HARD BLOW !

『高校卒業→大学入学』からの『世界王者のままプロボクシング引退!』からの『東京オリンピック挑戦宣言!』 中出博啓マネージャー兼トレーナーに聞いた、展開がダイナミックすぎる高山勝成選手の今までとこれから PART2



 それではいよいよ本題、東京五輪チャレンジ宣言の真意と、その展望をお伺いしていきます。

 引退までの経緯についてはPART1をごらんください→『高校卒業→大学入学』からの『世界王者のままプロボクシング引退!』からの『東京オリンピック挑戦宣言!』 中出博啓マネージャー兼トレーナーに聞いた、展開がダイナミックすぎる高山勝成選手の今までとこれから PART1

 枠にとらわれず越境していく、スケールの大きなチャレンジ精神は一体どこからきているのか?3分3R、ノーヘッドギアというオリンピック競技への順応は可能なのか?引き続き中出氏に伺いました。

中出氏


 海外挑戦で味わった昂揚感

HB- 要は『何をやったら自分がやる気が出るか?』ということですよね。どういうことに対して気持ちが上がるのか、意欲が出るのかという。

中出-変な話やけど、昂揚感ってあるでしょ。現実としてね、IBFを海外でずっと狙ってやってきて、獲って日本に帰って来たでしょ。そうすると海外と違って、日本は設備がきれいで、ちゃんと予定が決まってて、順序に沿ってリングに上がれるわけじゃないですか。それは便利で素晴らしいことなんやけど、あのなんていうんやろうな…。

HB-南アフリカとかメキシコとかで感じた昂ぶる気持ちと、何かが違うと(笑)

中出-だから、おんなじ『君が代』聞くんでも、ヨハネスブルグとかメキシコのリングで聞くのと、日本の府立で聞くのとは、こっちの気持ちとしたらホンマに全然、それはもう全然違うんですよ。

HB-それはそうでしょうね。そういうことを、辛さも面白さも一回体験をしてしまうと、もう後戻りできない(笑)

中出 そうなんですよね。だからと言って「じゃあもう一回海外挑戦やれや!」って言われても俺も仕事あるし(笑)。実際試合行ったら、一週間二週間は本業も手付かずですからね。まあ俺の思いとしては本当はプロで、ライトフライの試合やってからと思ってたんですけどね。

HB-今チャンピオン日本人ばっかりですからね

中出-でも高山にしたら今から、オリンピックの予選に行ける行けへんは別に準備をしたいと。

HB-実際、あと一年プロやったら、オリンピックは時間的に無理ですよね

中出-怪我と付き合いながらはやっぱり必死じゃないですか。正直胸のうちを言うたらね、僕自身も(高山選手が)怪我のストレスをかかえながら試合をすることに結構疲れてたんですよね。実際、スタイルも変わらざるを得んようになってね。僕はメロ戦とか新井田戦のときのスタイルが本来やと思ってるんですよ。パンパンとパンチ入れて遠いところに離れてという。

HB-あのスタイルを現在のフィジカルが上がった状態で出来れば一番いいんだけど、目の怪我があって出来ない。

中出-だから、今はもう正直パワーファイトですよ。トレーナーの立場から言えばここ何年は、全部明確な試合なんですよ。例えば日本の選手、小野、原、大平、加納辺りだとフィジカルで圧倒できるから、瞼切っても体力で潰しに行ける。やられたパターンは、明らかにデカいやつ。ロドリゲスはフライでも出来る選手やし、アルグメドはバンタムもやったことあるような、やられたんはサイズが違うやつばっかり。さすがにこういう選手相手だと、攻めれば被弾もするでしょ?自分達としては、アルグメド戦はライトフライへの挑戦の試金石になる試合だと位置づけてて…。

HB-『アルグメドを捌けたら昇級できるやろ』と。

中出-パワーで上回れたらなんの問題もないし、きれいにボックスしきれればそれはそれでよしと思ってたのが、それすらも試す前に1ラウンドから目を切ってね。

HB-とはいえあの試合もスコアは競ってましたからね

中出-そうそう。ボディ大分効かせたからね。まあ、たらればはないんですけど、ただあの試合を落としたことでね、高山本人にちゃんと聞いたわけや無いけど、加納陸との試合はマックスで集中してたと思います。あの試合はこっちにとってはタイトルを取り戻したいという試合やったけど、多分高山にとっては加納に勝ってタイトルをもって卒業したいという、そういう試合やったと思うんですよ。だから最初から思い描いてた通り、チャンピオンのまま卒業して、大学に進学して東京オリンピック挑戦を表明したということじゃないですかね?

プロアマの架け橋になれるか?

中出-アマの関係者に失礼があったらアカンとは思いつつ、一石を投じることにはなってしまいましたよ。だけどアスリートの思いとしては、僕はそれでいいと思うし、そうあるべきやと思うんです。昔からオリンピックについてはね「参加することに意義がある」と言いますけど、別に予選を免除してくれとかそういうことを言ってるんじゃないんですよ。

HB- 同じ条件で挑戦したいと言ってるわけですからね

中出-予選で負けたら、それはそれでしゃあないじゃないですか。

HB-実際問題として僕は、出場は相当厳しいと思うんですよ。

中出 僕は高山に言いましたよ「お前な、プロとは全く違うぞ」と。3 分 3 ラウンドというシステムはね、カルロス・メロとかイサック・ブストスとやってたころやったら、順応するのは速かったと思うんですよ。でも最近の試合なんかね、スコアシート見たら前半殆どとられてるんですよ。

HB-スロースターターになったということですか?

