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三谷ジムスパー大会(午後の部)

11月25日、三谷大和ジムのスパー大会を見学してまいりました。

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このスパー大会、半年に1回のペースで行われており、1分2Rでジャッジ3名が採点もする本格的なもの。この日は午前中に小学生の部(10試合)、中学生の部(7試合)、女子の部(5試合)、高校生の部(6試合)、午後からオヤジの部(9試合)、元プロの部(1試合)、一般の部(22試合)のスケジュールで行われました。

実はこの日私がジムに到着したのは昼の12時頃、午前の部の優秀賞の授賞式の最中でした。実質的に試合を見たのは午後のオヤジの部からでした。

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もう一つ「実は」なんですが、私は半年前のスパー大会も見学しておりまして、その時には逆に午前の部の小中高生を中心に見ておりました。そしてその時の写真と感想が未掲載のまま残っておりましたので、この記事の後半に掲載することに致します(スパー大会の概要もそちら参照)。ということで、まずは本日観戦分について御報告しましょう。

まず「オヤジの部」。この「オヤジ」の定義ですが、三谷会長がスタート時に明言されたのですが、「私がオヤジだと思った人がオヤジです」とのこと。つまり、年齢などで機械的に峻別するのではなく、プロの目から見て、トレーニングの積み具合、コンディショニング等々から総合的に判断しているとのこと。参加者のほとんどはどこかのジム所属なので、ジム責任者がある程度選手の状況を把握し申請して、それを基にカテゴリー分けしているのでしょう。同程度の年齢、体力、実力の方が対戦するようになっています。

そのオヤジの部ですが、実際行われたのは7試合だったと思いますが、最初の1試合の時点で、「これはオヤジじゃないなぁ~(笑」とレフェリーを務める三谷会長の口からついて出るほど、みなさん動きが良かったです。常に前進のファイターから相手を見るカウンター・パンチャーまでタイプは様々ですがスタミナ切れはほとんどない。結果、接戦・熱戦が多い。最初の2試合がKO(RSC…安全第一なので早めのストップ)で、後の5試合は判定でしたが、いずれも拮抗した戦いに見えました。最優秀賞は判定勝ちされた吉岡さん(ボックスファイ)でしたが、年齢は40代とのことでしたが、先入観なしに見れば20代後半から30代後半に見えました。インタビューで今後の目標を問われ「目標というよりボクシングを通じて人間磨きをしたい」と答え、会場をうならせていました。またこの部の優秀賞は常連参加者のライター勝谷さん(イマオカ)で、インタビューでは「これまで勉強ばかりしてきて、スポーツの個人競技で勝利を挙げたのは人生で初めて」といたく感激されていました。

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何ベルトか分かりませんが、挑戦状を叩きつけておられました。ハイ。
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次に、三谷ジム練習生の方のミット打ち披露。一人は最高齢73歳の深沢さん。バチン! バチン! という音がパンチの力強さを物語ります。心地よさそうな汗で「80歳までは続けたい」と抱負を語りました。もう一人は小学3年生の男の子。三谷会長のミットの動きへのダッキングも交えながら1分間ほどミットを叩きました。こちらは息一つ乱れていません。聞けば2年前から練習をしているそうで、ややポッチャリ体型の子でしたが、動きが自然さが印象的でした。

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さらにこの日のMVPの発表が行われました。え?!、まだ試合が残っているのに? 三谷会長曰く、「この日のMVPはもう決まっています」のだそうです。それは午前の部、力の差がかなりある相手に涙を流しながら最後まで向かっていった女子小学生選手でした。遠方から来ている選手の帰路に配慮したこの時間の発表かと思いますが、当の選手は「応援してくれてありがとうございます」とコメントした後、また涙を流していました。

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この後、元プロの部、1試合が行われました。これは流石に元プロ。というか技術は明らかにプロですね。非常に見ごたえのある試合。

次に一般の部。このカテゴリーは上記のカテゴリーにあてはまらない選手ということでしょうが、おそらく年齢は10代後半から30代前半ぐらいでしょう。ジムの練習生の方もいれば慶応大学ボクシング部の選手もいて、色とりどりした。こちらも競った試合が多く。見る方も集中せざるをえない迫力で、選手たちの集中力が非常高かったですね。

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こうして今回20代~50代選手の試合を中心に見たわけですが、第一に思ったのは、プロの選手と比べて下手だなとは思うですが、しかし、それはいかにボクシングが難しいものなのかを感じさせられるという意味においてなのであります。相手がいない状態で自分がパンチを出したり、相手のパンチをよける練習をしたりすることはできる。しかし、スパーとはいえ実戦では相手は手加減無しにパンチを振ってくるしこちらのパンチを必死でかわそうとする。その瞬間瞬間の状況の変化に対して、バランスを崩さずに対応するというのには、かなり修練が必要だろう。そんなことを見ていて強く感じさせられた。また前回は子どもたちに元気をもらったのですが、この日はおじさん(私もですが)に元気をもらった。そんなスパー大会であったのです。

★↓午前の部の写真追加しました。(2012/11/28 追記)

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◆ ◆ ◆ ◆

ということで、以下に前回のスパー大会の模様をアゲておきます。参考までに。

◆ ◆ ◆ ◆

20120429 三谷大和ジムスパー大会に行ってきた

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4月29日、ボク愛さんとウチ猫さんの誘いを受け、三谷大和ジムのスパー大会を見てきた。
場所は三谷大和ジム。千葉県の八千代市にある。最寄り駅は京成線の八千代台。私は自宅からまず新宿に出て、JR山手線の外回り(池袋方面行)に乗り、日暮里から京成線に乗り換えて八千代台へ。新宿から八千代台まで1時間ほど。ジムは八千代台駅の東口を出て、線路沿いを5分ほど東進したところにある。当日は幸い晴天、この時期としては「暑い」と感じられる陽気に恵まれた。

午前10時過ぎ到着。ジム前の路上にボク愛さんとウチ猫さんの姿が見える。参加者が車道にあふれるので交通誘導のようである。今回は運営の人手が足りたということで、私は見学に専念させてもらうことに。当初は正午スタートと聞いていたが、午前中にスペシャル編があるというので、それに間に合うように来てみた。ジムの周囲は小中学生の選手とその父母・関係者で溢れ、私は交通誘導のじゃまをしないよう挨拶もそこそこにジム内に入った。

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すでに選手のエキジビションスパーが行われていて、斎藤司選手が相手のパンチをヒョイヒョイとかわしているのが見えた。斎藤選手は中村トレーナーとミット打ちを披露する予定だったが、中村トレーナーがギックリ腰(お大事に!)につき急遽予定変更だそうだ。その後も、ジム支援者を交じえたボクシング愛好者のスパーが行われ、中にはライターの勝谷誠彦さんの姿も見られた。(イマオカジム所属とのこと。)この数年間連続して参加されているそうで、相手は寒竹さん。両者とも華麗なテクニックを披露(?)、というより激しく打ち合うもなかなかクリーンンヒットせずである。これはディフェンスがしっかりしているからだろう。接戦だったが判定で寒竹さんが勝利を収めた。うーん、元気である。

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私はボクシングの経験はないが、学生時代のスポーツ経験から、ボクシング選手が1R3分間にどれほど体力を消費するかというのは想像できる。(ほんの少しだが。)40、50歳でグローブをつけて1分間Boxするのはなかなか大変なはずだ。しかし両者休むことなくFIGHTし続けた。この年代になると筋力と持久力の両方をバランス良く保つのはなかなか難しいはずで、これも鍛錬の賜物なのであろう。スパーを終えた二人の、汗だくながら清々しい笑顔が印象的だった。

