FC2ブログ

HARD BLOW !

2012年12月22日 長谷川穂積再起第二戦と言うよりツニャカオ挑戦者決定戦 

 1222 神戸 全景
 観戦は諦めていたのですがひょっこりと空きが出来たので観戦できたこの興行。いまや井岡がエースと言う関西ボクシング界ですが、もう一人のメジャーファイター長谷川も地元神戸で完全復活をアピールし世界戦への機運を盛り上げたいところ。今回のウエートは55.8キロ契約体重ですがスーパーバンタムへの転級をアナウンスしての一戦。なんだかんだで落ち着くところに落ち着いたと言う感じであります。会場は昭和テイストが嬉しい神戸市立中央体育館。大一枚という貧乏人の自分にはややキビシい当日券を握り締めて(後から来た親子連れは「エー一万しかないの!」と尻込み)エイヤと入場すると、パイプイスは後ろまでビッチリ並んでいるし、セミセミの時点で二階も9分の入り。駐車場は満車で行列が出来ていたし、ラウンドガールはパチンコメーカーのキャンギャルだし、照明用のトラスもあるし、スポンサーの横断幕も多いし地元神戸では長谷川の神通力はまだまだ健在。はっきり言って関西の興行では世界戦でもないのにこの陣容はかなりゴージャスであります。

 長谷川の復帰戦は勿論ですが今夜の自分の目当てはマルコム・ツニャカオ×クリスチャン・エスキベルの世界挑戦者決定戦。現在のランキングは一位なんだし山中×エスキベルの再戦なんて新鮮味ないし普通に指名挑戦でいいんじゃないの?という根本的な疑問はあるものの、まあこれで勝てば確実に世界戦が出来るなら結構なもんであります。ラウンド数は世界戦と同じ12Rで中間採点発表まであるというこの試合、不可解な停電事件のあと負けたエスキベルにも期するものはあるでしょう。その26歳エスキベルに対して、ツニャカオは大ヴェテランながら最近は老いて尚フレッシュな試合振りが目立ちます。テクニカルなアウトボクサーながら決めも強くなっている奇跡の35歳は髪も金髪に染めちゃって気持ちも若い!毛髪だけでなくファイトスタイルも対照的な二人の試合やいかに!だが最近のツニャカオの充実振りや相性を考えればツニャカオの優位は揺るぐまいという私の予想通り、ツニャの良く伸びるリード→ボディストレートというシンプルなワンツーでエスキベルは突き放されるのみ。強引に飛び込めばコンパクトな右アッパーに迎撃され、35歳とは思えぬスピードにも幻惑される。4R時点でジャッジは3者フルマークという一方的な展開。距離を支配されたエスキベルはなんとか距離を詰めたいがその焦りがバッティングを呼んでツニャカオがカット。切れていないエスキベルから減点1で序盤で6ポイント差の上局面打開もならずいよいよ勝ち筋がなくなったエスキベル。ツニャカオにすればこの試合は勝てばよい試合であり自分から試合を動かす必要がなくなったその時、あとの無くなったエスキベルは6Rからヤケクソな前進を敢行して勝利への執念を見せます。しかしそれはツニャカオの思う壺、エスキベルの突進を左右に動いていなしフックアッパーを痛打。エスキベルはたまらず背中を向けるがツニャカオを後頭部を打ってしまい注意で試合が止まりこのラウンドはチャンスを逃す。しかしもはやフィニッシュは時間の問題、と思われた7Rツニャカオがコーナーで大きな右アッパーを決めてエスキベルは一発で足に来る。エスキベルがコーナーに詰まったところでツニャはガードの隙間を探して冷静にショートを打ち分けてエスキベルは崩れるようにダウン。エスキベルは動けずレフェリーはカウントを止めツニャカオの完勝となりました。もともと持っていたテクニックにベテランらしい冷静さ、落ちないスピードや反応の速さ旺盛なスタミナなどフィジカルの充実振りも加わってまさに充実一途。山中との対戦はマニア垂涎の一戦となりそうです。勝利者インタビューでは「山中は友人でいいチャンピオンで人間的にもいい人。でも試合だから勝ってチャンピオンになる」と宣言、最後に片言の日本語で「カメダトモキウソツキ」とかましてファンの笑いを誘ってリングを降りました。メインまでの休憩時間ふと真後ろの通路を見るとファンと気さくに写メ撮影に応じる山中チャンプの姿が。次々と現れるファンと笑顔で撮影に応じる姿がとても印象的。本当にどっちにも勝って欲しいなあと月並みな感慨が…