中出-いやスロースターターというか、目が怖くて行けなくなったんですよ。『目にアクシデント起こらなければ徐々にペースを上げて、もし目が切れたらそこから全力疾走』というスタイルやから。ホンマやったら前半からポイント獲って行きたいんですよ。逆に言うたらフィジカルが強くなって技術がついたから、前半 2,3 ラウンド落としても挽回できるようになったとも言えると思います。

HB-引き出しが増えて、前半とられてもまくれるようになったということですね。

中出-典型的なのは小野戦ですよ。前半ラウンド落としてもいいから 8 ラウンド以降で絶対捕まえるという、確信を持ってたんで。小野は変則やか、前半ストレート貰うのは覚悟しとったんです。ただパンチ力が無かったから良かった。パンチで両方切れたけど、あのころはまだ瞼も余裕があったんですよ。

HB-今のアマはルールが変わってかなりバチバチになってますね。昔のアマのイメージというかタッチボクシングと言われた時代とはまるで違いますよね。

中- あれ(現在のルール)は俺らの時代ですよ。俺が大学で競技やってた35年以上前のノーヘッドギアでバチバチのスタイル。プロが 1500 メートル、3000 メートルをペース配分考えながら走る競技やとしたら、アマは 100 メートルダッシュみたいなもんじゃないですか。3 分 3 ラウンドで最初から獲るにはゼロから考えるくらいの気持ちでいかんとあかんなと。ただ、高山が挑戦を表明することで、アマ側にも目が行くと言うか、注目が集まってほしいと思ってるんですよ。

HB-それは本当に思いますね。

中出-プロから国内のトップ選手が来たら、アマ側のトップ選手もね「プロのチャンピオンがなんぼのもんじゃい」となってね、その結果本当に強い選手に注目が行くようになればね、貢献できるんちゃうかなと思うんですけどね。

HB-レスリングの予選にプロの総合格闘家の山本KIDが出た時も話題になりましたよね。で、アマの選手(アテネ五輪銅の井上謙二選手)に腕折られて、「やっぱり国内のトップ選手って凄く強いんやな」ということが普段アマレスを見ない人にも伝わって。(山本KID選手の敗戦を伝える記事→山本KID、8強どまり レスリング全日本選手権そういう健全なフィードバックがあればいいと思うんですけどね。

中出-そうそう、それがスポーツじゃないですか。ブログに書いたことで、どこまで伝わったか分かりませんけど、俺からしたらオリンピック予選の二回戦で負けて、「アマも強いわ~」ってなったら、それはそれでいいんですよ。ただスタートラインにも着かれへんというのは。

HB-問答無用で門戸を閉ざすのはちょっとね…。

中出-それは何かがおかしいじゃないですか。

HB-オリンピックのボクシング競技を統括する日本ボクシング連盟(以下日連)の山根会長は今のところ「ダメ」という見解みたいですけど。

中出-まあ、まだ分からないですよ。高山は山根さんに会いに行ってますし。

HB-プロ経験者の締め出しは、上部団体のAIBAの方針ともぶつかりますしね。

中出-日連はAIBAの決定に一票を投じてるわけじゃないですか。そこは矛盾してる。まあここからはね、僕らの力だけではどうにもならないことも多いんですけど、ただこの国の憲法では別に何言うてもええわけですから。あとは、出れるならベストを尽くす、ということだけです。

自信はある!

HB-実際にエントリーするとなったらどういう手順を踏むわけですか?

中出-まだわかんねえ!(笑)

HB-そこはこれからで(笑)。

中出-時間的なリミットは決まってますからね。高山とも何日か前に言うてたんですけど、なるようにしかならんで、と。だからリラックスして待ちますよ。逆に、今回のニュース聞いてどう思いました?

HB-出稽古で近大のボクシング部とかに行ったときに、冗談か本気かは分かりませんけど「オリンピックどう?」みたいに言われてたじゃないですか(笑)。当時から「あ、面白いな」とは思ってました。東京であると言うことは大きいですよね。今IOCが方針として「最高の競技レベルを求める」というアジェンダを出してるのがAIBAのプロ容認の根拠なんですよね。だから日連が、IOCやAIBAの方針を無視してシャッタアウトするのは、ルール上おかしいと思います。

 現在オリンピックに参加希望する各競技の統括団体は、正式競技の座を巡って、激しい競争を繰り広げています。ドーピング検査の実施実績、テレビ中継にあわせた様々な工夫(柔道競技のカラー胴着、レスリングのチャレンジ制度・ビデオ判定の導入、陸上競技や水泳競技のマルチカメラによるスペクタクルな映像作り、試合時間の短縮努力)、プロ参加の奨励による競技レベルや注目度の引き上げ、参加国の拡大、女子競技の必須化=ジェンダーフリー化等々、IOCの要求する水準を満たせない競技は正式競技から容赦なく外されていくことになります。このIOC方針の下で、ロンドンとリオ五輪では野球・ソフトが正式競技から除外され、リオ五輪ではレスリングの除外が検討されたことはご存知の通りです(野球ソフトは東京で復活し、レスリングは結局残留)。

 正式競技から外れると言うことは、スポーツ競技としてもマイナー化し、IOCからの巨額の分配金もなくなって統括団体の財政が著しく脆弱化することを意味します。現状IOCに対抗できる発言力をもつ競技団体は、世界最大のNGOと言われ、W杯と言うオリンピックに拮抗するビッグイベントを擁して潤沢な資金力を誇るFIFAくらいでありましょう。ボクシングとて、伝統競技だからと安閑としていられない状況であります。

 IOCが2014年の総会で決議したアクションプラン『アジェンダ2020』には、プロリーグとの関係を構築する、として以下の提言があります(JOCのHPへのリンク→オリンピック・アジェンダ2020)。以下に引用します。

提言8
プロリーグとの関係を構築する
以下を目的として、各国際競技連盟を通じプロリーグやプロ組織に投資し、これら
との関係を構築する。
・最も優れた選手の参加を確実なものにする。
・各プロリーグのさまざまな性質や制約について認識する。
・関連する各国際競技連盟と協力し、臨機応変に最適な連携モデルを採用する。
(引用以上)