スパーは1R1分の2R制で、元プロ選手数人がジャッジを務め、勝敗をつける形で行われた。リングドクターも待機、試合の合間に「試合後でも気分が悪い人はこちらに来てください。」と何度も案内していた。リングサイドでは妙齢の女性2名が進行を務めている。ラウンド内に経過時間のアナウンスもしていた。これは選手にも観戦者にもわかりやすい。

午前の部が終了後、休憩をはさんで午後の部へ。

午後の部は開会式より始まり、三谷会長挨拶、ルール説明、選手宣誓などが行われた。

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試合はまず中学生の部から(約10試合)。この年頃の選手たちの動きを見ると、いい意味で基本的技術を修得する途上という感じで、しっかり構えてしっかり防御もし、相手を見ながらパンチを出していた。力に頼らず、変に振り回すことなく、純粋に技術の攻防で優劣をつけようという姿勢が見えた。そういう意味でボクシングの基本技術を観て楽しむのに適した試合が多かったように思う。これは小学生高学年あたりもそうである。

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小学生の試合(約6試合)では、低学年で少しグローブが重そう?に見えるお子さんもいて、なかなかほほえましい。女子の対戦相手が見つからなかった4年生女子が、3年生男子と対戦なんてことも。因みにこの試合、結果は男子が勝利したが内容的にはほぼ互角といったところだった。どの選手もふだんしっかり練習しているらしく、ラウンド終盤になっても動きが鈍るという感じが全くなかった。

選手たちの中には静岡(伊豆)あたりからマイクロバスで大挙やってきたジム生(保護者同伴)もいて、聞くところでは、名古屋や関西からの参加者もいたという。ずいぶん全国的である。考えてみればボクシングの場合、小中学校では試合をする機会というのは極めて限られているだろうから、このスパー大会は腕試しの数少ない機会なのかもしれない。また遠方の同年代の選手と拳を交えるというのはお互いにとって良い刺激になるだろう。スパーとはいえ勝敗がつくのも選手として本気度が増すというものだ。

試合の合間のアナウンスで知ったのだが、スパー大会はかなり回を重ねていて、「これまで何勝何敗で、今日勝てば…」なんてアナウンスもあった。

それと、各カテゴリーの終了時にMVPと優秀賞を数名選定し授賞式を行うのだが、三谷会長が受賞者にインタビューする。今日の出来がどうだったかとか、将来の目標とか、あれこれ訊いている。これは、子供たちの意識に働きかけるところ大である。自分の試合について振り返ることによって選手自身がいろいろな発見をする。また、漠然としていた自分の課題や目標が意識化される。選手の自己覚醒・成長を促すものになっていた。もちろん観戦者にとっても楽しみが増える。選手たちのバックボーンがすけて見えて理解が深まる。髪を染めて小さなポニーテールにしているヤンキー風の小学3年生ぐらいの子が、喋らせるとたどたどしくて可愛らしかったりして、観る側にもいろいろな発見がある。

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この後、女子の部(約2試合)、オヤジの部(約6試合)、高校生の部(約4試合)。

女子の部は、フィジカルがしっかりしているという印象を受けた(息切れしない)。技術レベルの高低は分からない。ただ女子柔道などを見ていると、男子に比べて筋力がない分、技術勝負になる場面があり、それがかえって男子よりも面白い場合がある(特に日本選手の場合)。女子ボクシングもその方向に行くと面白いのではないか。というか、そうなってほしいと思う。時期が前後するが日比戦(04/25/2012)でエキジビションだったが女子のボクシングを初めて見た時はそういう技術への傾きが見られてよかった。

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高校生の部はさすがに力感が出て迫力があった。アマチュアの試合というのを見たことがないので何とも言えないが、ポイントを取る感じとは別の戦いをしているように見えた。無理やりではないが倒しにいってる感があった。

オヤジの部は「この年齢で!!」という方もいらして別の意味の迫力があった。

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この日の私は所用のため午後3時頃ジムを辞去したが、この後も一般の部が15試合ほどが行われたらしい。いったい何時終了だ?!と驚きながら、そして、選手たちとジムスタッフから元気をもらったと感じながら、八千代台を後にしたのである。


付記1
またお邪魔しますのでよろしく。 

付記2
この日は斎藤司選手(日本ライト級8位)のWBC世界ユースタイトル戦決定が会長と本人から発表された。

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付記3
勝又ジムの会長がウォーズ勝又選手(フライ級)とともにゲストとして来訪。大会途中にリング上で挨拶、次戦のカード決定を報告していた。
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付記4
当日は、カシアスさん、トカチャン、吉野さん、セレスさん、松信さんなども見学に訪れていた。
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by いやまじで

(終わり)

将来のタイトルマッチ!? 戦気杯スペシャルマッチ      前川廉vs梅津奨利

いやまじでさんも記事をあげてくださってますが、11月25日に三谷大和スポーツジム・スパーリング大会「第14回 戦気杯」が開催されました。
例年の「11月第一日曜日」から三週間ほどずれているので、冷え込んだ場合や悪天候時の選手の健康管理、控室をジムとは別の場所にお借りしている為、そこからの移動の際の事故等、充分な配慮が必要でした。しかし当日は好天にも恵まれ、事故や大きなケガもなく、また大会レベルも私が見てきた中では過去最高ではなかったかと思います。
これはこの大会を成功・継続させる為に、出場各ジムの会長さん以下、個々の選手や同伴の保護者の方々に至るまで、すべての参加者が運営に協力してくれた結果であり、技術の研鑚以上に素晴らしいことであると思います。

その中で、今大会の目玉となる注目カードがありました。「模範試合」と銘打たれた「前川廉(協栄)vs梅津奨利(三谷)」の対戦です。
このスパー大会は、1R1分の計2Rで戦いますが、この試合のみ1R2分の3R勝負ですので、観客には堪らないですが、選手にとっては公式試合と同様の厳しさがあるでしょう。
両者ともに各地のU-15大会等で優勝経験を持ち、いずれはプロのリングで大きなベルトを懸けて再び戦うこともあるのではないか、という期待を背負うような選手であります。
近い将来、「この両者の因縁は、とあるスパーリング大会に遡る…」と語られるような、伝説の第一章として三谷会長が提案したこのカード、果たしてその思惑通り、素晴らしい試合となりました。

◆◆◆

この大会では、対戦する両選手に極端な体重差がないかどうかを確認する為、当日朝にヘルスメーターで簡単な体重測定を行う(小中学生のみ)。実際、2,3kgの違いならそのままやってしまうのだが、この試合だけは天秤を使っての厳正な計量が行われた。
どうやら二人とも凄い選手らしいという評判や、天秤の物珍しさも手伝ってか、計量時には写真撮影する人も多く、まさにWeigh inといった趣である。
46kg契約ウェイトのこの試合、両者ともにパンツ一枚になり45.5でパス。これを見ていたイマオカジム・今岡会長は「二人とも、鍛えたところから絞ってきた、これぞボクサーという体ですね」と感心。期待感の煽りとしては大成功だ。

梅津&前川
左・梅津奨利(三谷)、右・前川廉(協栄)

梅津&前川2


サクサクと予定が進行し、いよいよ両者の出番。赤コーナーには三谷ジムの中村トレーナー、青コーナーにはこれまたボクシングファンにはお馴染みの新井史朗トレーナーが陣取り、裁くレフェリーは三谷大和。お膳立ては完璧であろう。注目のゴングが鳴った。

