HARD BLOW !

日本タイトルの権威を貶めているのは誰なのか?

 いやーロマゴン負けましたね。いかなロマゴンとはいえ、昇級即チャンピオン級と連戦というのはちょっと無理があったようです。でロマゴンが負けた後、一斉に「井上との対戦が消滅」みたいな報道が出たのですが、あれなんででしょうね?

 ロマゴンが負けたことでファイトマネーは下がるし、WBCから統一戦の承認を得る交渉も必要なくなります。今回ロマゴンのファイトマネーが6000万ということから推測すると、統一戦となれば井上選手のファイトマネーと合わせれば二団体に支払う承認料だけでウン千万?となりそうですが、それがWBOだけで済むならむしろ実現はしやすくなったと思うんですけどね。山中×モレノだって、モレノがWBAのチャンピオンじゃなくなったから実現したわけで、要はやる気次第。何のことは無い

「ロマゴンのファイトマネーが下がる」+「WBCを噛ませられない」+「井上に負けそう」=「帝拳に旨みが無いから消滅」

ということならファンをバカにした話だと思いますが。まあ別にビジネスだからより多く儲けたいというのは当然のことですが、じゃ「帝拳にとって利益に対してリスクが大きすぎるから中止になりそう」って書けばいいのにね。

 そういえば、村田諒太選手の世界戦も海外の報道が出た後に、帝拳の本田会長自らがコメントを出して打ち消すという珍事がありましたね。どうも契約前に情報が出たことで、相手陣営がファイトマネーの吊り上げに出たということのようです。やれセニョールだ天皇だと言って見た所で、世界に出てみりゃWBCの軽量級以外では大した影響力の無いローカルプレイヤーに過ぎません。粟生選手のベルトラン戦も、体重超過した相手にボコボコにされるという理不尽な目にあいましたが、海外で中量級以上となると、とんと『神通力』が薄れるようでございます。国内で普段自分がやってる政治力の行使を、海外でやられて困ってるという構造ですね。ついでですが、報道されたのは亀田や井岡がやったときは人非人のごとく叩かれたWBAの複数王者がいる階級の、しかも発表当時第三王座という試合(結局第二王座に昇格)でしたが、亀田と井岡の悪口が何よりのご馳走という低脳マニア連中は見事にスルーという対応。権威に弱く思考力も無いという彼らの本質が見事に露呈されました。

 でようやく本題です。

 WBOのアジアパシフィックタイトル(以下WBOAP)の認可以降、アナクロで思考停止の一部マニアが「WBOAPの認可は日本タイトルやOPBFタイトルの権威が低下するからやることはまかりならねえ!」「そうじゃ!まったくじゃ!」とばかり、世界のボクシング界の辺境在住者に相応しい田舎もんマインド全開で吹き上がっておりますが、日本タイトルやOPBFの権威の低下など別に今に始まったこっちゃありません。

 元々OPBFはWBAとWBCの分裂時に、WBC側についたプロモーターが創設したタイトルですが、今やWBCとの関係も形骸化しており獲得して防衛を重ねたところでWBCの世界ランキングに大きく反映されることもありません。結果、世界挑戦に結びつかないという現状では、タイやフィリピンのプロモーターが力を入れている選手を出してくることも無くなったマイナータイトルになっています。日本のファンや業界関係者に思い入れがあることは分かりますが、現実的には他の地域タイトルより別段グレードが高いというもんでもないのです。そもそも地域タイトルが増えていることは時代の趨勢であり、ゴネたところで昔には戻れません。

 本格的な4団体時代を迎え、ますます変化する業界環境の中で、日本タイトルの権威低下を象徴するような酷い事件が先日起こりました。なんと日本タイトルマッチが試合二週間前に、選手の自己都合で一方的にキャンセルされたのです。

 その試合は4月2日に大阪のエディオンアリーナで開催予定だった、日本ライトフライ級タイトルマッチ拳四朗×久田哲也戦。チャンピオンの拳四郎選手が日本タイトルを返上するということで興行のメインだった試合は中止になりました。天災や傷病でなく一方的な返上で、直前に試合中止になるというのは恐らく前代未聞でありましょう。

 この発表と前後して、拳四朗選手が世界戦に出場するのではないかという情報が業界を駆け巡りました。まあ、世界戦が決まったので日本タイトルマッチをする必要がなくなったちゅうことなんでしょうね。

 3月21日に情報を知った久田選手はツイッターで怒りを表明しましたが、それは極めて正当な感情でありましょう。やっと日本タイトルマッチに辿り着き、追い込んだ練習をしながらチケットを売っていたであろう彼の心境は、少しでもボクサーと交流がある人なら想像することが出来るのではないでしょうか?