 IOCははっきりとプロ選手の参加と、プロ・アマ団体双方の和合を模索することを提言しています。AIBAがプロ競技としてはじめたもののいまひとつ話題性に乏しい、WSB(ワールドシリーズボクシング)やAPB(AIBAプロボクシング)もIOCのこうした提言・方針をうけたものなのでありましょう。プロアマの関係が良くないのは、国内だけでなくAIBAとプロ側のメジャー4団体とて同じであります。ですが、プロ側とて選手育成や『オリンピアン』『メダリスト』という肩書のブランド価値によって、ビジネス上多大な恩恵を受けているわけですから、ボクシングがオリンピック競技から外れれば、少なからぬ悪影響があると思います。不毛な争いはやめて、お互いに益があるような関係構築を模索するべき時期だと思うのですが…。何よりプロ参加の奨励は、IOCとAIBAの方針であり、日連が指針をたがえるのは自己矛盾ではないのか?と個人的には思えます。

中出-どんな風に理論構成をしていくか…。でもIOCがそう言っているなら、それがオリンピックの理念じゃないですか。

HB -今はキックのジムに行ってるような選手でも、パンチの巧い子なら「オリンピックのボクシングに出たい」と言う機運はあるみたいですね。伝統空手も正式競技になって、格闘技間での選手の奪い合いはますます激しくなると思います。

自信はある!挑戦させて欲しい!

HB-ちょっと話が前後しますけど、(プロでの)ライトフライへ上げての二階級目への挑戦は、具体的にかなり模索したんですか?

中出-僕はしましたよ。魅力的なカードの話が具体的にあったんですよ。ただオリンピックは、高山にとってはそれ以上にもともとの目標だったということでしょうね。

HB-やっぱり海外でIBF挑戦や統一戦をやったりしたように、誰もやったことが無いことがしたい、というのが大きいんでしょうね。

中出-それプラス、瞼の治療に一年かかるという条件が出てしまったというのも大きいですけどね。

HB-トレーナーの立場から、中出さんは今の状況でオリンピック予選を戦って、高山選手を勝ち上がらせていく自信はありますか?

中出 そんなもんあるよ!

HB ありますか!

中出 そんなもん何年一緒にやってると思ってるのよ!「これはやったる」というのはあるよ。

HB 秘策と言うか…。

中出 秘策とかじゃないよ。

HB 以前電話で「甘く見てるわけじゃないけど、自信はある」とおっしゃってましたが。

中出 やっぱり基礎力ですよ。ジャブ一発、ストレート一発どれだけノーモーションで打てるか。生命線は基礎に忠実であることでしょう。それと 3 分間の中でいかに速い駆け引きが出来るか。

HB 確かにそこに関しては高山選手はプロの中では向いているタイプだと思いますね。

中出 今のプロ選手のなかではNo1くらいにアジャストしやすい選手やと思いますよ。スピードの中で同時に駆け引きが出来ますからね。

HB 今の採点は手数がないと勝てないですしね。予選に出れるとしたら階級は?

中出 ライトフライになるでしょうね。

HB ありがとうございました。今後もなりゆきを見守りたいと思います。

最後に「自信はある」と言う力強い宣言が出ました。やはりこうじゃないと面白くない。あとはJOCや日連がどのようなリアクションをとるか?注目して待ちたいと思います。ただ、インタビュー中でも触れたように、問答無用で門戸を閉ざすようなことはやって欲しくないなあと思います。

そして、東京オリンピックを契機にして二つのボクシング界が和合し、より大きく発展できる契機になって欲しいと願ってやみません。

キックや総合の選手の五輪挑戦は容認されるのかというのも気になる(旧徳山と長谷川が好きです)

『高校卒業→大学入学』からの『世界王者のままプロボクシング引退!』からの『東京オリンピック挑戦宣言!』 中出博啓マネージャー兼トレーナーに聞いた、展開がダイナミックすぎる高山勝成選手の今までとこれから PART1

 相変わらずのフットワークであります。高山勝成選手とその陣営は、またも日本のボクシング界に風穴をあける『東京オリンピックのボクシング競技への挑戦宣言』という仰天プランをぶち上げました。!

 JBC発給の国内ライセンスを返納し、南アフリカ・フィリピン・メキシコと世界をまたにかけて、当時日本国内未承認のメジャータイトルを追いかけることあしかけ 4 年。2013 年にメキシコにおいて、日本人ボクサーとしては 21年ぶりの敵地勝利でIBFタイトルを奪取。それは日本国内でのIBF承認までわずか 12 時間という、余りにも劇的なタイミングでありました。

 当時の事情が良く分かる、国内復帰直後のインタビューはこちらの過去記事をご参照ください→高山勝成選手インタビュー&スパーリングレポート  インターバル40秒で12R!

 IBFタイトルを保持したまま、2013 年に仲里ジム所属で国内復帰。2014 年には、海外挑戦の盟友である山口賢一選手の行き過ぎたサジェスチョンを受けて、愛知県の菊華高校に入学し、なんと三十路の高校生に。

 一回りも年が違う学友達と机を並べて勉学に励みながら、メキシコでの敵地統一戦や国内での二団体同時決定戦など本邦初のビッグマッチを次々戦い、IBFやスポーツイラストレイテッドから年間最高試合に選出され、トレーナーの中出氏はエディ・タウンゼント賞まで受賞。この春には、高校を見事三年で卒業し、4 月からは菊華高校と同じ学校法人が経営する名古屋産業大のスポーツビジネスコースへと進学。

 海外での世界タイトル奪取から、高校入学、海外での統一戦、二団体同時決定戦と前代未聞のチャレンジを連発して、常にボクシング界に一石を投じてきた高山選手とチームライトニングKが、次にぶち上げたのが『東京五輪挑戦』であります。

 2016 年のリオ五輪から、IOCの意向を受ける形でのAIBA(国際ボクシング協会)の方針転換により、プロボクシング経験者がオリンピックのボクシング競技に出場できるようになり、いきなりタイのアムナット・ルエンロンや、来月日本で村田諒太選手と対戦予定のフランスのハッサン・ヌジカムといったチャンピオンクラスの選手がオリンピック本番のリングに上がりました。高山選手の挑戦表明は、そうした情勢の変化を受けてのものでありましょう。

 高山選手の国内復帰後、キャリアの節目節目で常に陣営の話を聞いてきた当HARD BLOW!としては、これは話を聞かんわけにはいきません。と言うわけで、チーム高山の中出博啓マネージャー兼トレーナーに色々とお話を伺って参りました。

    中出氏
   高山勝成選手のマネージャー兼トレーナー中出博啓

ロドリゲスjr戦から加納陸戦まで

HARD BLOW!(以下HB)-高山選手は(オリンピックボクシングに)転向ということなんですけど…。

中出博啓氏(以下中出) -引退や!(笑)

HB-プロボクシングを引退して、東京オリンピックを目指すという発表があったわけですけど、ここのところ毎回瞼の問題があって、まともに終わらない試合が続いたじゃないですか。そのことは引退の決断への影響は、大きかったですか?

