HARD BLOW !

秋の読書感想文 

 ちょっと面白い本を読んだので御紹介を 

 その本は『完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯』です

 ボビー・フィッシャーは1972年に29歳でチェスの世界チャンピオンになったアメリカ人。冷戦の真っ只中だった当時、ソヴィエト・ロシアの国家的バックアップを受けたインターナショナルマスターに支配されていたチェスの世界で、フィッシャーが次々とロシア・東欧の強豪を倒して世界チャンピオンになったことでアメリカでは爆発的なチェスブームを起きたそうです。しかし彼はいわゆるありがちなアメリカンヒーローではなく、極めてエキセントリックで偏屈な性格から次々とスキャンダラスな事件を起こし、隠者のような人生を送った正真正銘の奇人でした。

フィッシャーの出生はナゾに包まれており、実の父親は定かではありません。スイス生まれでユダヤ系の母親はノーベル賞学者の秘書をしていたようなインテリで、フィッシャー自身もIQ180の天才児でした。姉からもらったチェス盤によってチェスに触れたフィッシャーはあっという間にのめりこみ、早熟の天才として名をはせて国際舞台へと飛躍していきます。しかし当時のチェス界ソヴィエト・ロシア勢の天下。彼らは同国人同士の対局では戦略的な引き分けを多用し(チェスには引き分けがある)タイトルをロシアから出さない。ロンドンオリンピックのバトミントン競技みたいなもんですな。そんな状況下でフィッシャーは超攻撃的なスタイルで孤軍奮闘し、挑戦者決定のリーグ戦を制して、ついに世界チャンピオン、ロシアのスパスキーへの挑戦権を掴みます。対局の場所はアイスランドのレイキャビク。そう、ゴルバチョフとレーガンが会談し冷戦を終わらせたあそこです。しかしその念願のはずのタイトルマッチを前にフィッシャーは奇行を連発。運営や対局条件に次々とインネンをつけて頑としてアイスランドに行こうとしません。ついに一局目の対戦をすっぽかし、チェスファンから「アイツは負けたくなくて逃げてるんじゃないか?」と轟々たる非難を浴びてしまいます。フィッシャーが不戦敗になれば国家の威信に関わると判断したアメリカ政府はニクソンやキッシンジャーまで担ぎ出しフィッシャーを説得。フィッシャーは最終的に愛国心と名誉欲に突き動かされて対局に臨み、緒戦の不戦敗のポイント差を逆転し見事に世界チャンピオンとなります。

 普通ならここから人生が好転するはずなんですが、彼が特殊がなのはここからひたすら転落を続けるところ。

 魅力的なビジネスのオファーを断り(彼は自分の名前を使った出版やトークショー、テレビ番組などのビジネスで他人が金を稼ぐのを許せなかった。他人が儲けるくらいなら自分の実入りはゼロの方が良いと言う極端な感覚だったらしい)人々の前から姿を消してしまう。本業のチェスでも、「完全決着」を主張し引き分けを含むルールの変更を主張。最終的に世界王座の防衛戦を拒否して世界チャンピオンのタイトルを捨ててしまい、それ以降正式な対局を一切辞めて世捨て人のような暮らしに入ってしまいます。何と言う極端さ。彼の精神状態は屈折の度を深め、自分がユダヤ系なのになぜかユダヤ陰謀論へと傾倒し、公共の場で差別発言をして物議をかもします。ソヴィエトのスパイに暗殺されるという妄想にとりつかれたかと思えば、経済制裁中のユーゴスラビアで賞金マッチをやってアメリカ政府の怒りを買い(この時の賞金が彼の後半生を支えた。賞金を出したのは武器商人で詐欺師)、パスポートを止められて空港で逮捕され…という後半生はぜひ読んで頂きたい。日本との関わりにも驚きます。この本は日本での衝撃的なシーンから始まるので…。フィッシャーが対戦条件や舞台設定に拘るところでは、パッキャオ×メイウェザーの対戦交渉でのアレコレを連想してしまいました。

 巻頭の「はしがき」で著者フランク・ブレイディーさんはバージニア・ウルフの「伝記は六つか七つの人格を描いてはじめて完全といえるが、実際の人間が持っている人格は、千をくだらないだろう」と言うニクイ一言を引用していますが、本書もまっことそういう本であります。羽生善治さんの後書きも良かったです。