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初回、やや力みのあるオーソドックス梅津に対し、非常にリラックスした入り方をしたサウスポー前川。定石通りに左のストレートで梅津の顔を何度か跳ね上げる。打ち終わりや打ち始めを狙ったり、あるいはリードのような軽い使い方をしたりと、中学生とは思えない技術を披露。出入りのフットワークもよく、まとめるところはまとめペースを握る。

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梅津は離れていては分が悪いとみたか、接近戦に活路を求める。2回からは頭もよく振るようになり、潜ってボディからロープへ詰めるという動きが見られるが、前川も早いジャブで突き放し容易に主導権は渡さない。二人とも、手も足もよく動く。互いに持ち味を出したラウンド。

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最終3回、同様にラッシングをかける梅津に対し、前川は少し疲れが出たか。それまでは手数で、あるいは体を入れ替え梅津の突進を許さなかったが、若干動きが止まるシーンが出てくる。そうした一瞬を見逃さず襲いかかる梅津も大したもの。時折カウンターをもらいながらも、この回は終始押しこんだ梅津か。

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判定の結果は2-1で梅津が僅差を制した。個人的には28-28のドロー。別に予定調和的にそうしたわけではないが、この決着はいつかプロで…ということでいいのではないかな、とも思った。
公式戦ではないが、やはりこのレベルの選手が戦えば、どうしたって白熱するのは必至だ。

梅津はずっと前からスパー大会の表彰者の常連だが、この時期の子どもたちの成長を見るにつけ思うのは、「半年ぶり」という期間は、私たちに驚きを与えるには充分過ぎる時間だということだ。
内山高志は、先日見に行ったトークライブの中で、まるで素質を感じられなかった自身の高校入学当時を振り返ってこんなことを言っていた。
「花咲徳栄のボクシング部の新入部員は何十人といますが、その中で自分と同じ階級は5,6人くらい。最初はその5,6人の中で一番になることを目指しました。それが出来たらレギュラーを目指し、そのあとは試合での一勝を…」
そんな選手が今や押しも押されぬ名王者になったのだから、今日、格の違いを見せつけられた感のある他の子どもたち、特に三谷ジムの中学生たちには是非とも奮起してもらい、来年は俺があの場に!という意気込みで頑張ってもらいたいと思う。

◆◆◆

試合中はカメラを動画に切り替えていたので、写真は撮れていません。携帯でも何でもとりあえず撮っておけばよかったと後悔しております。
この試合映像は是非皆さんにもご覧いただきたいのですが、三谷ジムの選手だけなら問題ないですが、相手の前川選手はテレビに何度も取り上げられている選手ですので、協栄ジムさんに無断で公開したりすると問題が生じる可能性があります。
そのあたりの問題がクリアになるようでしたら、こちらでご紹介したいと思います。

※11月29日追記:私のPCの師匠に、動画から静止画を切り出してもらったので載せておきます。

(ウチ猫)

三谷ジムの新星 竹内悠!

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斉藤司選手の試合は当然メインですから、まあそんなに急がなくても…というわけにはいかない理由がありました。第一試合に登場する三谷ジム期待のルーキー・竹内悠選手。
1994年10月31日生まれ、18歳になったばかりの若武者がデビュー戦を迎えました。

◆◆◆

三谷会長以下スタッフ陣営が口をそろえて「竹内のパンチは凄いですよ」と太鼓判を押していたので、何とか間に合うように会場入り。ホールに到着して今日のポスターで顔写真を見た時に「ああ、彼か」と思い出した。何度か三谷ジムのスパー大会で見た記憶があり、技術的には見るものはなかったが(まだ中学か高校に入ったばかりだったから当然なのだが)、とにかく馬力があり、二発や三発のパンチでは止まらない選手で、印象に残っていた。

選手入場に備えて通路に現れた竹内。18歳といえば体が急成長する時期ではあるのだが、ドえらいマッチョに大変身。まさに「男子三日会わざれば…」の気分である。
試合開始直後は、緊張からか相当固い動きで、陣営から「リラックス!」の声が飛ぶ。しかし動いているうちに徐々に調子が出てきたか。また、相手が打ち合いを厭わず前に出てきてくれたもの幸いし、初回中盤にダウンを奪う。

いや、この力感あるパンチはさすがに皆が宣伝するだけのことはある。ダウンをとってイケイケになるあまり、逆に相手のパンチを被弾することもあるのだが、相打ちでダメージを負うのは相手の大島(小熊)の方。けっこう肝を冷やすシーンもあったが、打たれ強さも含め打ち合いには絶対の自信を持っているのだろう。二分過ぎに二度目のダウンを奪いTKO。見事初戦を飾った。

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スポーツ歴は野球とテニスという、まずまず普通の学生だった竹内。何となく近所にある三谷ジムを訪れ、何度か通ってるうちに「たまたま」手の空いた三谷会長に声をかけられ、ミット打ちをやってみたことが、そのパンチ力を開花させるきっかけとなった。

三谷「ちょっと打たせてみたらもの凄いパワーで。いくつか基本的なことを教えただけでみるみるパンチ力がついていきました。今は竹内のミットは持ちたくないです(笑)」

その後、林涼樹がつきっきりで指導し、スパーで散々揉まれながらその拳を磨いてきた。これは来年の新人王戦にも期待したくなるのだが、そこはまだこれから慎重にプランを練るのだそうだ。
新人王トーナメントに確実に出場出来るようにするには1勝では心許なく、できれば1月くらいにもう一つ勝ち星を積んでエントリ-したい。が、彼は来春に、とある専門学校に進む意思がある為、その準備や試験勉強等を考慮すると、その試合が組めるかどうかが微妙になってくる。
ならば来年一年かけて準備をして、再来年に勝負!という選択肢もある。

ハードパンチャーの宿命か、今回の試合後に少し拳の痛みがあったというし、じっくりと育てていって欲しいところだが、試合を使いながら強くなる場合もあるだろうから難しい。
しかし楽しみな選手がまた一人増えたのは喜ばしい限りである。

(ウチ猫)

WBCユース世界ライト級タイトルマッチ 斉藤司初防衛戦

「Fighting Bee」興行の3回目、今日のメインは斉藤司のユースタイトル初防衛戦である。前回の決定戦と同じくタイ人選手が相手となると、どうしても勝敗の興味が薄れてしまうところは否めないだろう。
しかし彼の場合は、タイ人だからと手を抜いたり驕ったりすることはないし、逆に丸山戦の時のように、復帰初戦がキャリア豊富なランカーだったりしても決して臆することがない。
常に勝つことだけを信じて、ただただ勝つ為の練習に打ちこむことができる男だと思っている。その斉藤が、今回はどんな戦い方をみせてくれるのか。



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初回、やや固さの残る斉藤の動きだが、スロースターター気味のところがあるし、まあそのうちに…と思っていたが、回が進んでいっても、一向に状態が上向かない。
何かを試そうというのは感じられるが、実際にそれが動きに結び付かず、そうして躊躇しているうちにどんどん先手を取られ、ムキになって空転…というのが、悪い時の彼のパターンだが、今日もその悪い流れになることが懸念された。



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しかし今日の相手が、それにお付き合いするように手を出さない選手であったので、波乱の予感を抱くことはなく、5回に放った左ボディフックで10カウント。あっけない幕切れに斉藤本人も「えっ?」という表情だった。

