HARD BLOW !

Way of the Dragon  大晦日の大決闘!!

来年を語るのはまだ早い。今年ドラゴンイヤーを締めくくるのは誰だ?

<12・31 東京・大田区総合体育館>
WBA世界Sフェザー級王座統一戦 12回戦
王者・内山高志(ワタナベ)vs暫定王者・ブライアン・バスケス(コスタリカ)

結果:TKO8R 内山6度目の防衛成功

WBC世界Sフライ級タイトルマッチ 12回戦
王者・佐藤洋太(協栄)vs同級5位・赤穂亮(横浜光

結果:判定 3-0 王者2度目の防衛成功

WBA世界Sフライ級タイトルマッチ 12回戦
王者・テーパリット・ゴーキャットジム(タイ)vs同級8位・河野公平(ワタナベ)

結果:KO4R2分8秒 河野公平 王座獲得!!

<12・31 大阪・ボディメーカーコロシアム>
WBA世界ライトフライ級王座決定戦 
同級2位・井岡一翔vs同級5位・ホセ・ロドリゲス(メキシコ)

結果:TKO6R2分52秒 井岡二階級制覇! 

WBA世界ミニマム級王座決定戦 
同級2位・宮崎亮vs同級4位・ポンサワン・ポープラムック(タイ)

結果:判定2-1 宮崎亮 王座獲得!!

スポーツを巡る『色気』を考える

  大晦日のテレビ番組を総合格闘技の興行が席巻したのはほんの数年前のことですが、昨年末からはボクシングの興行が人気ですね。いまやボクシング中継が社運すら握る状態になったジリ貧のTBSの方は統一戦で名を上げた井岡の二階級チャレンジにチャンスをずっと待っていたスター候補宮崎亮の世界戦を抱き合わせる『井岡ジム祭り』で大衆のご機嫌を伺います。一方UHF局当時から「大晦日に誰が見てるねん」と言われ続けて来たテレビ東京は伸び盛りの若者の試合とは一味違うカードを揃えて大人の年越し狙い。三度目のチャンスに挑む河野公平、「500ラウンドスパーリングした」と言う佐藤洋太対ハードパンチャー赤穂亮、大人の魅力むんむんの内山高志という個性も強さも光る男達の三試合は「見る人は見てますよ」という中継局の方針に見事に合致したマッチメイクではありませんか。分けても若きエース井岡と双璧を張る内山高志の試合は西岡引退後の日本ボクシングの海外戦略を透視する大事な大事な試合であります。

 この二つのテレビ興行は実はラウンドガールの人選見ても中継局の方針が明確に分かります。TBS側のラウンドガールはAV業界では大変有名だと言う22歳のかわいらしい女の子ですが、テレビ東京の方は週刊誌の袋とじでおなじみの「エッチなお姉さん」壇蜜さん!当の内山も「幅広い年齢層の方に支持されてていいんじゃないでしょうか?」と的確なコメントで援護射撃する見事な人選であります。ザックリ言えばボクシングもエロも裸一貫勝負する仕事。TBS陣営の20代のピチピチした魅力かテレ東側の30代の円熟した魅力か?と問われれば40代の自分には断然後者がグッと来る!だから何だよ?と言われても困りますが何かとファミリー志向でぬるいもんばっかりになったこの建前社会でボクシング中継くらい大人の本音で作って欲しい!と強く祈念するもんであります。

 一般的にはマニアが押してると言う先入観を持ちがちの内山ですが実は女性ファンが多いのだそうです。東京のワールドスポーツに移籍した藤原トレーナーが主催するボクシングトークショーでは内山高志ゲストの回は女性客が八割だったのだとか。彼の発する落ち着いた男の色気は彼が独身である事もあいまって大人の女性を捉えて放さないのでありましょう。内山の発する男の魅力と言うのは野球選手の持ってる「経済力」とワンセットのモテ要素ともサッカー選手やモータースポーツの選手の持ってる遊び人的な軽さとも従来の格闘家の持ってる荒くれ・ヤンチャというのとも、また長谷川や内藤、村田諒太と言った「恐妻家」キャラクターとも違う曰く言いがたい魅力であります。男の色気を熱く語ってるとなんかホモみたいですが、そんな男のホモっ気も刺激する内山はきっと海外でも人気が出ると思うんだよなあ。