 私は麻雀や将棋と言ったゲームがとてつもなく弱いです。弱さのタイプとしては『相手を観察せず、自分の手元ばかり見てるタイプ』です。だからこそ、そういう対人ゲームが強い人に強い憧れを抱いて生きてきました。逮捕報道が風物詩と化している清水健太郎主演の『雀鬼シリーズ』をイッキ見してたら正月休みが終わっていたこともあります。あの「ロ゛ン!マ゛ン゛ガン゛!」という発声全てがダミ声のセリフ回しが忘れられないなあ。シミケン演じる雀鬼桜井章一は必ず劇中一敗地にまみれ(私生活と同じく)壁にぶつかっては、桜井章一本人が演じるホームレスのオッサン(セリフ回しは壮絶な棒読み)に人生相談し悟りを開き対局に赴く。毎回展開が同じなので自分が今パート何を見てるか分からないという時空の歪みから徹マンしてるときのような心理状態になれるのがとてもイイ。

 SM小説の大家にして将棋マニアの団鬼六先生のノンフィクション『真剣師小池重明 』は出版当時本好きの間では大変な話題となりましたが、評判に違わず内容も素晴らしいものでした。角落ちで大山康晴に圧勝した(対局当日の朝はケンカで留置所にいた!)という異能のアマチュアの人生はデタラメと呼ぶに相応しいものですが、晩年彼と親交のあった鬼六先生は小池の将棋に関する怪物性・天才性と自堕落な性格をありのままに描いて一級の評伝としています。

 ゲームを描いた面白い映画や本があったら是非教えて頂きたいと思う(旧徳山と長谷川が好きです)

 

「どうあるべきか」が問題

 新聞記事になったことで一気に世間に周知された感のある『積立金問題』ですが、当ブログも大変多くの読者の方にご訪問を頂いております。と言ってもまああくまで当社比でございまして所詮はまだコップの中の嵐ではあります。某人気ブログのように伝聞情報を目の前で見てきたかのような臨場感を持って描ければもう少し人気が出るのやも知れませんが、そんなセンショーナリズムはどっかの兄弟のボクサーの手法みたいですね。

 積立金問題が報道された事によって、宙に浮いた積立金の行方は業界中の監視対象となり、JBC側が主張するように「職員の人件費に使う」なんて手前味噌な消尽方法はちょっと難しい情勢となりました。

 このようなJBCの迷走はここ二年くらいずっと続いていた事です。ざっと見渡しても

・高山勝成選手に関するガセネタを流布した
・大沢宏晋選手に対して根拠に一貫性の無いサスペンドが行われた
・JBC裁判の原告にたいする取材無しに書かれた批判記事がなぜか専門誌に掲載された
・一方の選手が大幅体重超過したにも関わらず日本タイトルマッチが強行された
・世界戦で対戦選手が来日しなかった
・網膜はく離のボクサーが復帰可能になるが、後遺障害は自己責任という見解が示された
・一般財団法人移行に伴い医療費目的の積立金を職員の人件費に使うと発表し協会と対立が起きた

 等等ざっと思い出すだけでもこんだけあります。忘れているブツがあったらご指摘お願いします。
 
 私はこのような組織の体たらくについて「ガバナンスなきJBC」と書いてきました。「また訳も分からんと横文字なんかつこてからに」とご立腹の貴兄もいらっしゃるかとは思いますが、これでも私『ガバナンス』の意味が『舵取り』であることくらいは承知しております。僭越ながらボクシング界のあり方・行く末を示していく事こそJBCの使命ではないのかと思えばこそ、このような迷走が残念でならない。

 網膜はく離や積立金問題から見えてくる人命軽視とも言える退廃振りはどうしたことか?「保険業は法律的にどうたら」などという矮小なディティールに問題点をすり替えていますが、制度を維持するために本当に限界まで努力は行われたのでしょうか?「お上の方針だから仕方ない。金は職員の人件費に使う」という使途の方針はさながら火事場ドロボウのようです。

 これら全ての底抜け脱線行軍の根本には公益法人格を放棄したことがあるのではないか?と私は感じます。「どうにかして公益法人格を維持し、選手の人命・健康を守るのだ」と言う覚悟が残念ながら見えてこない。それは失礼ながら批判してる協会側の会長連にしてからが同じ事。決して多くないファイトマネーから積立金を拠出して来たのは選手達です。ゼニカネの次元の話ではなくボクシング界がどうあるべきかという制度設計をこそ問題にしなければなりません。

 旧態依然と言われたプロ野球にしてからが、選手会が意欲無きコミッショナーを堂々と批判できるような組織になっている昨今、ボクシング界のありようは余りに寂しいと感じます。

     阪神とロッテが日本シリーズに行ったらどうしようと怯える(旧徳山と長谷川が好きです)

健保金問題がついに争点化?

