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HARD BLOW !

OPBFバンタム級タイトルマッチにおける計時ミス事件の背景を考える

明けましておめでとうございます。本年もHARD BLOW!をよろしくお願い致します。

というわけで今年も早速本題です。

昨年末12月24日に大阪市の住吉区民センターで行われたOPBFバンタム級王者決定戦、栗原慶太VSストロング小林祐樹戦において、6ラウンドの時間が4分になりその後の6Rと7Rの間のインターバルが2分になるという信じられない計時ミスが起こりました。

試合における時間管理は言うまでもJBCの責務であり、当然ながら検証と当該責任者の処分とその後の対策が必要になります。

今回のケースでは、栗原選手が所属する一力ジムサイドの関係者が試合直後からブログやSNS上でこの問題を告発する異議申し立てを行ったことで、試合映像が見れない状態でファン・関係者にいち早く情報拡散が行われた結果多くの議論を呼んでいます。その一方で、本来ならいち早く当事者から事実関係を取材して記事化するべき専門誌やスポーツ紙と言ったメデイアはほぼ黙殺状態といいますか見事なダンマリぶりであります。

というわけで当HARD BLOW!は試合役員や関係者に取材しました。今回は我々なりの観測を記事にして皆様のご検討を仰ごうかと思います。

そもそも今回のトラブルがファンや関係者の注目を浴びたのは、舞台がタイトルマッチであった上に、六島ジムのストロング小林祐樹選手がすべて異なるラウンドで実に4度もダウンしていながら、採点結果がジャッジ三者とも113-111の僅差であったということが大きな理由になっています。文字情報だけを見ればダウンだけで8点差がつくはずで、スコアが僅差になりようがない試合展開のはずなのに結果は僅か2点差。しかも試合の舞台は勝った栗原選手にとってはアウェイの関西であり、ファンがヒートしやすい東西対決という部分でも憶測や邪推を生みやすい下地がありました。勝った一力ジムサイドが積極的に情報発信しているのも、「アウェイでおかしな試合運営をされた」という不信感が根底にあるのだと思います。

しかし、私は六島ジムサイドがあたかも不正を働いたかのように主張する向きには「ちょっと待って」と言いたいのであります。

ラウンド時間やインターバルが長くなれば当事者は勿論、関係者や観戦していたファンが黙っているはずもなく、そのような不正に有効性があるとは皆目思えません。議論を呼んでいる採点も、関東の福地氏を含むジャッジ三者がすべてのラウンドで全く同じスコアをつけるという珍しい結果で、こちらも「不正ならこんな露骨なことするかな?」と感じます。

s_スコア


(スコア画像はツイッターより拝借致しました→https://twitter.com/5910boxing/status/1077121918879227904)

試合をした当事者である栗原選手も自身のブログで

『動画を見れる方は見て頂けるとわかるはずですが採点は完全に事実です(笑)/ジャッジも東京から来て頂いてる方もいたので完全に公平です。/ダウンをとったラウンド以外は9R以外全て取られました。』

とはっきりと書いています。以下のリンクをご参照ください。
         ↓
栗原慶太のブログ 試合結果ご報告

「ダウンをとったラウンド以外すべてをとられるなんてことあるの?」という疑問を持っておられる方は、現在配信サイトで公開されている試合映像をみて検証されると良いと思います。
    ↓
ボクシングレイズ 栗原慶太VSストロング小林祐樹

この動画で6ラウンドが4分であったことは確認できます。また筆者は6Rと7R間のインターバルが二分であったことも別の動画で確認しています。

また栗原慶太選手のセコンドについていた萩原篤トレーナーはFacebook上で真相究明を求める投稿を行っています。
      ↓
萩原篤トレーナーのFacebook

また萩原氏のブログにも栗原選手コーナーから見た当日の経緯が詳細に書いてあります。
      ↓
ラスト30秒の奇跡! 栗原 東洋太平洋王座獲得‼

萩原氏は「5Rの大詰めに栗原選手が奪ったダウンで試合を止めるべきだったのではないか?」という旨の主張をされていますが、ダウンはラウンドの最終局面であり、カウント中に立ち上がった小林選手がインターバルで回復することは十分予測できる場面でした。むしろあそこで試合をストップしたほうが後々禍根を残していたと思います。

そもそも大前提として、試合の時間管理をするのはJBCの責務であり『アウェイの洗礼』だなんだという前に試合時間がおかしければ第一義的にJBCに責任があります。当事者が疑心暗鬼になるのは分かりますが、試合を見てもいないファンや関係者が原因も定かならないうちから、プロモーターの意向で意図的に時間が延ばされたかのように騒ぎ立てるのは短絡であると思います。


筆者が今回のトラブルの原因と考えているのは、あくまでJBCの内部統制の問題であり、単にJBC組織内部の混乱から現場力が低下した結果、考えられないほど低レベルのトラブルが起きているに過ぎないのではないか?ということです。

計時ミスの経緯を試合映像をもとに振り返ってみます。

5R終了間際に栗原選手が放ったカウンターの右ストレートがヒットし小林選手は崩れ落ちるようにダウン。栗原選手のセコンドについていた前出萩原篤トレーナーのブログ記事より以下引用いたします(引用部分は青文字)。