久田選手による怒りのツイート
IMG_4640_R.jpg

試合キャンセルが報じられる前夜のツイート。磨き上げられた肉体から試合に向けた思いが伝わって来ます。チケットを買ってくれた旧友への感謝の言葉もグッと来ます
IMG_4641_R.jpg

 ここで様々な疑問が生じます。なぜにここまで発表が遅れたのか?なぜこのような身勝手な返上が認めれらたのか?なぜ久田選手の承諾前に情報が発表されたのか?なぜメインが中止になったにも関わらず、プロモーターであるダンガンからチケットの払い戻しがアナウンスされていないのか?

「今はただ受け入れるしかない」という言葉は重く苦いですね
IMG_4642_R.jpg

 拳四朗選手が出場すると言われているのは、5月20日21日二日連続で行われフジテレビが中継するというイベント。井上尚哉選手、村田選手の試合を含む5試合の世界戦が組まれると言われています。此度の理不尽なキャンセルは、まあ言うたらプロモーターの帝拳と大橋ジム、中継するフジテレビの都合に合わせた結果であります。彼らにしてみりゃ日本タイトルマッチの対戦相手の事情や心情なんかどうでもいいのでありましょう。

 本来ならこの試合のプロモーターであるダンガンが試合の実現に向けて尽力しなきゃいけない立場だと思うのですが、実はダンガンは2014年に似たような問題でトラブルになったことがあります。
 騒動を報じる当時の記事
       ↓
<ボクシング>異色のリーゼント王者が事実上の引退危機

 ダンガン興行に出場していた和気真吾選手がTBSが中継する大晦日の興行でのリゴンドー戦をオファーされ、所属ジムサイドは一旦承諾したものの実質的なマネジメントをしていたダンガンはフジテレビとの関係が強く路線対立が発生。和気選手はダンガンと所属ジムの板ばさみとなり結局試合は流れてしまいました。この騒動当時、和気選手には先約でOPBFタイトルマッチの試合契約があり(試合直前ではない)ダンガンサイドは「すでに認定した試合契約を破棄したらとんでもないことになる」と主張したと報じられています。にもかかわらず、今回は試合契約どころか試合直前なのに日本タイトルマッチをキャンセルしており対応が一貫していません。まあはっきり言うてご都合主義です。

 結局今回のトラブルは、ボクシングをコンテンツの一つとしか認識せず念願のタイトルマッチに向けて練習してきた選手の心情など省みない傲慢なフジテレビと、国内ボクシングの事情をよく知っていながら金と自己都合だけでフジテレビに迎合する帝拳と大橋ジム、そういったテレビ局や認定団体とパイプがあるプロモーターに追従するダンガンという三者の合作であります。当事者である拳四朗選手だけを責めて済む問題ではありません。

IMG_4643_R.jpg

 なんと久田選手はチケットの回収・返金とお詫び行脚をしているということですが、なんで一方的に理不尽な目にあった久田選手が『お詫び』をする必要があるのでしょうか?一般社会なら中止の責任がある当事者であるプロモーターが払いもどしに応じることを即発表し、実質的な業務もするのが当然です。

 お詫びするべきはスケジュールを無視して横槍を入れたフジテレビと帝拳・大橋ジムとそれを許容したダンガンではないでしょうか?