中出-(2013年に)メキシコでIBFとって、それで翌年高校に入ったでしょ。そのときに彼(高山選手)が言ってたのは「チャンピオンとして高校に入ったから、卒業する時もIBFのタイトルを持ってたい」ということ。それと「出来れば統一戦でWBOのタイトルも獲りたい」と。それが、ここ数年の彼のモチベーションやし、目標やったと思うんですね。で2014年に不運にも、まあ私も病気(脳動脈瘤)しましたけど、彼もメキシコのフランシスコ・ロドリゲスjrとの試合で負けてね。あれもね、かなりしんどい判定やったんですけど、結果的に落としてしまった。でも、アメリカでスポーツイラストレイテッド誌の年間最高試合貰ったり、競った試合ではあったんですよ。でもやっぱり敵地やったな、えらいことになったな、とりかえさなアカンな、と思ってたら、ロドリゲスが相当ウエイトがきつかったみたいで、結果的に両方返上するんやけど、まずIBFをリリースして。

HB-高山選手との試合でも計量で揉めてましたね

中出-あの時一時間かかったんですよ。あれテカテビールの本社でね、一時間テンカラ干しのところで待たされて、アイツあれでリミットなったんちゃうかな?

HB-暑いところで直射日光浴びてたらウエイトが落ちた(笑)


中出-あの時の秤ね、誰が乗っても、俺が乗っても針が 47.6 キロになるようになってて。秤のチェックのために用意してた、水入れた1リットルのペットボトル乗せても針がグーンと47.6になって(笑)。

HB-「おかしいやろ!」と(笑)

中出-ほんならメキシコ側のやつが「いや1リットルの水と言っても、ピッタリ1キロじゃない」とか言い出して。そんな微妙な次元の話ちゃうやろ!というね。

HB-どうやっても 47.6 キロにはならないですよね(笑)

中出-ほんで秤替えさせて、調整してそれで乗ったら(ロドリゲスは)リミット丁度やったんで、多分5、600のオーバーで、こっちが抗議してる間に落ちたんと違うかな?まあ話とんだけど、あの試合が物凄い白熱したいい試合やったんで、WBOのランキングも好意的に評価してもらえて、次の大平戦で運よくWBO統一できて。それで、問題はその次の試合、ファーラン・サックリンJr戦。この試合で両目いったんですよ。高山のボディでファーランが腰折った時に頭がぶつかって。自分も目の前で見てたから分かるんやけど、TBSのカメラが撮ってた映像をスローで見たら、頭がぶつかって血が出ました、という一部始終が写ってるんです。

瞼の怪我との戦い

中出-試合後にファーラン側が「最後まで出来たやろ」「TKOやろ」ということでIBFに提訴して、IBFも審議したんですけど、我々が違うアングルからの二つのビデオ映像を送ったら、明確なバッテイングやと分かってもらえて、ファーラン側の提訴は認められなかった。けれど、その審議の間こっちは待機状態になったんですね。怪我してたから、良かった面もあったんですけど、6 月くらいまでファーランと再戦するのか、それとも指名試合を優先するのかが決まらない状態になってしまった。僕らからすれば、再戦でも良かったんですけど、カードとしても新鮮味はないし、試合自体も競ってる内容でも無かったし、何よりはっきりバッテイングやと分かってましたから。
 一方で当時のトップコンテンダーだったアルグメドは二重契約のトラブルがあって、試合契約が出来ない状態が続いてた。だから審議の結果が出るのを待ってる間も、IBFには「指名試合が出来ないのはアルグメドの契約問題が原因なんやから、こっちの落ち度じゃない。こっちは指名試合をする意志はあるんだから、早く指名挑戦者を決めてくれ」と言う要求はしてたんです。こっちとしては早く指名試合をクリアしたかったのに、なかなか決まらなかった。そしたら大橋ジムから、原隆二戦の話が来て、そっちを先にしようということで原戦を決めてきた忘れもせんその日の夜、帰りの新幹線の中でIBFからアルグメドとの対戦命令が出たと知ってね。「いやこっちは原戦決めたから」と言っても、IBFは「原戦の対戦契約があるにしろ、先に指名試合をしろ」と言ってくるしで、それを交渉でアルグメド戦は 12 月にしましょうということでなんとか合意して、それで原戦をやったら(ファーラン戦と)同じ場所にまたバッテイング食らって…。あの時の傷がまたものすごい大きくて。見た?