元記事へのリンク→『ラスト30秒の奇跡! 栗原 東洋太平洋王座獲得‼

5ラウンド その悪い流れを断ち切るように
終了間際 左フックで強烈なダウンを奪う!
もう3分は過ぎている でも相手の足元はグラグラ
しかしレフリーは試合続行を指示

『おい! こんな状態でやらせるのかよ!』
 レフリーに叫ぶもこっちを見ようともしない
やはりここは敵地大阪
(引用以上)

栗原選手サイドにとってはTKOが望ましいわけでストップしてほしいという気持ちは分かりますが、先述したようにこの裁定はさほどおかしいものとは思えません。現に小林選手は最終ラウンドまで戦い抜き、判定が僅差になるまで栗原選手を追い詰めているのです。

問題はこの後です。

映像を元に再現します。まず栗原選手サイドのセコンドがレフェリーに何かアピール。これは萩原氏のブログにもある通り「なぜストップしないのか」ということを伝えたのでしょう。それに対してレフェリーは対応せず黙殺します。すると今度は、小林選手のセコンドについていた六島ジムの枝川孝会長がレフェリーに何事か訴えますが、こちらもレフェリーは無視。すると枝川氏はエプロンづたいに本部席の上まで移動して、本部席の役員やインスペクター(西部日本事務局の小池幸弘氏)に大声で抗議を始めます。一体何が起こったのでしょう?

筆者が話を聞いた試合役員A氏はこう証言します。(発言部分は赤文字

「枝川会長は『さっきのダウンはゴング後の加撃で反則じゃないのか?』とアピールしたのにレフェリーに黙殺されたので、本部席の試合役員やJBC職員に向かって抗議を始めたのです」
 
ラウンド終了直後に枝川氏がレフェリーを手招きして何か伝えようとしている姿は試合映像にも写っています。ただその前に栗原選手のセコンドのアピールも受け流されており、レフェリーにすれば一方のアピールだけに対応するわけにはいかなかったのかも知れません。この辺はあくまで推測です。

プロモーターである枝川氏の抗議を黙殺するわけにもいかず、本部席は対応に追われて混乱。結局インターバルの終盤に、本部席にいたJBC職員からレフェリーに対して『パンチがゴング後かジャッジに確認せよ』という指示が出て、レフェリーが各ジャッジに確認して問題なしという判断が出て、枝川会長も試合が再開するということでコーナーに戻って抗議は一旦収束しました。

栗原選手サイドが試合をストップしないレフェリーの裁定に不満を抱いたように、小林選手サイドのセコンドもレフェリングに疑問を呈していたわけです。こうしたアピールは試合ではよくある事であり、特にタイトルマッチとなれば常にレフェリーやスーパーバイザーは両陣営のアピールに対して身構えて、勝敗に影響が生じないよう鋭敏に対処する必要があります。

先述の試合役員A氏は当時の対応の問題点を以下のように分析しました。
 「レフェリーがアピールに対応しないなら、混乱が大きくなる前に経験のあるジャッジがその場でレフェリーに呼び掛けてゴング後の加撃かどうかジャッジに確認させて、結果を小林側のセコンドに伝えるべきでした。ジャッジもレフェリーへの補佐が出来ていなかった。そもそも5Rの最後小林選手が立ち上がってボックスがかかってからゴングが鳴るのがすでに遅かった。もうあの時点でタイムキーパーはおかしかったんです」

A氏によると、この日現場の歯車がうまく機能しなかったのにはある事情があったのだといいます。

「この日のスーパーバイザーは本当は東京本部の浦谷信彰事務局長でした。ところが前日になって急用(筆者注:その事情も大変問題なのですが現在は詳細が分かっていないので割愛します)で来阪できなくなり、西部日本の小池さんに急遽お願いして来てもらっていたのです。本来は本部席にセコンドが抗議に来たら、スーパーバイザーが『ジャッジに確認するからコーナーに帰りなさい』と言わなきゃいけないのですが、連携が悪くてうまく対応出来なかったのでしょう」

スーパーバイザーが九州から前日に急遽呼ばれて来た人なので、ぶっつけ本番で馴染みのないセコンドや試合役員との意思疎通が円滑にいかなかったのではないか?というのです。

さらに本部席のJBCの陣容に根本的な問題がありました。

「この日のタイムキーパーが新人だった上に補佐役がいなかったのです」(試合役員A氏)

経験の少ない新人タイムキーパーがなぜかタイトルマッチに登用されていた上に一人で時間管理をしていたというのです。なぜこんな杜撰なことが起きたのでしょうか?