 今年は他にも辰吉寿以輝選手が怪我をして試合が中止になったら興行自体が中止になるというひでー事件もありました。これも辰吉選手が出ないならテレビ中継がなくなるから「じゃあ中止にするか」という判断でありましょう。試合に向けて練習してチケットを売っていた選手の心情は置き去りの、プロモータ-のゼニ勘定だけの判断であります。

 TBSが中継する大晦日のイベントは、ここ何年も中継スケジュールに合わせる為に、チケットを買って入場した観客は監禁状態で何時間も会場に閉じ込められるのが恒例になっていますが、興行側はなんら対策をせず放置状態です。

 こうしたテレビ局に迎合した、世界戦スケジュールの極端な偏重と興行サイドの精神的な荒廃が現場にもたらすであろうものを想像する必要があると思います。

 まあやってくる試合をブロイラーのように消費している皆様には所詮大きなお世話なのでしょうかね?

 ファンから怒りの声が出なくて驚いている(旧徳山と長谷川が好きです)
 
  

 

地上波TV局に迎合した、年末の興行集中はいいかげんやめるべき

皆様あけましておめでとうございます。

というわけでいきなり本題、タイトルの通りであります。

昨年の大晦日、私は夕方ザッピングしながらストリーミングでUFCと田中恒成の世界戦を見て、夜は京都と東京の世界戦中継をこれも録画しつつザッピングで鑑賞。その前日は井上×河野と八重樫×サマートレック戦がございました。4団体加入で劇的に増えたとはいえ、ボクシングにとっては一番のビッグイベントである世界戦をなんでまた同じ国内でここまで密集して行う必要があるのでありましょうや?大森将兵選手と井上拓真選手がWBOのタパレス選手を取り合って、結局両方試合ができないなどの興行集中による弊害も出ております。ギャラがつりあがって外国人選手は喜んでるかも知れませんが不健全ですよね。

一試合あたり報道の量は減るし、注目度はそがれるし、生観戦派は重複する試合が見れないしファンにとってはあんまりメリットが無いように思います。

それとTBSの中継は、人気選手がオフシーズンの小遣い稼ぎでやってるバラエティ企画とボクシングの試合をシームレスに中継するという構成が最悪の一語でありました。殊勲の戴冠となった小國選手の試合は、中継時間の告知すらなく、放送が始まったのは日付が変わろうかという真夜中。しかも内山選手の試合と放送時間がドン被りという最悪ぶり。数少ないボクシングファンを奪い合ってなんか意味があるんでしょうか?現場目線で言えば、年末のTBSが中継する興行はテレビ中継のスケジュールに合わせる為に、毎年毎年現場は阿鼻叫喚の休憩地獄。チケット買って観戦してる客を舐めております。

しかも、そこまでやってるのに、TBSは視聴率的にも惨敗(同時間帯全国ネットキー局最低)だったそうで、一体あんな中継スタイルにしたことに何か意味があったんでしょうかね?普通に『何時から何時はボクシング』で中継しろよ...。かつて日本の陸連が、TBSが世界陸上の中継で選手を珍奇なニックネームで呼ぶことに抗議したことがございましたが、JBCもちょっとああいう中継スタイルには一言あってもいいんじゃないでしょうかね?

テレビ中継があるならなんでもいいという節操の無い態度ではろくなことにならんと思うのですが...。

というわけで今年も陰気な記事から始まりましたが、この感じでボチボチやります。よろしくお願いします。

年末は田中恒成の試合が一番良かったと感じる(旧徳山と長谷川が好きです)

WBFタイトルマッチの余波色々 西日本協会は緊急理事会を召集し引き締め&組織防衛!

さてさて試合後一ヶ月が経過しましたが、採点を巡るゴタゴタも含めて紛糾が止まない、山口賢一VS小林健太郎のWBFスーパーバンタム級タイトルマッチ。

当方も記事でお伝えしたとおり、一旦は小林選手の負傷判定勝ちが宣されたものの、本来採点に含まれるはずのストップされた9ラウンドの採点が含まれていないことが発覚し、結果はドローであるという訂正がWBFより出されました。

このことは試合レポートの記事で触れましたが(記事へのリンク→本邦初!WBFタイトルマッチリポート 山口賢一VS小林健太郎)、会場でも試合直後から「9Rでストップなのになぜに80点満点なの?」と言う疑問は出ており、私を含めてリングサイドの役員席でジャッジペーパーを見ながらそのことを質問している方が何人かいました。

