載が長くなりすぎて恐縮している(旧徳山と長谷川が好きです)
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