HARD BLOW !

健保金問題 JBCと協会の対立が尖鋭化

 9月22日付けの朝日新聞のベタ記事を嚆矢として、一斉に広がりを見せた積立金問題ですが、ボクシング専門二誌には書店で立ち読みした限りでは記事はなし。『つまらない方』はともかく、『まともな方』が取り上げなかったのは残念至極ではありますが、一般紙とスポーツ紙に新たな動きがありました。朝日新聞以外に読売新聞と日刊スポーツが新たにJBCの財務問題の報道に参画して来たのです。

 10月19日の日本プロボクシング協会(以下JPBA)の緊急理事会を受けて、20日付けで出された一連の記事ですが、朝日・読売・ニッカンの報道姿勢には、それぞれベタ記事ながら微妙な違いがあります。先鞭を付けた朝日は「積立金の使用目的の適正化」のみに触れていますが、読売・日刊はJBCが2011年2012年と連続赤字になっていることに言及、日刊に至ってはJBCの財務状況をJPBA側の弁護士・税理士が調査するとまで報じています。本来統括・管理する側であるはずのJBCが調査の対象になるというのは明らかな異常事態ですが、赤字体質のJBCが「積立金は一般会計として消費する」と宣言しているのですから、このまま行けば数年で積立金は溶けてなくなる。JPBAとすれば一刻も早く残額を確定・保全したいところでしょう。乗り込んででも調査したいという心情は充分理解できます。

 「JBC健康管理基金の健全運営を討議する会」で頂いた資料を見るとJBC側は赤字体質についてなんら具体的な方策を持っていないようです。展望もなしに選手が積み立ててきた文字通り血の出るような金をただ消費していくつもりなのでしょうか?

 そしてJPBA会長とJBC理事を兼ねる大橋秀行氏は一体ご自身の立場をどのように合理的に説明するのでしょうか?以前指摘したように利益相反の関係にある両者が対立する局面となった今、矛盾しない行動をとることは不可能です。JPBA側からの批判を予め見越して、JBCが大橋氏を理事に据えているとも取られかねない。

 大橋氏は直ちにJBCの理事職を辞するべきだと私は思います。

                 
                  馴染みの激安居酒屋が閉店して寂しい(旧徳山と長谷川が好きです)

 

バンデージ記事に関するお詫びと訂正について

はじめに経緯を説明させて頂きます。
2013年8月25日に行われた日本ライトフライ級タイトルマッチにおいて、挑戦者の井上選手について「バンデージチェックの際のサインが無いのではないか?」との情報が疑義として寄せられました。
これを受けてただちにテレビ映像から検証、討議をしましたが、他にも寄せられたいくつかの映像からはこの時点ではサインが認められませんでした。
しかし、この映像では確かな検証が難しい事もあって、その後数人のボクシング関係者の聞き取りを行いましたが、その中で試合ルールの不明瞭部分や問題点がいくつか見つかり、ここはひとつの提起として継続的記事にすべきとの結論に至りました。
結果、それを優先する為に確定ではない写真を掲載する事になりました。
その後、ブログメールまた投稿欄において読者の方の指摘また情報があり確認したところバンデージチェックのサインが認められたという流れです。


記事の写真の掲載は不正等の糾弾の為では無く、インスペクターの監視体制に問題は無いのかという疑義が内々に生じたためで、これを前提に写真掲載に踏み切ったのは本記事管理担当の自分の判断であります。
確定と認められる写真映像がもたらされた事により、これ以上あらぬ憶測が選手また関係者に及ぶ事があるとすればこれは遺憾であり、またこちらの指摘する該当試合の管理体制に特段の問題点は見つからないとの判断に至り、記事の訂正と一部削除が妥当であるという結論になりました(訂正が完了するまで、当該記事をいったん非公開とします。完了次第再度アップいたします)。
お騒がせ致しまして大変に申し訳ありません。
心よりお詫びいたします。


また、これまでコメント欄だけでなく数々の情報、ご意見をお寄せいただいた皆様には心から感謝すると共に、これを反省としてまた糧として、より正確な情報をお伝えできるよう粉骨砕身してまいります。