「岡根英信氏が(関西事務局長を)解任された後、実質的に現場を統括している関西事務局のJBC職員S氏が、経費削減というという名目でタイムキーパーを二人から一人にしてしまったのです」(試合役員A氏)

いうまでもなく1ラウンド三分問というのは小学生でも知ってるボクシングの基本中の基本ルール。そこがゆるがせになっては競技の根幹が揺らいでしまいます。新人タイムキーパーが登用されたのは、あの日たまたま興業が重複していたから仕方がないという意見もあるかも知れませんが、西日本であれば同日に3つの興行が重複することもままあります。もしそれで試合管理が手薄になりミスが起きるならJBCの組織に根本的な問題があるということです。

「本来はタイトルマッチのほうに経験のあるタイムキーパーを持ってくるべきなのに、新人をタイトルマッチにつけた結果今回のトラブルが起こっている。ミスした本人を処分して済ますつもりなのかも知れませんが、責任があるのは新人を登用した側です。試合役員の構成はJBC本部の承認を得ているわけですから関西事務局だけの問題でもないんです。S氏は『タイムキーパーが足りないなら手の空いてるレフェリーやジャッジがやったらいい』と言うんですが、適正なレフェリングや採点をするには集中力がいります。休みなく仕事に追われていたら集中力が持ちません。タイムキーパーだって漫然とやれる仕事じゃない。経験がいるんですよ」(試合役員A氏)

亀田ジムとの泥沼裁判の判決を控えてますます財政がひっ迫しているとも言われるJBCですが、貧すれば鈍すで現場軽視に陥ってるとすれば命がかかっている選手は安心してリングに上がれません。

どうか専門誌やスポーツ記者の皆さんで今回の事件の経緯をより詳細に取材し、原因を明らかにして頂きたいと思います。

新ペンネームを考案中の(旧徳山と長谷川が好きです)

全ては山口賢一から始まった 映画「破天荒ボクサー」初日レポート

久々の更新であります。コメントの反映も遅くなり申し訳ありません。

破天荒 1_R
破天荒2_R


本日は当ブログでもすっかりお馴染み、日本ボクシング界の革命児にして改革者である山口賢一氏(以下ヤマケンさん)のドキュメンタリー映画「破天荒ボクサー」の公開初日でありました。

ヤマケンさんと当ブログのお付き合いもなんだかんだで4年弱。バイタリティに溢れいつでも新しいことにチャレンジをしている彼は、常に話題を提供してくれます。

山口賢一についての過去記事はこちらから
          ↓
インタビューでは独特の感性でボクシング界を渡ってきた波乱のキャリアと様々な爆笑のエピソードを伺い
イズム全開 山口賢一インタビュー&スパーリングレポートPart1                         
イズム全開 山口賢一インタビュー&スパーリングレポートPart2 
イズム全開 山口賢一インタビュー&スパーリングレポートpart3
イズム全開 山口賢一インタビュー&スパーリングレポートpart4
イズム全開 山口賢一インタビュー&スパーリングレポートpart5 完結編

レジェンドボクサー、ギジェルモ・リゴンドーともまさかの邂逅
レジェンドが来た!ギレルモ・リゴンドー接近遭遇レポートin大阪天神ジム

日本未公認のWBFタイトルマッチの波乱に満ちた顛末
日本ボクシング界の風雲児 山口賢一選手が来週大阪でWBFタイトルマッチ!
『先駆者 山口賢一』 WBFタイトルマッチの意義
本邦初!WBFタイトルマッチリポート 山口賢一VS小林健太郎
WBFタイトルマッチの余波色々 西日本協会は緊急理事会を召集し引き締め&組織防衛!

そして日本ではタブーとされていたプロボクシング自主興行
JBCだけがプロボクシングにあらず 5.3観戦記
JBCだけがボクシングにあらず 11/5 WBFアジアタイトルマッチ

まさに『ヤマケンの動くところ事件あり』であります。

現在はジムオーナー兼マネージャーとして多くの日本人ボクサーを育成しアジアに送り出しながら、プロモーターとして自前の興行もこなし、愛知県の高校でボクシング部のコーチもしつつ映画まで作ってしまったヤマケンさん。

本日公開された武田倫和監督「破天荒ボクサー」( →公式サイト)はそんなヤマケンさんの目まぐるしい日常に密着したドキュメンタリー作品であり、クライマックスは2016年のWBFタイトルマッチになっています。そこにたどり着くまでの紆余曲折や、日本のプロボクシングが抱える問題点、ファンにはなかなか窺い知れないプロボクサーの行動原理などが良く分かる作品となっています。

映画『破天荒ボクサー』予告編動画
       ↓


公開初日の劇場は補助イスと立ち見も出る盛況で、入場できなかった人も出たそうです。

破天荒3_R

上映後は舞台挨拶とトークもあり、東京五輪を目指す高山勝成選手も登場。客席から中出博啓トレーナーもマイクを握ってコメントしました。

破天荒 4_R


映画タイトルには「破天荒」とありますが、自分にとってヤマケンさんは海外に飛び出してメジャー4団体加盟を促進し、閉鎖的なクラブ制度の非合理性を行動で指摘し、プロ選手の五輪参加への道筋をつけた理論と行動のバランスのとれた実践家でもあります。そして義理堅く、細やかで人間味がある人でもあります。山口賢一の魅力が映画を通して伝わることを祈っております。

来週末は岡山に遠征する(旧徳山と長谷川が好きです)

読者投稿  『試合に負けて、勝負に勝つ。 斉藤司選手裁判、千葉地裁判決の真相』

はじめに

 今回は読者からの投稿記事を掲載します。

 本ブログとも関係の深い斉藤司選手。2008年度全日本フェザー級新人王にしてMVPとなり華々しいスタートを切った斉藤選手ですが、2015年末以来二年半以上試合から遠ざかっています。彼が試合が出来なかったのは、所属していた三谷大和ジムとのトラブルが原因でした。斉藤選手は他ジムへの移籍を容認することや、自身があると主張する未払いのファイトマネーを求めて三谷大和ジムを提訴し民事裁判を闘って来ました。