 スポーツ選手だけでなく役者や政治家からも色気がなくなって来た色気不足のこの日本。内山には色気の注入と言う面でも頑張ってもらいたい。本人の意向を無視して日本の色気大使に任命だ!内山の試合が序盤KO勝利で終わったら壇蜜さんと野球拳でカウントダウンすれば男も女も大満足で紅白越えも見えてくる?!がんばれ内山、テレビ東京!なんだこの結論?でもたまにはこういう文章もいいでしょ?

 色気と無縁の40代(旧徳山と長谷川が好きです)

2012年12月22日 長谷川穂積再起第二戦と言うよりツニャカオ挑戦者決定戦 

 1222 神戸 全景
 観戦は諦めていたのですがひょっこりと空きが出来たので観戦できたこの興行。いまや井岡がエースと言う関西ボクシング界ですが、もう一人のメジャーファイター長谷川も地元神戸で完全復活をアピールし世界戦への機運を盛り上げたいところ。今回のウエートは55.8キロ契約体重ですがスーパーバンタムへの転級をアナウンスしての一戦。なんだかんだで落ち着くところに落ち着いたと言う感じであります。会場は昭和テイストが嬉しい神戸市立中央体育館。大一枚という貧乏人の自分にはややキビシい当日券を握り締めて(後から来た親子連れは「エー一万しかないの!」と尻込み)エイヤと入場すると、パイプイスは後ろまでビッチリ並んでいるし、セミセミの時点で二階も9分の入り。駐車場は満車で行列が出来ていたし、ラウンドガールはパチンコメーカーのキャンギャルだし、照明用のトラスもあるし、スポンサーの横断幕も多いし地元神戸では長谷川の神通力はまだまだ健在。はっきり言って関西の興行では世界戦でもないのにこの陣容はかなりゴージャスであります。

 長谷川の復帰戦は勿論ですが今夜の自分の目当てはマルコム・ツニャカオ×クリスチャン・エスキベルの世界挑戦者決定戦。現在のランキングは一位なんだし山中×エスキベルの再戦なんて新鮮味ないし普通に指名挑戦でいいんじゃないの?という根本的な疑問はあるものの、まあこれで勝てば確実に世界戦が出来るなら結構なもんであります。ラウンド数は世界戦と同じ12Rで中間採点発表まであるというこの試合、不可解な停電事件のあと負けたエスキベルにも期するものはあるでしょう。その26歳エスキベルに対して、ツニャカオは大ヴェテランながら最近は老いて尚フレッシュな試合振りが目立ちます。テクニカルなアウトボクサーながら決めも強くなっている奇跡の35歳は髪も金髪に染めちゃって気持ちも若い!毛髪だけでなくファイトスタイルも対照的な二人の試合やいかに!だが最近のツニャカオの充実振りや相性を考えればツニャカオの優位は揺るぐまいという私の予想通り、ツニャの良く伸びるリード→ボディストレートというシンプルなワンツーでエスキベルは突き放されるのみ。強引に飛び込めばコンパクトな右アッパーに迎撃され、35歳とは思えぬスピードにも幻惑される。4R時点でジャッジは3者フルマークという一方的な展開。距離を支配されたエスキベルはなんとか距離を詰めたいがその焦りがバッティングを呼んでツニャカオがカット。切れていないエスキベルから減点1で序盤で6ポイント差の上局面打開もならずいよいよ勝ち筋がなくなったエスキベル。ツニャカオにすればこの試合は勝てばよい試合であり自分から試合を動かす必要がなくなったその時、あとの無くなったエスキベルは6Rからヤケクソな前進を敢行して勝利への執念を見せます。しかしそれはツニャカオの思う壺、エスキベルの突進を左右に動いていなしフックアッパーを痛打。エスキベルはたまらず背中を向けるがツニャカオを後頭部を打ってしまい注意で試合が止まりこのラウンドはチャンスを逃す。しかしもはやフィニッシュは時間の問題、と思われた7Rツニャカオがコーナーで大きな右アッパーを決めてエスキベルは一発で足に来る。エスキベルがコーナーに詰まったところでツニャはガードの隙間を探して冷静にショートを打ち分けてエスキベルは崩れるようにダウン。エスキベルは動けずレフェリーはカウントを止めツニャカオの完勝となりました。もともと持っていたテクニックにベテランらしい冷静さ、落ちないスピードや反応の速さ旺盛なスタミナなどフィジカルの充実振りも加わってまさに充実一途。山中との対戦はマニア垂涎の一戦となりそうです。勝利者インタビューでは「山中は友人でいいチャンピオンで人間的にもいい人。でも試合だから勝ってチャンピオンになる」と宣言、最後に片言の日本語で「カメダトモキウソツキ」とかましてファンの笑いを誘ってリングを降りました。メインまでの休憩時間ふと真後ろの通路を見るとファンと気さくに写メ撮影に応じる山中チャンプの姿が。次々と現れるファンと笑顔で撮影に応じる姿がとても印象的。本当にどっちにも勝って欲しいなあと月並みな感慨が…