本記事管理者 B.B

バンデージ

三谷ジムスパーリング大会 第16回戦気杯

今回で16回目となる三谷大和ジムのスパーリング大会「戦気杯」。
会場は前回に引き続き、八千代台駅前のショッピングセンター「ユアエルム」の4F屋上。ただし今回は駐車場スペースではなく、イベント会場に使用する「グリーンランド」にリングを設置することとなった。
ここは屋根もあるので万一の雨天の際も安心だが、その屋根が低いので圧迫感があるのではないか、いやその前に、頭がつかえる選手がいやしないかと心配になったが、三谷ジムの最長身・小林光希選手(182cm)で実験したところ、よほどの長身選手が飛び跳ねないかぎりは大丈夫そうだ。
逆にタイの試合会場のような雰囲気があり、広すぎて一体感が薄まるよりいいかもしれない。

リング


グリーンランド

いつものごとく、会場の準備が整う前から出場する各ジムが集まり始める。以前は、始まる前のこの時間帯がけっこうなパニック状態になったものだが、ここ最近はスタッフ側も選手側も慣れたもので、手際良く受け付けや計量を済ませていく。毎回多くの選手が参加するが、今回も約80試合が組まれている為、スムーズな運営にはひとりひとりの協力が不可欠、ということが浸透している証だろう。

また今回は千葉テレビが取材に来た他、勝谷誠彦さんの取材で関西のサンテレビも訪れる等、なかなか華やかな雰囲気。勿論それぞれのジムが用意したカメラも多数並んでいるので、これは選手の気分も盛り上がると思われる。

計量する中村トレーナー、斉藤選手


観客席


開会式の後、まずは中学生の部、高校生の部と続く。MVP候補の筆頭である三谷ジムの梅津奨利選手は残念ながら欠場したが、相変わらずレベルの高さに驚くばかり。このあたりの選手たちは、すでに競技経験が5年も6年もある選手ばかりなので当然といえば当然か。
手元の前回大会のパンフを参照してみると、たった半年前の前回大会であっさり負けた選手が、今回は優秀選手表彰に絡んだりしている。そういう選手が一人や二人ではないので、改めてこの年齢の成長力は素晴らしいと痛感。

中学生の部


この戦気杯、レフェリーやジャッジは出場するジムの方々も協力して行われるが、この日はその審判団にも注目が集まった。
まずレイスポーツからはズリ・カンナン選手とワイルドボア上田選手が参加。
毎回レイスポーツからは多数選手が参加しており、かつては「ぶぅ・かんなん」なんていう冗談のような名前の選手がいて、なんとその名前のままプロになってしまったりしている。よってズリ選手もたいてい会場には来ているが、ついに今日はレフェリーデビューとなった。


ズリ・カンナン選手


しかし、リングに立つという点では同じでも、戦うのと裁くのではまったく勝手が違うのは当たり前。思わずアタフタしてしまうズリ主審に、他のレフェリー連中から容赦ないヤジが飛ぶ(笑)。
しかし、一ヶ月後に大きな試合を控える中、ほぼ一日レフェリーとジャッジに奮闘してくれたズリ選手にはただただ感謝。ぜひ次回もお願いします(笑)。

そしてもう一人のスペシャルレフェリーは、あの不滅の大記録・日本タイトル22回防衛でお馴染みのリック吉村さん。自身のジムから女性選手が一人出場するということで来場したが、オヤジタイトルマッチのレフェリーを務めることに。
この試合はジャッジにも今岡会長や吉野弘幸さんが参加し、チャンピオンだらけの豪華な審判団となった。

リック吉村さん


このオヤジタイトルマッチ終了時点で、予定よりも30分くらい早い進行。プログラムを見ると、ここで多分昼休みだろうな、と思われたのでホッとする。というのも、この日の私の仕事は、松信秀和氏と組んでのタイムキーパー&ゴング係。よって勝手にウロチョロできないので、ようやく一息つけるな…と思っていたら、まさかまさかの「休憩なし」というアナウンスが!
そんなこまりますしんでしまいますころすきですか、と抗議するも却下。
日が落ちるとやりづらくなる為、不測の事態に備えて常に時間のアドバンテージを取っておこうということらしい。予めそれを想定していたことを示すように、用意されていた昼食がおにぎり弁当なのがニクイところ。

不貞腐れて、気を取り直して午後は小学生の部からスタート。が、ここでまたビックリ!この小学生選手たちのレベルが、まあハンパでなく高いのである。前から小学生選手を見るのは楽しかったが、やはりそれは「小さいのに頑張るなぁ」「子どもにしては上手いなぁ」という意味で、であった。