20130922 朝日新聞 JBC健保金問題記事(朝日新聞2013年9月22日付)

 本日2013年9月22日付朝日新聞のスポーツ面に、JBCの健保金の使途が問題化しているとの記事が掲載されました。

 少し複雑になりますが簡単に解説しますと、健保金とは試合が原因の傷病にかかった医療費を選手がファイトマネーに応じて積み立てた基金で全額支払うと言う制度でした。JBCが公益法人から一般財団法人に移行したことに伴い、健康管理見舞金へと名称が変更され、今までは上限が無かった支払金額は10万円以下と言う規定が追加されています。「一般財団法人になって公益目的の支出が出来なくなった」という理由で制度が改変されたらしいのですが、宙に浮いた形の積立金の使途は従前より注目されていました。

 選手が健康目的で積み立てたカネをJBCの職員の人件費に使うというのは明らかにおかしな話で、これは紛糾は避けられないかと思います。選手に払い戻すか新たな基金を作るかがスジでしょう。公益法人格放棄と軌一して早速生臭いゼニカネの話が噴出するあたり、ガバナンス無きJBCは相変わらずのようであります。

 あとこれは余談ですが、JBCを解雇された職員の行状を「選手が納めた金を無駄使いしてる」と大仰に嘆いて見せていたボクシングマガジン誌におかれましては、医療費目的で集めれた積立金の流用に果たしていかなる見解を示されるのでありましょうか?業界内の馴れ合いやジャーナリズムの不在がこのような事態を招いていることを今一度自覚し、専門誌としての正しい役割を認識していただきたいと今一度申し上げておきます。まあ無理でしょうけど。

          この記事はほんの始まりでは無いかと感じる(旧徳山と長谷川が好きです)

 

メイウェザーとマティセ、予想外の試合 20130915

●ガルシアvsマティセ

(WBA,WBC世界ライト・ウェルター級タイトル・マッチ)

ガルシアvsマティセ 20130914

期待されたような壮絶な打撃戦とはならなかったが、双方のボクシングの手筋、作戦の妙が見どころの好試合となった。

前進して強打をふるうマティセに対して、ガルシアはディフェンス重視ながら左ジャブ、左フックでコントロールしようとする立ち上がり。

ガルシアの返しのパンチの強さ、特に「見ないで打つ左」に脅威を感じたか、マティセも前進をセーブ。

マティセは一見無造作にパンチをふるうように見え、実際にはディフェンス力も高い。相手の攻撃の予測が良く、体の動きが柔軟で相手のパンチの威力を減じる。防御から攻撃への切れ目がないので相手としては休む間がない。

ガルシアも、上体の動きが少なくハンド・スピードもさほどないのでモッサリと見えるが、相手の攻撃パターンとパンチの軌道の読みが良く、対応策をしっかり講ずることができる。いわば「適応能力」の高いボクサー。

パンチも技術もある2人によるハイレベルな戦いとなった。

ガルシアの左の脅威を力でこじ開けようとするマティセがポイントでは有利に見えた7R、マティセの右瞼が腫れはじめる。

視界を限られ、なおかつ、ガルシアの左をケアしなければならないマティセ。手数が減って正確性も低下、前進力が弱まる。一方ガルシアはビッグショットはないものの、安定したフォームから左を軸にパンチを的確に当てる。

8R、マティセの体が流れる。これまでのマティセには見られなかったものだ。被弾によるダメージは勿論、距離感をつかめない状態での攻防のストレス、ストップの恐怖が、確実にマティセを消耗させたであろう。

11R、捨て身の打ち合いを挑むマティセだが、逆にダウンを喫する。ロープ際でもつれて視界を失い、相手の決定的なパンチを避けるために意図的に座り込んだものでダメージはない。しかしダウンはダウンである。

結局試合は判定に。3-0でガルシアの勝利。これにはマティセも納得。

ガルシアの勝因は、ファイト・プランを忠実に実行したこと。不要な被弾を避け、得意の左で相手の前進を止め、そして後半勝負に持ち込んだこと。特に左のパンチの脅威は、マティセの予想を超えていたであろう。マティセの視界を奪ったという意味においても。