 その裁判の判決が、先週千葉地方裁判所で下され、判決で斉藤選手の請求は全て棄却され敗訴となりました。多大な労力と長い時間をかけた裁判闘争は一見すると苦い結末を迎えたように見えます。ですが『原告の請求を全面棄却する』という主文から続く判決文の本文には、日本のボクシング界の商習慣の根幹を揺るがすような重大な法解釈が記されていました。

 今回の読者投稿は、斉藤司選手の裁判によって露になったボクシング選手の契約に対する重大な問題提起を含んでいます。難解な法律用語が多いですがどうか最後まで読んでみて下さい。


試合に負けて、勝負に勝つ。 斉藤司選手裁判、千葉地裁判決の真相
 Ⅰ.訴訟概要
 主文、原告の請求を全面棄却する。その言葉を法廷で聞けば、誰もが負けを確信するであろう。
 原告、プロボクサー斉藤司選手が前所属ジムである三谷大和氏を訴えた訴訟の地裁判決が7月11日千葉地裁でおこなわれました。
 原告斉藤司氏の請求は 3 点、でした。
 1.ファイトマネーを未払い賃金として278万500円の請求
 2.優越的地位を濫用して、チケットを売りつけ売れ残りの赤字を請求した事に関する精神的苦痛として、100万円の請求
 3.被告は原告に対し、一般財団法人日本ボクシングコミッションが指定する移籍届に署名捺印せよ

 これに対し千葉地裁、小濱浩庸裁判長は判決主文で原告斉藤司選手側の請求を全面棄却しまし
た。しかし判決文の内容を紐解けば、敗訴とはとうてい言えないくらい被告側に、そして業界に厳し
い内容であることが浮かび上がります。その中でも今回は特に、3の移籍に関する判決文を中心に
判決内容を解析してみます。
 Ⅱ.プロボクサーとマネージャ―の契約の法的性質
 原告斉藤司選手側(寺島英輔弁護士)は、ファイトマネーの未払いを、プロボクサーは労働基準法上の労働者と規定し、本件契約は労働契約に当たると主張します。そして仮にこれに当たらない場合は、本件契約は有償準委任契約であると主張します。一方被告三谷大和氏側(石田拡時弁護士)は、プロボクサーは試合に出場する対価としてプロモーターからファイトマネーを得るので
あって、労働基本法上の労働者にはあたらないし、賃金請求権を有していないと主張します。また有償準委任契約にも当たらず、無名契約であると主張します。その理由として「他のプロスポーツに比べて移籍する例が少ないこと、本件契約では期間の定めがあり、契約期間中の解除が予定されていない」ので「無理由解除を認める有償準委任契約とは性格が異なる」と主張します。石田拡時弁護士は早稲田大学出身の元プロボクサーであり、業界の事情は熟知しています。
 
 これに対し判決文ではまず斉藤選手が1年のブランクを空けた等の事実を指摘し、「原告は試合に出ることやトレーニングを
おこなうことについて諾否の自由を有していたということができる」と認め、「原告が労働法上の労働者に当たるということはできず、本件契約が労働契約であるということはできない」と原告の主張を退けます。
 
 そして判決文では

「被告は JBC ルール 33 条 2 項の義務を負い、同義務の履行は被告との間の信頼関係を基礎とするものであるから、本件契約は有償準委任契約の性質を有するものと評価することができる」

とし、本件契約を有償準委任契約であると定義し、さらに踏み込んで、

 「本件契約が、原告と被告との間の信頼関係を基礎として成立しているとの本件契約の有償準委任契約としての性質を左右するものではないから、被告の主張する非典型契約(被告側は無名契約と記載)を採用することはできない」(P.14)と被告三谷大和氏側の主張も退けています。ここで鍵となるのが、2度文面に掲載されている、「原告と被告との間の信頼関係を基礎として成立しているとの本件契約の有償準委任契約」という文言です。

 つまり、プロボクサーとマネージャ―の契約は信頼関係を基礎としている、というのが千葉地裁の判断です。
 
Ⅲ.被告三谷大和氏の、 JBC 移籍届への署名捺印棄却の真相

 さて肝心の原告斉藤司選手の被告三谷大和氏への JBC 移籍届の署名捺印に対する請求棄却に関してですが、原告斉藤選手側は本訴訟において、

「移籍届を JBC に対して提出しなければ原告が被告以外のマネージャーとマネージメント契約を締結することができないという優越的な地位を濫用して」(P.17)

とジムが選手に対して保持する優越的な地位を濫用することが公序良俗に反していることを盛んに主張します。ジムの権限が選手より圧倒的に強いことは、これまでのボクシング業界では当然のことであるのは読者の皆様も当然の常識としてご存知かと思います。判決文ではこの優越的地位に関して判断を下しています。少し長いですが以下判決文を引用します。