ちびっこボクサー


しかし、今大会の上位選手たちは、すでに「普通に」ボクシングをしている。打ち終わりを冷静に狙ってカウンターを取る選手あり、ジャブと見せておいて急に左の軌道を変えフックやボディを打つ選手あり…と、隣の松信氏とひたすら感心しながら見ていた。
この大会は、基本的に1ラウンド1分30秒でインターバルが30秒というルールだが、小学生のみ1ラウンドが1分となっている。その小学生達のレベルが凄いもんだから、見とれているとあっという間に1分がたち、ゴングを鳴らすのを忘れそうになるほどであった。
ここでも、前回の私のパンフに書いてあるメモでは完全ノーマークだった選手が「リトル西岡利晃」「ミニ内山高志」ともいうべき変貌を遂げており、非常に将来が楽しみである。


ハイレベルな攻防


この後は一般の部が、レベルによりA、B、C、Dの各クラスに分けて40試合近く行われた。ぶっちゃけ、いつもであれば疲れもでてきて、ややダレてしまう時間帯であるが、組み合わせの妙と選手の頑張りで、最後まで盛り上がった大会となった。特に頑張ったのが、今回で3回連続3回目となる、リングアナ担当の大倉氏。

初登場となった前々回は選手としてもリングに上がったが、その後はアナウンスに専念。だんだん慣れてきたこともあるが、この日は三谷会長とともに試合中の解説やヤジ(笑)にも大活躍。
いいパンチは絶賛し、バテてきた選手には檄を飛ばし、上に書いたように「さあ、レフェリー(ズリ選手)の方が舞い上がっておりますが大丈夫ですか?」などと突っ込んだり、最後まで奮闘。
わざわざ静岡から出てきたことも含め、スタッフの中では文句なしのMVPだろう(写真がなくてスイマセン)。


今岡会長

閉会式では、いつものごとく今岡会長が片づけの手伝いを呼び掛けくれて、それに多くの人が協力してくれたおかげでスムーズに終わることが出来た。
80試合というのは今まででも最多の部類に入ると思うが、何事も問題がなく、かつ選手たちのレベルや会場の雰囲気なども含め、過去最高の大会ではなかったかと思う。

ご子息がこの大会に出場するということで観戦に来られた、ローマ五輪日本代表の伊藤靖倖さんがコメントを求められ「この中から東京五輪に出場する選手が出ると思います」とおっしゃっていたが、既に複数の日本チャンピオンを輩出している大会だけに、その可能性は大いにあるだろう。
次回も大いに楽しみである。

健保金問題解決へ向けて

既報の通り、昨日行われた「JBC健康管理基金の健全運営を討議する会(以下、「討議する会」)」の会合に、当ブログから2名が参加させていただいた。
配布された資料や、約三時間にわたる会議のすべてをトレースするのは困難なので、この稿ではおおよその議論の流れと、今回の会議の一応の結論として出されたものをご紹介し、あとは追ってまた詳述する機会があればと思う。

10-06-01


この「討議する会」のメンバーは、会長に横浜さくらジムの平野敏夫会長・渉外担当に真闘トクホンジムの舟木肇マネージャー・事務局長に林隆治氏、そして相談役として、この日も名古屋から参加した緑ジムの松尾敏郎会長。そして、この主旨に賛同した約20のジムの会長ということになる。

平野会長、松尾会長の挨拶の後、まず舟木氏より以下の通り、これまでの経緯の説明があった。

◆◆◆

「8月15日、トクホン真闘ジム佐々木会長の名義で、JBC秋山理事長に対し要望書を提出。内容は、一般法人への移行と健保金制度廃止について、一方的な通知のみによることへの遺憾の表明と、健保金積立残高やこれからの使途、今後の制度運営等への質問」
  ↓
「8月28日、JBC森田事務局長より佐々木会長へ回答書」
  ↓
「森田事務局長の回答が満足の得られるものではなかった為、上記の20のジムの連名という形で、JPBAに対しては緊急総会の開催を、JBCに対してはその総会の決議が出るまで健保金改正を凍結する旨の要望書を提出」
  ↓
「9月21日、JPBA緊急理事会開催。大橋会長以下協会員が多数出席し、JBCからは森田事務局長以下、浦谷氏、荒井氏が出席。健保金はあくまで選手の怪我や事故の際にのみ使うべきという協会の主張に対し、健保金として徴収した金は一般収入として計上しているので、様々な経費等にも使うというのがJBCの見解で、議論は完全に平行線」
  ↓
「上記理事会の決定事項として、健保金の積立残高や使途をチェックする第三者委員会の設立を決定」