HB-かなりパックリといってた、と。

中出-血止めするときに綿棒の先端が完全に入ってしまうくらいの深さで、あの試合が 9 月やったからとても12 月に間に合うような怪我やないぞ、と。

HB-原戦の前に電話した時も「なかなか調子が上がってこない」みたいな話はされてたじゃないですか。

中出-結局実戦が出来ないんですよ。スパーが。アルグメド戦はノースパーやし、原戦の前も 30 ラウンドもやってないんと違うかな?だから圧倒的に実戦勘が足りない。アルグメドに関しては、強引に振り回してくる選手やから、離れたら見えるやろと思ってました。だから近づかんようにして、試合はおもろないか分からんけどアウトボックスしようやと決めてた。ところが結論から言うと、アウトボックス出来なかった。アルグメドが、最初から思いっきり出て来たんで。傷は治ってないから、1 ラウンドから血が滲んできて、被弾して出血量が増えて目に血が入ってくるし。もう、ひっつかな仕方が無い、ということでくっついて打ちあって。でもサイズが全く違うし、やっぱり被弾も増えて。まあ、止むを得ない結果やったと思うんですね…。でタイトル失ったけど、これはもう無理やり行ってるような試合やったんで、半年から一年くらい開けてもライトフライに上げるかしかないよな、と思ってたら(田中恒成の保持していた)WBOが返上になって空位になって。でも加納とサビージョの試合の時、高山が会場に行ったら丸元会長が「高山君それ目治ってるの?」と聞いてくるくらい腫れてる状態で、「これは目を狙って来るやろうな」と思うくらい腫れが全く引かなかったんですよね。まあ加納戦はアルグメッド戦よりはスパーは出来たけど、それでも 30 から 40 ラウンドくらい。やれるだけマシやみたいな。で自分個人の構想としては、なんとかここでWBOのベルト取り返して、実際にオファーはあったので、年末にベルト持ったままライトフライにアタックして、で年が明けてから一回くらい防衛戦してチャンピオンのまま卒業というふうに出来へんかな?と思ってたんですけど、加納戦でもやっぱり切ってしまって…。

HB-8 ヶ月開いてたわけですよね。それでも難しかった。

中出-アルグメド戦後の医者の診断では、最低でも 6 ヶ月開けないと難しいという話で、まあ 6 ヶ月後でもボクシングやっても切れないという強度があるというわけでもないよということでね、きついなと。で、案の定切れてしまった。

HB-切れたと言うか古傷がまた開いたということですよね。

中出-そうそう。で 4 ヵ月後の試合のオファーは来たんですけど、出来ないと。

HB-指名試合ですか?

中出-そうじゃなくてライトフライで。

HB-ああそうなんですか。大晦日ですか?

中出-そう。いい条件だったんですけどね、でも目の状態で出来ないとなって、その頃から僕もチラチラと、もうかなり不安が大きいし、高山自身も悩んでたようやし。

HB-毎回万全な状態で試合は出来ないということで悩んでたわけですね。

中出-それで一月から二月くらいに「引退」と言う言葉がちらほら出だして。まあ僕自身はね、万全な状態やったらまだ続けられるやろと思ってて。

HB-中出さんとしたら「もう一度万全な状態を作って続けたらええがな」と思ってたんですか?

中出-そう、目も手術してちゃんと治して。WBOは負傷を認めて暫定王者立ててくれてるし。でも本人が、ちゃんと治るのか確信が持てなかったと思うんですよ。実際今も腫れてますしね。

HB-幾ら医学が進歩してると言っても、出来ないことは出来ないですからね。

中出-信頼できる先生に相談してみて分かったのは、今までの治療で使った溶ける糸というのが均一に溶けるわけじゃないんで溶けてない部分が残ってたりして悪くなってるのもあるみたいなんですよね。だから一回瞼を開いて、そういうのもきれいにして、それと目の周りの骨が肥厚現象という、まあ一言で言うと分厚くなってるみたいなので、それを削ったほうがいいだろうと言われて。

HB-体が怪我した部分をリカバリーしようとした結果起きてることなんですよね。

中出-まあ一言で言うと骨がとがってるということなんですよ。

HB-中が尖ってるから、外から衝撃が来たら切れやすい。だから平らにする手術をするということですね。

中出-ただそのためには、手術のために二週間入院して一年間はボクシングの試合は出来ないと言われて。これは、年齢考えると非常に厳しい。もう一回、ミニマムでもライトフライでもタイトルを取り戻すと言うのは大変やな、と分かって、そのときもう高山はオリンピックのこと考えてたと思います。実は高校進学が決まった当時に、高校卒業して大学に入ったときにオリンピック挑戦を表明したいという話をしてたこともあるんですよ。僕はそういう予定についてはフレキシブルに考えとったんですけど、今年に入って引退と言う言葉がちらほら出た時に「まさかオリンピックか?」とは思ってたんですよ。俺としては、やつの口から直接それを聞くまでは、とは思ってたんですけど。まあ実際に、リオにアムナットとかが出て、でもう野球やサッカーではプロアマの垣根は無くなってるのは知ってましたし。

HB-IOCがもう方針としてアマチュイズムという観念は放棄してますからね。

中出-実質的にすでに最高の舞台でのプロのスポーツイベントということになってるんですよ。ブログにも書きましたけど→(中出博啓氏のブログ4月7日の記事『プロ アマ雑感・・』 )、高度成長期のサッカーで言えば古河電工とか、野球では言えば社会人野球の三協精機とかの時代も知ってますけど、今はもうまったくそういう時代ではないじゃないですか。

HB-そうですね。

中出-個人競技の選手も企業に所属するのでなく、肖像権を自分で管理したり企業にスポンサーになってもらって金銭を得て競技に専念できる環境を作るというプロ化がドンドン進んでるじゃないですか。

HB-トップ選手はそれが主流ですよね。

中出-まあ出来るかできへんか分からんけど、オリンピック…。まあ行けなかったらしゃあない。だからローマン・ゴンザレス戦負けた後の「WBOとかIBFとかプロの未知のタイトルに向かってやってみようか」という時と一緒なんですよ。俺はだから高山には何回も聞いたんですよ「あと一年はやってもいいんじゃないの?大体、試合して金稼がんでいいの?」って。

HB-まあそうですね。

中出-そしたら「僕はいいボクシング人生送ってきたけど、そっちじゃない」と。「誰もやったことないことをやってみたい。プロでは 4 団体獲ったんで、今度はプロからオリンピック行ってメダル狙いたい」って言ってるんで、そういう意味では高山は昔からぶれてへんなと思って、じゃそれを表明するしかないなと。

