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HARD BLOW !

深刻事故を受けて ある文書から考える健康管理

 12月20日の後楽園ホールの興行で深刻事故が起きました。

以下にデイリースポーツの記事を引用いたします

試合後に意識不明…デビュー戦のボクサーが頭部の緊急手術
デイリースポーツ 12月21日(土)6時59分配信
 「ボクシング4回戦」(20日、後楽園ホール)

 スーパーフライ級4回戦に出場した岡田哲慎(21)=ランド=が、試合後に意識不明になり、都内の病院で頭部の緊急手術を受けた。急性硬膜下出血で、手術は成功したものの、意識不明の状態が続いているという。

 デビュー戦だった岡田は、同じくデビュー戦だった神山匡史(32)=フラッシュ赤羽=に4回TKO負け。その後、意識がなくなり、病院に緊急搬送された。


(引用以上)

 まだ21歳だという岡田選手のご快復をお祈りするとともに、ご家族にもお見舞いを申し上げたいと思います。

 安全管理をいくら徹底しても、ボクシングという競技の性質上事故というのは必ず起こる。その時にどのように対応するか、どのようなセイフティ・ネットが用意されているかが重要になります。そのセイフティ・ネットの最重要要素の一つが、公益法人時代のJBCが選手のファイトマネーから徴収し管理していた医療費目的の積立金、いわゆる『健保金制度』でした。

 今回のケースは、自己負担分の医療費を全額補償する『健保金制度』から10万円という支払い上限が設定された『健康管理見舞金制度』に改変されてから初めての深刻事故であり、制度の運用がどうなっているのかが不透明でした。そこで関係者に問い合わせたところ「JBCから支払われる以上の治療費がかかる場合は、ボクシング協会の積立金から支払われる」とのことでした。もともと協会の積立金は医療費目的ではないのですが、健保金制度がなくなり現在その積立金の使途が問題になっているため緊急避難的にとられる措置ということのようです。

 健保金制度の打ち切りを一方的に宣言したJBCと、積立金の保全と制度の維持をを訴える多くのジムオーナーが対立していることは既に記事化した通りであります。今回、健保金制度の維持を訴えるジム関係者が危機感をもって声を上げたことで、協会が積立金の運用を決めたのであり、このような尽力が無ければ今回の事故をなんの対策も講じぬままに迎えているところでした。まさに危機一髪です。

 このような関係者の行動の原点となった一枚の文書があります。本来は事故が起こる前に公開し、ファンに周知するべき物でした。そのことについては率直にお詫びしたいと思います。また結果的にJBC批判をするために不幸な事故に便乗しているかのような印象を与える事も事実でありましょう。しかし我々は決して「そら見たことか」というような目線で今回文書を公開するわけではありません。不幸な事故にどのような対処するか、業界のインサイダーもファンも情報を共有し真剣に討議する材料となるよう願っています。

8・15 要望書


 トクホン真闘ジムの会長佐々木隆雄氏とマネージャー舟木肇氏の連名で8月15日付けで提出されたこの要望書はJBCの秋山弘志理事長に当てられたものであり、健保金の廃止を一方的に通告してきたJBCに対する抗議の意志と、いつ起こるか分からない事故への危機感が強く滲むものとなっています。ここで挙げられている疑問点はすべて至極普通の感覚から発せられたものであり、原点にして網羅的であると言えます。特に末尾の「健保金をやめるというならJBCの存在意義ってある?」という指摘はまさに寸鉄を帯びた言葉と言えるでしょう。

 これに対するJBC側の8月28日付け森田健事務局長名での回答はこちらです

8・28 森田健 回答書 1
8・28 森田健 回答書 2



 そもそも質問にまともに答えていないのですが、その上「試合での事故の第一義的責任はジムにある」「制度の廃止でなく発展的解消だ」という見解も凄いものがあります。これは「網膜はく離になった選手を再びリングに上げる許可を出す」という制度変更の際に示された「何かあっても選手の自己責任でJBCは責任を負わない」という見解と軌一するものであり、JBCの健康軽視と無責任な体質が透けて見えます。

この回答書に対して再度、9月17日付けで要望書が提出されます。この要望書は20のジムの連名で書かれており、JBCだけでなくJPBAも対象となっています。

9・17 再度の要望書




試合での怪我はジムの責任というJBCの見解に異議を唱え、制度改変に対する統一見解を出せないJBCに疑問を呈しています。また先程のJBCの回答書に「JPBAにも周知している」旨の記述があったため、きちんと説明を受けたと言う実感が無い協会員がJPBAに緊急総会の開催を要望しています。

この20のジム連名の要望書を受けてJBC職員同席で行われたJPBAの緊急総会の報告書が以下の文書です

9・23 JPBA緊急理事会



「討議は紛糾した」とあるとおり、内容はまさに唖然とするようなものです。「このままでは選手が納めた積立金を食い潰してJBCの経営は破綻する見込みだが、有効な対策はない」と認めているのです。これは金銭にとどまる問題ではありません。明日にも起こるかも知れない事故対策のコストだったはずの健保金が日々消尽され、選手の健康が危機に瀕しているのです。

 亀田との闘争がさも重大問題のように耳目を集めていますが、JBCは下らないメンツ争いに血道をあげているヒマがあるなら健康管理の問題に真剣に向き合って欲しいと今一度申しあげておきます。

 そしてファンも「亀田憎し」で思考停止せず、ボクシングの未来を真剣に考えて欲しいと思います。

        (職能が無い人は退場して欲しいと考える)旧徳山と長谷川が好きです