◆◆◆

この理事会の模様を伝えたのが件の朝日新聞の記事で、これによりこの件がさらに多くの協会員の知るところとなり、ここであらためて健保金運用のあり方等の検討をするべく、今回の会合を開催、ということのようである。

この後林氏より、JBC財務諸表の解説があり、ここまでの話をふまえて以下の点について討議することとなり、本会合の結論(JBC、協会への要望)として次の通りとなった。

① 健保金残額のこれからの運用について
このままでは早晩、健保金(選手の治療費用)として積み立てたお金が他の使途に流用され尽くしてしまうことは明白なので、早急に積み立て残額の返還を要求し、協会が主導して、従前のものに倣った新制度の確立を目指す。
② 新制度下での事故発生時の対応について
7月1日以降は、何が起きてもJBCからは10万円を超える金額は支払われないので、それを越える部分の負担分については、協会の方に積み立ててあるお金を緊急避難的に使い選手の救済に充てる(あくまで臨時措置の為、早急に上記①の新制度の設計を進める必要がある)。
  
以上が昨日の会合のおおまかな内容である。
「これまでの経緯」の部分については、私たちもちょうど上記したような簡単な経緯の情報は得ていたが、実際にやり取りされた文書を見ながら話を聞くと、これはもう唖然茫然としかいえないシロモノである。

まず確実にいえることは、健保金として選手から徴収した金を他のことに使うというのは、どんなに言葉を言い繕っても、立派な「詐欺」「泥棒」としか思えない、ということ。
JBCの言い分は「経理上収入として計上しているから色々な経費の支払いに使用している」「これは選手の健康の為に、たとえばドクターへの支払いなどにも充てている」「新しく見舞金制度を作っている」等というものであるが、これは適当なでまかせを言っているものと信じたい。まさかこんなことを本気で信じてるとは思えないので。

JBC職員も、その多くが何らかの保険に加入しているだろう。そんなある日、突然保険会社から通知が来て「あなたから預かった保険料は帳簿上取り扱いが変わり、保険金・給付金支払いに回していた大部分を、その他の経費に使うことにしました」「つきましては新たな給付制度を作りましたが、対人賠償無制限の自動車保険も、1億円の死亡保険も、一律で最高支払い額が10万円上限になります。ただし納めていただく保険料は最大で16万円になる可能性があります」
こんなことが書いてあった時に「うむ、法律が変わったのなら仕方ないな」と納得するバカはいないはずだ。

じゃあ法律にそむけというのか!と言われそうだが、健保金や共済金事業にしても、それ以前に、公益法人格取得の件にしても、すでにこのブログで何度もふれている通り、私たちが取材した結果多くの人が「いくらでもやりようがある」「怪しげな団体じゃあるまいし、実績のあるボクシングのコミッションなら問題なし」という見解を示している。

目の前にある「ボクサー救済」というような問題から、大局的な「ボクシングの公益性」といった問題まで、まず「何かをやろう」と思い立って、それが様々な障壁でとん挫したというよりは、予め何らかの結論ありきで、何も考えずにベルトコンベア的に事にあたっているとしか思えない。
とある文書では「選手の安全や健康管理についての第1次的責任はジムにある」などという驚きの発言をしており、同じ文書の中にコンプライアンスなんて言葉が二つも三つも出てくるのだからわけがわからなくなってくる。

しかしそれでも、①にある「積立金を返還してもらい、協会で…」という案には、個人的には即賛同はしかねる部分がないこともない。
会の終盤に、質問というよりは意見という形で少しだけ発言させていただいたが、まず現実的にそんなことが可能かということと、やはりどうであれJBCと協会は両輪として業界をけん引して欲しいという思いがあるからだ。
だが、「それはもっともだが、現に選手が積み上げた金がみるみる減っているということで今回のメンバーが立ち上がったんだ」と言われてしまうとこちらも二の句がつげなくなる。
とにかく選手の血と汗の結晶をすぐにでも保護するのには、ある程度ドラスティックな方法もやむをえないのかもしれないが。

対して、明日にでも重大事故が起こる可能性があるのがボクシングという競技なので、いざ実際に数十万円単位の医療費がかかるような事故が起きた時に、どこかで救済して欲しいというのは賛成。協会の積立金に、それを補完出来る余裕があるなら是非お願いしたいとは思う。