瞼の怪我が影を落とした高山選手のキャリアですが、果たしてオリンピックへの挑戦という大願は成就するのか?次回PART2へ続きます。

日曜は京都でなく刈谷に行く(旧徳山と長谷川が好きです)

とりあえず速報 高山勝成選手が東京五輪挑戦宣言

 今朝SNS経由で事実を知ってぶっ飛びました。

 報知新聞の記事へのリンク
     ↓
 世界王者・高山、プロ引退&東京五輪で金目指す!実現すれば日本ボクシング界初

 常にイノベイターとして他のボクサーがやっていないことにチャレンジしてきた高山選手。本当に、「らしい」選択だと思います。

 「アマチュアに転向」とも報じられていますが、AIBAは「アマチュアボクシング」と言う呼称を「オリンピックボクシング」と改めているそうで、実際現在のルールではヘッドギアもなくプロボクシングとなんら変わらない競技になっています。「相手が選べない」「計量後に増量できない」「毎日試合がある」などなどプロよりも過酷な面のほうが多いかもしれません。

 日本でも大学や企業なども東京五輪に向けて選手の争奪戦が始まっていますが、高山選手以外のプロライセンス保持者や総合やキックの選手などが追随する可能性もありますね。

 現在の日本のプロボクシングは、チャンピオンになってもアルバイトをしないと生活できないような時代であります。
競技に専念してオリンピックを目指してる選手とバイトしてるチャンピオンではどっちがプロか?」

というのは難しい問題であると思います。

 というわけで近いうちに陣営の方の肉声をお伝えしたいと思います。しばしお待ちを。

 捏造記事で裁判に負けたライターが業界批判など100年早いと感じる(旧徳山と長谷川が好きです)

スポーツツーリズムを考える旅?!WBOミニマム級王者決定戦in天草 モイセス・カジェロス×福原辰弥

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 予告しておいた通り、熊本県上天草市で行われたWBOミニマム級王者決定戦、モイセス・カジェロス×福原辰弥戦を観戦して参りました。

 私大阪市在住ですが、会場までの距離は500キロ超!しかも試合会場は島でございます。島嶼部での世界タイトルマッチは恐らく具志堅用高×ペドロ・フローレス以来ではないでしょうか?こんな珍しい試合もそうそうないので、好奇心も手伝って現地観戦に行って参りました。

 私が純粋に観戦目的で遠出したのは、名古屋が最長。東京での観戦はすべて出張旅行のついででありまして、観戦のためにホテルまで取るのはこれが始めて。とはいえ観戦仲間の友人・知人には、泊りがけで国内のボクシング観戦に行かれている猛者が沢山いらっしゃいます。げにマニアの情熱と言うのは凄いものであります。HARD BLOW!絡みでは、昨年大沢宏晋選手がラスベガスのトップランク興行に出場した際は、多くの大沢ファンや後援者、ジムメイトが海を渡って観戦に赴かれました。昨今では音楽やスポーツイベントの観戦のために遠出をする層が増加しており、ひとつの文化を形成しつつあります。わけても贔屓のチームの応援の為なら海外でもホイホイと行ってしまう、サッカーファンの移動距離は凄まじいものがあります。プロ野球の広島カープはHP上で、スタジアム近隣のホテルの特典つき宿泊予約が出来るサーヴィスを展開しています。昨年始まったプロバスケのBリーグでもこれからそういった観戦文化が育っていくことでありましょう。

 というわけで私も来るべきスポーツツーリズム時代に備えて、後学のために一泊二日で熊本まで行って参りました。

 試合前日の25日土曜日に新幹線で博多まで移動し、そこから途中温泉に入ったりしながら在来線を乗り継いで熊本県の三角まで移動。
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 その日は三角で安宿に一泊。三角駅前からは天草に渡れる観光船が発着しております。あけて翌日、午前中に船で天草に上陸し、ぶらぶらと歩いて会場の松島総合センターアロマに到着。
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 今回の試合が天草での開催になったのは、昨年発生した大地震の影響で熊本市内の体育施設が軒並み被災したことが原因。当初試合会場が見つからず開催が危ぶまれましたが、自治体の知名度を向上したいと考えていた上天草市サイドの意向と、地元開催を模索していた福原陣営の思惑が一致したことで試合が実現したとのこと。自然災害にも負けず柔軟に開催を模索した本田フィットネスジムの粘りが、行政を動かした結果であります。



 そもそも暫定王者決定戦の出場選手としては、当初違う日本人選手の名前が上がっていました。昨年10月のWBO総会で、テレビでお馴染みの『国際マッチメイカー』ジョー小泉氏が、「真正ジムの山中竜也選手とカジェロス選手の決定戦が認定された」とぶち上げましたが、上位ランカーの福原選手陣営が頭越しでの試合決定発表に抗議し、WBOの裁定をひっくり返して決定戦を実現したと言う経緯があります。この時のジョー小泉氏の動きのおかしさについては、当方でも記事にしております。
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WBOミニマム級暫定王座決定戦に福原辰弥選手も名乗り!
(真道ゴー選手の『世界王座勝手に返上騒動』でも生臭い動きをした上に、ファイトニュースで一方的に真道を批判する記事を書いたジョー小泉氏は、そりゃあボクシングについては詳しいのか知りませんが、どうも「強気を助け弱きを挫く」傾向があるような気がしてなりません。)

 第一試合開始30分前に会場に辿り着くと、玄関ホールではゲストの亀田興毅氏によるサイン会の真っ最中。
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 1000円以上を募金するとサインがもらえるというシステムでしたが、サインを求める人の長蛇の列が出来ていました。チャリティでサイン会をやって復興の為の募金を集めてる人と、捏造記事を書いて訴えられた裁判の費用を読者から集める募金をした人とを比較したら、人間力の差は一目瞭然ですな。
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 会場のアロマさんは国体のボクシング会場として作られたということで、観戦しやすい非常にいい会場でした。中に入るとリング上は、アイドル『少女隊』のライブの真っ最中。なんでもメンバーの方の一人が熊本出身で、震災を体験していると言うことでMCでも募金をよびかけておられましたが、なぜか声がベテランスナックママのようにガラガラでした。集められた募金はリング上で上天草市長に託されました。

 上天草市長はなかなか宣伝に熱心な方のようで、お笑い芸人のロバート秋山さんのなりきり芸『クリエイターズファイル』とのコラボでプロモーションしたりと、面白い試みをされております。
 
 上天草市のHP 
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上天草市シティプロモーション動画を制作しました!


