HARD BLOW !

メイウエザーVSマクレガー決定の衝撃

日本時間の6月15日早朝、引退を宣言していた無敗の六階級王者、フロイド・メイウエザーjrがツイッターでカムバックとなるファイトをアナウンスしました。相手となるのは、総合格闘技のメジャープロモーションUFCと契約する人気ファイターで、フェザー級とライト級の二階級を制したコナー・マクレガー。(UFCの階級はフェザーは65.8キロ以下、ライトは70.3キロ以下、とボクシングよりかなり重くなっております。)

昨年来、メイウエザーとマクレガーは双方とも対戦の可能性に言及しており、今年に入っていよいよ本決まりかいう報道が何度も出ては消えていましたが、ついに正式発表。二つのプロ格闘技ジャンルのトップ同士が対戦する、まさに前代未聞の対決であります。ファイトマネーは双方100億円規模とのことですが、両者の実績や知名度、話題性を考えれば妥当な金額に思えます。

この試合はボクシングルールで行われるということで、マクレガーは既にボクシングライセンスも取得。まあはっきり言って、彼が勝つ可能性はおっそろしく低いとは思いますが、だからこそ実現した対決だとも言えます。マクレガーはボクシングルールで戦うことによって、総合格闘技で稼げる金とは一桁違う報酬を得ることが出来ます。負けたところで本業以外の余技であり、知名度を上げて総合格闘技に戻れば、更なるファイトマネーの上積みが期待できます。どう転んでも損の無い話です。一方のメイウエザーもボクシングのトップファイターに比べれば楽な相手と戦って大金を稼げるという、これまた美味しい話。目立ちたがりでお金が大好きな彼にはうってつけの試合であります。UFCにとっても、新興格闘技が伝統あるプロボクシングの歴代最高レベルのトップファイターを引っ張り出して肩を並べたという成功体験になり、これまた結構な話。引退選手やロートルを引っ張り出して、有利なルールで負かすのでなく、相手の土俵でやるということに価値があるわけです。一方のプロボクシングにとっても、業界の外からビッグマッチがカモネギ状態で来てくれたわけで、これまた結構な話。そしてそれが見たいという大衆が世界中にいる。まさにWINWINといいますか、これ以上ない結構なお話であります。これぞエンタテイメントですね。

この試合を猪木×アリに例えるような向きも結構いらっしゃいますが、私には的外れに感じられます。猪木は当時世界的には無名でしたが、マクレガーはすでに世界中にファンがいるスーパースターです。試合のルールも奇妙なミックスルールの他流試合ではなく、技量の差があるもの同士のプロボクシングなので退屈な膠着試合になる可能性は皆無です。今回はいわば昭和のアヤシイ他流試合でなく、平成のスポーツライクなエンタテイメントなのですが、対戦する二人のギミックも含めたアンチヒーロー的な佇まいが不穏さを演出して、いい塩梅になっとるわけです。

でまあ前代未聞すぎて色々な反響があるようで...
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メイウェザー「ファンが望むからやる」批判も多数

デラホーヤが「これはサーカスだ」と言ってるのは、コット×亀海に試合をぶつけられ怨み節ともとれますが(笑)、まあ正しい。伝統的なボクシングの価値軸に沿っていないことは事実です。ですがそんなこと言ったら、あなたのやったパッキャオ戦もサーカスなんじゃないの?と言いたくもなります。常識の枠をはみ出すようなチャレンジは、ショウビジネスには時に必要なものです。

リングマガジンに至っては『過去の多くのボクサーがキャリア終盤、こうした“道化芝居”を演じたとして、アントニオ猪木と対戦したモハメド・アリのケースをはじめ、アーチー・ムーア、ジャック・ジョンソン、フロイド・パターソンら歴代レジェンドたちの“愚行”を列挙』して、試合を「ダークコメディ」と評したそうですが、そうした過去の前例とは異質な試合であることは前述の通りであります。しかしこのリングマガジンの表現には、総合格闘技への抜きがたい差別意識を感じますなあ。いまやUFCは世界規模のビッグビジネスであり、選手のファイトマネーもボクシングに迫る段階まで来ています。スポーツ競技としても洗練されてきており、ショウアップの手法などはっきり言ってボクシングより進んでいる面も多々あります。タイトルマッチも興行事情でランキングがコロコロ変わり、体重超過が頻発し権威が低下したプロボクシングのベルトよりしっかり運営されているとさえ言えます。