10-06-03


私たちはいちファンとして参加したわけで、やはり根本のスタンスは「選手本位」ということになってしまうが、それはそれで変える必要はないと思っている。その点で、協会員の方々に眉をひそめられることも承知で発言しようと思っていたが、会合終盤の発言にしても、またその後ご一緒させていただいた食事の席でも、非常に真摯に私たちの声に耳を傾けてくださる方が多かったのには感謝したい。
またそういう方々であるからこそ今回の会合に参加したのだろうが、松尾会長が冒頭の挨拶でも、また会議中も再三「参加者が少ない」と言っていた。

聞くと、既に中部・西日本・西部の各協会はコミッションに健保金に関する要望書を提出しており、未だ出ていないのは東日本だけとのこと。
だから松尾会長としては、今回やっと東にも動きが出てきたから、大手ジムを含め大盛況を想像して来てみたら意外にも…というわけだ。
来てないジム、賛同してないジムはなぜ…といったあたりは流石に皆、暗黙の了解ということで空気を読んだわけだが、この問題ばかりはそれで済まされるものなのかということを、今回参加しなかったジムには真剣に考えていただきたい。「俺のとこは選手に何かあったら全部ジムで面倒みるから」とか、そういう次元の問題ではないのだから。

週明けからまた、「討議する会」のメンバーは早速動き出す予定である。
今後もできるだけ動向を追い、お知らせしていきたいと思う。

(ウチ猫)

「JBC健康管理基金の健全運用を討議する会」発足     平成25年10月6日

当ブログにおいては、健保金問題について再三取り上げ問題提起として来た訳だが、マスメディアで初めて報じられたのは9月22日付けの朝日新聞だった。ボクシング界にとって、また選手にとっても非常に大きな問題と思われたが、何故か朝日新聞以外はこれまで取り上げて来なかった。(この背景や事情については後に記述する)

積立金の使途について協会の有志による意見発信・討議の場が設けられたということは、意思決定において蚊帳の外におかれてはならないと言う強い危機感があってのことであろうと推察される。

この日の会合の主催者より一昨日、1通のメールを頂いた。

JBCへの要望書提出報告会の開催と
「JBC健康管理基金の健全運用を討議する会」の発足について


私達、東日本ボクシング協会加盟ジム有志20名は、健保金改正を凍結し、日本プロボクシング協会総会で健康管理基金の使途を決定するように、との要望書を9月17日付で、日本ボクシングコミッションと日本プロボクシング協会に提出いたしました。
9月21日に日本プロボクシング協会緊急理事会が開催され、健保金に関する話し合いが行われました。その中で、健保金に関する調査、諮問を行う第三者委員会の設置などが決定されたとのことです。
つきましては、この問題を解決するべく「JBC健康管理基金の健全運用を討議する会」を発足させ、今後の健康管理基金の運用の在り方をめぐって、下記の通り、要望書提出報告を兼ねた勉強会を開催させて頂きます。要望書に名前を連ねた20名を中心に、JBCの会計報告から出てきている正式な数字を提示し討議をする予定です。

この勉強会を報道の方々にも公開しオープンな場で議論しましてボクシング界の実状を知って頂く機会としたいと思います。報道の皆様におかれましては、ご多忙かと存じますが、是非、ご足労を賜りたく、何卒、宜しくお願い申し上げます。
平成25年10月4日


まだ、会議は進行中で詳細は後になるが、これまでファンがこうした会合に出席する事は稀であり、また異例ともいえる。HARD BLOW !からは「ウチ猫」「いやまじで」が取材班として出席しているが、ファンとしての主張ならびに意見をハッキリと提示させて頂きたいと思う。

健保金問題について元選手、関係者に聞いてみた。

皆さん、これまで試合報酬から医療費目的で3%が差し引かれ、それがコミッションの健保金として納められていた訳ですが、先ずそれは知っていらっしゃいましたか?
また、それを受け取った事はありますか?
例:
(4回戦の選手なら6万円の内、3%の1,800円を健保金として積立て)

先日の朝日新聞の記事によると、これが累積して現在1億円以上の金額になっているようです。
またそれがJBC法人移行にともなって見舞金制度というものに変更され、徴収額は2%に引き下げられました。しかし、これまで治療費として全額支払われていたものが支払い上限10万円以下となって選手の実質自己負担が大幅に増えました。これについてどう思われますか?