マティセの敗因は何か。ピーターソンを破ったことで、アレキサンダーやジュダーにポイントゲームで敗れた課題を克服したかに思えたが、自分の長所を消してくる相手に対する弱さが再現される形となった。これを取り除けば勝てたと言える意味での敗因は私には思いつかない。ガルシアの左を浴びなければ、というのは表面的すぎる。ただ今回の目の腫れで彼のディフェンス能力が向上することは期待したい。

いずれにしても今後のマティセがどう戦って再び高みへ向かうのか、それともここで終わるのか、それが興味深い。彼は相変わらず魅力的な選手である。

判定決着は予想外だった。ガルシアが逃げのボクシングはしないと見てKO決着は必至と思えたが、ガルシアの総合力が私の予想を超えていたということ。

終わってみれば判定に持ちこまれたが、一瞬で終わる可能性がある目が離せない試合、そして静かだがボクシングの深さを感じさせる試合だった。




追記

ジョー小泉の講釈通り、12Rにマティセの目の腫れが引いたのには驚いた。やはり彼はボクシングの知恵袋だ。


●メイウェザーvsアルバレス 20130914
(WBA,WBC世界ライト・ミドル級タイトル・マッチ)
DSCN2301 - コピー

メイウェザーは戦前予想された通り、試合間隔の短さが良い方向に作用したグッド・コンディションに見えた。

一方アルバレスは、トラウトとの試合で見せたテクニカルなボクシングをするのか、力押しをするのか、そのあたりが注目されたが、6kgのリバウンドを考えると、スピードよりもパワー重視の作戦をとるのではないかと予想された。

実際の試合では、アルバレスがメイウェザーに対してまずボクシングで挑み、それがうまくいかないとなると力押しへと転じた。しかしその時には既にカネロの体の芯は力を失っていた。

この試合に備えてメンタル面でも引き締めてきたであろうメイウェザーは、全くと言ってよいほど隙を見せなかった。このところ錆びつきつつあると見えた彼のボクシングは、少なくとも錆を落としていた。

アルバレスも一発当てれば戦況が一変する力を持つが、後半の消耗した彼の動きを見て(こういうアルバレスを見るのも初めてだ)、それを期待するのは無理だと感じた。

もう少しアルバレスがメイウェザーを追い詰めるシーンが見られると思っただけに予想外の展開だった。

メイウェザーが、彼を追うものとの差を広げて見せた試合だった。

by いやまじで

長谷川穂積の感じた「理不尽」にまつわる雑感

MSNのトップ画面を見ていたら「穂積、ボクサーへの法律に怒り」という穏やかでないタイトルを発見。
これはどう考えても我が愛する長谷川穂積選手であろうということで詳細を読んでみると、自身のブログにて「ボクサーはいついかなる時も手を出したらあかんのかい!」という不満をぶちまけたということのようです。

http://topics.jp.msn.com/entertainment/general/article.aspx?articleid=2059693

私は法律家ではないからよくわかりませんが、彼の主張するところの「ボクサーの拳は凶器」だのといったことは、多分法律には書かれていないと思います。ただもし殴ってしまった場合に裁判等で、一般人より鍛えこまれた拳であることはボクサー自身もわかってるはずだから、普通の人に当てはめれば、素手ではなくそこらの棒っきれを拾って殴ったのと同じ(より威力の高い攻撃を選んだ)という風に判断される可能性がある、ということではないでしょうか。

また、暴力沙汰を起こしてしまったボクサーの場合は、相当な酌むべき情状があったとしても、「手を出した」の一点を以って、プロ選手として何がしかのペナルティを受けることが多いです。
今回は自分の後輩がそういう状況に巻き込まれて被害を受けたこともあり、そうした「とにかくボクサーは何があっても手を出すのはご法度」というのが我慢ならないという思いで書いたものと推察します。
ですからこの問題は、単純に「ボクサーがリング以外で人を殴るのは是か非か?」という二択で決められることではないと思います。

昔であればガッツさんのような逸話(あの話も本当のところは、かなり内容は「盛られている」らしいですが)も、「さすがチャンピオン!」と受け止められる土壌がありましたが、あの場合は相手方が公序良俗に反するような方々であったこともあって、大きな問題にはならなかったんではないかと思います(詳しくは知りません)。
あくまで現在は、大っぴらに人様を、しかも明らかに人を傷つけようという意図で殴っても咎められないのは、(ボクサーでない)二十歳未満のクソガキだけ。ボクサーはリングの中でのみ、スポーツとしてその拳を振るうという考え自体は正しい。