IMG_7049_R.jpg


ですがその場でWBFの立会人ゴールドバーグ会長が「WBFルールではストップのラウンドは含めない」と明言したため、それが正しいかと思っていたのですが、なんとその後山口選手陣営がWBFルールを参照すると「ストップのラウンドを含める」と銘記してあることが発覚。

当ブログでも、WBFのHPに掲載されているルールブックを調べた読者の方から、「ルールと裁定に齟齬がある旨」ご指摘を頂いておりました。

問題の9Rはそこまで一点差だった川端ジャッジが山口選手優勢につけていたため、同点となり結果三者三様のドローとなるのがルール上正しいわけですが、この試合は実質的には山口選手サイドが仕切っている興行ではあるわけで、裁定がくつがえった経緯について小林選手サイドが不信感をもつのも、まあ止む無いところかな?とは感じます。とはいえルールブックどおりではあるわけで、一番の責任があるのはルールを把握していなかった立会人であろうと思います。

このことを受けて感じたのは「やはり競技を統括・運営するプロフェッショナルなコミッションが必要だな」ということでした。トラブルの原因自体は亀田大毅×リボリオ・ソリス戦後のゴタゴタと同じ、立会人がルールを把握せず間違った発表をしたことです。ルールブックをしっかり読み込んで、理解している人間がその場で訂正できていれば起こり得ないトラブルであり、JBCが関与してる興行でも同趣旨のトラブルが発生してることを見れば、JBCの関与自体の有無は本質でないと思います。

はたして再戦は組まれるのか?ですが、個人的には試合はアクションに満ち、噛み合った好試合でしたし、内容自体も拮抗していたのでもう一回見てみたいなと思っています。小林選手陣営からすれば裁定が覆ったことに不信感はあるかと思いますが、山口選手にしたところで引退をかけた試合でこのようなトラブルが起きたことは意図せざるものであり、彼自身もまた被害者です。双方のファンにとっても再戦は望むところだと思うのですが…。なりゆきを見守りたいと思います。

試合後の反響のほうでありますが、専門誌は黙殺かと思いきや、ボクシングビート誌が短信欄とコラム(執筆は編集者か?)で試合に触れており大変驚きました。文中では日本IBFにも触れられており、「JBCが統括していようがいまいがボクシングはボクシングである」というビート誌の専門誌としての矜持は感じられるものでした。ただ試合内容について論評していないのは「逃げているな」とも感じました。ビート誌は果たしてあの試合のクオリティや会場の盛り上がりをいかに評価されたのでありましょうか?日々の興行を「勝った負けた」と報じてるだけでは広報誌となんら変わりません。試合に関する批評があってこその専門誌ではないでしょうか?

ついでにジャッジ・レフェリーは元JBC所属のランカーやチャンピオンであるのに「経歴不肖な人」みたいな感じで書いてるのもミスリードなんじゃないの?と感じました。ジャッジやレフェリーについて疑問に感じたことがあれば、それぞれのジムや個人の携帯に電話すれば済む話で、専門誌のコネクションや実績があれば簡単なはずです。

立会人の誤発表によるトラブルも、先述のとおり亀田大毅VSリボリオ・ソリスで発生しており、JBCの不在やマイナー団体であるが故の問題点でもありません。

せっかく取り上げているのに残念だなと感じました。

もうひとつ、意外なところでは人気バラエティ番組でこの興行の様子が伝えられました。

関西発の人気番組として有名な「探偵ナイトスクープ」の撮影チームがアンダーカードに出場した磯道鉄平選手に密着しており(『磯道選手の8歳のご子息が試合でセコンドに付く』という内容)、興行の様子がかなり時間を割いて伝えられました。タイトルマッチすら深夜にローカルでと言うご時勢ですから、全国放送の高視聴率番組で取り上げられることは、大きな波及効果があるかと思います。番組の作り自体も、バラエティ特有の演出はあるものの、JBC非公認の興行であるがプロボクシングであるということをきちんと伝えており、シリアスなボクシングとしての迫力は充分伝わるものでした。対戦相手の小沢大将選手やクレイジーキム会長、山口選手も登場するのでボクシングファンの皆様は是非ごらんになって頂きたいと思います。ネット局では、これから放送と言うところもあるようです。(各局放送時間へのリンク

大きな声じゃ言えないですが、あの有名動画サイトで見れるような話もチラホラと…。私も久々にあの番組見てみたら新鮮でした。越前屋俵太はもう出てないの?北野誠は?