 メインの前にチャンピオンカーニバルに出場する真正ジムの三選手―ヴェテランの大場、TKO負けから再起した鈴木、「マナカネに勝った男」菊池と言う三選手がリング上で挨拶。真正ジムの充実振りが伝わってきます。

 会場がジックリと暖まったところでいよいよ真打長谷川が登場です。と聞きなれぬJPOPが鳴り響き長谷川が登場。あれ?ENYAは?あの曲で荘厳にアガりたかったのに。長谷川のブログに良く出てくるあの歌手が作った曲かな?うーんまあ本人の意向だろうけどうーん。まあいいけどうーんと軽い戸惑いのなか対戦相手を見れば落ち着き払ったなかなかの面構え。北京のオリンピアンにしてマイナー団体WBFの世界タイトルも持ってるアルツロ・サントス君26歳の世界ランクはパンフではWBC15位、報道では18位。果たしてどの程度デキる相手なのか?と見てみるとバランスのいいフォームできれいなパンチを繰り出すあたりオリンピアンの看板は伊達じゃない。戦意も充分で長谷川に果敢にラッシュを仕掛ける。一方の長谷川は丁寧にリードをついて左につなげ、ムキになって打ち合いに応じる悪癖も今日は出ない。テーマを持った試合をしてる事はセコンドの「回れ」「ガード」という指示からも明らか。打たせず打つ、力まずスピードを生かして戦う。それは世界戦でのKO負けや再起戦を踏まえた上での陣営と選手本人の総意なのでしょうが、しかし世界戦で10回防衛したボクサーに6回戦のような指示が飛ぶのもなんだか複雑といえば複雑。離れている時は柔らかい動きも接近戦になるとやはり絶好調時に比べれば力みが感じられる。対戦相手のサントスが好選手と言う事もあって単発のヒットはあるものの大きな見せ場を作れないまま後半戦9R。ここで長谷川は持ち前のプロ意識からサントスの前進を受け止めて打ち合いを披露。見せ場つくり大きな左に得意の右フックもヒット。明確な攻勢をアピール。最終10Rにはタフに動いていたサントスに疲れの色が浮かび、打ち合いにひるむ場面も。採点結果は2~5ポイント差、3-0で長谷川の判定勝ち。練習台というと失礼ですが好選手サントス相手にテーマを持って10R戦えたことは陣営には収穫のあるよいマッチメイクだったでしょう。勝利者インタビューで長谷川も「つまらない試合をする事がテーマでしたがついつい後半やっちゃいました」と言ってましたが当初の予定通りだったのでしょう。来年には世界戦という力強い宣言も聞かれました。がしかし今夜の試合でファンにその機運が高まったかというとそこはまた疑問で、単純にツニャカオの見せた充実振りに比べればやはり物足りない内容でした。絶好調時のKOを連発していた力まずに打ち抜く連打は果たして復活するのか?ジョニゴン戦時は燃え尽きていたという闘志は蘇るのか?この夜の試合の延長上にそれはあるのか?ファンとしてはただ復活を祈りたいと思います。ただ彼のキャリアのスト-リーは少なくともボクシング好きには深く浸透しており、彼がいう「つまらない試合」が何を意図していたのかということは会場でも報道でもネットのボクシング論壇でも共有されていたと思います。そういう歴史を共有しているファン・関係者が数多いるということが彼の人気の強さであると思います。

