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HARD BLOW !

一ヶ月で三つの格闘技興行を見て感じたこと

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4月28日の久保隼×大沢宏晋戦より

四月から五月の連休にかけて、三つの格闘技興行を続けて観戦しました。今回は三つの興行を見て感じたことを書いていきたいと思います。

その前にちょっとお断りを。

最近はネット環境も2000年代と大きく変わり、観戦記や試合の感想はツイッターにあげた方が、速報性や議論のしやすさが段違いで、実際ページビューもかなり差があります。ですので、今後ブログは考えをまとめた上での評論や、一部好事家のニッチな需要を満たす(笑)インタビューやレポートなどの長文を載せる場所にしていきたいと思っています。

今後ご意見、ご感想はHARD BLOW!のツイッターまでよろしくどうぞ。直接会って文句を言いたいと言う方も大歓迎ですよ
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@hardblowblog

まずは4月14日の、今年初の生観戦となった久高寛之×翁長吾央と久田哲也×板垣幸司のダブル日本タイトルマッチの感想から。

沖縄にルーツをもつ者同士の決定戦となったスーパーフライ級の久高×翁長は、後がない二人のボクサーの日本タイトルへの執念がにじみ出る、なかなかに味わい深い内容でありました。

沖縄タイムスのWEBに、この試合についての素晴らしいエッセイが掲載されています。
[大弦小弦]プロボクシングの比嘉大吾選手が初めて敗れた日…

挫折を経たベテラン同士の意地のぶつかり合いを的確に描写しつつ、直近の世界戦で体重超過をして挫折を味わった比嘉大吾選手にエールを送るという人間味あふれる内容で、無味乾燥な記事ばかりのスポーツ紙や専門誌のボクシング記者は見習って欲しいと思えるようないい文章でありました。

メインの久田×板垣は、強打を狙いすぎて手数が乏しい久田に対して、板垣が軽快な出入りを生かしたボクシングで巧みにペースを握って先行する展開。終盤ようやく久田が手数をまして挽回したものの、板垣逃げ切りかと思いきや久田の僅差判定勝ち。久田は、板垣の速い出入りと軽快な連打につかまって、ここ数試合のパワーを生かして重い左で削って右の強打に結びつけるという展開を作れず課題の残る内容でありました。

日本タイトルマッチが二試合ということで集客はなかなか良かったのですが、やはりセミが終わったら帰ってしまうお客さんが結構いてメインが少し寂しい雰囲気に...。10回戦が二試合判定決着になったら時間的に居られなくなる人が出るのは分かるのですが、もうちょっとなんとかならんもんでしょうかね?

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続いて4月28日に神戸で行われた久保隼×大沢宏晋戦。

この日は前座で芦屋大学の出身の山内祐季選手と近畿大学出身の佐伯霞選手の公開プロテストが行われたのですが、なぜか「テストですので声援など送らないように」というアナウンスが。じゃ公開でやる意味なくない?と思いました。
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会場で佐伯選手のプロテストの観覧に来ていた澤谷廣典氏にもお会いしたので少し立ち話。当方はずっと追いかけている大沢選手の応援ですが、その場に居たアマ関係者の皆さんは軒並み久保選手サイドの応援でありました。
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久保選手はリングで見ると一際大きく、大沢選手とはかなり体格差があります。リングに上がると山下会長と手を合わせて相撲のような押し合い。これが今考えたらこの後の展開の複線になっていました。

1Rのゴングがなると大沢はボディストレートを伸ばしますが、久保のジャブと左ストレートが当たってヒットを稼ぐ。ラウンド終盤大沢の右もヒットするも手数は明確に久保。

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2Rには久保の左ストレートで大沢が鼻血を出しますが、ラウンド終盤大沢の右が当たって久保の腰が落ちる場面も。やはり大沢はパンチがあります。とはいえポイントは久保か?