恐らくメイウエザー本人は、そうしたUFCの躍進や、若年層へのカルチャーとしての浸透振りを理解して、カネになると感じたから動いているわけです。この辺は亀田興毅氏のやったAbemaTVの一千万円企画と同じ。大衆の求めるものを提示する、皮膚感覚があるか?ないか?という話であります。


と思ったらこんな志の低い動きも...
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WBC メイウェザーJr vs マクレガー 「ダイヤモンドベルト承認?」

ボクシングマスター様によると、WBCが頼まれてもいないのに、この試合の勝者をダイヤモンド王者に認定しようとしているのだとか...。WBCといえば、カネロ×チャベスjr戦の際、頼んでもない特別ベルトを勝手に作って、カネロに贈呈しようとして拒否されるという事件があったばかりですが、これじゃベルトの押し売りでっせ!承認料欲しさに『特別ベルト』を乱発する姿を見て、権威低下もここまで来たか...と脱力。こういうときだけフットワークが軽いWBCも困ったもんであります。

まあそれもこれ、莫大な金銭が動くが故のこと。何も全てのボクサーがこういった派手な話題宣伝をする必要はなく、試合で全てを表現するという選手も大変に魅力的ではありますが、こういう予想のつかない斬新なイベントもボクシング界には必要だと思います。未だ地上波テレビ頼みで、昭和から一切ビジネスモデルに進歩のない日本のボクシングも大いに刺激を受けて欲しいと思います。

私は楽しみに試合を待ちたいと思います。

マクレガーが意外と知られてないということが意外だった(旧徳山と長谷川が好きです)




高山選手の五輪挑戦宣言で浮かび上がったもの

高山勝成選手が今月6日、アマ申請を断られたということが議論を呼んでおります。
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高山氏、アマ申請受理されず 門前払いに「筋違いでは、と言われた」

この記事についてるコメント読んだら「15分面談してもらってるから、門前払いではない」みたいなこと書いてる人がいて、眩暈を禁じ得ません。申請書類を受け取らなかったことを「門算払い」と言ってるのを、字面通り『玄関で追い返すこと』だと思ってる人がいるんですね...。スゲー国語力。

高山選手が、所属している大学がある愛知県で申請をするのは制度上当たり前のことで、ワンマン企業や独裁国家じゃあるまいし社団法人が『会長に直談判して許可を得ろ』と要求するのは明らかに異常であります。

育成してきたトップ選手をプロに一方的に供給してきた日連にとって、トッププロの選手が「アマの競技に参加したい」と願い出ることは本来願ったりなはずです。なぜにこのような不毛なねじれを生んでしまうのか、理解が出来ません。

さらに驚いたのが日刊スポーツに載ったらしいこの記事。飲み屋でクダ巻いてるオッサンの愚痴を聞かされたような、低レヴェルな内容であります。
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プロ高山勝成、東京五輪へアマ転向も…なんだかなぁ

『オリンピックはアマの祭典』という、モントリオールオリンピック以前のようなオリンピック観にも思わず仰け反ってしまいますが、
スポーツ紙の記者という専門家の立場なのに、現在のオリンピックについてなんの知識も無くていいんでしょうか?スポーツ紙の記者ってそんなヌルい仕事なんでしょうか?例えば経済紙に、高度成長期やバブル期の知識のまま現代の経済について記事を書いてるような記者がいるでしょうか?ちゃんと日々勉強して、知識をアップデートして記事を書いてるはずであります。ウサバラシ&時間ツブシ媒体とはいえ、余りにアナクロで不勉強であります。

繰り返しになりますがプロ選手の参加を奨励しているのはIOCとAIBAであり、オリンピックの確固たる方針であります。「最高の競技レベルの選手の参加」というIOCが架した努力義務を履行しない競技は、容赦なく正式競技からはずされていくだけです。

記事中、日連の山根会長は「「プロはお金のために戦うけど、アマは無償で戦うんです。日本のアマチュアはみんな、五輪を目指して頑張ってる。」と発言してますが、これ選手はカスミを食って生きていけちゅうことでしょうか?陸上や水泳や器械体操と言ったオリンピックの花形競技の日本人選手達もとっくにプロ化しているので、内容的にもウソですし...。

