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HARD BLOW !

いやまじでの9月観戦記

9月は海外ビッグマッチが多かったのでその観戦記を。

●IBF世界バンタム級タイトルマッチ(2012/09/15,於:米)
 レオ・サンタクルス(墨) vs エリック・モレル(プ)

サンタクルスは一発一発のパンチが力強くコンパクト。インパクトの瞬間に力をこめるが引きも速いのでコンビネーションが繰り出せる。しかも相手を見ながらそのつどパターンに変化をつけている。

モレルは相手を過小評価してか打ち合いを挑み、予想以上のパンチの強さに1Rから劣勢を強いられる。5Rに足を使いはじめるがダメージの蓄積でもはや体が言うことを聞かず、勝利の可能性が見いだせず気持ちが切れたようだ。

5R終了後、モレルがギブアップ。サンタクルスはなかなか良い選手だ。



●WBC世界フェザー級タイトルマッチ(2012/09/15,於:米)
 ジョニー・ゴンザレス(墨) vs ダニエル・ポンセ・デ・レオン(墨)

ジョニゴンは慎重な立ち上がり。デ・レオンは踏み込んで左を伸ばす。手数で押すデ・レオンに対しジョニゴンは自分のパンンチを合わせられない。デ・レオンペースのまま6Rにデ・レオンの左フックが顎にヒットしジョニゴンがダウン。その後ジョニゴンも盛り返すが、8R偶然のバッティングでジョニゴンがカットし試合がストップ。負傷判定でデ・レオン勝利。

デ・レオンは細かいフットワークで微妙に距離調節しており、左のパンチはスピードはないが異なるタイミングと角度で変化をつけている(おそらく感覚的)。見た目以上に対応が難しいようである。

ジョニゴンはサウスポーは鬼門のようである。デ・レオンはファンマ戦での衝撃1RKO敗で終わったと思ったが復活して再戴冠。メキシカン恐るべし。



●WBO世界Sウェルター級タイトルマッチ(2012/09/15,於:米)
 サウル・アルバレス(墨) vs ホセシト・ロペス(米)

アルバレスのパンチは力強いが引きが速いので高速コンビネーションも可能。デフェンスも良いので相手のパンチもあまりもらわない。それにしてもパワーが図抜けている。

激闘型のロペスだが1Rから押される。ボディでダウンを繰り返したが顔に苦悶の表情が浮かばないのは不思議。パンチの強烈さが人間の意識を超えていたのか、ロペスの精神力が苦痛を超えていたのか。

前に出る戦いを最後まで通そうとギブ・アップしなかった姿に好感を覚えるのは、モレルの試合を見た反動からではなくジョー小泉からサイドストーリーを聞いてしまったからである。

今後ビッグマッチはカネロを中心に回るんでしょうね。



●WBC世界ミドル級タイトルマッチ(2012/09/15,於:米)
 セルヒオ・マルチネス(亜) vs フリオ・セザール・チャベスJr(墨)

チャベスJrはマルチネスの左を徹底警戒して時計回りを繰り返す序盤。

マルチネスは4RまでにチャベスJrの動きを見切りペースを掌握。

スピードとテクニックでは圧倒的にマルチネスが勝る。パワーでは圧倒的にチャベスJrが勝る。

この試合マルチネスはチャベスJrを叩き続けた。さながら象に挑む人間のように。

マルチネスがチャベスJrの顎を打ち抜きポール・ウィリアムスのように昏倒させていたら、マルチネス伝説は完成していただろう。だがそうはならなかった。

マルチネスペースが続き最終R。凡戦のまま終わるのかとの思いがちらつき、一方でチャベスJrの体の緩みの無さに緊張を覚える。そして、突如といっていいマルチネスのダウンシーンが訪れる。