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3Rも久保のワンツーにキレがあり、左が良く当たる。大沢は密着から右を当てるもポイントは久保。このあたりから徐々に揉み合い、密着が増えてくる。

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4Rも久保の左が当たるも単発気味。久保の単発の左が当たって密着という展開が増えて、膠着気味になってくる。
5Rに入ると大沢はポイントを意識してか、展開を変えようとプレスを強め、久保はバッテイングで流血。大沢は中間距離でのいきなりの右が有効。ここからポイント挽回できるか?と思いきや、大沢がもみ合いの中でホールディングで減点。クリンチが多いのはお互い様だし、少し唐突な感じがしました。
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6Rも中間距離で大沢の右が有効。久保は打っても打たれても前進&密着が増える。
7Rは大沢の右のビッグパンチで久保の腰が落ちる場面も。さらにホールドで久保が減点。これでポイント差は大分詰まったか?
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終盤も久保のジャブは切れているものの単発&密着が増える。もみ合いの多い展開を受けて大沢応援団からはブーイングが。
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終盤は打っても打たれても前進&密着の久保と、中間距離で右を狙う大沢という展開。見せ場となるような打ち合いがない、噛み合わない終盤を経て試合は終わりました。

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判定は2-1(97-95、96-93、94-95)で久保勝利。確かにヒットは久保が多かったですが、打っても打たれても中間距離を嫌って密着し、フィジカルを生かして押すという戦略一辺倒で、相撲のぶつかり稽古を見せられたような気分になりました。勝ちたいのは分かるのですが、一応安くないお金とって見せてるエンタテイメントとしてこれでいいの?と感じた次第。ボクシングのサバイバルマッチは、得てしてこういう膠着する展開になりがちなところはあるのですが、これは良い試合をすればファンから評価されてキャリアがつながっていくという信頼関係が無いがゆえではないでしょうか?というかお客がボクシングのファンでなく、選手個人を応援してる人ばっかりなので、勝たないと次につながらないんだよなあ。

別に大味な殴り合いが見たいと言ってるわけじゃないのです。例えば「世界ランカー同士の試合があるのか」と思って予備知識無しに見に来た人が「なかなか面白かったな。またボクシングが見たいな」と思わせるようなスポーツになってるか?ということです。

採点やレフェリングについても、北村ジャッジは10-10(減点を含まず)が4Rもあり、半分近く優劣をつけられないというのはジャッジとしてどうなの?と感じたり、川上レフェリーは自分は好きなレフェリーなのですが、最初の減点と帳尻合わせのような久保の減点に、終盤の闇雲な密着に対する注意がなかったことなど、こちらも疑問。

当方は大沢寄りで見ていてバイアスがかかってるとは思いますが、彼が負けたから言ってるわけでなくちょっといろいろモヤモヤする試合でありました。

それと専門誌やスポーツ紙の観戦記が「久保は後半も前進し、正面から打ち合って試合を制した」というトーンの記事ばかりですが、現地で観戦した身としては大いに違和感ありです。むしろ久保選手の前進は、密着してパンチを出させないようにするためじゃなかったですか?

勝つための戦略として密着するのはルールの枠内だから別に良い。ただ打ち合ったと報じるのはちょっと違いやせんですか?と思いました。

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続いてGWど真ん中の5月3日、大阪府立体育館で行われたキックボクシングの『KNOCK OUT』の興行のことを少し。

カードゲームやトレーディングカードの開発で急成長した、株式会社ブシロードが新たに手がける新興キックイベントの『KNOCK OUT』は、昨年首都圏で大ブレイクした連続興行。スキャンダルが続出し、内部統制に問題をかかえるK1や、2000年代のTV格闘技の残滓を大きく引きずるRIZINを尻目に、新たな格闘技メジャープロモーションとして着実な成長を見せています。新日本プロレスを買収してプロレス界に参入すると、あっという間に斜陽と思われていた団体を建て直し、新しいファン層を開拓したブシロードが、新規事業としてキックボクシングに参入してきたことは、個人的には大変喜ばしいことです。大企業が直接経営することで、格闘技興行にこれから果たしてどのような変化・影響が生まれるのでしょうか?