サントスくん

判定に不服そうなサントス君 「グッドファイト」と声をかけると「サンキュー」と英語で答えてくれました


 今年はこれで最後の生観戦です(旧徳山と長谷川が好きです)

心に残る一戦

セルゲイ・ジンジルク(ウクライナ 37(24KO)-1(1KO)-0)
vs
ジョナサン・ゴンサレス (プエルトリコ 15(13KO)-0-0)

ミドル級ノンタイトル12R(2012/09/01,於 アメリカ、ニュー・ヨーク)


1R立ち上がりゴンサレスのジャブにまじろぎもせず前進を続けるジンジルクに、ああこうやってベテランのテクニックが新鋭を追いつめていくのだろうなと思ったが、そうはならなかった。

1Rこそ後退を強いられたゴンザレスだが、2Rに入ると距離をやや長めにスイッチしながらサークリング、タイミングを測ってショートレンジに入り強い右を打ち込む。ジンジルクの無リズムにも思えるリズムを狂わせにかかる。

3Rはジンジルクがプレッシャーを強めるが、ゴンサレスはジンジルクの右ジャブに小さな右を絡め、追撃の左に右カウンターを合わせる。

4R以降ジンジルクは接近戦にも応じて鋭い右ジャブと左ストーレートを決めるが、ゴンザレスは重い右でジンジルクの体を揺らす。顔面を見る限り紅潮したジンジルクの方がダメージを負っているように見える。

6Rにはゴンサレスがジンジルクの右ジャブの距離とタイミングを見切ったようにかわし、右ダブル・左ダブルを決める。ジンジルク後退。

7Rジンジルクは右ジャブのスピードを取り戻す。左が鳩尾に決まりゴンサレスの動きが止まるが終盤にゴンサレスがパンチをまとめる。

双方相手の出方に応じて微妙に戦法を変化させながら一進一退の攻防が、ノンタイトルながら12Rの試合の最後まで続いた。個人的には新鋭のゴンザレスが押しているように見えたが判定はドロー。

判定発表後、失望と安堵の表情が両者に見られた。

Sマルチネス戦の完敗で自信と誇りを打ち砕かれたジンジルクは、新旧交代の流れの前に踏みとどまり、やや緩いながらも柔軟な体の動きとパワーパンチでジンジルクの教科書のようなボクシングに対抗した23歳の新鋭ゴンサレスは、経験と成長を得たことだろう。

ジンジルクの方が得たものは少ないように見えるが、再起の途上でタフな一戦を生き抜いたことで次につながった。36歳のベテランに残された時間は少ないが、この一戦の意味は今後の戦い方で決まるだろう。