リング上でのインタビューでも、「自分はもっと強いんですよ!いや、まだまだではあるんですけど…とにかくもっと強くなりますので、これからも応援してください!」というコメントをしていた斉藤。一瞬、支離滅裂にも聞こえる内容だが、「相手のレベルに関係なく、もっといい試合を見せれる練習をしてきたはずだった。しかしこんな内容では何も言えない。もっと強くなって試合で証明するしかない」という気持ちではないだろうか。自分への歯痒さを感じていたに違いない。



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控室でも「出てこない相手だったので、それに対して力任せに押していくのは能がない。もっと左で誘うとか足のステップで誘うとか、色々な方法で(相手を)出てこさせるように仕向けなきゃいけない。そういう練習を散々積んだのに、試合で出せなきゃ意味がないです」と話していた。
そして「あーもー、すぐに明日から練習したいです」という斉藤を見て、ああこれなら彼は大丈夫、と安心したが、そこで中村トレーナーが「いや、とにかくまずは休め。それも練習だ」と釘を刺す。以前にも紹介したかと思うが、何人もの世界王者とのスパー経験を持つ松信秀和トレーナーが「司ほど練習するヤツは見たことがない」と評する通り、彼については練習不足よりもオーバーワークの方が心配だろう。これからもチームとしてよくコミュニケーションを取って、最高の状態でリングに上がってくれることを期待する。

また今後の目標については、リング上で「来年は日本か東洋を狙います」と話し、控室でも「ランキングを眺めれば、下位の方にだって強いのはいる。そういう強いのとドンドンやっていきたいです」と言っていた。これは大賛成。
ユースのタイトルも、現在世界で活躍している名選手も獲得した経験があったりするので、色々な海外の選手と戦う経験を得る意味では意義があるともいえるが、一方、どんな選手が出てくるかわからないという面がある。その点、東洋や日本のランキングは一定の評価が定まっているので、いい相手と試合が決まれば、戦前の時点で「これは楽しみなカードだ」と、ファンに期待を抱かせることが出来る。これはチケットセールスにも大いに貢献してくれると思われる。

◆◆◆

実際のところ、私のような「追っかけ」を除く、多くのボクシングファンにとって斉藤司選手とは「ちょっと気になる若手ランカー」という印象ではないでしょうか。今後のプランを三谷会長から伺ったことも何度かあるんですが、「へぇ、今度はあいつとやるのか!」というカードの実現を、是非お願いします。

(ウチ猫)

OPBF ウエルター級戦 強打の渡部、大人のボクシング

11・19 OPBF ウエルター級タイトルマッチ 後楽園ホール

王者 渡部あきのり(協栄)VS 同級1位 プラウェート・シンワンチャー(タイ)

結果:判定3-0 王者 4度目の防衛



WBCスーパーライト級1位にもランクされるプラウェートはデビュー間もなく坂本博之らにKO負けが二つあるものの、その後は順調に白星を伸ばし、2007年にはホセ・アルファロとWBAライト級王座を争った事もある強豪だった。
この日の挑戦者は普段よりも約7ポンド上げてのOPBF挑戦であったが既に35歳。
入場時には腹や背中に余した贅肉に会場からは失笑が洩れるほどで、明らかに調整不足。早いKO決着が予想された。
ところが試合が始まると強打の渡部に対して挑戦者も臆することなく真っ向勝負での強打の応酬に場内が湧いた。
初回サウスポー同士、右フックのカウンター取り合いで緊張のスタートだったが、体格で勝る渡部は冷静に見て右フックの強打をテンプルに再三当て、場内には「ドン」という渡部が持つ特有の低く鈍い音が響き渡る。
挑戦者もダメージを抱えながら王者をロープに押し込み左右の強打をボディから顎へとねじ込むが、王者はここでも老獪なまでに右のカウンターを狙う。
5Rには今度は打ち下ろしの左ストレートでタフな挑戦者からダウンを奪い、9Rには右フックからの連打でたたらを踏むほどのダメージを与えここで試合が決定したかとも思えたが、プラウェートも驚異の粘りで反撃。
これまでこうした展開の中で何度も一発に泣いて来た渡部だったが、けして慌てる事も無くしっかりとキャリアに結びついていた。

以前、真夜中の町で「俺は絶対に有名になる!」と咆哮するあきべぇを目撃した事がある。
燃えたぎった青春の夏だった。
あれから6年・・
幾度の辛酸を舐めながら、この日老練な挑戦者を下した事で渡部信宣のボクシングは完成へと向かうだろう。

by B.B


追記

この日の興行で竹原慎二&畑山隆則ジムから元アマチュア6冠の上林巨人(うえばやし なおと)が6回戦デビューを果たした。
川島 郭志さんを右構えにしたようなきびきびとした動きからのカウンターストレートで、15戦のキャリアを持つ小泉良太(北澤)に2RTKO勝利。
この日はアマ金メダリスト村田諒太選手から激励賞が贈られていたが、一昨日OPBFスーパーバンタム級王座の防衛に成功した小国以載選手とはアマ時代1勝1敗との事。(せりさんのブログhttp://blog.livedoor.jp/serishunya/archives/52032426.htmlから)
プロでの決着戦が望まれる。

この日は他に目を惹いた選手がいた。
ここまで2勝2敗の18歳、玉川裕大(渡嘉敷)だ。
昨年9月高校2年生でデビューしており既に注目されていたようだが、この日は長身で落ち着いたボクシングを見せる根本真也(セレス)相手に若々しいボクシングで対抗。
サウスポーからの右フック、左ストレートで果敢に攻め上げ、最後はアッパーをカウンターで決めて見せる技巧で見事な2RTKO勝利。ここまでの2敗が不思議なほどだったが、楽しみな選手が見つかった。

また行われた月間賞の発表では先月見事なKO勝利でデビューを飾った井上尚哉(大橋)がMVPを獲得。
デビュー戦での月間MVP受賞は史上初となった。






ユーストリーム放送・WBCユースバンタム級戦 

コメント欄で触れましたが、22日午後8時30分より11月18日沖縄コンベンションセンターで開催されたWBCユースバンタム級王座決定戦がユーストリームで視聴できる旨、関係者様よりご連絡を頂きました。

テレビ中継も少なくなり数多くの試合映像が眠ったままになっている現状で、このような試みはボクシングファンとして大歓迎であります。
関係者様方々のご努力に感謝すると共に、さらに業界を挙げてのこうした取り組みを心から願います。

<ユーストリーム・スポーツ>
http://www.ustream.tv/recorded/27197634

<試合ポスター>
http://worldring-ok.nirai.jp/wp-content/uploads/2012/10/wbc1.jpg


なお1ヶ月ほど視聴可能との事。

小國苦闘防衛 11月18日 神戸サンボーホール OPBF スーパーバンタム級タイトルマッチ

 
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 『関西一のソリッドパンチャー』と書くとあんまり強そうじゃないけれど、小國以載(ゆきのり)選手といえば東京のファンは今もっとも見てみたい未知の強豪ではないでしょうか?わずか7戦目でロリ・ガスカに挑んで東洋タイトルを獲得、8戦目で元東洋チャンピオン大橋、9戦目で世界挑戦に向けて日本王者を返上した芹江を退けわずか一年弱の間にスーパーバンタムでは最注目の昇り龍となりました。彼のボクシングの魅力は何と言ってもスリリングなダウンシーンを生み出すソリッドなパンチ。ナチュラルでスピーディーな打ち抜くパンチはまさにプロの華。そしてダウンを取れるのになぜか試合結果が判定になってしまう不思議さにもそこはかとない興味が…。そういうわけで芹江戦に続いて観戦に行ってまいりました。