 この日第二試合の新人王予選に登場した、本田フィットネスジム所属の池田知也選手はなんと国境なき医師団にも所属する外科医で、2015年に二度イエメンに派遣されて、地雷の被害者などの治療に当たられたとのこと。凄い人がいるもんであります。

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青いグローブが池田選手。トランクスには文武両道の文字が...。

池田知也選手を紹介する記事のリンクを挙げておきます
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 国境なき医師団のWEBに掲載された池田選手のインタビュー
Huffingtonpost「一人の社会人としてのキャリアプラン 医師として、プロボクサーとして」 

 アンダーカードが終わるとセレモニー。リングにはやっと復帰した安河内剛事務局長も登場。ほんと余計な遠回りをしたもんであります。
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 コールによって呼び込まれた福原選手は、音楽が鳴るとすぐに登場。自信に満ちた表情で、落ち着き払っています。

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 一方のカジェロスはソンブレロを被って登場。
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 サウスポーでボディ撃ちが巧い福原選手ですが、外国人との対戦はタイ人との二試合のみ。はたして好戦的なメキシカンのスタイルに順応できるか?少しさびしい客入りだった会場もいい感じに埋まって(観衆は2500人くらいとのこと)いよいよゴング。

 1R、なんとオープニングヒットは福原選手の左ボディストレート。オーソドックスの選手のレバーに、いきなりパワーパンチが当たって、会場はやんやの喝采。一方のカジェロスは、ひるまず勇気を持ってフックをふるって前進。パンチはかなり強そう。カジェロスの圧力に福原選手はさがる場面が多くなりますが、下がりながらも左は的確にボディを捕らえており、戦い方は悪くないと見えます。
 
 2Rに入るといきなりカジェロスの右が福原の頭を捕らえて、福原の腰ががくんと落ちる。ひやりとしましたがここは巧みにクリンチでカバー。ムキにならず一旦引いて、落ち着いて立て直すとラウンド終盤に頭への左をヒット、クレバーなところを見せます。

 3Rも福原の左ボディは良く当たりますがカジェロスの左右フックも強烈。福原はプレッシャーの前に下がる場面が増えますが、的確性は明らかに福原という展開が続きます。
 
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 カジェロスの強烈なフック
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コーナーからボディで逆襲
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 返しの右も有効だった
 
 4Rはボディを意識するカジェロスに上への左パンチが再三ヒット。左のあとの右も有効で、カジェロスに迷いが見れる。
 しかし5Rに入るとポイントも意識してかカジェロスが大逆襲。ゴングと同時に前に出て、休みなくパンチを繰り出して福原は我慢の展開になるが、最終盤に打った福原のボディでカジェロスの背中が丸まると会場は大歓声。打ち続けてきたボディでカジェロスにダメージが蓄積されてきていることが伝わってくる。

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 カジェロスのすさまじいプレッシャー
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 福原の右クロス

 中盤になると試合はさらに激しくなり、全くアクションが止まらない壮絶な打撃戦となる。6Rに福原はバッテイングで小さな切り傷が出来るが、セコンドのリカバリーで出血は少ない(この試合二人とも頭は低いのにバッテイングは少なかった)。福原は我慢強くプレッシャーをいなしながらのボディ撃ち、カジェロスもダメージを感じさせながら失速せずしつこく手を出して展開は一進一退だが、有効打は福原が多く見える。

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 強烈な相打ち
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 左ボディでカジェロスの体が曲がる
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 頭が下がったカジェロスにアッパーを合わせる

9Rに入るとまたもカジェロスが仕掛けてきて強烈なラッシュ。福原は嵐のような連打を受けながら、隙間にボディうちを叩き込みついに終盤カジェロスが目に見えて失速。福原は更に攻勢を強める。

 壮絶な打撃戦になったことで会場は自然と熱を帯びるが、インターバルでセコンドが観客をさらにもりあげる。

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 福原は終盤も手数は落ちず、ボディブローも好調のまま。一方カジェロスも執念で食い下がるが
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 福原の頭を跳ね上げるアッパー
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試合終了のゴングの瞬間会場は大歓声に包まれました
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 健闘を称えあう二人 
カジェロス陣営は肩車で勝利をアピールしますが、私の印象では有効打で福原の優位は動かない、と見えましたが果たして採点は?

 ジャッジ構成はタイ二人、フィリピン一人。カジェロスの圧力と攻勢を取るか?福原の的確性とボディ打ちを取るか?タイジャッジ一人目が2ポイント差でカジェロスと出て、会場からは「え~?」という声が上がりますが、残り二人のジャッジが116-112が二者で福原勝利!「新チャンピオン」というコールで歓声が起きましたが、決定戦なのでどっちが勝っても新チャンピオンでした(笑)。
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 勝利者インタビューで福原選手は5Rで目が腫れて苦しかったけれど声援が力になったとコメント。壮絶な打ち合いを冷静に振りかえる様子からメンタルの強さが滲み出ておりました。泣き崩れたり感情を爆発させることなく意外と淡々としていた福原選手からは、勝つべくして勝ったという自信がみなぎっていました。カジェロスはやはりボディー打ちへの対策が最後まで出来なかったことが致命傷となりました。サウスポーもあんまり得意じゃないないのかな?

