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HARD BLOW !

栗原慶太×ストロング小林祐樹 OPBFバンタム級タイトルマッチにおける計時ミス事件の背景を考える

明けましておめでとうございます。本年もHARD BLOW!をよろしくお願い致します。

というわけで今年も早速本題です。

昨年末12月24日に大阪市の住吉区民センターで行われたOPBFバンタム級王者決定戦、栗原慶太VSストロング小林祐樹戦において、6ラウンドの時間が4分になりその後の6Rと7Rの間のインターバルが2分になるという信じられない計時ミスが起こりました。

試合における時間管理は言うまでもJBCの責務であり、当然ながら検証と当該責任者の処分とその後の対策が必要になります。

今回のケースでは、栗原選手が所属する一力ジムサイドの関係者が試合直後からブログやSNS上でこの問題を告発する異議申し立てを行ったことで、試合映像が見れない状態でファン・関係者にいち早く情報拡散が行われた結果多くの議論を呼んでいます。その一方で、本来ならいち早く当事者から事実関係を取材して記事化するべき専門誌やスポーツ紙と言ったメデイアはほぼ黙殺状態といいますか見事なダンマリぶりであります。

というわけで当HARD BLOW!は試合役員や関係者に取材しました。今回は我々なりの観測を記事にして皆様のご検討を仰ごうかと思います。

そもそも今回のトラブルがファンや関係者の注目を浴びたのは、舞台がタイトルマッチであった上に、六島ジムのストロング小林祐樹選手がすべて異なるラウンドで実に4度もダウンしていながら、採点結果がジャッジ三者とも113-111の僅差であったということが大きな理由になっています。文字情報だけを見ればダウンだけで8点差がつくはずで、スコアが僅差になりようがない試合展開のはずなのに結果は僅か2点差。しかも試合の舞台は勝った栗原選手にとってはアウェイの関西であり、ファンがヒートしやすい東西対決という部分でも憶測や邪推を生みやすい下地がありました。勝った一力ジムサイドが積極的に情報発信しているのも、「アウェイでおかしな試合運営をされた」という不信感が根底にあるのだと思います。

しかし、私は六島ジムサイドがあたかも不正を働いたかのように主張する向きには「ちょっと待って」と言いたいのであります。

ラウンド時間やインターバルが長くなれば当事者は勿論、関係者や観戦していたファンが黙っているはずもなく、そのような不正に有効性があるとは皆目思えません。議論を呼んでいる採点も、関東の福地氏を含むジャッジ三者がすべてのラウンドで全く同じスコアをつけるという珍しい結果で、こちらも「不正ならこんな露骨なことするかな?」と感じます。

s_スコア


(スコア画像はツイッターより拝借致しました→https://twitter.com/5910boxing/status/1077121918879227904)

試合をした当事者である栗原選手も自身のブログで

『動画を見れる方は見て頂けるとわかるはずですが採点は完全に事実です(笑)/ジャッジも東京から来て頂いてる方もいたので完全に公平です。/ダウンをとったラウンド以外は9R以外全て取られました。』

とはっきりと書いています。以下のリンクをご参照ください。
         ↓
栗原慶太のブログ 試合結果ご報告

「ダウンをとったラウンド以外すべてをとられるなんてことあるの?」という疑問を持っておられる方は、現在配信サイトで公開されている試合映像をみて検証されると良いと思います。
    ↓
ボクシングレイズ 栗原慶太VSストロング小林祐樹

この動画で6ラウンドが4分であったことは確認できます。また筆者は6Rと7R間のインターバルが二分であったことも別の動画で確認しています。

また栗原慶太選手のセコンドについていた萩原篤トレーナーはFacebook上で真相究明を求める投稿を行っています。
      ↓
萩原篤トレーナーのFacebook