微妙な戦術の変化の応酬と新旧のせめぎ合い、テクニックとパワーのコンバイン、…

様々な感慨を催させるという意味で今年一番の一戦だった。



付記
 メインはゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)vsグレツェゴルツ・プロクサ(ポーランド)。プロクサは若き日のミルコ・クロコップのような腰の入った左右フックをスピーディに打てる選手。ゴロフキンは体とパンチのパワーで物がちがう感じ。結果はダメージを重ねたプロクサが5RTKO敗。プロクサはハートのあるところを見せたが、ゴロフキンが格のちがいを見せつけた。ジョーさんはSマルチネスとやらせたいと言ったが、直線的な動きのゴロフキンが変幻自在のマルチネスを捕えるのは難しいのではないか。

WBA世界ミドル級タイトルマッチ。ゴロフキンは5度目の防衛に成功。アテネ五輪銀メダリストでアマチュア時代にビュテやドリルを破っている30歳ゴロフキン(カザフタン)はこれで24(21KO)-0-0。プロクサ(ポーランド)は28(21KO)-2(1KO)-0。

by いやまじで

アリを感じろ!ドキュメンタリー映画「フェイシング・アリ」

 天性のデタガリも手伝ってやたらと多いモハメド・アリ絡みの映画。現役選手なのに本人主演という「ミスター・ジャイアンツ 勝利の旗」「鉄腕投手・稲尾物語」スタイルの「アリ・ザ・グレーテスト」「モハメド・アリ チャンピオンへの道」。ドキュメンタリーとしてはオーソドックスな「モハメド・アリ 世界が見た王者の姿」、キンシャサのアリの試合とその前に行われたソウルミュージックのフェスティバルの模様を収録した貴重なドキュメンタリー「モハメド・アリ かけがえのない日々」。劇映画としては主演のウイル・スミスの自己満足映画「アリ」が一番メジャーですが内容はかなりスットコドッコイです。変わったところでは梶原一騎先生率いる三協映画が作った猪木戦の映像がクライマックスの「四角いジャングル・格闘技世界一」も昭和感丸出しでいいですねえ。そんなアリ映画の系譜に新たに加わる映画が今年も公開されました。と言っても今回はアリ本人は試合映像やインタビュー映像にしか登場しないと言う異色作。アリとリング上で対峙した10人の男へのインタビューをまとめた「フェイシング・アリ」でございます。(「フェイシング・アリ」予告編)インタビューに登場するのはフォアマン、フレイジャーは勿論ホームズ、スピンクスにケン・ノートン、ロン・ライル、アーニー・シェイバーズ、アーニー・テレル、ヘンリー・クーパー、ジョージ・シュバロという面々。現在の生活ぶりは見事にバラバラで金のある人落ちぶれてる人様々ですが皆全員がアリと戦う事で否応なく運命の波に飲み込まれていく。
 やはり今年亡くなったフレイジャーのインタビューはとても貴重。フレイジャーは田舎育ちの実直な青年で、アリが「あいつはアンクル・トム(白人に迎合する黒人の典型例)だ」と挑発するとアンクル・トムとピーピング・トム(覗き見トム=日本語で言う出歯亀みたいなもん?)とを勘違いして「何でオレが覗きなんだ!」と憤慨したりするちょっと可愛い人。でもアリはそんな少しドン臭いフレイジャーを徹底的に悪口でイビリまくる。南部の貧困層出身で激烈な差別を身を持って知っているフレイジャーはアリのような生き方は土台出来ないのだが、アリがベトナム戦争の徴兵拒否でヒーローになったところも地獄の戦場を体験して何とか帰還したフレイジャーにはなんとも面白くない。家族や友人にまで口撃の被害が及ぶに及んでいよいよフレイジャーの闘志はたぎる一方。フレイジャーを怒らせたばかりにアリは初めてキャンバスを舐める事になるのですがほんと口は災いの元です。アリ×フレイジャーの一戦目の映像には観客としてマイルス・デイビスやウディ・アレンもとらえられております。一方中年期に差し掛かったアリに立ちはだかる若き日のフォアマンは鎌倉大仏のようになってしまった復帰後からは想像もつかないダビデ像のような完璧な肉体を誇示する見るからに恐ろしい男。アメリカ代表の黒人陸上選手が差別への抗議で国家吹奏時に拳を突き上げたメキシコオリンピックで金メダルを取った際何の葛藤もなく小さな星条旗を振ってしまうような空気の読めない男だがこの人もまた差別と貧困から立ち上がった不屈の男。アリの口撃は受け流し自信満々リングに立つがこちらはその自信が仇となり一敗地にまみれることとなる。このあと次戦で負けたフォアマンが神がかる様子を身振り手振りで再現する所はなかなかの見ものでした。あと印象的だったのはケン・ノートン。ノンタイトル戦とはいえアリに土をつけた男は現在交通事故の後遺症で杖を突いている。「アリ戦は離婚直後で乳飲み子を抱えてどうしても金が必要だったから死ぬ気で準備した」と切実な事情を話しながら「アリと戦えたことで全てが変わった」とも。もう一人同時代のWBAチャンプアーニー・テレルはアリのラップ悪口に対抗してメロウな歌でアリを挑発する茶目っ気のあるオジサン。当時のボクシングビジネスがギャングに牛耳られていた事などを淡々と語りつつアリ戦の敗因はサミングされて目を潰されたからだという。リングロープ際の死角で確かに異様な動きはあるが…。