 アンダーカードでは八回戦で森川がジェッカー・ブハウィ(フィリピン)にTKOを食うという事件があったかと思えば、日本ランカーの西谷はやりにくい岩下相手の再戦で巧みなボクシングで確実に有効打を当ててランキングを死守と中身の濃い試合が続く。そして連敗中だった福原寛人がこれもフィリピンボクサーロベルト・ゴンザレス(パンフレットでは東洋ランカー、会場アナウンスではフィリピンランカーどっちやねん)に3RTKOの復活勝利で会場を盛り上げる。戦意旺盛なゴンザレスをワンパンチで仕留めたサイコロジーが冴えるベテランらしい心憎い試合でありました。アンダーの合間に関西の盛り場にはどこにでも現れる出稼ぎラテンバンド(ピコピコの打ち込みに合わせて「コンドルは飛んでいく」とかやる人達)とラウンドガールも兼ねていた女性グループのダンスパフォーマンスなどの阪神間の興行では良くあるナゾのアトラクション(社交ダンスなどの場合もアリ)を挟んでいよいよメイン。今日も僧侶の法螺貝に先導されて登場した小國は肌ツヤはいいもののやや体が細く見える。対してガスカは気合の入った表情ながら落ち着きも感じさせる。ほんの二ヶ月前にモスクワでIBOタイトルを賭けてサーシャと対戦したばかりというから驚くじゃないですか。サーシャに大差とはいえ判定で負けたガスカを明確に返り討ちに出来れば『世界』への期待も否応無く高まろうというもんですが果たして!と期待を込めて開始のゴングの聞きましたが、この日のガスカは気合充分。積極的に距離を詰めてボディフックを強振。ややオープン気味ながら力感溢れるパンチを小國にめり込ませる。一方の小國はあえて正面からガスカのアタックを受け止めこちらもシャープなボディショットで応戦。手数こそ劣るものの的確なヒットを重ねていく。ガスカのパワーパンチは徹底ガードで押し返し正面から応戦するが果たしてこの作戦で12回耐えれるか?いつものソリッドパンチで時間を止めるような鮮やかなダウンシーンは訪れるか?4R終了時点では日本、韓国ジャッジが小國でフィリピンジャッジがフルマークでガスカという分かりやすいポイント構成で中盤戦へ。リターンマッチに期するものがあるに違いないガスカは小國対策も充分なようで徹底して距離をつめ上下にブンブンとパワーパンチを振っていく。ジャブが思ったように出せず苦しい小國。接近時のアッパーはきれいに当たっているのだがガスカの勢いは止まらない。小國は余りにもバカ正直にガスカに付き合っている印象だがしかし明確なダメージブローは貰っていない。8Rにやっと小國がワンツースリーで左フックを顔面にクリーンヒットしてガスカの足が一瞬止まる。二度目の中間採点も日本、韓国は小國でフィリピンはガスカ。ただポイントは僅差。終盤戦に入るとさすがにガスカは序盤のようなラッシングは出来ないがパンチはフルスイングで力感充分、一方小國は慎重に被弾を避けながら左フック左アッパーを確実にヒット。すると10Rにレフェリーが試合を止めガスカを減点。再三注意されてたオープンブローかと思いきやヘッディングでしたがこの減点はやや唐突に感じました。これで後が無くなったガスカは怒涛のラッシング。小國は勢いに押され応戦が手一杯。一進一退のまま終了のゴングとなりました。減点もあったのでポイントは2-1のまま。日本116-112、韓国116-114、フィリピン113-114。序盤フルマークだったフィリピンジャッジの見事なバランス感覚に感心しつつ、小國の勝利に安堵いたしました。試合後のインタビューでは「接戦は予想通り」と冷静に語った小國。苦しい試合でしたがガスカのキツいラッシングをあえて受けきって勝ったところには防御の巧さと精神の逞しさを感じました。何だかんだいって10試合で12R判定を三試合やってるというのは濃いキャリアだと思います。今回は爽快なダウンシーンはありませんでしたがそれはガスカの小國対策の効果が大であったからだと思います。マークされる選手になった小國には更なる新境地を期待したいと思います。
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お馴染みの入場シーン 誰の趣味?
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紙が小さいラウンドガール もう少し大きくしてください!
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サンボーホールは白すぎて目が痛い(旧徳山と長谷川が好きです)

再起ロード in沖縄

勝又ジムの沖縄興行を生観戦してきた(於:宜野湾市、沖縄コンベンションセンター)。このマッチメークは意図的なのか。復活を目指すボクサーたちの何とも狂おしい戦いが繰り広げられた。

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石川昇吾(9-3-0,3KO 新日本木村)vsセリリョ・エスピノ(17-10-2,11KO フィリピン)
…スーパーフェザー級8回戦

石川が2-1判定勝利


石川は今年4月に斉藤司にKO負けを喫した再起戦。スピードのないエスピノを攻めあぐむも力で押し切った。石川は動きに柔軟性を欠く。セコンドがしきりに「リズム」とアドバイスを送ったのもそのためであろう。エスピノはOPBFフェザー級5位だが、石川が上を目指すためには、パワーを生かす体の動かし方を見出す必要があるだろう。

●翁長吾央(17-3-2,12KO 大橋)vsジャイビー・オティーリャ(9-4-0,6KO フィリピン)
…52.5kg契約8回戦
翁長の2RKO勝利

スピードのないオティーリャを翁長は初回から見切り、相手のパンチに左の鋭いカウンターを合わせる。2R左カウンターから一気にラッシュしたところでレフェリーがストップ。帝里との日本王者戦での敗戦後、引退も考えたという翁長。顔付が精悍さを増したように見えるのは私の気のせいか? 地元沖縄だからか? あのきれいなボクシングに戦術面のスマートさと勝利への執着心が加わればと思う。
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●中真光石(14-3-0,6KO 沖縄ワールドリング)vsロバート・コパ・パルエ(11-4-2,3KO インドネシア)
…スーパーフェザー8回戦
中真の3-0判定勝利


2010年8月阪東ヒーローにKO負けの中真は2年のブランクをはさんだ再起戦。序盤は体が動かずペースを握られるが、3Rからパンチが当たり出しペースを引き寄せる。終盤の危ない場面を何とか切り抜け、判定でOPBFフェザー級9位のインドネシア王者を降した。

●イザック・ジュニア(20-2-2,8KO インドネシア)vsウォーズ・カツマタ(17-6-0,15KO 勝又/フィリピン)
…スーパーフライ級8回戦
ウォーズの8RKO勝利


初回からサウスポーで半身姿勢のジュニアにウォーズは右の強打をヒット。ジュニアは劣勢ながら時折最短距離の軌道で鋭い左ストレート、アッパーを狙ってくる。しかしこの日のウォーズはガード高く、はやることなく冷静にヒットを重ねる。迎えた最終回、左アッパーでダウンを奪うとセコンドからタオル。
ウォーズは今年6月のフライ級世界ランク入りを狙ったオスカー・ブランケット戦で痛恨の1RKO負けも、デフェンス意識と試合の組み立て意識の向上で見事な再起。号泣するウォーズからはこの日に向けての覚悟が感じられた。世界2位(WBO)のジュニアを破り世界ランク入りもある。