 メインの前にチャンピオンカーニバルに出場する真正ジムの三選手―ヴェテランの大場、TKO負けから再起した鈴木、「マナカネに勝った男」菊池と言う三選手がリング上で挨拶。真正ジムの充実振りが伝わってきます。

 会場がジックリと暖まったところでいよいよ真打長谷川が登場です。と聞きなれぬJPOPが鳴り響き長谷川が登場。あれ?ENYAは?あの曲で荘厳にアガりたかったのに。長谷川のブログに良く出てくるあの歌手が作った曲かな?うーんまあ本人の意向だろうけどうーん。まあいいけどうーんと軽い戸惑いのなか対戦相手を見れば落ち着き払ったなかなかの面構え。北京のオリンピアンにしてマイナー団体WBFの世界タイトルも持ってるアルツロ・サントス君26歳の世界ランクはパンフではWBC15位、報道では18位。果たしてどの程度デキる相手なのか?と見てみるとバランスのいいフォームできれいなパンチを繰り出すあたりオリンピアンの看板は伊達じゃない。戦意も充分で長谷川に果敢にラッシュを仕掛ける。一方の長谷川は丁寧にリードをついて左につなげ、ムキになって打ち合いに応じる悪癖も今日は出ない。テーマを持った試合をしてる事はセコンドの「回れ」「ガード」という指示からも明らか。打たせず打つ、力まずスピードを生かして戦う。それは世界戦でのKO負けや再起戦を踏まえた上での陣営と選手本人の総意なのでしょうが、しかし世界戦で10回防衛したボクサーに6回戦のような指示が飛ぶのもなんだか複雑といえば複雑。離れている時は柔らかい動きも接近戦になるとやはり絶好調時に比べれば力みが感じられる。対戦相手のサントスが好選手と言う事もあって単発のヒットはあるものの大きな見せ場を作れないまま後半戦9R。ここで長谷川は持ち前のプロ意識からサントスの前進を受け止めて打ち合いを披露。見せ場つくり大きな左に得意の右フックもヒット。明確な攻勢をアピール。最終10Rにはタフに動いていたサントスに疲れの色が浮かび、打ち合いにひるむ場面も。採点結果は2~5ポイント差、3-0で長谷川の判定勝ち。練習台というと失礼ですが好選手サントス相手にテーマを持って10R戦えたことは陣営には収穫のあるよいマッチメイクだったでしょう。勝利者インタビューで長谷川も「つまらない試合をする事がテーマでしたがついつい後半やっちゃいました」と言ってましたが当初の予定通りだったのでしょう。来年には世界戦という力強い宣言も聞かれました。がしかし今夜の試合でファンにその機運が高まったかというとそこはまた疑問で、単純にツニャカオの見せた充実振りに比べればやはり物足りない内容でした。絶好調時のKOを連発していた力まずに打ち抜く連打は果たして復活するのか?ジョニゴン戦時は燃え尽きていたという闘志は蘇るのか?この夜の試合の延長上にそれはあるのか?ファンとしてはただ復活を祈りたいと思います。ただ彼のキャリアのスト-リーは少なくともボクシング好きには深く浸透しており、彼がいう「つまらない試合」が何を意図していたのかということは会場でも報道でもネットのボクシング論壇でも共有されていたと思います。そういう歴史を共有しているファン・関係者が数多いるということが彼の人気の強さであると思います。

サントスくん

判定に不服そうなサントス君 「グッドファイト」と声をかけると「サンキュー」と英語で答えてくれました


 今年はこれで最後の生観戦です(旧徳山と長谷川が好きです)