HARD BLOW !

格闘技のアマチュア育成と底辺拡大を考える アマチュアキック大会『PETER AERTS SPIRIT』大成敦代表インタビュー

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(記事中の写真は全てPETER AERTS SPIRIT実行委員会より許可を得て掲載しています)


 今回の記事は、当HARD BLOW!としてはちょっと異色の、立ち技格闘技・キックボクシングについての話題です。筆者である私は数年前、ある問題の取材過程で偶々大阪在住のキックボクサー・格闘技トレーナーの樫山賢一氏と知遇を得ることが出来、以来氏と交流しながらキック選手の視点から見たボクシング界や格闘技界についての知見などを伺うことで、記事執筆の際に大いにヒントを頂いて来ました。

 その樫山氏が関わる、キックボクシングのアマチュア選手の為の大会が、現在全国で行われています。そのイベントの名称は『PETER AERTS SPIRIT』。90年代以降の立ち技格闘技のブームを支えてきた、皆様ご存知のレジェンド、ピーター・アーツ氏がエグゼクティブ・プロデューサーを務めるというこの大会は、ジュニア選手の育成を目的としており、現在全国各地で予選の真っ最中。樫山氏はその関西大会の実行委員です。

PETER AERTS SPIRIT』のHPはこちらのリンクから
    ↓
PETER AERTS SPIRITのWEB

 HPで大会のスケージュールを見てみると、全国七地区で予選大会を行い11月に全国大会が行われるという、かなり大規模なイベントであることが分かります。

PETER AERTS SPIRIT 2017」大会スケジュール

【全日本大会予選】

7月16日(日)九州大会 さざんぴあ博多(既に終了)
7月30日(日)中部地区予選大会 春日井市総合体育館(既に終了)
8月6日(日)関西大会 大阪府平野区民ホール(12時開始)
8月11日(金・祝)東北地区予選 夢メッセMIYAGI(12時開始)
8月13日(日)関東地区予選大会 大田区総合体育館(12時開始)
9月3日(日)沖縄地区予選大会 環境の杜ふれあい体育館(12時開始)
9月17日(日)北海道地区予選大会 K&Kボクシングジム(12時開始)

【全日本大会】11月19日(日)2017年全日本大会 夢メッセMIYAGI(12時開始)


 入場無料で観戦できるということなので、関心のある方は是非会場で観戦してみてください。私も関西大会にお邪魔して観戦させて頂きます。

 少子化・人口減少時代の到来が確実となっている昨今、各スポーツ団体はジュニア選手の底辺を拡大することにに躍起になっています。野球やサッカーのような人気競技ですら例外ではありません。格闘技界においては、伝統空手がオリンピックの正式競技となったことで、ジュニア選手が他競技に転向せずに競技を続ける動機付けが強まり、ボクシングやキックにとってはジュニア選手のが確保がさらに困難になることが予想されます。

 キック系のイベントは一時低迷していたK1の人気が復活しつつあり、もう一方で那須川天心選手や梅野源治選手といったスターを擁するKNOCKOUTも、人気が急上昇中。わけても、ヒジありルールのKNOCKOUTは、新日本プロレスを巧みな戦略でV字回復させて日本の格闘技ビジネスに革命を起こした、株式会社ブシロードが運営主体であり、チケットの手売りを否定するスタイルなどから顕著なように、格闘技興行をタニマチ頼みの打ち上げ花火から、収益の上がるビジネスに脱皮させる可能性を秘めています。海外に目を転じれば、中国発のクンルンファイトが大人気で、K1に出ていたブアカーオやキシェンコ、内山高志選手と国際式ボクシングルールで戦ったジョムトーンなどが出場して高額のファイトマネーを得ており、プロボクシングを凌ぐ勢いを見せています。実際、ボクシングもキックも両方見る筆者の知人によれば、興行の華やかさやファンサービスで比較すれば、チケット代に対する満足度はキックやシュートボクシングの方が高いことが多いといいます。会場にいるファンもキックは若い女性や子供が多く、中年男性が多いボクシングの会場とは明らかに好対照になっています。