リオ五輪からのプロ解禁の流れも「それは世界の話で、日本は別」と譲る気配はない。ともありますが、日連は「山根会長が法律」という非民主的な社団法人なのでありましょうか?IOCやAIBAの方針に弓を引くなら、論理的な根拠が必要だと思うのですが。

「こんな認識で東京五輪を迎えて大丈夫かしら?」と他人事ながら心配になった次第です。

スポーツ紙や専門誌はオリンピックについてちゃんと調べて書いて欲しいと思っている(旧徳山と長谷川が好きです)







乗松優著「ボクシングと大東亜 東洋選手権と戦後アジア外交」

 最近面白いボクシング本がないなあ、とお嘆きの貴兄にお勧めの一冊でございます。
ボクシングと大東亜 表紙_R

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ボクシングと大東亜 東洋選手権と戦後アジア外交

 この本の著者は『スポーツ社会学者』の乗松優さん。ともすれば情念が先走りがちなボクシングノンフィクションの世界にあって、学者らしく冷静な筆致と実証的な調査で、戦後のアジアボクシングの歩みを鳥瞰する優れた内容となっております。と言うのも偉そうです、本当に面白いです。

 本書のメインテーマは「戦後の日比関係とプロボクシングがいかに関連していたか?」ということですが、その他にも戦後の混乱期のボクシング興行事情や日本でテレビ中継が始まった経緯、後楽園スタジアムがなぜボクシング興行に関与するようになったのか?OPBFタイトルはなぜ生まれたのか?アジア主義者や岸信介がボクシング東洋選手権にどのように関与したのか?などなど、興味深い題材が数珠繋ぎ。

 その時代の東洋選手権を戦った日本の名ボクサー達、金子繁治氏、矢尾板貞夫氏、勝又行雄氏や、当時を良く知るトレーナーのスタンレー・イトウ氏などから、著者が直接聞き出した当時の体験談も興味深いことこの上なし。大変貴重なオーラルヒストリーが満載であります。

 一族から二人の大統領を生んだベニグノ・アキノ上院議員が、ひいきのボクサーの敗戦直後にショック死したエピソードなど、掲載されている事実の面白さや、分析の鋭さ・深さにも感服。ジャーナリズムやアカデミズム界隈で話題になった理由が良く分かる歯ごたえのある良書でございました。

 ちょいちょいボクシングネタを入れてくることでおなじみ、TBSラジオの『荻上チキ セッション22』でも、荻上さんと乗松さんの対談が放送されましたがそれも大変興味深かったですねえ。こちらから聞けます。
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来週末は天草に行く(旧徳山と長谷川が好きです)

WBOミニマム級暫定王座決定戦に福原辰弥選手も名乗り!


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11月23日付け熊本日日新聞掲載記事より引用

ボクシングの日本ミニマム級王者福原辰弥(本田フィットネスジム)が22日までに世界ボクシング機構(WBO)ミニマム級暫定王座戦への参戦を表明した。福原は現在WBOランキング2位。実現すれば、同一位のモイセス カジェロス(メキシコ)との対戦が濃厚となる。暫定王座戦は現王者の高山勝成(仲里)の負傷によるもの。10月にプエルトリコで開かれたWBO総会で決定した。本田フィットネスジムの本田憲哉会長によると、WBOルールでは暫定王座戦は上位ランカー同士で争うとしており、順当にいけば福原とカジWBOの正式決定を待ち、開催地を含めてカジェロス側と交渉に入る予定。ェロスが対戦することになるという。試合時期について、本田会長は来年初めとみており、「待ちに待ったチャンス。何とか熊本でタイトルマッチができるよう尽力したい」と話している。27歳の福原は2015年11月に日本王者になり、これまで三度の防衛に成功している。


なんかおかしいぞ?と感じていた案件で動きがありました。記事が掲載されたのが熊本の地方紙のみということで、殆ど話題になっていおりませんが…。

正規王者高山勝成選手が試合で受傷したことによって、暫定チャンピオンが設置される、と言うことはすでに総会でアナウンスされておりました。賢明な一部のファンにおかれましては「あれ?その総会で、ジョー小泉氏がすでに暫定タイトルマッチのカードを発表していたんじゃなかったのかい?」とご記憶の向きもあるかと思います。