IMG_7255_R.jpg
IMG_7263_R.jpg


磯道選手が普段練習してるジムが、メチャクチャ広くてきれいで設備も立派で印象的でした。JPBA加盟か非加盟かなんてことは練習環境には何の関係もないんですよね~。実際普段はJPBA非加盟ジムで練習してるプロ選手は沢山います。

試合前には全国紙の朝日新聞や大阪の地方紙大阪日日新聞が、写真入りで大きな記事も掲載しており、関西の標準的な興行やタイトルマッチよりよっぽど注目度やメデイアの露出も多かったと思います。ただ試合結果だけがスポーツ面で報じられない。BOXRECにレコードも反映されない。ここが問題になっていると思います。

この他、試合後の余波としては、何をおいても一番大きなリアクションがあったのは、JPBAの西日本協会からのものでした。試合後になんと臨時理事会を召集し「今後非加盟ジムによる興行に参加したものは厳しく処分する」「引退選手であれば復帰は認めない」という議決をし、併せてこの日の興行に観客として来ていた選手やトレーナーと言ったライセンス保持者の極く一部を槍玉に上げてジムの会長を通じて「厳重な注意」をしたと言うことをわざわざ議事録に記載したというじゃありませんか。

さらに、この興行に選手を出場させたり、オフィシャルを派遣したりといった協力をした元プロ・OBの皆さんに対しても「今後は協力するな」という抗議があったのだとか。

この話を聞いたときに私には意味が良く分かりませんでした。というのは試合会場には多くのライセンス保持者が観戦に来ていましたし、試合前に同じリングで行われていたスパーリング大会には山口選手の古巣の大阪帝拳をはじめ多くのJPBA加盟ジムの練習生が参加していたからです。会場に来ていたライセンス保持者の中から一部の人間だけをクローズアップして、理事会の場で所属先の会長を吊るし上げると言うのも不公平ですし、「あんな興行にかかわるなよ!」と言ってる理事のやってるジムが、同じ会場の同じリングで同じ主催者がやってるスパーリング大会に練習生を参加させているというのは悪い冗談であります。

この試合を巡っては試合前から、JPBA西日本協会が事情聴取を名目に山口選手を呼び出すなど興行への妨害ともとれることが行われました。そもそもJBCやJPBAがボクシング興行を独占する法的な根拠はないですし、個人的な交友の中で観戦に行くことすら制限するというのは個人の日常生活や内心の自由への干渉であり、大きなお世話としか言いようのないものです。むしろJPBAのボクシング興行と競合するものを見ることは勉強や研究として有意義だと思うのですが。

そもそもこのゴタゴタにはもともとの原因があります。

昨年山口選手はフィリピンで試合に勝ってOPBFランキングに復帰した上で、フィリピンの国営コミッションであるGABAのライセンスを取得し、輸入ボクサーと言う形で、日本国内でOPBFタイトルマッチに出場できないか?ということをJBCに打診しています。しかしJBCとしてはそれを認めず、かつての所属先である大阪帝拳ジムに許可を求めた上で移籍して他のジムに所属せよという指示を出しましたが、移籍交渉は決裂し試合自体が幻に終わりました。

その帰結として山口選手が選択したのが今回のWBFタイトルマッチだったということです。

JBC統括下の試合は移籍しないと認めない。でも移籍はさせん。でも未公認タイトルも許さん。でも選手契約が永遠に続くことにも興行の独占にも法的な根拠はないよ。JPBAの制度が嫌で一度足抜けしたら政治力使って孤立させて、プロボクシングと名のつくことはさせへんで。タクシー強盗して6年半刑務所に入っていた選手のライセンスはすぐ出るけれど、JPBA以外でプロ興行やったら永久追放やと。なんですか、これ?どこの未開社会?と言う話であります。


