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HARD BLOW !

金銭問題に喝! 石井一太郎会長に聞いた「マッチマイカー処分」

 今月は書くべきネタが結構あるので頑張って記事更新していこうと思います。

 前回記事ではカマセボクサーとの対戦とのために海外遠征をしている選手が増えている、ということについて問題提起させて頂きました。(当該記事へのリンク→カマセもとめて三千里!奇妙な海外遠征は国内ボクシング市場縮小の産物?!

 こんな問題が発生するのは「金がない」「客が入らない」という日本のボクシング業界事情ゆえですが、一方でこうした需要に応えることで金儲けしてるブローカー的な業界人・マッチメイカーが存在します。彼らに言わせれば「需要があるからビジネスとしてやっているだけ」ということなのでしょうが、タコが自分の足を食うてるようなもんで長い目で見れば衰退への道でしかありません。他の観戦スポーツがファン人口の拡充や観戦体験の充実化、新規スポンサーの獲得に躍起になっている一方で、ボクシング界は何万、何十万レベルの出費をケチって業界をどんどん縮小させてるわけです。

 そんな縮小するボクシング業界の現状を象徴していたのが、先ごろ新聞・テレビで大きく報じられた「コンプライアンス問題で青木ジムが休会」という事件でありました。

 元WBOフライ級チャンピオン、木村翔選手が所属する青木ジムが、「コンプライアンス問題」という曖昧な理由で年内で休会(実質的には廃業)になるというのです。一体何が問題視されたのか?と調べてみると、特定の練習生を標的にして「プロテスト受験のため、という名目で月謝の何倍もの指導料をとっていた」とか「観戦に行けない興行のチケットを売りつけて代金を徴収していた」とか「プロテスト合格の謝礼を要求した」なんていうなんとも安っぽいタカリまがいのやり口で、名門と言われてきたジムがこんなセコイことしてるんかと開いた口が塞がりませんでした。ただでさえ練習生希望者が減っているご時世で、プロ希望者がトレーナーに足下見られて金を巻き上げられたとあっては業界全体の信用問題であり、JBCや協会からもう少し詳細な情報公開があってしかるべきだと思います。

 そもそも中国では何億人もが認知しているという大スター木村翔をマネジメントするジムが、なんで練習生相手にセコいタカリまがいの行為をする必要があるのでしょうか?ボクシング界の構造不況をご存じない一般の方から見れば理解できない事件だと思います。

 この青木ジム問題の他にもう一つ、余り報道されていないボクシング界の金銭トラブルがあったのを読者の皆様はご存知でしょうか?JBCのHPの左肩部分にある『JBCからのお知らせ』の欄に2019年9月.2日付けの『マッチメーカー清水博氏に対する処分』(←クリックすると文書に飛びます)という告示が掲載されています。以下に告示に書かれている処分理由を引用いたします。(引用部分は赤文字

理由: 清水博マッチメーカーは、平成 31 年 1 月 18 日、ニューヨークで行われたIBF世界スーパー・バンタム級タイトルマッチに出場した高橋竜平(横浜光)選手のマッチメークを手掛けた際、ファイトマネーや航空券などにおいて横浜光ジムに対し虚偽の報告をし、また国外関係者との交渉を担当するマッチメーカーとの間でも仲介手数料の不払いなどでトラブルを起こした。にもかかわらず事態の収拾に尽力することなくマッチメーカーとして各関係者に対し誠意ある対応をとらなかった。 (引用以上)

 これだけ読んでも何が何やら分かりませんが、実は私はこの問題について発覚直後から某関係者を通じて聞き及んでおりました。今回JBCから当該人物が処分されたことを踏まえて、当ブログは一方当事者となった横浜光ジムの石井一太郎会長に文書を通じで取材し、氏の体験談や見解を元に、ことの経緯を記述しておこうと思います。世界戦はボクサーやジムにとって究極の目標であり、それ故に様々な思惑を持った人物が跳梁・暗躍しています。ファンの皆様にも世界戦交渉の実態を知っていたただく上で、参考になるかと思います。

 (以下の文章で青文字の部分は石井会長から頂いた回答書からの引用です)