そんな『KNOCK OUT』が関西発上陸ということで、勉強もかねて観戦に行って参りました。

会場のエディオンアリーナで、東京から遠征に来た某マニアと合流。この人は、私にキックやSBの興行について色々教えてくれる知恵袋的なありがたーい先生でございます。

この日の当日券はなんと立ち見2000円。初期投資としてのお試し価格ということなのでしょうが、それにしても安い。これも業績好調な大企業が運営していて、新規事業として投資しやすいという環境があってこそ可能になることです。個人経営のボクシングジムではとても出来ません。

会場の地下の第二ホールに入ると、小さいながらもビジョンがあり、照明も効果充分。音響機器も持ち込まれており音圧充分で音質もクリア。半月前に同じ会場で見たボクシングのダブル日本タイトルマッチは、立ち見で5000円。勿論試合のクオリティは素晴らしいのですが、会場は蛍光灯で白々と明るく、音響機器も会場備え付けのもので故障していて音は割れててガビガビ。正直、殺風景&低クオリティなものでした。

関係者と観客のゾーニングもボクシングとかなり差がある。控え室に友人や取り巻きがドヤドヤと入っていけるようなつくりになっていない。会場の後ろで封筒にお金を出し入れしてチケット代の精算をやってる選手も当然居ません(笑)。実は久保×大沢の会場でのこと、私の席の真横で椅子に座っていた若いジム生のところに、井岡一翔の応援ジャージを来たジム関係者と思しきオジサンがいきなり駆け寄ってきて「オドリャー」とどやしつけたかと思うといきなりビンタをするという事件があって、客の前でやることかよ...と心底ゲンナリしたのでありました。KNOCKOUTの会場はそういうバイオレントな雰囲気は皆無でありました。

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何の予備知識も無い人はたしてどっちを見ますか?という話であります。

興行の仕切りもプロフェッショナルで、映像と音響とアナウンスの連携もスムース。選手のコールはリングインの時に行い、両者がリングに上がったらすぐゴングというテンポのよい進行で中だるみもなし。照明がリングにしか当たっていないので、観客はみな集中してリングを見ています。ボクシング会場によくいる試合中に試合見ずに立ち話してる人や、ラウンド中に席を立ってウロウロする人も殆どいません。ローブローやダウンシーンがあればすぐにビジョンでリプレイが流れるところも、大変プロフェッショナルでした。要はボクシング興行が手作りなら、こっちはプロがやってるショウビジネスという空気が濃厚なのです。

試合も様々なタイプの対戦が組まれており、マニアの解説を聞きながら堪能。見事な回転ヒジでKO勝ちしたタネヨシホ選手が個人的なMVPですが、メインを任された大月晴明選手の華のある試合も最高でした。

このマニア先生が以前から私に言っていたのは『キックのファンサーヴィスと興行を盛り上げる工夫は、ボクシングよりかなり進んでる』ということでした。会場で次の興行のチケットを販売していたり、受付で試合に出ない選手がサイン会をしていたりといった工夫が普通に行われているのです。またビジョンで選手のプロフィールや試合の見所を流して観客に周知したりといったところも親切。

ボクシングファンはとかくキックや総合を馬鹿にする権威主義者が多いですが、はっきり言って経営面も含めてキックの方が進んでることはかなりあります。特に旧弊なファンがもっている、プロボクシング観戦を巡る陰気な精神主義・権威主義は害毒ですらあります。

ブシロードの参入で旧態依然の格闘技興行の世界に新風が吹き込まれて、沈滞した空気が刷新されることを強く望みます。

JリーグのV・ファーレン長崎は、ジャパネットたかたの創業者高田明氏を社長に迎えることで、破産寸前の経営危機から財務状況がV字回復し、成績も上昇。社長交代から、わずか一年でJ1昇格を果たしました。リクルートのアジア法人トップからヘッドハントされJリーグチェアマンに抜擢された村井満氏は、DAZNとの巨額放映権契約を締結し、Jリーグに一千億円もの巨額の手元資金をもたらしました。

ボクシング界もまともな投資、まともな経営者を呼び込める世界を目指せばまだまだポテンシャルはあると思います。

大沢選手の敗戦がとにかく残念だった(旧徳山と長谷川が好きです)

