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HARD BLOW !

前日計量は否か?

ウチ猫さんが前日計量について触れられたので、自分も別の視点として意見発信したいと思います。
コメント欄で書いたのですが、長文過ぎてはじかれてしまって記事投稿になりました。ブログ管理者の一人としての特権であります、お許しください(笑

先のIBF、WBA統一戦におけるソリスの大失態、大晦日の宮崎選手減量失敗によるショッキングな報道と続いて、ここのところボクサーの減量や前日計量について巷でも疑問視する声が聞かれますので、自分なりに考えてみました。

先ず、当日から前日計量に変更された背景には欧米でのボクシング廃止論があったと自分は認識してます。
安全管理の名目ではWBCのラウンド数変更が先にありましたね。
世界戦において長きにわたり15回戦制が確立していた訳ですが、そう忘れもしないWBAライト級戦での悲劇です。
マンシーニとの壮絶な打撃戦の末敗れた金得九の悲劇がボクシングの安全管理について大きな問題提起となったのは間違いない。
これは後に映画にもなりましたが、金選手の肉親やこの試合を捌いたレフェリーまで自殺するというショッキングなニュースは英国を中心にした90年代後半のボクシング廃止論(以前からあったがこれを機に一気に再燃)に繋がる訳です。
はじめに問題視したのはWBCで世界戦におけるラウンド数の変更にWBAが追随。
さらにグローブ重量の変更、計量時間の変更と繋がって行くわけですが、ボクシングがスポーツとして生き残る為に競うように両団体でルール見直しがあった。
これを境にボクシングという競技そのものが大きく変わったとも感じています。
安全管理の根拠を元にというより世論に過敏になっていた、世論に対するアピールの時代だったと思います。
この歴史認識に間違いがあったならゴメンナサイですけど。

余談ですが、昔の(ルール変更前の)ボクサーと今のボクサーとどちらが強い?というファンにとっては楽しいテーマがありますが、それぞれのルールにアジャストしたスタイル、戦法戦略があった訳でこれを勘案しないと想像に過ぎないにしても、これだ!という答えは中々出て来ない。

さて今ではラウンド数もグローブ重量の変更にもその根拠について懐疑的な声はありますが当時、前日計量については専門誌か何かで「選手の体力回復がリング禍防止に繋がる」と読んだ記憶がありましたが、「あくまでも実験的にと言う事でそれが立証されるのはこれから」という内容だったと思います。しかし、変更後に事故が増えたことは事実として周知されてますね。
前日計量で選手の体力が大幅に回復するというのは容易に想像出来ましたが・・。
試行錯誤の歴史は無駄ではないと思いますが、良い結果が出無いのであれば原点に戻る勇気も必要と自分も思います。

しかしその反面、大幅に体重を戻してリングに上がる選手が大半で、そもそもの階級制スポーツとして疑念が湧くと言う事についてですが、良く良く考えれば当日計量の時代でも同じ事は言えたと思います。
昔のボクサーは比べるとやはり体が頑健だったのか、20kg近いといわれた減量の代表?ファイティング原田さん、ガッツ石松さんなどは計量後の僅か6時間後には半分くらい体重を戻したとどこかで聞いた記憶があります。
世界チャンピオン故大場政夫さんもフライ級(50.8kg)でありながら試合ではフェザー級(55kg超)くらいあったんじゃないでしょうか?
しかし、増量の中身はほとんどが水分。「乾いたスポンジに水が浸み入るよう」という表現がありましたが、過酷な減量で削ぎ落された筋肉が瞬間で戻る訳じゃないですね。

これも余談ですが考えてみると、今のボクサーと比べると昔のボクサーはリングインの時には既にたっぷりと汗をかいてました。これをもって最近は汗をかかないでリングに上がる選手が多いなと感じてましたが、以前のボクサーのそれはウォームアップだけで急激に摂取した余分な水分が流れ出た結果なのかも知れませんね。
だとすると必要なミネラル分まで失われていた可能性もある。
これは激しいスポーツをある程度やってた人なら経験上でも危険な事だと解っているはずです。

減量の目的は一般的に体格の利とも言われますが、それは本末転倒で本来は通常時の余分な脂肪と水分を抜いて戦える体を作る事。
自分の時は「ボクサーはサラブレッドと同じ」と教えられて来ました。
確かに減量を行う事により集中力も研ぎ澄まされ、体のスピードやキレも増します。
階級制の一番の要点はその階級に適した斤量=筋量であるかだと思います。
前日計量後の24時間で適正階級以上の筋量が増量されるかといえばそれも考えにくい事から、前日計量が階級制の否定には直ちにはつながらないのではないか?
こうして考えてみるとボクシングの階級制の本来の意味やまた前日計量の体力の回復という目的のメリットも見えてくる気がします。
ただ、これまでの過去の過酷な減量信仰は蔓延していて、間違った常識として伝わった可能性は大いにあると思います。
それだけでなく、ジムの戦略やテレビを含むメディアにも絡んで、選手に過酷な減量を強いる現象が起きてしまった。

2009年の日本ミニマム級王座決定戦の悲劇も記憶に新しい所ですが、それを受けてかその年7月に発行されたJBCセコンドマニュアルには啓蒙のその大半が選手の健康管理にあり、減量の危険性や正しい取り組み方について事細かく書かれてありました。
読んで感じた事は選手とボクシングを守るという理念が常に根底に流れていること。
現在はそれが生かされていないと心を痛めます。

ここに至って、当日か前日かよりも減量の本来の目的を浸透させること、その正しい方法を探るところに階級制スポーツとしての正統性と、何より選手を守る為に必要な議論があるのではないか?と思えて来ました。


選手をあんな状態でリングに上げる感覚が信じられない B.B