「優越的な地位を有しているかを検討する。確かに、前提事実のとおり、本件契約書には、原告が本件契約満了などを除き、他のマネージャーと第二契約に署名しないことに同意するとの記載があり、JBC ルールは、ボクサーが、契約した 1 人のマネージャー以外の他のマネージャーといかなる契約もしてはならないと規定していることからすると、原告がプロボクサーとして活動を続けるために被告と本件契約を継続する必要性が一定程度認められる。しかし後記 4 説示のとおり、原告は民法 651 条に基づき本件契約を解除することができ、前提事実のとおり、JBC ルールは、ボクサーが契約した 1 人のマネージャー以外の他の
マネージャーといかなる契約をしてもならないと規定しているものの、旧ジムのマネージャーとのマネージメント契約が解消された後にも同規定が適用されるとの規定は存在せず、本件契約書 2 項では、他のマネージャーと契約をしないことの例外として、本件契約満了を挙げており、本件契約書及び JBC ルールには、旧ジムのとの間でマネージメント契約を解除した後に新しいボクシングジムとの間でマネージメント契約の締結をすることを制限する規定があるとは認められない。そうすると、プロボクシング界に、プロボクサーが他のボクシングジムに移籍する際、JBC に対し、旧ジムのマネージャーが新しいボクシングジムへ移籍を承諾するという内容の移籍届を提出し、移籍するプロボクサー又は移籍先のジムが旧マネージャーに対し移籍金を支払うという慣習があったとしても、原告と被告との間において、被告が移籍届に署名捺印し移籍金を受領しない限り原告が他のボクシングジムへ移籍することができないとの合意をしたと認めることができなければ、原告が新しいボクシングジムのマネージャーとマネジメント契約を締結することは可能というべきである。しかるに、原告と被告が、上記合意をしたとの事実を認めるに足りる証拠はない。そうすると、被告が原告に対し被告の署名捺印を得た移籍届を JBC に対し提出しなければ原告が被告以外のマネージャーとマネージャ―とマネジメント契約を締結することができないという優越的地位を有しているとはいえない」(P.17)

ポイントを整理します。

 (1)契約の有効性、契約解除の可否に関して。

  現在のボクシング界では、選手とマネージャ―の契約は3年契約自動更新とされています。移籍には JBC への前所属ジムの署名押印が入った移籍届の提出が必要ですが、 「原告は民法 651 条に基づき本件契約を解除することができ、」 原告斉藤選手は三谷大和氏との契約を解除することができる、と明記しています。また別の部分で、「原告と被告の信頼関係を基礎として成立する有償準委任契約に当たる。民法 651 条は、委任における信頼関係の重要性を基礎として、委任は当事者がいつでもその解除をすることができると定めているから、本件解除は同上に基づく解除として有効というべきである」と記してあります。
 民法第651条には

1.委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2.当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
 
とあります。要するに斉藤選手と三谷大和氏のマネジメント契約は、解除されており現在は存在しない。ということです。

 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。とは双方の合意は必要なく、片側の意思で解除できるのであれば、それが何を意味するのかは明確だと考えられます。もちろん合理的な理由が必要となるでしょうが。

 (2)移籍届署名捺印の請求棄却に関して

 肝心の移籍届署名捺印に関しては、 「そうすると、プロボクシング界に、プロボクサーが他のボクシングジムに移籍する際、JBC に対し、旧ジムのマネージャーが新しいボクシングジムへ移籍を承諾するという内容
の移籍届を提出し、移籍するプロボクサー又は移籍先のジムが旧マネージャーに対し移籍金を支払うという慣習があったとしても、原告と被告との間において、被告が移籍届に署名捺印し移籍金を受領しない限り原告が他のボクシングジムへ移籍することができないとの合意をしたと認めることができなければ、原告が新しいボクシングジムのマネージャーとマネジメント契約を締結することは可能というべきである。しかるに、原告と被告が、上記合意をしたとの事実を認めるに足りる証拠はない。」(P,17) 要約すれば、斉藤選手と三谷大和氏の間で、「移籍届に署名捺印し移籍金を払わないと移籍してはならない」という合意がないのだから、斉藤選手は新しいマネージャーと契約できる、ということです。

 ゆえに、「原告が本件解除後に他のボクシングジムのマネージャーとマネージメント契約を締結することは可能である。」
「原告が主張する移籍届に署名捺印する義務を負うものではないというべきである」「したがって、原告の被告に対する移籍届への署名捺印は理由がない」
 と、原告斉藤選手側の請求は棄却されます。要するに、移籍届への署名捺印は必要がない、ということです。

 (3)判決の業界への判断
 ここをもう一歩踏み込んで解釈すると、判決文の業界に対する姿勢が見えます。

 「被告が原告に対し被告の署名捺印を得た移籍届を JBC に対し提出しなければ原告が被告以外のマネージャーとマネージャ―とマネジメント契約を締結することができないという優越的地位を有しているとはいえない」
 JBC への移籍届の提出ですが、マネジメント契約が存在しないのであるから提出の必要がない。ということです。現在 JBC は原則移籍届の提出を移籍の条件にライセンスを発行していますが、この移籍届への署名押印自体がナンセンスだということです。また契約がすでに存在しない選手に関しては、当然移籍金の発生もするはずがありません。JBC が移籍届がないことを理由に移籍を拒否することになれば、今度は JBC が法的責任を問われる可能性があるのではないでしょうか。
 