 清水博マッチメイカーから、横浜光ジム(以下光ジム)所属の高橋竜平選手に当時IBFスーパーバンタム級チャンピオンだったT・J・ドヘニーに挑戦しないかというオファーがもたらされたのは、昨年末12月上旬のことでした。清水氏はもともと光ジムでマネージャーライセンスを所持しており国内試合でのマッチメイクも担当していた光ジムのスタッフでした。試合日まで期間も短く、ビザが下りるか?というくらい急迫したオファーでしたが、もともと対戦を目指していた相手だったこともあり高橋選手はオファーを受諾し、陣営は翌年1月18日の試合に向けて動き出します。

 マッチ・ルームスポーツからの対戦オファーを持ってきた際、清水氏はメールで

「光ジムにはもともとお世話になっているので損得抜きでやります」

という旨を伝えていたそうですが

石井氏は恩着せがましい発言だと感じて清水氏に不信感を持ったそうです。

 その後契約の段になると、清水氏は

「時間がないので契約書には私がサインしておきます」

と言い出し、石井氏の不信感は決定的となります。選手本人に金額も見せずにサインを代筆するなどというのは、確かに完全におかしな話です。

さらに清水氏は

「ファイトマネーは二万ドルでエアチケットは二名分しか出ない」

という対戦条件を伝えてきますが、ファイトマネーの金額の妥当性はともかく、世界戦で陣営のエアチケットが二枚というのは通常あり得ない条件です。清水氏の「サインを代筆する」という発言を聞いて「契約書を見られたくないんだな」と直感していた石井氏は、契約書を見せるように要求し、記載内容を確かめると、そこにはファイトマネーは3万5千ドルで渡航費とホテル代は三人分と書かれていました。清水氏が陣営に伝えていたのは実際の6割程度の金額で、渡航費についての説明も虚偽でした。世間一般のビジネスであれば考えられない話です。

「3万5千ドルって書いてあるけどって電話したら、清水はしどろもどろでした。『この契約書にサインするならうちは3万5千もらう。最初の約束通り2万ドルで試合しろ、というならこの契約書にはサインしない』と言いました」

 アメリカは州によって課税制度が異なり、額面通りのファイトマネーが必ず手取りで貰えるか分からないという事情はあったようですが、それが額面を告知しなくてよいという理由にはなりません。石井氏の要求は至極当然のことです。

 清水氏の不審な行動はこれだけにとどまりませんでした。一行が渡米するとファイトマネーの振込先が清水氏の個人口座になっていることが分かったのです。石井氏は現地で清水氏に振込先を変更するように要求しましたが、清水氏は対応を拒みます。「選手の前でやり取りするわけではないので」試合への影響は特に無かったということですが、世界戦の直前に味方陣営の人間が金銭絡みで集中を乱すような要因を作るというのは部外者から見ても呆れるような話です。
 
 試合後帰国した石井氏はファイトマネーの確定金額や振込先について確認しようとしますが、清水氏は今度は電話にも出なくなり音信不通状態となります。石井氏はJBCに清水氏の行状を報告し、結果的に

「コミッションから清水に連絡が入り、直後清水から僕に連絡が入りました。うちの事務所に来てもらい話をしました。彼は全額振り込むことに同意しました」

という顛末になります。ファイトマネーは額面通り3万5千ドル分が入金されました。清水氏はファイトマネーを2万ドルと告知した理由について

「当初ファイトマネーは3万ドルで、税金がいくらかかるかわからないから横浜光に2万ドルは保証してあげなきゃ」


という自分の『善意』から来たものだと主張したそうです。この一連の清水氏の問題行動に対して、問題発覚から半年以上経ってやっとJBCから清水氏に処分が下されました。金銭的な実害がなかったとはいえ、石井氏は「遅すぎる」と感じています。

今回の経験を踏まえて石井氏は

「(小さなジムが世界戦に挑む際に被害に遭わないためには)契約書を読むことと、相場を知ることが大事だと思います。清水も、僕ではなく海外経験のないジムでしたら今回の搾取はうまくいってたかもしれません。僕はたまたま各国に知り合いがいて、常にいろいろと相談してますから」