トップ主導の不当判定は存在するのか?!『日本ボクシング連盟問題』再び 澤谷廣典インタビュー

(本記事中はプロボクシングと峻別する為に、日本ボクシング連盟(以下日連)が統括するオリンピックボクシングを『アマチュアボクシング』または『アマ』と表記しています)

元近畿大学ボクシング部総監督、澤谷廣典氏のインタビューの続きです。

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前回は日連会長山根明氏による、個人支配の弊害と特定コーチ(元WBAスーパーフライ級チャンピオン名城信男氏)へのパワハラ問題について生々しい体験談を伺いましたが、今回はアマチュアボクシング界で長らくくすぶる、採点・判定の問題についてです。

この問題は、プロアマを問わずボクシングに常についてまわる永遠のテーマであり、昨年の澤谷氏インタビューでも触れましたが、今回はより詳細な体験談をお届けします。以下に語られるのはあくまで澤谷氏の主観的な体験談であり、事実かどうかの判断は読者に委ねますが、山根氏の側近だった人物による実名での告白は大変に重いものであることをご承知おき頂きたいと思います。様々なご意見はあるかと思いますが、命がけで戦う選手のためにも、競技の運営には一点の曇りもあってはならないと考えあえて公開いたします。もとより個々の選手個人を貶めたり批判したりする目的の記事ではありません。

記事本文中の人物名は一部を除いて匿名表記とし、以下に登場人物を整理して置きます。文中の敬称は澤谷氏の実際の発言に準拠し、あったりなかったりしますが他意はございません。(澤谷氏の発言は全て赤文字です)

山根明氏…日連会長
山根昌守氏…山根明氏の実子で日連理事
A君…2015年インターハイ奈良県代表選手
B君…2015年インターハイ東京都代表選手
C氏…ボクシング名門校H高校とN大学の監督
D氏…兵庫県のT高校の監督
E君…2015年インターハイ宮崎代表選手で後に近畿大学に進学
F氏…奈良O高校の監督
G氏…宮崎N高校の監督
I君…近畿大学の選手から後に大学中退してプロ転向
J君…近畿大学の選手
K氏…元オリンピック選手の役員
L氏…芦屋大学の監督
佐々木君…2016年岩手国体岩手県代表佐々木康太選手


2015年の兵庫のインターハイで、準決勝で当ったのが山根明の息子の昌守が連盟の会長をやってる奈良県のA君、もう一人が東京のB君でした。B君が所属するH高校のC監督はボクシングの名門N大学の監督と兼任です。その試合の時期のC監督は、山根の付き人的なポジションだった自分の後輩を自分の学校のコーチにしようとして山根の逆鱗に触れて、冷や飯を食わされてる状態でした。

この試合は誰が見ても、H高校のB君の勝ちと言う内容でしたが、判定は2-1で奈良のA君の勝ちになりました。判定が出た瞬間B君の母親は会場で「どこ見てんだよ!」と叫んで激怒して、山根の腰巾着連中に場外に連れ出されて会場は異様な雰囲気になりました。その採点結果を聞いた瞬間、C監督が「ああ」とうめいて仰け反ったのを見た山根は「C監督が負けの判定聞いて不貞腐れた」と理由をつけて、のちに処分してます。

こんときの2-1判定の、B君の勝ちにつけたのが、兵庫のT高校のDという先生です。その日の晩ですわ。私と山根がホテルの部屋で一緒におるときにDが山根に呼び出されました。部屋におったのは私と山根とDの3人だけです。Dが部屋に入ってくると山根は「オイコラDよ!」と言う感じで「おれがC監督を干しとるのに、何をアイツの生徒に点を入れとるねん!今度やったらオドレ処分やぞ!わかっとるんか!」と恫喝しよった。

確かにD先生はC監督の弟分みたいな関係ではあるんですけど、その時はまともな採点しとるのに「俺が干しとるCの選手に入れるとはどういうつもりや!今度やったら処分やぞ!」と激怒して、脅し上げたわけです。