ですからよく「そういう時は走って逃げろ」などと言いますが、しかし実際に身の危険や、ましてや家族や友人に危険が迫っているような状況に遭遇してしまったら、これは四の五の言わずに手を出してしまうのはやむを得ないと思います。極端な話、自分の奥さんに暴漢が数人でのしかかっているような状況で、「自分はプロボクサー。拳は凶器だし、選手生命に障るので逃げました」なんていうヤツはいないでしょう。
たとえば相手が何か凶器を持っていたような場合、普通の人でも、手近に棒っきれが転がっていれば使うはずですから、そのような状況で、ボクサーが「武器」としてその拳を使ったとしても、心情的には理解できるし、多分実際の判決も、さほど世間一般の感覚と違わない結果が出ると思います。

さあでは、業界としてコミッションや協会、所属ジムはどう対応すべきかということになりますが…これは難しいですね。
ガッツさんの時のような相手ならまだいいんですが(笑)、某選手の時のように、相手が酔っぱらった一般人で実際にケガもした、というようなことになると、いくら相手方に非があったとしても、業界として「相手が悪いから選手は無罪放免です」とは言いにくいでしょうね。
しかも、空手家やレスラーと違って、ボクサーの場合は「凶器」と認識されてるのは両拳だけだと思いますが、じゃあ「パンチは使っておらず、投げ飛ばしただけです」という場合は許されるかと言うと、多分そんなことはないでしょう。既にその事件の時は引退後であった某選手の場合は、ある人を監禁した場所に立ち会ったということだけで、大きくメディアに取り上げられました。

その人の場合は「暴力事件」というより「不祥事」という意味合いでしたが、いずれにしてもスポーツであり興行でもある以上、世間の目を気にする部分は致し方ないですから、司法の判断や世論の風向きを見て処分を決めることになるでしょう。幸いにというべきか、ボクシングの場合は元々が数カ月試合間隔が空きますから、半年程度のサスペンドなら「一応罰したという形にもなり」「でも実質お咎めなしに近い」という結果になるんじゃないかと思います。

そうではない、完全に自分に非がある理由で暴れたタワケには当然に厳罰を与えるべきですが、どのような処分であれ、いつ誰に訊かれてもしっかり説明できるように、覚悟と責任を持って決めていただきたいと思いますね。こういうことは「懲役なら永久追放、執行猶予なら○○年のサスペンド…」などと、一律で決めることができないこと問題ですから。
しかし現状は、それこそ「理不尽」な理由で処分を受けたり、逆になぜか「お咎めなし」だったりすることが多いので、お任せするのは非常に不安ですが…

あと、ボクサーの拳が凶器と認識されるなら、相手がボクサーと知って敢えて突っかかったヤツについても、ちょっとは罪を重くすべきだと思いますよ。
上で「クソガキ」と書きましたが、未成年ということに加え少年法でも保護される中学生くらいのゴロツキは本当にタチが悪くて、教師も親も手が出せないことを承知でやりたい放題しています。
それと同じで、たとえば今回の長谷川選手の後輩に暴行したというやつらが、ボクサーは素人に手は出せないということを見越してやったんだとしたら、これは相当に卑劣というほかない。いうならば、反撃できないことがわかってる身障者の人に暴行を働くのと同じことです(パワハラなんかにも通ずる考え方ですかね)。
「ボクサーはリング外で手は出せない」と併せて「ボクサーが手を出せないことに乗じて危害を加えようとした者はより罪が重くなる」というのもセットで流布されたら、少しは選手も安心できるんじゃないでしょうか。

しかし、自分が原因でそういう状況にならないように、人間関係等に気をつけるくらいの自衛は必要でしょうが、たまたまそのような場面に出くわしてしまったらしょうがないですからね。
いつだかホールの興行で試合の合間に、泥棒だか強盗だか、とにかく何かの犯人を取り押さえたという元ボクサーの方を表彰するというセレモニーがありました。
でも「トラブルに巻き込まれないようにまず逃げろ」がボクサーとしての鉄則なら、この場合も美談として紹介するのはまずいんじゃないの?なんて突っ込みたくなりますよね。ボクサーはリング外では無闇に格闘したらいかん、というんですから。