と注意喚起しています。最後に石井氏に金銭問題が頻発するボクシング業界の問題点について見解を聞いてみました

「そもそもジム経営(小規模のボクシングジム)の傍ら、長期的に健全に選手を育成し続けるシステムがほぼ無理です。そういった意味でもジム制度は疲弊していると思います」

やはり現場でもクラブ制度の疲弊は実感としてあるようです。昨年には、特殊詐欺グループの首謀者として逮捕された人物がジムのマネージャーになっていた事件もありました。目先の金銭に拘って大きな絵が描けなくなっているという業界の現実を見せつけられるような事件が多いですが、若い選手が夢を持って入ってこれるような世界にするためには新しい制度設計が必要な時期に来ていると感じます。

 最後に取材にご協力頂いた石井会長に深謝いたします。大変ありがとうございました。

 新人王に行けなかった(旧徳山と長谷川が好きです)

カマセもとめて三千里!奇妙な海外遠征は国内ボクシング市場縮小の産物?!

 ご無沙汰しております。久々の更新です。

 昨年書いたとおり、試合の感想やボクシングについての日々の雑感はツイッターでやっております。あっちのほうが格段に議論しやすくアクセスも多いのでそちらをご覧下さい。HARD BLOW!のツイッター→https://twitter.com/hardblowblog

 さて、本題です。当ブログは今年の五月にアップした記事で、強豪日本人選手がわざわざタイに遠征して負け越しボクサーと試合をするという変な興行が行われていることについて問題提起させていただきました→(当該記事『こんなところに日本人?!』)。

 昨年来、負け越しタイ人やインドネシア人の招請基準が厳格化したことで(JBCによる当該通達→『告示 外国人ボクサーの招聘の規制について』『告示 タイ国所属ボクサーの招聘について』)国内での無気力試合は目に見えて減りましたが、クラブオーナーやマネージャーにすれば所属選手が再起戦や調整試合で負けるリスクがアップし頭の痛い問題となっていたであろうことは想像に難くありません。その結果「カマセが呼べないならいるところに行けばいいじゃん!」という逆転の発想が生まれ、わざわざ弱い選手と対戦するために手間隙をかけて海外遠征するボクサーが急増しています。五月に記事化した試合以降も、A級ボクサーやアマ実績のあるB級デビューの選手が、実績のない負け越し選手との試合のために次々と海を渡っています。

 去る10月3日には六島ジムの峯佑輔選手と西田凌佑選手がタイで試合をしましたが、どちらの対戦相手も未勝利の選手。特に峯選手の対戦相手は0勝28敗。過去記事で言及した4月の興行では吉野ムサシ選手に勝ち星を供給していた選手で、2017年には千葉開選手や木村翔選手にも勝ち星を献上している日本人ボクサー御用達の選手であります。

戦績3_R

BOXRECに記載されたタイでの試合結果
        ↓
https://boxrec.com/en/event/796001

 峯選手も西田選手もアマ時代に国体優勝経験があるエリートと言ってよい選手です。なぜにデビュー直後にこんな試合をする必要があるのか理解に苦しみます。

 そして肝心のボクシングメディアも招請禁止間違いなしレベルのボクサーとの試合を取り上げて「会長に感謝しています」なんてコメントつきの提灯記事にして賛美してしまう(BOXING NEWS掲載記事→六島ジムの近大出身コンビ タイでTKO勝ち)。誌面でカマセボクサーとの試合を批判してたくせに海外でやったらOKなんかい?というこの虚脱感ときたら…。


 さらに今月19日には、日本から三選手が遠征して負け越し選手と対戦する謎イベントが開催(→https://boxrec.com/en/event/796466)。松浦大地選手が戦った選手は『実力不足』を理由に招請禁止リストに掲載されている選手です。
戦績2_R

招請禁止_R
↑ゴンピチット・トーサンデット選手の招請禁止理由は『実力不足(日本での6戦全てKO負け)』…

招請禁止リストへのリンク→https://www.jbc.or.jp/web/invitation/invitation.pdf

 一月にアメリカでハイメ・ムンギア選手と世界戦を戦って好試合を演じた井上岳志選手も登場していますが、世界戦までやった選手がこういう試合をやって何らかの意義があるのでありましょうか?