●ベルゲル・ネブラン(12-8-0,6KO フィリピン)vs野崎雅光(15-3-0,6KO 八王子中屋)
…WBCユース世界バンタム級王者決定戦10回戦(ネブランは暫定王者)
野崎の2-1判定勝利


今年8月冨山浩之介にKO負けの野崎。前に出るネブランをカウンターで迎え撃つも、手数が少なく4Rにはダウンを奪われる。5R、反撃開始の野崎は痛烈な右のカウンターをネブランの顔面に決める。以後攻め手を緩めぬ野崎の前にネブラン失速。後半ポイントを挽回した野崎がスプリット判定できわどく再起戦の勝利をもぎ取った。

付記1
当初米軍施設内での実施が決まりながら沖縄コンベンションセンターへと会場が変更された興行。しかしながらこの会場、結構広いけれどもリングが見やすく音響も良い。観戦者の目からはボクシング興行に向いていると思った。観衆3000と6分の入りだが(最大収容5000)、中身の濃い試合に大いに沸き私も大満足であった。
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付記2
沖縄(那覇)に日帰り観戦。首里城を見、紅芋アイスと「あぐう」という沖縄固有種の黒豚の焼き肉を食べる。町並みも独特の雰囲気でまた来たい町だ。

by いやまじで

Wクリチコ―Eスチュワード氏に捧ぐ―

ウラジーミル・クリチコvsマリウシュ・ワフ
世界ヘビー級タイトルマッチ(WBA、IBF、WBO、IBO、リング誌)
Wクリチコ勝利(120-107,120-107,119-109)


王者ウラジーミル・クリチコ(ウクライナ、58-3-0,50KO、198cm)に体格で勝り、若く技術もある挑戦者マリウシュ・ワフ(ポーランド、27-0-0,15KO、202cm)ということで見てみた。

ウラジミールが自分より長身のワフに対して戸惑うのではないかと見ていたが逆だった。少なくとも1Rを見る限り戸惑っていたのはワフの方だった。それは身長だけでなく、パンチのスピード、反応のスピード、タイミングの取り方、すべてにおいてである。

ウラジミールは、左で相手を牽制し速いワン・ツーでオープニング・ヒット。ワフのジャブをバックステップ、スウェー、ヘッド・スリップと最小限の動きでかわし、即座に攻撃に移れる距離に戻る。ある意味これのくり返しだった。

ワフは1R様子見があっただろうが、2R以降前に出ても、パンチを当てるタミングをほとんどつかめず被弾し続ける。5Rに良い右を当ててウラジミールをぐらつかせたのが唯一の見せ場だった。ただしっかり顎を引いて決定打を食わなかったこととハートの強さは今後に期待させるものがあった。

ワンサイドゲームだったが、ウラジミールの見事なボクシング技術とワフの頑張りで緊迫した見ごたえある試合となった。故Eスチュワード氏(ウラジミールらを指導した名トレーナー)に捧げる試合であったこともその理由の一つにちがいない。
スチュワード氏の訃報

それにしてもウラジミール・クリチコのボクシングは素晴らしい。あのスピードとテクニックを2メートル近い体格でできること自体奇跡だが、それだけでなく、相手の意図を読み、それを外して自分の意図(狙い)を実現する、ボクシングのある種の妙味を感じる。ペース掌握、ラッシュ、アウト・ボックスと戦術変化も自在だ。単に大きくてスピードがあるから強いという以上の魅力的なボクサー、ボクシングである。そしてそれはたしかにEスチュワード氏とともに作り上げたものだ。

by いやまじで

付記1
ジョーさんが長身選手の指導法について海外と日本との違いに触れていた。日本では腰高とされて腰を落とすように指導されるが、海外ではアップライトのまま打ち下ろすような打ち方の指導になるのだそうだ。どちらが良いかは、骨格など人種的違いもあるだろうから、一概には言えないだろう。ただ、これまで日本人の長身選手がクラウチング気味になってリーチを生かせない例はよく見るので、なるほどと思った。(これは実際にはジムやトレーナーによって違うのでしょうが。)

付記2
この日の会場となったO2(オーツー)ワールドアリーナは独特の雰囲気で、アメリカとはちがった形の世界戦のプレミアム感を作り出していた。客席のブルーとキャンバスのホワイトにボクサーの肌の色が映える。15000のキャパは2m同士の戦いでは後方客席にもよく見えてマッチしていただろう。観客が技術の攻防を好む傾向があることも含め、日本はこちら寄りかもしれない。

11.3 ガンバレ!トウホク! ダブル世界戦

WBC世界バンタム級タイトルマッチ
王者 山中 慎介 (帝拳)vs 元Sフライ級王者 トマス・ロハス(メキシコ)


結果:7R36秒KO 王者2度目の防衛成功!

序盤ロハスの長いジャブと手数に戸惑いを見せた山中選手だったが、7R右ジャブから間合いを詰めて、先ずは左ストレートから右アッパーとつなげ、最後は強烈な左ストレートを打ち抜くと失神したロハスは腰を落としフロアに顔面ダイブして暫くは立ち上がれなかった。
王者の見事なKO勝利だった。



WBCフライ級タイトルマッチ
王者 五十嵐 俊幸(帝拳)vs同級7位ネストール・ナルバエス(アルゼンチン


結果:判定 2-0 王者初防衛成功


初回からスピードに乗った右ジャブ右フックからの左ストレート、そしてボディへの右フック左アッパーと自在に攻め立てる王者。
如何にも頑丈そうな体躯のアルゼンティノも左右の強打で応戦する。
4Rにバッティングで減点を取られたものの試合の流れとポイントはスピードと手数に勝る王者に。
10R奮起した挑戦者が左右を振って前に出るも王者手数でイニシアティヴを渡さない。
しかし最終回、KOでしか勝機の無くなった挑戦者が猛然と攻勢をかけると、王者は疲労もあってか一方的に打ちこまれる場面もあったが良く耐えてゴング。
判定はドローを付けたジャッジがいたものの、明確な判定で王者五十嵐選手が初防衛を果たした。

記 B.B






山中vsロハス―感性のボクシング―

 山中を初めて見たのは2010年10月24日の国技館の試合である。西岡vsムンローのアンダーで、他にもロマゴン、リナレス、亀海の試合もあったためかほとんど印象に残っていない。岩佐戦では強烈なインパクトを残したが、その後戴冠したエスキバル戦、ダルチニアンとの初防衛戦と、山中のボクシングに強烈な個性を感じたかと言えば否である。
 山中は左の強打が魅力だが、彼のボクシングを見ていて最初に感じるのはステップの良さであったり、右がよく出ることであったり、相手のパンチに対して必要最小限の動きで対応できることであったり、メンタル面の冷静さであったりする。彼の左はたしかに強力だが、これらの技術も彼のボクシングを目立たない形で支えている。そういう技術の高さが、彼のボクシングを目立たなくしているのかもしれない。
 こうして、山中のボクシングとは何かを考えると、「強い左と高度な技術を合わせ持った冷静な判断力のボクシング」ということになろう。そして彼のやや茫洋として空気を読まないパーソナリティを合わせると「感性のボクシング」となろうか。勝利をたぐりよせるために今ここで何が必要か、それを感じ取る感性である。それが彼の左と高い技術を統合している。
 感性は教えられない。そして練習と試合で磨かれる。その意味で、打ち合いを避けポイントゲームとなったダルチニアン戦はあれで良かった。ビッグネームとフルラウンド戦う緊張感は確実に彼の感性を磨いただろう。タナボタ感のあるタイトル獲得の経緯を考えても大きな自信と経験になったはずだ。