そもそも現在のクラブ制度の下では、選手は会長と対立したりトレーナーと合わなかったりしても移籍すらままならず、飼い殺しになるといのはJPBA側の制度の問題であります。そうした選手に対して「マネージャーも練習環境も自分で選んでプロとして試合が出来るよ」という『道』が提示されれば、JBC・JPBAから抜け出してやろうという選手が出てくるのも当然です。

JBC・JPBAが現行の不合理な制度を改革しない限り、このような動きは決して止まないと思います。JPBAに加盟せねばプロボクシングは出来ぬと言う時代ではもはやないのです。

なにより一部のクラブオーナーの権益だけが過剰に保護された今の制度では、大半の選手もトレーナーも使い捨ててで終わってしまうことになると思います。

そんなプロボクシング界でいいんでしょうかね?

というわけでこの試合ますます余波を生みそうであります。再戦があるのか?も含め今後も動きがあり次第レポートしていきます。

IBF総会に行った人から話を色々聞いて面白かった(旧徳山と長谷川が好きです)

『先駆者 山口賢一』 WBFタイトルマッチの意義

WBFポスター


 先日行われた、水泳の日本選手権は大きな話題となりました。オリンピックの選考会も兼ねるこの大会は、国民的な注目の中で行われ、分けても自らの去就をかけて出場した北島康介選手の動向は、一挙手一投足に至るまでメデイアに取り上げられる事態となりました。

 北島選手は決勝で2位に入賞するも、派遣標準記録は突破出来ずオリンピック選考は落選し、レース後現役引退を表明しました。

 この、「北島をオリンピックに派遣せず」という水泳連盟の裁定に対して、結構な数の抗議電話が来たのだそうであります。水連にしたところで、コカコーラという大スポンサーがついていてメデイアの注目度も高い北島をオリンピックに派遣することは多大なメリットがあったことでありましょう。ですがそれをしなかった。そのことの背景には、実はかつての水泳界のスター、千葉すず選手の影響があるというのであります。

 文芸春秋のスポーツ雑誌ナンバーのWebに掲載された生島淳さんの筆による、以下の記事をご覧ください。
        ↓
 北島康介の落選と、千葉すずの遺産。 基準を明快に運用した水連に拍手を。

 千葉すずのシドニーオリンピック落選に絡むスイスのスポーツ仲裁裁判所を舞台にした法廷闘争の結果、水泳連盟の選考基準は明文化・明確化され、クリアになったというのであります。

 実はCSAの仲裁を受けるには莫大な訴訟費用がかかります。そうした障害を乗り越えてでも白黒をつけた千葉選手の強い意志の力は、その高い競技力の源でもなかったのか?と今となっては思います。

 私も当時の選考を巡る千葉と水連の闘争は覚えております。シドニーの前の、アトランタオリンピックで日本の水泳選手団がメダルを逃した後、謝罪めいたこと言わなかったことで批判が集中し、半ば戦犯扱いされた千葉選手。シドニーでの落選は、その時の水連との確執が背景にあることは明らかでありました。

 当時JOC会長を経て水連のトップだった古橋廣之進は、選考の不公正を指弾する千葉の行動を利己主義だと批判し、「水泳は団体競技だ」と開き直る『老害』ぶりを発揮いたしました。もちろん競泳はリレーやシンクロ以外は個人競技です。

 我侭勝手の秩序破壊者だと言われた千葉選手の行動が、15年経ってみれば実は水泳競技のレベルアップや選考の透明化・平等化という功績となって現れたのであります。

 とかく日本のスポーツ界は村社会であり、既得権者に逆らったり、明らかに不合理なものでも業界慣習を批判したり、前例を踏襲しなかったりする人は『問題児』として指弾されます。