 何も当方は、「毎試合毎試合ハイリスクの試合をしろ!」と言ってるわけではございません。ただこんな試合をしても、マネージャーやブローカー的業界人の方の利益になるだけで「カネと手間を使って勝ち星を買ってるようにしか見えまへんで」ということを言っているのです。

 レコードや報道で表に出てるのは選手の名前であり、マネージャーの指示で海外行ってるだけなのに「こいつは勝ち星カネで買ってる奴やな」と選手が誤解されるだけです。

 そして何よりも言いたいことは「プロボクシングは観戦スポーツなんじゃないの?」という根本的な疑問です。こういう遠征が頻発してるということは、現状の日本ボクシング界には「海外のほとんど観客がいない状態で負け越し選手を倒してレコードを作ったほうが、日本国内で会場を押さえてチケット売って興行するより気楽で安上がりだからこっちでいい」と思ってるプロモーターが結構いるということです。


よくファンや関係者が「プロボクシングは一敗が重い」なんていいますが、結局そういう風潮が間違った勝利至上主義に行き着いてこういう奇妙な遠征の温床になっていると感じられてなりません。

書くべきネタがあるので11月はあと何本か記事を上げようかと思っている(旧徳山と長谷川が好きです)





 



 


 

こんなところに日本人?!

 ご無沙汰しております。久々の更新です。

 昨年書いたとおり、試合の感想やボクシングについての日々の雑感はツイッターでやっております。あっちのほうが格段に議論しやすくアクセスも多いのでそちらをご覧下さい。HARD BLOW!のツイッター→https://twitter.com/hardblowblog

 ブログの方は長文でないとなかなか伝わらないインタビューや批評などに限定させて頂きます。

 というわけで本題です。まずは以下の画像とリンクをご覧下さい。BOXRECに掲載されている4月21日にタイのバンコクで行われた日本人選手が出場した試合の情報です。BOXRECへのリンク→ Sunday 21, April 2019

 タイ2_R

 プロモーターの欄にはTaishi Aoshimaとあります。日本人が関与しているようです。

タイ1_R

 もう一つは4月28日に行われた折尾ジム所属の栄拓海選手が出場した試合。BOXRECへのリンク→ Sunday 28, April 2019

タイ3_R

試合会場はラジャダムナンスタジアムになっていますが、当地ではムエタイの試合の合間に国際式の試合が挟まれることがあり、そういう形での試合出場でしょうか?

 先月行われたという上記二つの興行で4人の日本人選手は全勝となっています。「敵地で全勝とは逞しいじゃないか」となりそうな話ですが、対戦相手のレコードを見てみると日本人と戦った4選手はなんと全員未勝利!特に吉野ムサシ選手と戦ったKamon Singram選手は0勝27敗という凄い戦績です。日本ランカーの栄選手の相手は一敗一引き分けという戦績で、日本ランカーの対戦相手としては全く相応しくない選手です。 弱い選手を選んで戦うための遠征など、当の選手にしたところで気勢も上がらない『お仕事』で意欲を持って望めるとは思えません。


 なんでわざわざ海外まで言って弱い選手を選んで試合しているのか理解に苦しみますが、どうもJBCによるルール変更に理由があるようなのです。

 JBCのWEBに掲示されている以下の文書をお読みください。
                       ↓
 告示 タイ国所属ボクサーの招聘について

JBC告示_R


 これはJBCが2018年4月から、タイ人ボクサー招請時の戦績証明について制度変更をした旨の告示であります。内容を要約すると「来日タイ人選手の戦績は、従来のタイ国コミッションが発行した戦績証明でなく、世界中のボクサーのレコードを記載する国際WEBサイトBOXREC(http://boxrec.com/)のレコードを根拠とする」ということです。BOXRECはファンにとっても、選手の戦績を調べるには欠かせない便利なサイトですが、コミッション公式の戦績証明を超える信用度を獲得したことになります。

 この告示に先んじて2017年にJBCからはすでに外国人ボクサーの招聘の規制についてという来日ボクサー招請に対する守るべき規制基準が告示されていました。

 JBC2_R.jpg

 これらの規制は言うまでも無く、いわゆる『かませボクサー』相手の無気力試合をなくすことを目的にしています。前掲のタイ人選手に関する規制は、この戦績基準の設定を更に厳格に管理するための追加措置ということでしょう。逆に言うと、こういう規制が必要になる背景には『タイコミッションと組んで本来来日できないレベルの選手の戦績を粉飾して来日させているブローカー的な存在がいた』ということでしょう。