自分よりも強いと感じた相手に対して、無謀な攻撃をしかけてしまうとしたら、それは勇敢さからではなく臆病さからである。

チャベスJrが凡庸な選手だったら、圧倒的に技術に勝るマルチネスに対してもっと破れかぶれの攻撃に出たかもしれない。実際トレーナーのフレディ・ローチももっと攻撃的になるよう発破をかけていた。しかしチャベスJrは相手を見ながら自分の劣勢を知りつつ、「自分の時」が来るのを待っていた。おそらくその戦い方を戦前から決めていたのであろう。それを最後まで貫いた。その結果のダウンシーンである。

もしチャベスJrが最終Rにダウンを奪うこともできず「凡戦だった」「勇気がなかった」と批判されていたとしても、私はチャベスJrを評価する。自分の力を最後まで信じ、自分の勝利を徹底的に追求した結果だからだ。

そしてこの日敗れたにもかかわらず、チャベスJrが心なしか清々しい表情を見せていたのは、彼がフリオ・セザール・チャベスのJrではなく、フリオ・セザール・チャベスJrになることのできた日だからである。今後チャベスJrがどれだけのボクサーになるのかは分からないし、彼は逆転の遺伝子を受け継いでいるかもしれないとしても、そのことだけはたしかである。

ボクシングを見る楽しみには、こういう瞬間を見ることができるところにもある。

付記1 
 戦後に判明した負傷(拳の骨折、膝の靭帯損傷)から、マルチネスにとってあの戦いがいかに過酷なものであったのか、言い換えれば、チャベスJrの圧力がいかに強力であったのか、あらためて痛感する次第。

付記2
 この日の試合は他にR.マルチネス vs M.ベルトラン、G.リゴンドーvsR.マロキン戦も観た。マルチネスは完全に負けていると思い結果発表のシーンを見ず、後で映像編集の際に勝利を知りびっくり。リゴンドーの危ないシーンは直前の試合中止騒動の影響もあるのでは。



●OPBFフライ級タイトルマッチ(2012/09/23,於:比)
 ロッキー・フェンテス(比) vs 李明浩(大阪帝拳)

フェンテスは5度目の防衛戦。李はOPBF4位、日本フライ級1位にランクされている。

フェンテスはオーソドクスのボクサーファイター。テクニックで相手をコントロールするタイプに見える。前半ペースをつかみポイントをリード。

李は前半ほとんど手を出さず、右が当たる距離・タイミングが何度もあるにもかかわらず警戒してか自重してか手を出さない。6Rに一発もらい7Rからようやく反撃。

やや乱戦気味になるもフェンテスがポイントアウト。フェンテスの防衛成功だが、世界を狙うにはスピードとパンチ力に欠けるように思う。李選手は敵地でハートの強さを見せたが決定的な武器に欠けていた。


●WBOインター、フライ級タイトルマッチ(2012/09/23,於:比)
 ミラン・メリンド(比)vsフアン・ピエロ・ペレス(ベ)

メリンドは前WBOLフライ王者のヘスス・ゲーレを4RKOで破りタイトル獲得。ペレスはヘスス・ヒメネスを破りWBAフライ級暫定王座に就き、初防衛戦でレベコに奪われている。

メリンドはコンパクトだが力強いパンチをコンビでまとめて打つ。防御がしっかりしており、目がよいのでカウンターもとれる。スナッピーなジャブも使える。7Rまでに相手を見切り8Rに仕留めに行って雑になり、カットしてスローダウンしたがポイントアウト。課題は勝負勘かもしれない。

ペレスはスピード・パンチ力ともに無くオープン・ブローが多く(掌底も注意された)デフェンスもそれほどよくない。よくこれで世界王者になれたかと思う選手(前WBA暫定フライ王者)。劣勢ながら最終Rまで戦ったのでスタミナと精神力はある。

メリンドのボクシングはフライ級ながらパワフルかつ小気味良く、メンタルもしっかりしている。また見たいと思える選手である。五十嵐選手とやったら勝つのではないか。