で次の決勝は準決勝ったA君と宮崎のN高校のE君。このEは決勝の時点で近畿大学に来ることは決まってました。すでに選抜も取ってるし、高校チャンピオンクラスです。そのEが試合前に挨拶に来よったから、前日のこともあるし「ええかEよ、KOせいよ。ダウンとらな勝たれへんぞ」と言うて「分かってます」と話して送り出した。そしたら、3Rたいがいドツキまわしたのに判定は2-1でまたA。ちなみにEに入れた審判は栃木の近大のOBですわ。とはいえ試合内容はEが圧倒してたと思います。

試合が終わったらAを教えてる奈良の高校の監督のF先生が私のとこ来て、Eが近大来るの知ってるから「先生すいません、完敗です」言うて頭下げはった。F先生は潔く負けを認めたわけです。それ見たら「ああF先生もつらいねんな、大変やな」と思って。でも一番かわいそうなのは負けてるのに手が上がってるA本人ですよ。負けたN高校のG監督も私のところに来て「Eをインターハイチャンピオンにして近畿大学さんにお預けしようと思ってたのにすいません。でもいくらなんでもアレはないでしょ」と言わはったわけです。それでこっちも「いや今F監督が来て『うちの完敗です』と言うて頭下げてくれたで」というて溜飲さげてもらうかしかなかったわけ。

それで時が流れてEが大学に入って、一年からレギュラーになって最初のリーグ戦。このときは錚々たるメンバーがそろっとった。そのなかにIと言うのがおった。このIが芦屋大学との対戦で一試合でダウンを二回取ってるわけです。このときのレフェリーがインターハイの時ホテルで山根に恫喝されたD先生ですわ。この時DはIがニュートラルコーナーに戻ってへんいうて「コーナーに戻れ!戻れ!」とやって時間稼ぎしてなかなかカウントせんかった。それを見て、恫喝されたDの辛さもよお分かりました。で、その挙句二回ダウンとってるのに2-1で判定負けにされた。

結果としてIはその試合のあと「先生、俺もうアマはいいですわ。今までお世話になりましたがプロになります」と言うて来た。結局プロ転向ですわ。「言いたいことは分かっとるがな。俺らの力がないから、大人がしっかりしてへんからこうなったんや。堪忍してくれよ」というて引き止めたけど、授業料も免除して生活費も渡して手塩にかけてきた選手が、中退という形で大学を辞めてしまった…。

その日はもう一つおかしなレフェリングがあったんです。Iのあとに試合をした近大のJが芦屋大学の選手を1Rから一方的に攻めまくって相手はフラフラやったんですが、レフェリーやってた元オリンピック選手のKさんが一向にダウンをとらへん。そんときはたまたま、山根昌守が娘婿の鈴木監督のリーグ戦の初陣やったから近畿大学側の私の横に座っておったわけです。昌守にしたら近大が一方的やのにダウンとらへんから、苛立ってたんでしょうね。突然立ち上がって大声で「おい!」と審判にアピールした。そしたら本部席におった親父の山根もさすがにまずいと思ったかワーワー言い出しよった。そしたら芦屋大学のL監督がすぐにタオル投げて、そこで即ストップですわ。そのあと山根はみんなが見てる前で、レフェリーのKのことを「なんでダウンとらんねや」とボロカスに叱責してました。でも私らにしたらKたち関東の審判は、芦屋大を勝たせるために呼ばれてて、山根の意向でダウンとらへんかっただけやねんから、なんであんな怒られなアカンねやと思いました。

それからしばらくして九州の仲のいい役員と会場で会った時に、冗談めかして「魂売って芦屋大学勝たせにきてる審判とは話せんぞ」言うてかましたったら「勘弁して下さいよ~」いうて困ってるから「お前らも会長の為に芦屋勝たせなイカンから大変やな」っていうたら「さすが良く分かってますね」って言いよりましたわ。「Kさんはどないしてるの?」って聞いたら「あの人がレフェリーで呼ばれることはもうないでしょう」と。