 さて他の出演者の話もすべて興味深いのですが一つ印象的だったのは、アリの存在感が全くイメージで言う『黒人的』でないこと。アリは対戦相手の黒人を「白人の手先だ」と言うように罵るのですが、アリのキチンとした服装・髪型に比べてフォアマンやフレイジャーのファッションや佇まいは明らかに今で言うファンキーでいわゆる黒人そのもの。勿論彼の所属するブラックモスレムはそのようなステレオタイプ化をこそ忌避していたからなのでしょうけど現在から見ると不思議な感じがしました。あとアリはテレビ時代の先駆けになるアスリートだったなあと。自己演出という面から見てもここまで極端に突き詰めてる人はスポーツ選手ではちょっと見当たりません。
 
 いまや黒人ファイターはすっかり減ってアメリカのボクシング界もメキシコ系とカリブ系ばかりですが、それはアメリカの黒人を巡る状況が経済的にも政治的にもかなり好転したからでしょう。あとバスケやNFLの方が稼げるというのもあるのかな?「ソウルミュージックがソウルフルでなくなったのは黒人の生活が向上したからだ」なんて暴言吐く音楽評論家もいますが、黒人への差別がなくなること生活が向上することはとてもいいことです。ケン・ノートンのようにKKKに追われて一家で引っ越して生きていくためにグローブを握るなんて余りにもキツイ話です。そういう公民権運動の時代の証言としてもとても貴重な記録だと思います。まだまだアリの映画は作られて行きそうですね

 アリ×フレイジャーの二戦目の映像がなかったことが少し不満(旧徳山と長谷川が好きです)

最近のバナルとバウティスタ

10月20日、今回はセブではなくマニラの巨大ショッピングモールで行われたというALA定期興行の観戦記です。

AJバナル 28(20KO)-1(1KO)-0 (フィリピン)
P.S.シンギュ 42(27KO)-1-0 (タイ)

WBO世界バンタム級王座決定戦


サウスポーのバナルは半身で重心低く構え、パンチもフットワークも足腰のバネがよく利いている。

シンギュは右構えだが、ガードを顔半分まで上げ、相手にほぼ正対するように前傾。これで頬からボディまでがガードで隠れ、相手としては非常にパンチを当てにくそうだ。その体勢から伸び上がるようにして左ジャブや右ストレートを打つ。これが結構伸びてしかも力がある。タイよりも日本人によくいそうなタイプに見えるが、ちがうのはインファイトでも速い回転でパンチが打てるところ。