 今回2度目の防衛戦の相手はトマス・ロハス(39-13-1,26KO)。元WBC世界Sフライ級王者。河野公平を決定戦で降して王座獲得後、名城信男相手に初防衛に成功。因みにこの名城戦、私は名城に十二分なチャンスがあると見ていただけに、個人的に大変悔しい敗戦だった。
 ロハスは世界を獲る前は、所謂一流どころにいずれも敗れていた。

2009 SF ダルチニアン 2RKO敗(WBC・WBA世界戦)
2007 B アルセ    5RTKO敗
2007 B モレノ    UD敗
2006 B ペニャロサ  UD敗
2004 SF ミハレス   UD敗
2000 F ロセンド・アルバレス UD敗

 これをもって世界挑戦以上世界王座未満の選手と私は見ていたが、河野戦、名城戦と良い戦いを見せたので、このままあのミハレス的な快進撃を見せるのだろうかと思っていたが、結局その後スリヤン相手に陥落、ベルトは現在佐藤洋太の手に渡っている。今回はバンタムでの挑戦だが、彼は元々Sフライとバンタムとにまたがって戦っているので階級アップではない。ゆえにハンディはないだろう。
 河野戦や名城戦から、長身とリーチを生かしたディフェンス重視の技巧派のイメージがあるが、実際には打ち合いを好む好戦的選手らしい。結構エキサイトしやすいらしく、陥落したスリヤン戦では、打ってこないスリヤンに焦れたように突っこんではカウンターを喰らっていた。河野戦、名城戦とは真逆の展開である。またデータほどパンチは強くない。入ってくる相手を迎え撃つ左のカウンターのストレートやアッパーは、よく決まるが決定的なダメージを与えるものではなく、左右のスィング気味のフックは速いが軌道が大きいため読まれやすく当たらない。河野・名城戦では相手を迎え撃つにスタンスを広くとり、どっしり腰を落として構え、それゆえパンチも威力が増したが、スリヤン戦では腰が浮いてパンチが一層軽くなっていた。

 このロハスに対して山中はどう戦うのか。いつも通り様子見→徐々に攻勢のパターンか。それともスリヤンのように待機戦法か。私はとりあえず後者をとって、それでうまくいけばそのままでいき、うまくいかなければ変えるということでよいと思う。どちらにしてもスロー・スターター気味の山中は序盤のポイント・ロスを避けるべきだろう。その状況でロハスにアウト・ボックスされると厳しい。そういう意味では、ロハスは厄介な相手である。
 山中には自分の感性を大事に戦ってほしい。世間向けに耳目を集めるコメントを吐くのはプロとして当たり前だが、その言葉に自分自身が惑わされてはいけない。
 ロハスは最近の試合を見る限り好調そうである(2012年3月37歳のフリオ・サラテに勝利。122lbなのでSB転向戦?)。極端に攻撃的に前に出るのでなく、ディフェンス技術を生かしたカウンター戦法をとれば、試合はもつれるだろう。
 いずれにしても技術の高いスリリングな攻防が見られそうだ。

 結果予想としては山中の中盤KO勝利とみる。焦れたロハスが出てくるところを山中が強い左を決めて眠らせる。何だか本田会長の狙いを代弁してるみたいだが、結構このパターンが思い浮かぶ。とにかく山中には自分の感性を大事にして戦ってほしいと思う。そして磨かれてほしいと思う。つまり、彼は発展途上ということだ。最大限の評価を受けるのはまだ先でいい。今は勝って自分のボクシングを大きくすることだ。

ロハスvsスリヤン
ロハスvsJサラテ R2

by いやまじで

付記1
 ダルチニアン、ロハスと2戦続けて元世界王者との防衛戦は西岡と重なる。決定戦の経緯といい、年齢的なものといい。対戦相手の内容から考えれば、勝てばアメリカ・メキシコにはそれなりのアピールになる。それにしてもSフェザーでの駒を失ったのは痛い。海外進出を考えるならば、ノンタイトルで海外での試合を経験させることもあっていいと思うが、なかなかそうならないですね。

付記2 
 同日開催WBC世界フライ級王座防衛戦の五十嵐俊幸(16-1-1.10KO)について詳しくふれることができなかったが、長期政権ポンサクレックを破ったハロからタイトルを奪った正統王者の初防衛の相手は、ネストール・ナルバエス(19-2-2,9KO)。あのオマール・ナルバエスの実弟である。動画を見る限り、デフェンスの良い選手に見える。

NESTOR DANIEL NARVAEZ vs MARCELO ANTONIO GOMEZ 01

KO率から見るとパンチはなく、Boxrecの戦績だとこれまで戦った最長ラウンドが10回戦1回と、キャリア・実力的に疑問符がつく。

http://boxrec.com/list_bouts.php?human_id=365464&cat=boxer

 とはいえBoxrecはかなり記録に不備があるので、とらわれない方がよいでしょう。2004年デビューで現在30歳ですからアマキャリアもあるでしょう。五十嵐としては初防衛の緊張、東北復興支援、仙台開催(五十嵐選手は秋田出身)と、いろんなものが重なり大変でしょうが、集中して平常心で戦ってほしいですね、月並みですが。

付記3
 この2試合はWOWOWで無料放送されるので、衛生放送の視聴環境があればWOWOWに加入していなくても視聴できます。

追記 2012/11/02 21:00
 会場となるゼビオアリーナ仙台は、センターディスプレイを備えたコロセウム型アリーナ。VIP席もあり最大6000名収容。大晦日の大田区総合体育館も区の施設ながら同タイプ。日本にもこういう会場が出てきましたね。

回顧録7

旧徳さんとお会いできたことで、市民団体(笑)の活動にも榎さんの件にも、大きな勢いがつくような気分になっていました。ボク愛さん除名の件だけが少ししこりになってはいましたが、私やいやまじでさんは当然のこと、まだボク愛さんに会っていない旧徳さんにしても「市民団体(笑)orボク愛の二択」なんて考えはサラサラありません。せっかくできたファン同士のつながりを、色々な形で活かしていければ、という思いでした。
ただ当時、ごく一部に、もう人生かけてボク愛叩きに徹しているような人たちがおりましたね。実際にあの除名発表以来、拳論のコメント欄自体、急速に風向きが変わったような気がしました。

印象に残っているのは、石寺ナントカっていうコテハンの人。この方、臼井知史さんの総合格闘技の試合会場や三谷ジムのスパー大会にもいらっしゃってたようで、K記者からはよく「ああ、あの時は石寺さんも来てたんですよー」なんて話を聞かされてました。
で、だいたいそういう場には私もいるもんですから、何回かK記者に「えー、じゃあ紹介してくれればよかったのに」と言ったことがあるんですが、結局お会いすることはありませんでした。それまでは特に意識したことはなかった人ですが、なぜかこの頃から急激に色んな人を攻撃し始めてましたね。

除名以来ボク愛さんが沈黙してしまったので、何となく4時起き氏の意見に乗っかって「やっぱりボク愛さんの方に非があったのかな」となってしまうのはわからないでもないですが(まあでも、それってちょっと単細胞ですけどね)、伝聞だけでよくそこまで叩けるもんだなぁと、怒りを通り越していつも感心していました。市民団体(笑)に参加してもいないのに妙に会合の様子に詳しかったり、挙句には「そんな人は会には要りません!」とか断言しちゃったり。お前は何様だよ、と。
そんだけ威勢がいいのに姿は見えず。口裂け女みたいですね。お元気なんでしょうか。