また萩原氏のブログにも栗原選手コーナーから見た当日の経緯が詳細に書いてあります。
      ↓
ラスト30秒の奇跡! 栗原 東洋太平洋王座獲得‼

萩原氏は「5Rの大詰めに栗原選手が奪ったダウンで試合を止めるべきだったのではないか?」という旨の主張をされていますが、ダウンはラウンドの最終局面であり、カウント中に立ち上がった小林選手がインターバルで回復することは十分予測できる場面でした。むしろあそこで試合をストップしたほうが後々禍根を残していたと思います。

そもそも大前提として、試合の時間管理をするのはJBCの責務であり『アウェイの洗礼』だなんだという前に試合時間がおかしければ第一義的にJBCに責任があります。当事者が疑心暗鬼になるのは分かりますが、試合を見てもいないファンや関係者が原因も定かならないうちから、プロモーターの意向で意図的に時間が延ばされたかのように騒ぎ立てるのは短絡であると思います。


筆者が今回のトラブルの原因と考えているのは、あくまでJBCの内部統制の問題であり、単にJBC組織内部の混乱から現場力が低下した結果、考えられないほど低レベルのトラブルが起きているに過ぎないのではないか?ということです。

計時ミスの経緯を試合映像をもとに振り返ってみます。

5R終了間際に栗原選手が放ったカウンターの右ストレートがヒットし小林選手は崩れ落ちるようにダウン。栗原選手のセコンドについていた前出萩原篤トレーナーのブログ記事より以下引用いたします(引用部分は青文字)。

元記事へのリンク→『ラスト30秒の奇跡! 栗原 東洋太平洋王座獲得‼

5ラウンド その悪い流れを断ち切るように
終了間際 左フックで強烈なダウンを奪う!
もう3分は過ぎている でも相手の足元はグラグラ
しかしレフリーは試合続行を指示

『おい! こんな状態でやらせるのかよ!』
 レフリーに叫ぶもこっちを見ようともしない
やはりここは敵地大阪
(引用以上)

栗原選手サイドにとってはTKOが望ましいわけでストップしてほしいという気持ちは分かりますが、先述したようにこの裁定はさほどおかしいものとは思えません。現に小林選手は最終ラウンドまで戦い抜き、判定が僅差になるまで栗原選手を追い詰めているのです。

問題はこの後です。

映像を元に再現します。まず栗原選手サイドのセコンドがレフェリーに何かアピール。これは萩原氏のブログにもある通り「なぜストップしないのか」ということを伝えたのでしょう。それに対してレフェリーは対応せず黙殺します。すると今度は、小林選手のセコンドについていた六島ジムの枝川孝会長がレフェリーに何事か訴えますが、こちらもレフェリーは無視。すると枝川氏はエプロンづたいに本部席の上まで移動して、本部席の役員やインスペクター(西部日本事務局の小池幸弘氏)に大声で抗議を始めます。一体何が起こったのでしょう?

筆者が話を聞いた試合役員A氏はこう証言します。(発言部分は赤文字

「枝川会長は『さっきのダウンはゴング後の加撃で反則じゃないのか?』とアピールしたのにレフェリーに黙殺されたので、本部席の試合役員やJBC職員に向かって抗議を始めたのです」
 
ラウンド終了直後に枝川氏がレフェリーを手招きして何か伝えようとしている姿は試合映像にも写っています。ただその前に栗原選手のセコンドのアピールも受け流されており、レフェリーにすれば一方のアピールだけに対応するわけにはいかなかったのかも知れません。この辺はあくまで推測です。

プロモーターである枝川氏の抗議を黙殺するわけにもいかず、本部席は対応に追われて混乱。結局インターバルの終盤に、本部席にいたJBC職員からレフェリーに対して『パンチがゴング後かジャッジに確認せよ』という指示が出て、レフェリーが各ジャッジに確認して問題なしという判断が出て、枝川会長も試合が再開するということでコーナーに戻って抗議は一旦収束しました。