 最後はリング上で歓喜の胴上げ!
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 試合後は大急ぎでバスに乗って、私より更に遠方からきた観戦仲間と。、熊本駅まで喋りながら帰ったのですが、会場からでる車列で渋滞が起きており、かけつけた警察官が驚いておりました。地元に祭りを提供できたのであればこれもまた貢献ですね。

 暫定とはいえ地方ジムから頂点へ駆け上がった福原選手と本田フィットネスジムの皆様、大変おめでとうございます。今後も地方から新しいボクシング文化を発信して頂きたいと思います。

 試合も良かったし、なかなか面白い旅でございました。皆様も是非地方の興行に足を運んでみてください。

 船でボクシングに行くことになるとは思わなかった(旧徳山と長谷川が好きです)

大沢宏晋選手帰国後初インタビュー ラスベガスで掴んだ自信と課題 PART3

今回で最終回です
第一回はこちらから→大沢宏晋選手帰国後初インタビュー ラスベガスで掴んだ自信と課題 PART1
第二回はこちらから→大沢宏晋選手帰国後初インタビュー ラスベガスで掴んだ自信と課題 PART2

HARD BLOW!(以下HB) 「試合終わったあとすぐ再起するという宣言があったじゃないですか。あれは迷いは無かったですか?」

大沢選手 「試合前は会長にも言ってたんですけど勝っても負けても辞めようかなという気持ちもあったんです。試合前はベガスに来たことで、正直満足してたんかな?でも終わってみたら『俺何を調子に乗って、終わったとか言うてるねん』と思って。そういうところもちょっと自分自身あかんかったんかな?と。」

HB 「試合前は引退するつもりで、負けた後に意欲が出るって珍しいですよね(笑)」

大沢選手 「あのベガスの興奮を見たら『もう一回この場所にもどってこやなあかんな』と思いますよ。すごいですよ二万人って。ゲートから入場してきたらすり鉢みたいになってるスタンドの上からみんな手を伸ばして来て、上見たらでっかい電光掲示板にバルデスVS大沢って書いてあって。実際海の向こう行ってみて、高山勝成君ね、同郷(生野区)の先輩で大尊敬してますけど、右も左もわからん国行って自分から仕掛けてきたというの本当に偉大やなと。」

HB 「日本国内の世界戦では、お金出してチャンピオン呼んで、挑戦する選手はファイトマネー無しとか下手したら持ち出しとかいうケースもあると聞きますけど、オファーがあって呼ばれてファイトマネー貰って試合するというのが本来ですよね。」

大沢選手 「勝つ奴はどこでやっても勝つんやから、やっぱり出ていかなダメですよ。」

HB 「アメリカで長期滞在して練習したいというお話はありましたけど、今後のプランはどう考えてますか?」

大沢選手 「アメリカに爪あとは残せてきたと思うんで、あとはそれをどう広げていけるかなんで。」

HB 「注目度の高い試合なら、負けたら負けたでオファーが来るといいますよね。」

大沢選手 「中島さんからも『来年は海外のプロモーターから来る話も多なると思うから、舞台変わるかも分からんけど楽しんで行こうや』という風に言われてるんで。」

HB 「海外で練習して、海外で試合してという方針で行きたいと。」

大沢選手 「(バルデスの)レベルが違いすぎて、正直今までやってたことはなんやったんやろうと思いましたね。」

HB 「それだけ差を感じてもやりたい」

大沢選手 「俺まだいけるよな、やれるよな、じゃあ行くべきやんなって」

HB 「まだ強くなれるという確信があるんですね。」

大沢選手 「体も何にも悪いところないし、衰えも感じないし」

HB 「肉体改造も始めてるんですよね?」

大沢選手 「いまパーソナルで心拍数ガチガチに上げるというのを始めて。今まで仕事との両立というのを意識して来ましたけど、今後はボクシング一本に集中してやろうかなと。」

HB 「年齢もありますしね。やっぱり悔いが無いようにと…」

大沢選手 「来年一回は日本で復帰戦しようと思ってるので、注目される中でどれだけ出来るかですね。」

HB 「海外に出て行く選手というと山口賢一選手のサリド戦から始まって、高山選手に大沢選手みんな関西で、意志が強いというか我が強いというか。(笑)」

大沢選手 「今上げた人たちも僕も我はメッチャ強いと思います。自分が『これや!』って思ったことを信じてやってるから迷いもないし。自分を疑ってしまったら、誰が自分を信じてくれるねん、と。」

HB 「そういう性格は試合にも出るじゃないですか。」

大沢選手 「だから僕も『バルデス来いや!とことん殴りあったるぞ!』と思ってやって、僕の方が先に倒されましたけど(笑)」

HB 「バルデスともう一回やりたいですか?」

大沢選手 「それはやりたいですけど、あっちが登っていくと思うんで…。試合の後一緒に写真とったんですけど、バルデスが僕の胸に手を当ててるでしょ。これはメキシカンにとっては最上級の敬意の意味らしくて。『今までの相手でお前が一番強かった。お前に敬意を表するって』って言って来て、そこでうるっと来てしたね、悔しいなって。」

HB 「ええ奴ですね」

大沢選手 「めっちゃええ奴です。『またアメリカで待ってるから這い上がって来い。試合しよう』って言われて、自分はあと長くて2~3年、短くて1年やな、婚約もして守るもんも出来たからめっちゃ頑張らんとなと思って。」

HB 「階級はフェザーのままですか?」

大沢選手 「そうですね。ただチャンスがあればスーパーバンタムでも。」

HB 「今回の試合は小さいジムの選手にとっては、工夫次第であそこまで行けるんやという希望になったと思うんですけど。」

大沢選手 「ただ僕らの場合は周りにいる人が凄かったという強みがあって、その力も大きかったですね。僕はロマンサ選んでホンマ良かったと思います。」

HB 「コンベンションも行ったり海外とコネクション作る努力をして、言葉も覚えて、やっていけばチャンスは開けてくるということだと思うんですけど。」

大沢選手 「結局やるか?やらんか?なんですよ。」

やるか、やらんか。この上なくシンプルな結論ですが、これ以上の答えはないでしょう。我々は来年も自分から仕掛ける意欲のあるボクサーたちに注目していきたいと思います!

大沢選手のおかげでこちらも勉強になった(旧徳山と長谷川が好きです)