そういえば管理人のH氏も透明人間でしたね。K記者が言うには、H氏は拳論の防波堤になる立場で、どこでどんなトラブルがあるかわからないので、あまり人に顔を知られたくないんだそうで。「コイツは大丈夫そうだから会うけど、アイツは危ないから会わない」などといちいち判断するのも難しいので、原則として極力人前に出ないようにしている、とのこと。
でも、そんな隠密行動取ってるわりには私に「先日のスパー大会、見に行ってはいたんですが、挨拶できずに失礼しました」なんてメール寄越したりするんですよね。それまで拳論さんの方とは、K記者とは一緒に大会の運営を手伝い、またHカメラマンとも挨拶を交わしたりしてるんだから、そんなこと言われたら次からは消去法で「どれがH氏だろう?」と探したくなるのが人情じゃないですか(笑)。黙ってればハナから気づかないところ、なぜわざわざ存在をアピールしたがるのかわかりません。
公安モドキの人といい、目立ちたいのか目立ちたくないのか、どっちなんでしょう。

閑話休題。
この頃は4時起き氏とはよく連絡を取り合ってました。旧徳さんについての印象や、会をどうするこうするといった話をしていたんだと思うんですが、ある言葉を聞いた瞬間、あまりに驚いて唖然としてしまいました。
それはある日の夕方(7月20~24日の間だと思います)のこと、電話で話してる中でボク愛さんの話題になった時、4時起き氏は次のようなことをいいました(正確な言いまわしは憶えておりません)。

「実はボク愛さんは、Tさんを通じて、榎さんの件をJBCに強引にねじ込もうとしたんですよ。それでTさんが怒ってしまって…。Tさんとはこれからも色々協力しなければならないので、そのこともボク愛さんを除名にした原因の一つです」

TさんというのはJBCの試合役員の方で、ボク愛さんは勿論、私も面識があります。
優男風な見た目に反してかなりな熱血漢で、こうと決めたらテコでも動かないような面もあり、まあ愛すべきボクシングジャンキーという印象の方であります。
その人を通じて、榎さんの件を無理やりねじ込もうとした…これは到底信じられないことです。

その時点で既に、私たちは榎さんと3回ほど会っていたと思います。
河岸はだいたい松戸の居酒屋でしたので、話してるうちにヒートアップしていくこともしばしばあります。
榎さんにしてみれば、肘打ちでの敗戦もさることながら、周囲の同意が得られないことが何より不思議で、悔しかったことだろうと推察します。つい口調が荒くなることもありました。
そんな時にボク愛さんはいつも「いくら自分が正しくても、話を聞いてもらわなければ負けだ」「無理やり首ねっこを押えて謝らせても意味はない」「その為には今までのように、言いたい放題悪態ついてはいけない」「これからは今まで敵だと思ってた人にも理解してもらわなくては」「対話を続け、丁寧な作業を、時間をかけてやらなければいけない」…こうしたことを榎さんに何度も話していました。
市民団体(笑)在籍時も、「強い気持ちや態度も大事だが、まずは対話を」と言っていた人が、何の見境もなく、知り合いを通じて自分の希望をねじ込むなんてことがあるわけがない。

それを聞いた時の第一感は当然「そんなバカな」でした。しかし、ちょうどその前後の何日かはボク愛さんと話をしておらず、最後に話した時も「今度また色々お話しします」と、何やら含んでいた様子だったので、何かの理由があってそんな行動に出たのかもしれない、ということもあり得ない話ではない。だって現に「ボク愛さんがねじ込んだ」と4時起き氏が言うんですから。

これは本人に確かめるしかありません。ボク愛さんに電話をかけ、単刀直入に「ボク愛さん、榎さんの件を再度ねじ込むようにTさんに働きかけたんですか?」と訊きました。
この時のボク愛さんの表情、電話ですから想像するしかないんですが、目が点になっていたと思います。ニコニコ動画なら頭の上に「?」が五つくらい並び、ついでにおでこに「肉」マークかなんかついてたでしょう。
「え?誰かがねじこんだんですか?は?僕が?いやいやまさか…えーっ!」
この反応を聞いた瞬間、私の中では4時起き氏に対する信用度はきれいにゼロになりました(今では「マイナス」ですが、この頃はまだゼロでした)。

「そうですか。ついにそんなことまで言い出しましたか。それ、どっちが(Tさんor4時起き氏)言ったんでしょうね…」
Tさんが本当に「ボク愛にゴリ押しされた」と言ったのか、それともTさんはそんなこと言ってないのに、4時起き氏が創作したのか。どちらかがウソをついているということになります。
いやいや、単純にボク愛さんがしらばっくれてるんじゃないの?というのも可能性としてはありますが、これはその数日後、Tさん本人が明確に否定しております。ボク愛さんがメールで「こんなことが囁かれているんですが」と訊いたところ、「何のことですか、それ?」「意味がわかりませんね」「どっかの掲示板の書き込みの類なら無視していいですよ」といった内容の返信をされています。
これとて、返信したのはTさん本人とは限らない…なんてことまで言いだすとキリがないし、こっちは裁判で採用されるような証拠を求めているわけではなく、自分で確信できる理由があれば十分です。もっとも、Tさんのメールの返事を待たずとも、自分の中で結論は見えてましたが。

ボク愛さん除名の件にしても、キッカケはちょっとした言葉の行き違いで、しかもよく話をすれば何てことのないレベルのことが、あれだけの事件になってしまった。まあ今思えば、故意に大事件に仕立て上げたと考えるのが自然ですが、今回の「ボク愛がTさんにねじこんだ」発言は、明らかに「悪意(一般的な意味としても、法的な意味としても)」があります。

今となっては、「誰がウソつきだったか」なんてことに意味はありません。「彼ら」の中の誰かの発案だったんでしょう。しかし不思議なのは、なぜそれを電話で私に話したのか?ということです。
そんなことを言えば、ウチ猫はボク愛に確認を取るだろう、と容易に予想できるはずです。で、実際はウソなんだから、当然ボク愛は否定する。そうなったら、ボク愛の腰巾着のウチ猫のこと、ボク愛の方を信じてしまうのではないか…というところまでは、将棋でいうところの一本道。となれば、そんなウソはすぐばれるというのは明白だと思うんですがね。
小学生でも高学年になれば、親にウソをつこうと思ったら、友達と口裏を合わせるくらいのことはするもんです。で、その友達の母ちゃんあたりからウソが発覚したりするんですが、Tさんのメールを見てもわかる通り、その程度の工作の跡すらないってのもおかしな話で。

てことで私の予想ではこの真相、「4時起き氏の勇み足」に10000スブド。
ボク愛の除名にもすんなり従ったし、得意のスブドネタでウチ猫は完全にこっちに取りこめた。ここでダメ押ししてボク愛との関係を切っておこう、との目論見で、あんな出まかせを口走ったのではないかと思ってます。
そんなことをせずとも、ボク愛さんはケジメを守って市民団体(笑)には近づくつもりはなかったのに、藪をつついてしまったんじゃないかと想像します。まさかとは思いますが、友人としての関係すら断ってしまおう、なんてことまで考えていたとしたら傲慢もいいとこですけどね。
それにしても4時起き氏、色んな場面で登場しては、最後は毎回必ず、自分の失言で自爆ですね。

ともかくこれで、私は市民団体(笑)についてまったく興味がなくなり、そんな心の隙をついたボク愛さんに騙されていくことになります(笑)。