 実際この一連の規制以後、今までのように対戦表を見ただけで結果が分かってしまうような試合や、素人同然の無気力選手の来日は目に見えて減少し、アンダーカードでも意欲のある選手による内容の良い試合や日本人選手が倒される番狂わせがかなり増えました。再起戦や調整試合で力が下の選手と戦いたいと言う需要は確かに存在しますし、毎試合潰し合いの試合をする必要はありませんが、モノには限度ちゅうもんがあります。観光気分でやってくる半分素人のような選手の試合は無くなるに超したことはありません。

 こうした流れはファンサイド、競技面から見れば歓迎するべきことでも、逆にプロモーターや個々の選手の後援者からすれば困ったことでもあるようです。「こんな規制したら安価で弱い選手が呼べなくなる」という旨の『本音』をブログにアップした大手ジムの会長もいらっしゃいました(現在は削除済み)。勿論興行は綺麗ごとだけでは出来ません。少子化の影響でますます志望者が減るなか、好適な対戦相手を探すのも簡単ではないでしょう。タイから都合の良い選手が来てくれるのは結構な話なのでしょう。

 ですが、こうした自分が契約・後援している選手を弱い選手に当てたいという願望が、時として恐ろしい結果を生むことがあります。

 以下の記事をご覧下さい。

  渡部あきのりOPBF戦延期 横浜の興行でリング事故

 去る3月31日に横浜で行われた溜田剛×レネリオ・アリザラの6回戦で、KO負けしたアリザラ選手が右急性硬膜下血種で開頭手術となったのです。アリザラ選手はなんとか一命をとりとめたものの、大変深刻な事故であることに変わりはありません。この試合は溜田選手がA級ボクサーであるにも関わらず6回戦で挙行されました。アリザラ選手の戦績が前掲の来日選手の基準に抵触しA級の試合と認められなかったためです。プロモーターも選手の所属ジムも有名な大手の興行でもこのような危険なマッチメイクがまかり通っているのが現実です。

 そもそも競技人口の減少という根本的問題を解決しない限り、その場しのぎで外国籍選手に頼っても付け焼刃に過ぎません。新人王のトーナメント表はスカスカ、興行のラウンド数は減る一方という現状を見るに、いかにボクシング界の魅力をアピールして若い選手を呼び込んでいくか?という対策が急務だと思います。

 今年もこういう地味な記事を上げていこうと思っている(旧徳山と長谷川が好きです)
 

ネリ×山中再戦決定?!も議論なきボクシング界にゲンナリ


 分かっちゃいたけど決まってしまったドーピング野郎ルイス・ネリと山中慎介選手の再戦。

 山中選手のマネージャーにしてプロモーターの帝拳ジム本田明彦会長は、TKO負けの直後はタオルを投入したセコンドを罵倒し、試合後はなぜか「ネリとの再戦でなければ引退させる」というトンチンカンな方針を表明し、ドーピングが発覚したあとは「負けは負けだから、タイトルが剥奪になっても返還は拒否する」と、あらゆる局面でビタ一文理解できない主張を展開してファンを唖然とさせてきました。

 で結局、長年の癒着信頼関係の賜物か、この度めでたくWBCから本田会長の希望通りの再戦命令が下り、山中選手はまたしてもドーピング野郎とリングで対峙することとなりました。

 マッチメイカーとジャーナリストと言う二つの顔を自己都合で使い分ける、コウモリ人間ジョー小泉さんもボクシングビート誌に連載中のコラムで、フニャフニャの対応してるスライマンjrの『大岡裁き』を「スライマン・ジュニアは統率力があり、なおかつ柔軟性があるリーダーに育っている。それは世界一の大所帯であるWBCにとり好ましいことだ。」絶賛!なんと分かりやすい茶番でありましょう。

 ジョーさんの言う「統率力があり、なおかつ柔軟性がある」というのは、要は「長い付き合いのあるプロモーターの意向を尊重して、適当にルール運用してくれるから、おれたち儲かるよね」と言ってるのと同じであります。ジョーさんももう70歳を超えるご高齢であり、お金も残されたでしょうから、あまりビジネスの匂いが漂う生臭い発言ばかりせず、たまには業界の未来につながるような見識を見せていただけないでしょうかね?薬物で汚染されたボクサーに日本ボクシング界の宝を潰されたらあなたの責任ですよ!