 自助努力でジリジリと人気を回復させつつあるキック界で、選手育成の一翼を担うことを期待される『PETER AERTS SPIRIT』は果たしてどのような方針をとっているのか?代表である大成敦(おおなりあつし)氏に書面にてインタビューを行い、その目指すところ伺いました。(大成氏の回答は赤文字)

Q 『PETER AERTS SPIRIT』のカテゴリー、参加資格、ルールはどのようなものでしょうか?

「年齢は、アンダー8から、10、12、15、17と、それ以上は一般部とし、国際的に対応出来るようなクラス分けをしています。また層の厚い部分は女性の部もあります。 基本的な参加資格は、国内のキックボクシングジムに所属していること。 ルールは、基本的な技術であるパンチとキックの攻防を重視したものにしています。」
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Q この大会の目的はなんでしょうか?

「目的はキックボクシングを通じて、青少年の健全な育成に寄与し、世界に通じるキックボクサーを輩出することにあります。」

Q 出場選手のバックグラウンドやレベルはどのような感じでしょうか?

「現在はキックボクシングジムの所属選手が殆どですが、例えば空手やボクシングなどの類似格闘技や総合格闘技などの他種競技との入口や接点として、また各大会でジュニアへのセミナーを開催し、正しい技術や新しい層へのキックボクシングの普及に努めています。」
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Q 優勝するとどのような特典がありますか?

「昨年は、最優秀賞を獲得した選手を、オランダにあるピーターアーツのジムへ派遣しました。」

Q 今後海外との連携はありますか?

「来年は他の国とのアマチュア団体と提携し、中東や北米、ヨーロッパなどに、優秀な成績を残した選手を派遣する予定です。」

Q 今キックはK1の人気が復活し、一方でヒジありルールのKNOCKOUTがブレイクしようとしていま す。また中国ではクンルンファイトで100万ドルファイトが実現したり徐々にキックの興行事情は上向いて いると思います。今後日本で立ち技格闘技のビジネスをさらに大きくするにはどのような施策が必要だと思い ますか?

「特にプロフェッショナル団体との提携は考えていません。国籍や所属団体などに偏らず、ルールに則って、誰にでも公平であるべきアマチュア団体であると自負しております。 先ずは底辺の拡大とレベルの向上が、私共の責務であると考えています。」

Q 伝統空手がオリンピック競技になりジュニア選手が空手に定着することで、ボクシングやキックはジュニ ア選手の獲得がさらに難しくなることが予想されます。キックは学校の部活動もなくジュニア選手の獲得は大変だと思います。キック界はジュニア選手にどのような目標や夢を設定出来ると思いますか?

「ボクシングや空手、レスリング、柔道はオリンピック競技のため2020年の東京オリンピックという目標がありますが、 キックボクシングの選手にとって我々のプロジェクト『PETER AERTS SPIRIT』の世界大会が同様の目標になるような大会を作り上げることが私共の責務であると考えています。」

 大成氏の回答を通して、底辺の拡大とアマ選手にとっての目標設定というのが当面の趣旨であることがはっきりと伝わって来ました。立ち技格闘技はプロモーション同士の交流が途絶状態で興行主体が乱立していますが、一方でJBCや日連のような強健的な存在がないゆえに、風通しが良く色々なことが試せる状況でもあると思います。
 ボクシング界の閉鎖性や後進性を見ると、若者が夢を持って飛び込める世界になっていないと感じる一方で、伝統空手の堅実な組織運営や、立ち技・総合格闘技の明るく自由なイメージは魅力的に映ります。
 
 各競技が生き残りをかけてどのような戦略をとっていくのか?を今後も注視していきたいと思います。

 メイウエザー×マクレガーのDAZN中継が決まって嬉しい(旧徳山と長谷川が好きです)