信頼と信用のボクシングブログ、『ボクシングマスター』様で、件の総会の様子は紹介されております
         記事へのリンク    
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WBO総会 井上vs河野・田中vsフェンテス・山中vsカイェロス
 
以下記事より引用いたします

すかさず小泉氏は、山中竜也(真正)選手と1位モイセス・カジェロス(メキシコ)が日本での対戦に合意済みで、この一戦を暫定王座決定戦にすることを要請し、認められた。試合は来年2月までに行うことになっている。(引用以上)

この時点で山中選手はOPBFタイトルマッチを控えた身。確か国内での世界挑戦には、日本かOPBFタイトルを獲得しなければならない、という内規があったと思うのですが…。その後山中選手がOPBFタイトルを獲得するのですが、結果オーライ問題なしちゅうことになるんでしょうかね?

タイトルの権威がナンタラ、業界の秩序がウンタラと、うわごとのように言ってたボクシングマガジンあたりはこういうマッチメイクをちゃんと批判してるんでしょうかね~?

そもそも国内にはミニマムやライトフライの有力ランカーがひしめいておりまして、こういう手法で抜け駆け的に世界戦を決めてしまえば禍根をのこすんじゃないの?と思ってたら、案の定日本チャンピオンでランキングも山中選手より上の福原選手が対戦の意志を鮮明にし、暫定王座戦の争奪戦が起こりそうな気配であります。

対戦の意志があるならランキング上位の選手が優先されるのは当たり前なんじゃないの?と個人的には思いますが。

成り行きを見守りたいと思いますが、熊本の地方ジムから世界を目指す福原選手を個人的には応援したいな~。

というわけで久々の更新でした。

どうでもいいですが六島の五大タイトルマッチ見に行ったら、『亀田がJBC職員を恫喝して暴行するのを見た』と捏造ライター片岡亮氏に電話で言ったという関西事務局の職員がジャッジしてて驚いちゃいましたよ。幻覚見るようなやつに採点が出来るんですかね?心配であります。

大晦日はテレビで観戦しようかと思っている(旧徳山と長谷川が好きです)

井岡一法トレーナーの巨額脱税疑惑に思う

 タイトルのとおりですが、9月21日発売の週刊新潮に、WBAフライ級チャンピオン井岡一翔選手の実父にしてトレーナーにしてマネージャーである井岡一法氏の巨額脱税疑惑が報じられています。

 新潮社掲載の短信へのリンク
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 3階級制覇・井岡一翔の“金箔御殿”にマルサが動いた 5億円以上の巨額脱税疑惑

 いわゆる「税務当局との見解の相違があった。すでに納付を済ましており今後は気をつける。」というようなよくある修正申告とかなんとかいう次元の話では無い、明白な所得隠し・脱税ではないか?という内容の記事でございます。

 もし報道が事実なら、テレビ放送の継続すら危ぶまれるような悪質な違法行為であり、一法氏は今後絶対に井岡選手のマネジメントに関与するべきではないではありません。(記事アップ時は井岡一翔選手は井岡弘樹ジム所属と記述しておりましたが、井岡一翔選手は井岡ジム所属であり、井岡弘樹ジム所属ではありませんでした。事実誤認の部分については削除いたしました。お詫びして訂正いたします。

 そして一翔選手も当事者として見解の表明が必要であると思います。

 思えば一法氏は過去に、世界戦の調印式で対戦相手の陣営と口論を始めて、記者会見が中止になったりといったトラブルの原因となったこともございます。はっきりいって選手の足を引っ張ってるようにしか見えません。

 テニスのグラフや、サッカーのメッシなど肉親が関与した脱税事件はスポーツ界にも数多ございますが、新潮の記事を見る限り今回の事件は非常に無防備と言いますか、メデイアを通じての金満ぶりアピールが仇になったという脱力するような話。

 しかし健文トーレスのライセンス交付といい、新人王戦の会場で渡辺二郎氏が選手と記念撮影をしていたことといい、関西のボクシング界のユルユルぶりにはため息しか出ません。

 JBCも協会もグダグダです。これじゃ若者が夢をもって飛び込める世界にならんですよ。

 無かったことにしたらいかんです。

 金銭の流れが不透明なプロスポーツにはまともなスポンサーはつかないと思う(旧徳山と長谷川が好きです)