大手ジム所属元世界ランカー(世界挑戦経験アリ)
「積立金とかで引かれているのは知らなかったですね。というかみんな怪我をするの覚悟でリングに上がってるんですから、そんなもんに興味は無いですよ」
「ああ、そういえば今思い出したけど、保険みたいなのがおりたなぁ・・」
「説明聞いて判ったけど、やっぱり保険みたいなもんは大事ですねぇ」

中堅ジム元日本ランカー(日本タイトル挑戦経験アリ)
「試合であばらを折った時、治療費名目で後で受け取った記憶がありますね。そのお金が協会からかコミッションからだったかは覚えてませんけど試合中の事だったんで多分ジムを通して申請したんだと思います。」
「ジムからそういった名目で徴収されているとかの説明があったかも覚えてないです。」
「ウチは4回戦からファイトマネー現金で貰いましたけど、そういえばいつも中途半端な端数があるなとは思ってました。だって33%引かれて4万のはずが3万8千何百円とかでしょ(笑)」
「まぁいまさらなんで、興味ないですけど。現役だったとしてもですよ、言えないですよね。ジム制度の中じゃ」
「いや、OBとしてどうなんだって言われてもねぇ・・。もうグチャグチャじゃないですか、協会もコミッションも」

中堅ジム元日本ランカー(全日本新人王獲得)
「朝日に出てましたね、ハードブロウ見てますよ。自分も問題だと思います。」
「自分の場合は試合で眉間をカットした時、日大病院で抜糸したんですけど支払いしてませんので(協会、コミッションの)どちらかが立て替えたんだと思います」
「ジムとの契約書に健保金なんて書いてませんし、コミッションとの取り決めで自動的に引かれてるんでしょうけど、理解してる選手なんてほとんどいないんじゃないですか?」
「自分はもう関係ないですけど、興味は大いにありですね。現役選手にしたらこれは大問題でしょう?自分だったら声を上げてますよ!」

元マネージャー(日本王者、日本ランカー多数輩出)
「僕が預かっていた選手が試合後に網膜剥離が発覚して緊急手術になった事があります」
手術代、入院費等で約70万円かかりましたが、後日に全額コミッションから出ました」
見舞金に変わって上限額も10万円になったのは知ってますが、今だったら差額の60万のうち国保負担を引いた18万円が実質選手負担でしょう?体張って命懸けで試合して引退に追い込まれて。最後はマイナスって、これはおかしいですよね。
しかもそれを職員の人件費に充てるって、協会員が怒るのは当たり前ですよ。本来は選手が怒るべきですけど、今のジム制度ではそれは無理でしょうけどね。

その他にも色々考えなければならない問題はあります。選手が外国籍の場合とかね。彼らだって同じように必死なんですから。
過去の事例ですけどもっと恐い話し教えてあげましょうか。
世界挑戦まで果たしたある韓国籍の選手が日本を主戦場に移して、やがて日本王者になった。当然ファイトマネーから健保金を払ってる訳ですよ。
その後日本の大手ジムに移籍した初戦の日本タイトルマッチで事故が起きた。
4日後にその選手は亡くなるんですが、日本の各種保険に入っていないという事でコミッションからは当初1円も出なかったと聞きました。協会からは出ましたよ。だけど選手にそんな説明もなしにリングにあげて健保金を自動的に徴収してるんですから、これは詐欺でしょう。僕もこれには憤慨して自分とこの選手じゃあないけど、流石に抗議しましたよ。結局保証金とかの名目で数十万出たみたいですけどね。安河内さんの前の話しですけどね。
それと、協会長がコミッション入りしたでしょう?これだってどう考えたっておかしいじゃないですか。立場でいえば利益が相反するんですから。
何でこんなおかしい事が起こってるのに誰も声をあげないのか不思議でしょうがない」

いや、あのう・・一応僕らそれは書いてるんですが・・(汗
「あ、そう、今度見てみます」

僅かなサンプルなので「健保金問題についての意識はこうだ」とは一概には言えませんが、選手は最低限のところで守られていた事に気付いていない事が判った。いや、それで良いんだと思います。
それこそが本当の環境の整備なんだから。
親が子を守るのと一緒です。
また、ジム関係者の中には問題意識を持って「最後は誰が選手を守るのか」と言って下さる方もいます。
そうした現状を少しはお伝え出来たかと思います。

さて、選手はほぼ口を揃えて「本当に命懸けでやって来ました」と言います。
彼らはボクシングという非日常の戦場に赴くという覚悟でリングに上がる訳です。
一番最初にあげた元選手は「みんな怪我を覚悟でリングに上がる」と言ってますが、これはおそらく全てのボクサーの言葉だと思います。
考えても見て下さい。普通の職場でも仕事中に怪我をしたら休業手当を含む労災保険というものがある。
ところがボクサーという特別な職業には普通の保証すらない。一般の傷害保険はついて来てくれない。勿論高いお金を払えば死亡保険まであり得るでしょうけど、現実的には報酬の少ないほとんどの選手はこれに当てはまらない。
選手を最低限の所で守っていかなければならない、というところからの健保金な訳じゃないですか。この発想は社会正義だと僕は思います。