実際バナルも研究済みなのか、シンギュのガード下からもぐりこませるようにアッパーやフックをボディに打っていた。ただそれが行き過ぎてローブローが多くなり、6Rには減点も取られた。

序盤の3Rはバナルが速いコンビネーションとサイドステップでラウンドをとったが、前に出るシンギュの圧力は弱まらず、中盤シンギュのパンチの威力が勝り始める。バナルはよく動いて持ちこたえているようだったが、9R乱戦からシンギュの右ストレートを顎に受け、これが効いてダウン。立ちあがったもののダメージが深いと見たレフェリー(トニー・ウィークス)はストップを宣し、WBOバンタム級新王者はタイのシンギュに。

シンギュはこれで44戦43勝だが、そのうち17人がフィリピン人ボクサーとのこと。なお、1敗の相手は2009年WBCユースタイトル防衛戦のStephane Jamoyeである(SD)。

バナルはこれまで敗れたのがRコンセプシオン(WBA暫定スーパーフライ決定戦)だけだが、コンセプもこの日のシンギュも泥臭いファイター。バナルは切れの良い動きを見せる選手で好きなタイプの選手なのだが、どうも力押しには弱いようだ。

シンギュはそのタフネスから見てムエタイ経験者に思えるが、あの姿勢はムエタイからはかけ離れていて、どうやってああなったのか少し興味がある。タイのタフネスでは、先日コンパヤックがアドリアン・エルナンデスとの敵地リマッチで敗れたが、あれは打たれ過ぎ。シンギュは結構デフェンスが固い。ただバナルはもっと右フックをテンプルに、左アッパーを顎に打てなかったかと思う。

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セミはレイ・ブンブン・バウティスタ(フィリピン 33(25KO)-2(1KO)-0) vs ルイス(メキシコ 27(19KO)-4(2KO)-1)のWBOフェザー級インター王座決定戦。2007年ポンセ・デ・レオンに1RKO負け(WBO世界スーパーフライ級戦)を喫してから5年、26歳のバウスティタが初回から強打を揮い、タフで大柄なルイスのカウンターに遭いながらも押しきり、2-1判定勝利。しかし、フェザー級の世界トップ戦線で戦うにはパワーの面でも技術の面でも厳しいものを感じた。

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それにしてもフィリピナは好戦的だ。とりわけこの日のバウティスタはそうだ。しかし世界のトップ戦線でもこの戦い方で行くのだろうか。それならこの日の相手は圧倒しなければならないだろう。ともかく前へ出て正面からの攻めは、ともすると単調に見え、危い被弾もしばしば。このレベルでこの戦い方を貫けないようでは…という考え方もあるが、別の戦い方もできないと、とも思う。それができた上での今日の戦い方ならというところであろうか。といっても、私は彼の試合はこの試合とポンセ・デ・レオン戦しか見ていないのであるが。とにかくデフェンスがもうちと何とかならんかと。今日の相手を圧倒できるパンチ力がない以上は。

西岡戦を終えたばかりのドネアが解説というのが贅沢だった。

by いやまじで

special WBO belt "Fighter of the Decade"

もはや冠など必要としない実力者同士4度目の戦い。

マニー・パッキャオ vs ファン・マヌエル・マルケス

勝つのはどっちだ!!

マニー・パッキャオ vs ファン・マヌエル・マルケス

結果:6RKO マルケス執念の衝撃KO勝利!!