 また「 移籍するプロボクサー又は移籍先のジムが旧マネージャーに対し移籍金を支払うという慣習があったとしても」と移籍金等の旧来の慣習も否定しています。JBC と協会はこの斉藤選手の地裁判決を受け止め、判決に基づいたシステムの改定を早急に検討すべきだと考えます。

 (4)優越的な地位に関する判断
 原告が主張するジムの選手に対する優越的地位の濫用ですが、引用部分は重なりますが、
 「被告が原告に対し被告の署名捺印を得た移籍届を JBC に対し提出しなければ原告が被告以外のマネージャーとマネジメント契約を締結することができないという優越的地位を有しているとはいえない」とあります。判決文の判断は、 「優越的な地位を有していない」つまり選手とジム、マネージャ―は対等の関係である、ということです。

 判決文では、立場が弱い選手が立場の強いジム、マネージャーに搾取されているとの原告の主張を退けています。ボクサーが弱い立場である、ということも否定されています。業界の常識が司法の場で強く否定されたのではないでしょうか。

Ⅳ.斉藤司選手は、何故敗訴したのか

 斉藤司選手は何故敗訴したのか、に関して検証すべきでしょう。判決文の内容は選手の権利を強く保障しているにもかかわらず、斉藤司選手はなぜ敗訴したのでしょうか。

 そこには訴訟の論理があります。

 原告斉藤司選手の請求内容は、「被告は JBC の移籍届に署名捺印せよ」というものでした。判決は契約の存続を認めない内容でしたから、「原告が主張する移籍届に署名捺印する義務を負うものではないというべきである。」「したがって、原告の被告に対する移籍届への署名捺印は理由がない」と請求が棄却されました。

 仮に、請求内容が[三谷大和ジムとの契約無効を確認する]としていればどのようになっていたでしょうか。判決文を読めばどうなるかは明らかでしょう。斉藤司選手は敗訴したことによって訴訟費用の全額を負担しなければなりません。いくら内容が良いとは言え、訴訟に敗訴したというのは明確な事実です。個人的には原告側の訴訟戦術に疑念を抱かざるをえません。

 Ⅴ.判決の意義

 訴訟の判決は、斉藤司選手の敗訴に終わりましたが、判決内容を精査すると、三谷大和ジムならず、ジム関係者、協会、JBC ら業界にとって非常に厳しい結果だということに気づかされます。ここも裁判の論理なのですが、三谷大和氏全面勝訴ですので、被告三谷大和側は高裁に控訴することができない、と聞いております。つまり斉藤選手側が控訴しない限りは判決が確定します。判決の内容は相当踏み込んで画期的ではないでしょうか。斉藤選手と三谷大和氏のマネージャー契約が JBC フォーマットの契約書を使用していることも興味深いです。本判決の影響が、移籍問題で悩む多くの選手の一助になれば幸いです。

 また日本特有のジム制度の今後にも影響を与える判決であったと理解します。
 
                                                           (文責:U)
 ※読者の皆様へ、本文中の内容、解釈はあくまで個人的見解ですので、これを引用して発生したいかなる事態にも執筆者は責任は負いません。

健保金問題でJBC浦谷事務局長が「ボクサーの権利を守る会」に謝罪文提出

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見出しの通りです。

一昨日6月11日「ボクサーの権利を守る会」会代表の緑ジム松尾敏郎会長と佐藤宣夫氏より、JBCの浦谷事務局長から受け取った謝罪文について情報提供を頂きましたので、ここに転載させていただきます。

この謝罪文は、読んで頂ければ分かるとおり、JBC側が話し合いの席で「健保金をどう使おうとJBCの勝手」と言う趣旨の暴言を行ったことに対して謝罪するもので、健保金の使途や制度の変更について非を認めたというものではありません。

玉虫色の決着ともいえる内容ではあります。

ですが、「どう使っても良い」という発言を撤回しているわけですから、、実質的には徴収した健保金は医療費や傷病対策に使うという方針を遵守する誓約になっている、ともいえると思います。

勿論この書面で、我々の健保金問題の追及が終わるわけでもありません。

亀田プロモーションとの高額の損害賠償訴訟をかかえるJBCにとって、財政はつねに綱渡りであり、敗訴した場合には賠償で、よしんば勝訴出来たとしても訴訟費用で、健保金の残額が問題になること必至だと思われます。

今後とも厳しい監視の目を向ける必要があるかと思います。

松尾会長と関係者の皆様は大変お疲れ様でした。粘り強く戦われたと思います。また真相究明のための署名運動にご協力を頂いた皆様にも感謝いたします。

文責 旧徳山と長谷川が好きです

あいつぐボクシング関係者の重大犯罪 秋山理事長発案の『暴力団等反社会勢力ではないこと等に関する表明・確約書』は効果ゼロ!