また国の指摘があって保険業務は出来ないというのは屁理屈だと指摘する人もいます。
この痛烈な意見を紹介して記事の最後にしたいと思います。

B.B

選手を守ろうという意識があるなら、共済金など形を変えてでも出来る道は必ずあるはずなんです。
実際に健保金制度を維持している団体は今でもあるんですから。
そもそも共済金についての金融庁の指摘には背景にオレンジ共済事件というものがあって、国としては一応の網を掛けなければならない。法治国家ですから。しかし全てが悪であるという認識ではないんです。解り易く言うと、国は必要として世の中にあえてのグレーゾーンを残すんです。一切合切ダメにしてしまったら救済が出来ない事はちゃんと解ってる。ちょっと勉強すれば分かる事です。それを国の命令だからやらない、こんな大事なことを簡単に放り投げるなんて、選手の事なんか何も考えていないという事です。
また、これまで何故ボクシングが死亡事故が起きても刑事事件にならないか判りますか?
実際にリング禍が立て続けに起こって検察が動いた時期があったんです。
しかし、ルールやリングの環境をしっかり整備して当時のコミッションはボクシングを守った。
今これが壊れてるんです。
終わりますよ、本当にボクシングは。

第三回 日比対抗戦

以前こちらでお知らせした通り、読者の方へのプレゼントとしてチケットをご提供いただいた「日比対抗戦」。おかげさまで多くの読者のみなさんに楽しんでいただくことができました。
あらためて勝又会長にお礼申し上げます。

後楽園で「フィリピン人」または「タイ人」というキーワードで連想ゲームをしたら、パッキャオやカオサイといった名選手の名前と同じくらい、いやヘタしたらもっと多くの人が「か○せ犬」と答えるかもしれません。
また、その日の対戦カードを眺めてみると、どう考えても「日タイ対抗戦」にしか見えないような興行もあり、そのほとんどが、予想通りのトホホな内容になったりします。
そんな中この日比対抗戦の企画は、フィリピン人選手の方も日本のジム所属であるケースも多く、真剣勝負が楽しめる興行になっています(それが普通なんですけどね)。

◆◆◆

最初の二試合は、ともにその日デビューの選手の方がKO負けし、いきなり苦難のプロキャリアとなってしまったが、伝染したかのようにやたらとKOが続く興行というのもあるもので、この日もそうした白熱の内容を期待。

3試合目は、4勝2敗ながら勝ちはすべてKOというハニー・カツマタと、デビュー以来無敗のランカー山田沙暉の一戦。
リングインの際、トップロープを飛び越えて入ろうとしたら、足がひっかかってズッコケ入場となってしまったハニーだが(笑)、スピードでは完全に山田を上回り、的確にヒットを重ねる。

03 ハニーvs山田

セコンドからも「その距離じゃ(パンチを)もらうぞ!詰めろ!」と声が飛んでいた通り、山田のプランは接近戦だったようだが、いざ潜り込むと今度はハニーのアッパーが炸裂。
離れてもくっついてもハニーのペースで進んだ4回、またも強烈なアッパーが入り、山田の動きが止まったところでレフェリーが割って入った。
これで5勝が全てKOとなったハニー。豪腕というよりも倒すまでのプロセスがお見事。
思わず「真道ゴーあたりとやったら面白そう」などと夢想してしまうほど。

続いては比国人対決のジョビー・カツマタvsモニコ・ラウレンテ。
初回から19歳のサウスポー、ジョビーはエンジン全開。踏み込んで左をボディ、顔面に放ち、その後スッとステップバックする動きもスピーディで、モニコはやや面食らったか。が、29歳のナショナルチャンプは徐々に距離をつかみ始め、2回からはジョビーの動きに長い右を合わせ、この回にダウンを奪う。
ここでモニコにペースが傾くかと思いきや、ダメージの浅いジョビーは3回以降さらに運動量を増し試合を支配。モニコはボディが効いたのかスタミナ切れか、中盤からは右、右の一本やりで手詰まりの感あり。
このまま押し切って、ジョビーが3-0の判定をものにした。