全盛期のスピードが見られたパッキャオが1、2Rデリケートなスタートを切ったマルケスをややリード。
3Rは早くもビッグラウンドで、左ガードの上を被せるように放たれたマルケスの右オーバーハンドがパッキャオの死角となって顔面を直撃。
この一発でダウンを奪われたパッキャオだが、しかし冷静にダメージを回復し5Rには強烈な左ストレートでダウンを奪い返す。
これで試合の流れはパッキャオに傾くかと思われた6R、右ストレートから踏み込んで攻めようと出たパッキャオにマルケスは右ショートで対抗。
これがものの見事にカウンターで顎を捕えると、パッキャオは前のめりに倒れる失神KO負け!
パッキャオの復活が期待された試合だったが、まさかの結末だった。

byB.B


注目のアンダーカード

IBF ライト級タイトル戦
ミゲール・バスケスvsメルシト・ヘスタ
結果:判定 3-0 王者5度目の防衛

WBA フェザー級暫定王座決定戦
ハビエル・フォルトゥナvsパトリック・ハイランド
結果:判定  フォルトゥナ 

WBA Sフェザー級暫定王座決定戦
ユリオルキス・ガンボアvsマイケル・ファレナス
結果:判定 3-0 ガンボア

今夜はWBAバンタム級統一戦でしたね

ここのところ色々多忙でありまして、スッカリ忘れてました(笑

休養チャンピオンが強敵ウーゴ・ルイスを迎えての大一番という事で、展望記事など書こうと多少の準備はしてましたが・・
改めて最強挑戦者と言われるルイスの映像アルバロ・ペレス戦を見ると中々の好選手である事が判ります。
対戦者のペレスは3年前、長谷川穂積選手に挑戦(4RTKO負け)した事もある体の柔らかい機敏な選手でした。最近ではフェルナンド・モンティエルに3RKO負けと一流どころには流石に歯が立たない中堅ランカーといった所か。
そのペレスに対してルイスは9R負傷判定勝ちでWBAバンタム級暫定王座を獲得。
内容はけして褒められるものではありませんでしたが、長い右ストレート左のショートフックの鋭さ、そして得意の右アッパーの威力には見るものがありました。
ルイスはここまで32戦を経験していますが、レコードを見る限り世界で戦うという意味でのキャリアはスタートしたばかりの発展途上。このまま順調に行って、更にボクシングの幅が広がればジョニー・ゴンザレス級の王者に成長する可能性があると思います。

さて、試合まで2時間を切りましたがブランク明けの亀田選手はどうなのか?
左ストレートは当たるでしょう。
そしてサイド、サイドと自在に動ければ判定までもつれるかも知れません。
ルイスの右ショートアッパーで決着かな?

と、こんな記事見つけました。

興毅、「パチパチパンチ」で防衛や!…WBA世界バンタム級戦

http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/box/news/20121121-OHT1T00266.htm?from=related

数年前、マニー・パッキャオが木の細い棒でマスター・ローチに体をペシぺシ叩かれている映像を見た事がありまして、「これは何の意味があるのだろう?」とずっと疑問に思っておりましたがやっと納得。
思わぬところで数年の間、記憶に引っ掛かっていた謎が解けました(笑

B.B


WBAバンタム級タイトルマッチ 試合結果

王者 亀田興毅(亀田)対 同級1位 ウーゴ・ルイス(メキシコ)

判定 2-1 王者 5度目の防衛成功


アマボク関連 放送のお知らせ

本日12月2日、テレビとラジオでアマチュアボクシング関連の放送がありますのでお知らせします。

①テレビ 16:00~17:00「第82回全日本アマチュアボクシング選手権」(Eテレ)NHK教育
会場:日野市・市民の森ふれあいホール
ゲスト:村田諒太(ロンドン五輪ミドル級金メダリスト)、清水聡(ロンドン五輪バンダム級銅メダリスト)
解説:山根昌守(日本アマチュアボクシング連盟理事)
 →番組サイト

②ラジオ 20:00~21:00ニッポン放送「ザ・クローズアップ」
清水聡選手がゲスト。オリンピックの舞台裏を明かすとのこと。関東地方はネットで聴くことができるようです。番組を聞くことのできない地域でも放送後にニッポン放送のホームページで番組の一部を聞くことができるそうです。
ニッポン放送12月2日の番組表

お時間ある方はご視聴あれ!!

以上

by いやまじで