いやー貴乃花親方のインタビュー番組凄かったですねえ。視聴率もかなり高かったようで関心の高さが伺えますね。私も帰宅後に録画で鑑賞させて頂きましたが、目が据わった親方の存在感やゆるぎない哲学を語る口調の独特さに時空が歪むのを感じて、思わず意識が持っていかれそうになりました。なかなかドラッギーな話術であります。なぜか聞き手という大役を任されていた山本晋也カントク(←ここはカタカナがマスト)の引き出し術もさすがでありました。この番組を放送したことでテレビ朝日は相撲協会を出禁になったそうですが、そうした措置は相撲協会にとってマイナスだと思います。

今年の年頭から、大相撲のスキャンダル報道は、大砂嵐の無免許運転や女性スキャンダル、春日野部屋の弟子暴行事件、理事選挙における貴乃花親方の落選など次々に新たなテーマが投入されて、一向に沈静化する気配がありません。週刊誌やワイドショーを舞台にしたリーク合戦は対立派閥の代理戦争の様相を呈しています。

そうした騒動を受けて「大相撲は腐敗している!」「相撲協会は何をやっている!」「八角は辞任だ!」と言う声が出る一方で、「貴乃花親方も決して無謬と言うわけではない」「彼も弟子を暴行している疑惑がある」といったバランスをとる意見も出て、まさに百家争鳴。それもこれも相撲に対する国民の関心が高く、メディアの注目が集中していればこそです。相撲記者や外部有識者のトップである池坊保子氏が相撲協会寄りの意見発信をすれば「癒着しているのではないか?」という批判の声もちゃんと上がります。

相撲協会が腐敗しており、相撲業界内ではジャーナリズムが機能していないとはいえ、外部のジャーナリズムやネット論壇では比較的闊達で自由な議論が可能なのです。これは明らかにボクシングよりも開かれていています。

ボクシングは専門誌やスポーツ紙は大手プロモーターや協会ベッタリの広報体制でヨイショ記事と話題宣伝ばかり。そもそもボクシングモバイルが協会の広報で人民日報やプラウダみたいなもんです。その結果ファンの間にも「試合が見れたら別に、業界のあり方や将来なんかどうでもええわ」と言う思考停止が蔓延しています。

まがりなりにも「相撲とは何か?」「相撲協会はどうあるべきか?」と言う議論が成立して、ゴールデンタイムで、一親方が話してるだけというハードコアな構成の番組が、比嘉大吾の素晴らしい世界戦の三倍近い高視聴率を得てしまう相撲にはまだそれだけ大衆の期待と関心があるのです。

業界内が問題だらけなのは別に相撲に限った話ではございません。ボクシング界も実態は似たり寄ったり。ただ事件報道に対する、ボクシング業界の対応が余りに酷く無反省なのです。今年に入ってボクシング関係者による二件の重大犯罪が発生しましたが、JBCに代表されるボクシング業界の事後の対応が余りに酷いのであります。

まずは1月25日、元世界ランカーの健文トーレス氏が大阪の十三付近でひったくり事件の警戒中だったパトカーの停止の呼びかけを無視して乗っていたワゴン車で逃亡し、カーチェイスを繰り広げた末に、JR大阪駅付近でパトカーとクラッシュして逮捕されるという事件を巻き起こしました。まるでアクション映画のような大捕り物に、周囲は一時騒然となったのだとか。トーレス氏が乗っていた車は盗難車だったそうで、引ったくり事件の被疑車両として捜査対象になっていたそうです。

時事通信の記事  
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パトカー振り切り暴走=元ボクサー逮捕、窃盗関与か-大阪府警

事件があったのは金曜の夜で、十三もJR大阪駅付近もどちらも繁華街なので人で溢れていました。一歩間違えば大惨事であります。かく言う私も、その日もう少し早い時間に十三の街を歩いておりまして、まっこと他人事ではございませんでした。

彼にはタクシー強盗の前科があり、2015年末に刑務所から出所したばかり。報道が事実なら、今回は自動車盗にひったくり、道交法違反と公務執行妨害となって、かなり厳しい罰をうけることになりそうです。

健文トーレス氏については過去記事で一度言及したことがございます。
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なんじゃこれと感じたこと二題

以下に当時の記事内容を引用いたします

もうひとつの話題は健文トーレス選手の復帰についてであります。タクシー強盗などで服役し、出所後プロとしてリングに戻ってきた健文選手。服役によって法的な責任は果たしたことになり、被害者の方への被害回復といった民事上の責任は当方の関知するところではございません。

ただ復帰・ライセンス再交付に当たって、余罪も含めて懲役6年半と言う犯情をどのように評価したのか?というのが、はっきり言って大いに疑問なのであります。まあ普通の会社なら当然クビです。他のプロスポーツでも何らかのアナウンスメントが、統括団体から必ずあるはずです。脱税や性犯罪ではなく、「ボクサーが強盗」と言う要素も鑑みる必要があると思います。

亀田ジムや大沢宏晋選手は言いがかりに近い形でライセンスが停止されたのに、刑務所に6年半入るような事件を起こした選手のライセンスは、すぐに発給されると言うのはいったいどのような価値基準でありましょうか?
(引用以上)

当時のJBCのトップである浦谷氏や秋山氏が、職員や選手の地位確認裁判(全てJBCが実質敗訴)に絡んで、職員の解雇を正当化したり試合管理のミスをごまかすためにライセンスの停止を乱発したことに絡めて、刑務所から出所して間もない健文トーレス氏のライセンス復帰に疑問を呈しております。結果から言うと私の懸念は事実になったということであります。