04 ジョビーvsラウレンテ


セミの知念勇樹vsライアン・ビトは初回KO決着。
いきなり右の打ち下ろしでダウンを奪った知念だが、ここで勝負を急がない。
確かに大きなダメージのあるダウンではなかったが、まだ少し足先にしびれが残っていそうなビトの動きを見ると勿体ない感じ。隣のいやまじで氏と「この回で決めろというわけではないが、このまま回復させて2回から仕切り直しになってしまうより、明確にペースを握るべく、もう少し攻めに行ってもいいのでは…」というところで意見が一致したと思った瞬間、再度の右が、これはまともにアゴ先を捉えた。
前のめりに倒れたと同時にノーカウントでストップ。
初見だったが、個人的に今日の最大の収穫はこの知念勇樹だった。

05 ビトvs知念

そしてメインの前にスペシャルカードとして高野人母美が登場。この日ホールの玄関に到着した時に、駐車場からテレビカメラを引き連れて会場入りした高野と一緒になったが、本人の意図とは別に注目度が高くなってしまうのは仕方ないだろう。リングへの入場も南スタンドの後方からという形で、まあそれはそれでよし。しかし肝心の試合は、相手がちょっと酷過ぎた。
2戦2勝の相手が今日デビュー戦、というのはまだいいが、果たしてきちんとボクシングを習って出てきたのかが疑問というレベルでは試合にならない。
20センチ以上背が低く、普通の運動靴でパタパタと走り回るような相手では高野もやりづらかったろう。
前戦を見たいやまじで氏も「これでは彼女の方が可哀そう」とのこと。

07 高野vsデリーマ

そしていよいよメインのユースタイトルマッチ。
斉藤司がかつて保持していたタイトルであるが、世界タイトルといっても、頭に「ユース」がついているのといないのとでは天地の差がある。ランキングアップやマッチメイク上の戦略として活用するのはアリだと思うが、やはりこのタイトルそのものに価値があるかといえば、現状ではあるとはいえないだろう。
しかし前保持者の斉藤司も言っていたように、このタイトルを経験した選手がその後活躍して行けば、若手の登竜門として、新人王や日本・東洋のベルトのように、一定の評価は得られると思う。

この王座決定戦、ナチュラルなライト級のアリエンザに対し、急遽参戦の伊藤はフェザー級のボクサー。パンフによると身長・リーチは伊藤の方が優るらしいが、体格は明らかにアリエンザが大きく見え、手も長く見えるが果たして。

試合は終始、スピードを生かした伊藤のペースで進み、8回まではリプレイを見てるかのように同じ展開。4回終了後の採点発表で三者とも伊藤のフルマークであったが、多分8回終了時点のスコアもフルマークだと思う。
アリエンザは左の一発には威力を秘めているようにも見えるが、いかんせん手足ともスピードが遅すぎ。中間距離よりもインサイドでの打ち合いが好きなのか、接近戦になるといいアッパーなども見せるが、伊藤の出入りにはついていけない。

08 伊藤vsアリエンザ

試合として楽しみたいという無責任な観戦者としては「ここらで一発、(アリエンザが)けっこう効いたダウンでも取れば面白いのになぁ」とつぶやいていたら、9回にまさかの伊藤ダウン!
しかしこれは、リングアナが思わず「スリップ」とコールしてしまったくらいの、プッシングに近いダウンでダメージはなし。逆に発奮した伊藤が最終10回も攻め手を緩めず、ロープにアリエンザを釘づけにしてラッシュをしかけた時点でストップ。
伊藤のガッツポーズは、タイトル獲得というよりも、あの展開でやっと仕留めきったということに対する喜びではなかったかと思う。
フェザー級ランカーでライト級ユース王者ということになり、今後どのような道を行くのかわからないが、まだ22歳。これからに期待したい。

この日比対抗戦は、試合の合間に様々なアトラクションがあることも特徴の一つであるが、今回は注目のサプライズイベントがあった。それが長井祐太(勝又)と斉藤司(三谷大和)のスペシャルスパーである。

06スパー 司vs長井 

ともに所属ジムを代表する選手であるが、この両者はどちらも、ひと月後の興行に出場するとのこと(この二人が対戦するわけではない)。よってこれがいい宣伝にもなるわけだが、これは非常にいい試みだろう。一定のレベル以上の選手であれば、スパーといえども非常に見応えがあり、金を取れるような内容のものさえある。
今後もこうした企画は大歓迎。是非色々とアイディアを出していって欲しいと思う。

(ウチ猫)