 ジョーさんだけでなくスポーツ紙や専門誌もことごとく問題意識ゼロ。帝拳大本営発表の情報を垂れ流すとともに、ネリのインタビューで言いたい放題言わせてファンのヒートを煽ると言う稚拙な戦略。

 こうすればファンは熱くなって「ネリをぶっとばせ!」とばかり山中を応援するだろうとでも思っているんでしょうなあ。 

 再起に際して山中選手がネリとの再戦を希望している旨のコメントが出ましたが、そもそもそれは敗戦直後から本田会長が広言していた既定路線であり、山中選手の自由意志が反映されているとは、私には微塵も思えません。

 さらに、ネリ陣営にすれば、ジルパテロール服用が不問になったことで、薬物の使用を止める動機付けもなくなります。

 帝拳の言うまま再戦を煽ってるジョーさん!スポーツ紙!専門誌!あんたらもうかりゃいいのか?面白けりゃいいのか?事故があったら責任取れるのか?

 タオル投入批判→再戦という流れ見れば、本田会長の人権感覚やボクシングマスコミの問題意識の無さは明らか。ボクシングにおけるドーピング行為の危険性は一切理解せぬまま、昭和のままの根性論と精神主義で再戦に突き進めば、命の危険を冒すのはリングに上がる山中選手だけです。ファンはこれを許容するのでしょうか?

 ドーピングと言うゲームの根幹をゆるがす不正の問題が、いとも間単に再戦ビジネスに転換し、内部からの憂慮の声は村田諒太選手のFACEBOOK投稿のみ。「こういうの、なんか一回あったな」と思ったら、亀田大毅×リボリオ・ソリス戦の体重超過問題の時でした。

 ルールに拘らないならスポーツなんか見てもしゃあないでしょうに。

 議論の無さに呆れる(旧徳山と長谷川が好きです)

 




高山勝成選手のアマ資格登録を求める署名活動が開始 山根明氏を告発する『文春砲』で日本ボクシング連盟が激震!

先日発足した『高山勝成選手のアマチュア登録を支える会』ですが、早速FACEBOOKページが立ち上がるとともに、請願の署名活動が始まっています。署名用紙をダウンロードして署名を集める方法と、電子署名の二つの方法が可能です。皆様のご協力をお願いいたします。

詳しくはこちらをごらんください
    ↓
高山勝成選手のアマチュア登録を支える会のFACEBOOKページ

署名希望の方は以下のリンクからどうぞ
          ↓
署名用紙のダウンロードはこちらから

電子署名はこちらから

繰り返しに成りますが、IOCのルール上はプロ選手の参加を妨害することは出来ません。一刻も早くアマ選手登録が出来ることを望みます。

IOCとAIBAの方針に逆らって、プロ経験者のアマ登録を妨害している、そんな日本ボクシング連盟(以下日連)が、思わぬトラブルで激震しております。なんとびっくり、週刊文春というドメジャーな媒体が山根明会長の告発記事を掲載したことで、記事の一部内容がYAHOOのトップにも掲載され、一連の問題は広く周知されました。これは、プロボクシングを統括するJBCの一連のスキャンダルと同様の病理といいますか、要はプロアマ問わずボクシング業界自体が極端な村社会であり、チェック機能を持たないことからくる構造的問題であります。

週刊文春記事のダイジェストはこちらから
       ↓
村田諒太も犠牲者「日本ボクシング連盟」のドンを告発

 山根氏への告発の端緒となったのは近畿大学ボクシング部を舞台にした、鈴木康弘元監督によるセクハラ・パワハラ問題であります。鈴木氏は女子部員へのセクハラや男子部員へのパワハラなど数々の問題行動で、すでに諭旨解雇されており、監督就任期間はわずか一年強でありました。スパーリングで学生選手を『制裁』するというような陰湿なこともやっていたようで、なんとも人格を疑うような話であります。