 今じゃ偉人みたいな扱いになってる野茂英雄だって実際にメジャーで活躍するまでは、育ててもらった日本の野球界を裏切った我侭な恩知らずで、フォームも変則だから活躍できるはずはない、等々とムチャクチャに批判されました。ですが、結果的に彼が開けた、アリの一穴が日本の野球界に風穴を開け、業界の構造すら変えてしまうようなダイナミックな変化を引き起こし、競技のレベルアップにもつながりました。

 プロボクシング界は未だ不透明で閉鎖的な商習慣や選手契約が横行し、タイトルへの挑戦もテレビ局と結びついた一部の特権的なプロモーターが独占している状態です。

 そんな閉鎖的な日本のジム制度を飛び出して、オーストラリア、フィリピン、メキシコと道なき道を進んできた世界を舞台に戦って来た山口賢一選手のひとつの到達点が明日のWBFタイトルマッチです。

 「マイナータイトルじゃないか」と冷笑する事は簡単です。ですが一選手が自力でここまで到達したケースすら、日本のボクシング界には未だなかった。山口賢一は自分の意志でJBCとJPBAの外に出て、自分のやり方で自分の力で自分が戦う舞台を作った国内で初めての選手なのです。

 千人規模の会場で行われる小さな興行で、マスメデイアもボクシング雑誌も、評論家も誰も取り上げないかも知れませんが、きっとこの興行は日本プロボクシング界の未来に向かって蒔かれた種になると自分は思っています。

 「プリンス論」読んだ直後にプリンスが亡くなって驚いた(旧徳山と長谷川が好きです)

もう一度世界へ 大沢宏晋フィリピンの戦い

大沢 ポスター

 
 当HARD BLOW!では、JBC裁判に絡んで再三取り上げて参りました大沢宏晋選手。最新の世界ランキングはWBOフェザー級4位まで上昇してきました。その彼がフィリピンのセブ島でWBOの地域タイトルマッチに挑みます。

 一部JBC職員の私利私欲による不毛な人事抗争の影響を受けて、明らかにバランスを欠いたサスペンドを受けて、キャリア絶頂期の一年間を棒に振った彼が、もう一度世界のトップランカーへと帰って来ました。

 彼の受けたサスペンドのおかしさについては、過去記事をご参照ください。

 どう考えてもおかしい大沢宏晋選手のサスペンドについて

 前提が崩れた大沢選手のサスペンド

 繰り返しになるので詳しくは書きませんが、未承認のタイトルマッチを海外で行った選手は沢山いるのに、なぜか異常に厳しい処分を受けた大沢選手。これは単に安河内剛氏と谷川俊規氏をJBCから排除する名目として、一部のJBC職員が彼の試合を利用した事件に過ぎません。

 JBCの職員が私利私欲のためにボクサーのキャリアを台無しにしかねない不当な処分を行ったのです。

 そもそも、JBCはすでに谷川氏と和解しており、懲戒解雇はおろか通常解雇すら取り消しています。 大沢選手のタイトルマッチに絡んで解雇された谷川氏と和解したということは、解雇の理由も無くなったということです。

 にもかかわらずJBCは大沢選手に対して謝罪はおろか、処分の撤回すらしていません。

 亀田選手を虚言で中傷して敗訴が確定した職員も普通に仕事に復帰しているそうですが、まっことJBCの出鱈目さは枚挙に暇がございません。

 さて本題です。

WBO5位の大沢宏晋、フィリピンで地域王座戦

 キャリアハイの状態で不当なサスペンドを受け、ランキングも一から出直しとなった彼は、それでも腐ることなく試合を続け、復帰後は全てKOで6連勝。ひとつの敗戦で輝きを失っていくボクサー、ランキングを上げてもなかなかビッグチャンスが来ずモチベーションを切らせていくボクサーも数多いる中で、もう一度世界のトップ戦線に返り咲いた彼の意志の強さは特筆するべきものがあると思います。

 彼の苦難が報われる日が来て欲しい、来ないとおかしいだろと私は思います。

 海外の試合ではありますが、スッキリと勝って更にランキングを上げ、チャンスをつかんで欲しいと切に願います。

 4月2日朗報を待ちたいと思います。

 4月はもうひとつ気になる試合がある(旧徳山と長谷川が好きです)