まあこの方はとっくに引退した「元」ボクサーですし、それにもうお爺ちゃんという年齢の方でしたので、素直にその勇気を讃えることにまったく異議はないですが、理屈としては、相手が犯罪者で無事捕まえたから結果オーライ!ではいけないと思うんですけどね。
もしその犯人が凶器を持っていた場合、元ボクサーの方が首を突っ込まなければ、単にそいつが逃げて終わり、だったのが、取り押さえようとしたせいでその元ボクサー氏が刺されて、余計な被害者が増える可能性もあったわけです。
もっと言えば、逃げてたのが善良な市民で、追いかけてきた方が実は悪人。元ボクサー氏が犯罪者だと思って取り押さえた男を、追いかけてきた男が「悪いねぇ爺さん、助かったよ」なんて言って刺し殺した…なんてことになったら、殺人に加担することになってしまいます。

ちょっとたとえが極端になりましたが、要は単純に「ボクサーだから殴るな」とか「いいことしたから褒めてやる」ということでなく、ボクサーたち自身をを守る為に、協会にしろコミッションにしろジムにしろ、しっかりと責任感を持って選手を導いて欲しいなと思います。
日頃の指導は勿論、万一何か事が起こった際には、慎重に公平に判断して物事を決めていただきたいと。
あの袴田巌氏の死刑判決の根底には「どうせボクサーあがりはこんなヤツら」といった偏見があったとも聞きます。現在においても、必ず年に一人か二人、現役や元選手の不祥事が話題になります。
ファンとしては、選手はみんな根は気のいい青年と信じたい、と思っていますので、何とかそういう悪いイメージを覆して欲しいと思います。

(ウチ猫)

お知らせ・後楽園ホール、リングサイドにご招待。

以下チケットプレゼント企画につきまして、本日(26日)をもって締め切りとさせて頂きました。
多数のご応募まことにありがとうございました!


※発送手続きにつきまして、ご案内メールを応募者全員にお送りしております。
 今一度メールボックスをご確認ください。



来る9月30日に行われる日比対抗戦VOL.Ⅲ 主催者様よりリングサイドチケットをご用意頂きましたので、HARD BLOW !読者の皆様(10名様)をご招待させて頂きます

日比対抗戦:
9月30日月曜日 午後5時30分開場/午後6時試合開始 
於 水道橋 後楽園ホール


応募方法はこのページ一番下右側のメールフォームにて、件名に9/30チケット希望とし、メールアドレスご記入の上、本文欄にてお名前・ご住所・ご連絡先を明記して、9月26日(木)までにご応募ください。ヤマト便(送料無料)にて発送いたします。
※ただし期日前でも定員(10名)に達したところで締め切りとさせて頂きます。
※携帯からのご応募は誠に申し訳ありませんが、ただ今受け付けておりません。



期待を裏切らない日比対抗戦ですが、今回も白熱した試合が見られそう。
この日の注目選手を紹介しましょう。

昨年、全日本新人王を獲得した無敗の伊藤雅雪選手(伴流)がはやくもメインに登場。
斉藤司選手をあっと驚く番狂わせの末に破り、ユースタイトルを獲得したジョー・マグシャンでしたが、この試合を最後になんと引退。
空位となった王座は当初、真正ジムの奥田翔平選手が出場予定でしたが9月1日の試合で奥田選手が負傷し、急きょ伊藤選手にチャンスが巡って来たというものです。
相手は新鋭のジェフリー・アリエンザ(比国)
右に一発を秘める伊藤選手にはスカッとしたKO勝ちを期待します。

セミには知念勇樹選手(琉球)が復調の兆し見える元世界ランカー、比国のライアン・ビトと対戦。
2009年度Lフライ級全日本新人王に輝いた知念選手は172センチの長身から放つ左フック、長い右ストレートにキレを見せる正当派オーソドックス。
今年4月に田口良一選手との日本タイトルマッチに判定で敗れましたが、復帰戦はいきなりハードなマッチメークとなりました。
地元沖縄では具志堅を越える逸材と評判の高かった知念選手。
ここはその片鱗を再び見せて欲しいです。

アンダーには19歳の新鋭ジョビー・カツマタ選手。
比国ナショナル王者モニコ・ラゥレンテを迎えての再起第2戦。

また、あの高野人母美(ともみ)選手も登場。http://ameblo.jp/tomomi-cotton/

ご応募お待ちしております。HARD BLOW !