NHKが詳しく報じております
   ↓
近大ボクシング部監督 諭旨解雇

 週刊文春によると、ロンドン五輪代表で自衛隊出身の鈴木氏は、山根明氏の孫娘と結婚しており、近畿大学監督就任も山根氏の政治力によるものだということ。報道が事実であれば、近畿大学ボクシング部にとっても、大学当局にとっても、まさに迷惑千万であります。そもそも鈴木氏は北海道出身で拓殖大学から自衛隊という経歴で、関西にも近畿大学にもなんのゆかりもなく、山根氏との縁戚関係をみれば政治的な登用であったことは問題発覚前から明らかでありました。彼のやりたい放題の問題行動も、日連の絶対権力者である山根氏の威光を借りたものであってこそ、だと私には思われます。したがって山根氏にとっても決して他人事ではないのです。


 山根氏の個人支配の問題性は、アマチュアボクシング界では公然の事実であり、アマ選手のプロ転向を妨害する『村田ルール』から始まって、清水選手のAPB参加を巡るトラブルや、IOCの方針を無視したプロ選手の排除宣言など、属人的で非民主的な組織統治は従来から明らかでありました。あの独特のファッションも含めて「オリンピック競技を統括する団体の長である」ということを客観視する素養がないことは明白であると思います。

 近大のスキャンダルに置いても、山根氏は自分の責任は棚に上げて鈴木氏を批判していますが、今回文春の記事で実名の告発者となったのは、元近畿大学ボクシング部のコーチと総監督を歴任し、日連では理事も務め山根会長の側近と言われた澤谷廣典氏。近畿大学や日連の内実についてもっとも詳しいと言ってよい人物です。私が高山選手のスパーリングの見学に行った際も、澤谷氏に現場で取材対応をしていただいたことがございます。当時は現役選手でもあった青年監督の浅井大貴さんと元世界チャンピオンの名城信男ヘッドコーチが選手を指導し、澤谷氏は部全体を統括するというような役割分担に見受けられました。

近畿大学ボクシング部に訪問した際の過去記事二本を以下に再掲しておきます。
                ↓
高山勝成公開スパーリングin 近畿大学ボクシング部レポート
異例の二団体同時決定戦へ!高山勝成インサイドレポート&スパーリングレポートin近畿大学

 その澤谷氏がコーチに対する暴力事件で辞任したことが、6月にまずボクシングビートで報じられ、7月に入って鈴木氏のセクハラ・パワハラが一般紙にも載るようなニュースになり解雇され、その後今度は名城信男ヘッドコーチのアマ会場への立ち入り禁止がアナウンスされると言う奇妙な事態が起こります。

名城コーチへの出入り禁止処分を伝える記事
       ↓
名城・近大ヘッドコーチ、アマ試合出入り禁止

 この名城コーチに対する処分は、全く不可解で不当なものであると思います。ぶっちゃけ鈴木監督の問題行動を告発した近大ボクシング部に対する、山根氏サイドからの意趣返しだと見えるのですが穿ちすぎでしょうかね?そうでないとタイミングが余りに不自然です。近大のボクシングに近親者を送り込んだものの、問題行動で排除されたことを逆恨みして、試合時にコーチが選手の指導をすることを妨害しているとしたら、これは競技そのものへの冒涜です。

 日連は学校の部活動も統括管理する立場であり、教育現場に顔向けできないような行為をしている人物がトップにいることは大変な問題だと思います。現場で選手を指導するアマチュアボクシング関係者は、選手と業界の未来の為にも自浄作用を発揮して組織の刷新を果たして欲しいと思います。

 そしてこれはプロにとっても決して他人事ではなく、JBCの秋山氏も山根会長と同様の、個人支配による様々な弊害を生んでいることを自覚してほしいと思います。極端な個人支配が生まれる背景には、周囲の人間にも少なからず責任があるのです。

 しかしライセンスの発給をちらつかせて他人を支配するってプロもアマもやってること一緒やん。ボクシング界ってこんなゲスしかトップにおらんの?

日連がどうなるか着目している(旧徳山と長谷川が好きです)