今回の事件当時はライセンスは返上済みだったそうですが、安易にライセンスを与えたり取り上げたり、何の定見も見られません。競技復帰当時は関西のスポーツ紙は美談仕立てで報じていましたが、その後の顛末を後追い取材して記事にはしないのでしょうか?
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強盗で服役の健文トーレスが復帰戦勝利

はっきり言いますが、ボクシング興行やボクシング記事には『元不良』といった話題性に安易に依拠するようなカルチャーがありゃせんですかね?記事中「いばらの道」とありますが、刑務所から出てすぐにライセンスが降りて試合すればスポーツ新聞にデカデカと載って、一体どのへんが『いばらの道』なのでしょうか?このような特別待遇が更正を妨げたのではないでしょうか?本来は練習態度や生活態度を見て、ボクシングだけで食べていけるわけもないので就業させて、再犯防止策として管理・監督のシステムを作ったうえでライセンスが交付されるべきです。所属ジムやJBCが話題性やトーレス氏のボクシングの強さに安易に飛びついて前のめりにライセンスを交付したことは余りに拙速であったと思います。

個人的には『更正』とまで言っておいて、トーレス氏の処遇にも余りに覚悟がないと感じます。悪いことがおきれば全て選手のせいにされてしまいますが、事件を起こす少し前までは、間違いなく彼はライセンスのあるプロボクサーだったのです。それが「事件起こした時はもうライセンスもないし関係ありませんから」で社会的に通るのでしょうかね?もし歩行者が巻き込まれてたらとんでもないことですよ。こういう事件が世間に与えるイメージは「ボクシング界は喧嘩自慢の悪い奴や刑務所帰りの奴をリングに上げて、スポーツ新聞記事にして話題宣伝して試合させて、なんか事件を起こせば『今は関係ありません』とほりだす世界だ」ちゅうもんになるんじゃないでしょうかね?

もう一つの事件は粗暴犯でなく知能犯。ボクシングジムのマネージャーが振り込め詐欺グループのトップだったという、信じられない話であります。
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詐欺グループリーダー逮捕=被害8000万円超か-警視庁

逮捕されたのはユネイテッドジムのマネージャーとして業界ではお馴染みだった加藤竜太氏。ユナイテッドジムといえば、亀田兄弟の新ジムのプロ加盟が協会側の拒否で頓挫した際に、角海老ジムなどと並んで移籍先として名前が上がったことでお馴染み。最近では国内の人気シリーズ興行DANGANや日本人選手の海外遠征なども積極的に関与しており、業界ではお馴染みの存在でした。そんな人物にこんな裏の顔があったとはということで、協会内でも大きな話題になっているそうです。

報道が事実であれば、金額の大きさ(半年で8000万)や振り込め詐欺という卑劣な犯罪の首謀者だったという悪質さなどを勘案して、こちらも重い罰が下されそうです。

加藤氏の表の顔は不動産業や自動車関連の会社経営者で、ボクシング界からすれば「景気のいい人が入ってきてくれたな」という感じだったのかも知れませんが、もしも加藤氏が詐欺で稼いだ金がボクシングジムやボクシング興行に流入していたとすれば、詐欺の被害者からすりゃ「ふざけんな」と言う話でありましょう。

自分が敗訴して賠償を命じられた名誉毀損事件については訴訟費用の募金までしておいてまともに総括すらしていないくせに、ボクサーやボクシング関係者が犯罪事件を起こすとすぐブログに取り上げる捏造ライター片岡亮氏もこの事件を記事にしておりますが
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亀田の移籍先だったUNITEDジム・加藤竜太マネが逮捕!犯罪組織のリーダーだった

見出しから殊更に亀田兄弟と結びつけるような『作文』で相変わらず。加藤氏がDANGANと関係が深いことは業界の人は誰でも知ってますが、そのことには言及ナシ。ボクシング業界の現状は何もご存じないのでしょうかね?あと記事本文中「容疑が事実であれば、世間を騒がせている大相撲の力士による仲間内の暴行や無免許運転をも超えそうなボクシング関係者による凶悪事件」とありますが、詐欺事件のような知能犯はふつう『凶悪事件』とは言わないような...(警視庁の定義では殺人、強盗、放火、強姦)。北村晴男弁護士が法廷で片岡氏に言った「あなたは物書きなんだから言葉は大切にしてくださいよ」と言う言葉を、氏には今一度送りたいと思います。

これらの事件から分かることは、JBCが2014年度からライセンス保持者に義務付けている「暴力団等反社会勢力ではないこと等に関する表明・確約書」と言う紙ペラには

全く意味がないということです。むしろ「JBCは一筆取ってるから責任ないもんね」という言い訳の材料でしかないのです。

そもそも反社の人が「私は反社でございます」と書くわきゃないわけで、自己申告など屁のツッパリにもなりません。ライセンス取得時の厳重な身体検査やライセンス保持者向けの啓発活動など地道にやるしかないのです。安易に自己都合でライセンスを出したり引っ込めたり、組織に盾ついた人間のライセンスはすぐに止める割に刑事事件を起こした人間にやけに甘かったり、基準のない適当な運用をしている限り問題のタネがつきることはないでしょう。

しかしあの相撲協会ですら問題になることが、全く問題にならないボクシング界。来るとこまで来てるなと感じます。

オリンピックが始まったらなんやかんや言うて見てしまう(旧徳山と長谷川が好きです)