栗原選手サイドが試合をストップしないレフェリーの裁定に不満を抱いたように、小林選手サイドのセコンドもレフェリングに疑問を呈していたわけです。こうしたアピールは試合ではよくある事であり、特にタイトルマッチとなれば常にレフェリーやスーパーバイザーは両陣営のアピールに対して身構えて、勝敗に影響が生じないよう鋭敏に対処する必要があります。

先述の試合役員A氏は当時の対応の問題点を以下のように分析しました。
 「レフェリーがアピールに対応しないなら、混乱が大きくなる前に経験のあるジャッジがその場でレフェリーに呼び掛けてゴング後の加撃かどうかジャッジに確認させて、結果を小林側のセコンドに伝えるべきでした。ジャッジもレフェリーへの補佐が出来ていなかった。そもそも5Rの最後小林選手が立ち上がってボックスがかかってからゴングが鳴るのがすでに遅かった。もうあの時点でタイムキーパーはおかしかったんです」

A氏によると、この日現場の歯車がうまく機能しなかったのにはある事情があったのだといいます。

「この日のスーパーバイザーは本当は東京本部の浦谷信彰事務局長でした。ところが前日になって急用(筆者注:その事情も大変問題なのですが現在は詳細が分かっていないので割愛します)で来阪できなくなり、西部日本の小池さんに急遽お願いして来てもらっていたのです。本来は本部席にセコンドが抗議に来たら、スーパーバイザーが『ジャッジに確認するからコーナーに帰りなさい』と言わなきゃいけないのですが、連携が悪くてうまく対応出来なかったのでしょう」

スーパーバイザーが九州から前日に急遽呼ばれて来た人なので、ぶっつけ本番で馴染みのないセコンドや試合役員との意思疎通が円滑にいかなかったのではないか?というのです。

さらに本部席のJBCの陣容に根本的な問題がありました。

「この日のタイムキーパーが新人だった上に補佐役がいなかったのです」(試合役員A氏)

経験の少ない新人タイムキーパーがなぜかタイトルマッチに登用されていた上に一人で時間管理をしていたというのです。なぜこんな杜撰なことが起きたのでしょうか?

「岡根英信氏が(関西事務局長を)解任された後、実質的に現場を統括している関西事務局のJBC職員S氏が、経費削減というという名目でタイムキーパーを二人から一人にしてしまったのです」(試合役員A氏)

いうまでもなく1ラウンド三分問というのは小学生でも知ってるボクシングの基本中の基本ルール。そこがゆるがせになっては競技の根幹が揺らいでしまいます。新人タイムキーパーが登用されたのは、あの日たまたま興業が重複していたから仕方がないという意見もあるかも知れませんが、西日本であれば同日に3つの興行が重複することもままあります。もしそれで試合管理が手薄になりミスが起きるならJBCの組織に根本的な問題があるということです。

「本来はタイトルマッチのほうに経験のあるタイムキーパーを持ってくるべきなのに、新人をタイトルマッチにつけた結果今回のトラブルが起こっている。ミスした本人を処分して済ますつもりなのかも知れませんが、責任があるのは新人を登用した側です。試合役員の構成はJBC本部の承認を得ているわけですから関西事務局だけの問題でもないんです。S氏は『タイムキーパーが足りないなら手の空いてるレフェリーやジャッジがやったらいい』と言うんですが、適正なレフェリングや採点をするには集中力がいります。休みなく仕事に追われていたら集中力が持ちません。タイムキーパーだって漫然とやれる仕事じゃない。経験がいるんですよ」(試合役員A氏)

亀田ジムとの泥沼裁判の判決を控えてますます財政がひっ迫しているとも言われるJBCですが、貧すれば鈍すで現場軽視に陥ってるとすれば命がかかっている選手は安心してリングに上がれません。

どうか専門誌やスポーツ記者の皆さんで今回の事件の経緯をより詳細に取材し、原因を明らかにして頂きたいと思います。

新ペンネームを考案中の(旧徳山と長谷川が好きです)