それから、Iが中退してリーグ戦が終わったあと大阪学生選手権というのがありまして、そこでは1年生のEがリーグ戦の鬱憤晴らすような圧倒的な内容で優勝しました。ところが優勝したEに「良くやったな」と声かけたら、Eは「先生これでボクシング辞めさせてください」と言ってきたんです。こっちにしたら「お前優勝して何を言うとるねん」という話じゃないないですか。「何があったか言うてみろ」と聞いたら「正直ずっと尾を引いてたんですが、去年のインターハイの決勝での判定負けからボクシングが嫌になってました。とってもらえたので大学には来ましたけど、どうしても熱が入らないんです」と。だから私は「それやったら、気持ちが充実するまで休んでええから」というて休部扱いにして「試合出て来い」「練習出て来い」ということをせんと休ませたんです。そうやってゆっくり時間かけてEの気力が充実をするのを何ヶ月も待たなイカンようになりました。

今いうた子らはみんな、一回の不当判定で人生が変わってしもとるわけです。岩手国体での判定が新聞記事になった佐々木君なんかボクシングそのものをやめてしまったと言う風に聞いてます。今後もう二度とこういうことがあったらイカンのです。


記事

2016年10月7日 岩手日報紙の紙面より

こういうことが続くと、選手らだけやのうて役員同士、大人同士の関係もおかしなってくる。昨年のインタビューでも触れましたけど、今おもに三人の理事が審判を決めてますけど、この三人に逆らったら山根に告げ口されて処分されるというてビクビクしとるから、他の理事や審判との関係もギクシャクしてますよ。

そもそも、この三人も大半の理事も高校の教員なんですよ。教育者がそういうことをしとって平気なわけです。彼らも最初連盟に入ってきたときはそんなんではなかったはずですけど、長い年月でもう考え方が毒されてしまってる。

実際アマの大会見てるなかで、判定がおかしいと言ってる人は沢山いるでしょ?そこにメスをいれないと絶対に良くならないです。


いかかがでしょうか?私には迫真性に満ちた、当事者ならではの告白だと思います。澤谷氏が言及している岩手国体の試合は、動画サイトでも見れますが確かに不可解な判定です。



「アマではパンチ一発もダウンも採点上は一緒だから」という正当化の理屈も良く聞かれますが、そういう小理屈でおかしな判定を正当化している競技はIOCによって五輪から排除され、その結果国体から排除され、さらに一層マイナースポーツ化していくだけではないでしょうか?

外部の人間から見て明らかにおかしな運営がなされていることに危機感がないなら、アマチュアボクシングに未来はありません。憂いなく東京五輪を迎える為にも、組織の刷新は必須だと考えますが、関係者の皆様はいかがでしょうか?

澤谷氏の発言中にあるように、個々の選手にとって試合での勝敗は、競技生活にとどまらず進学や進路に大きく関わる問題です。幹部や役員のパワーゲームによってそれらが歪められているとしたら大変な問題です。公平な競争条件はスポーツの根幹ではないでしょうか?

外部にいる私に出来るのはここまでです。日々研鑽を積む選手のためにも、アマチュアボクシング界内部から正常化に向けて声を上げていただきたいと切に願います。

アマチュアボクシング界の自浄作用に期待したい(旧徳山と長谷川が好きです)

相撲、レスリングだけじゃない!『日本ボクシング連盟問題』再び 澤谷廣典インタビュー

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昨年一部関係者から多大な反響を頂いた、元近畿大学ボクシング部総監督・澤谷廣典氏のインタビューの続編です。

昨年8月、週刊文春誌上に澤谷氏による日本ボクシング連盟(以下日連)の山根明会長を批判する内部告発記事が掲載され、ボクシング界は激震に見舞われました。当HARD BLOW!はたまたま澤谷氏と面識があったことからお願いしてインタビュー敢行し、その模様は二回に分けて掲載いたしました。

昨年のインタビュー記事 
   ↓
インタビューPART1→日本ボクシング連盟激震の内幕 澤谷廣典氏インタビュー 
インタビューPART2→日本ボクシング連盟激震の内幕 澤谷廣典氏インタビューPART2

その後関係者からの情報提供が相次ぎ、試合用グローブの販売手法の不透明さ、世界選手権ナショナルチームの監督の不可解な人選などについて記事化させて頂きました。

公認グローブ問題関連記事→AIBA公認グローブの怪 杉スポーツの謎
世界選手権監督関連記事→AIBA世界選手権 日本代表チーム瀬部勉監督の謎


現在アマチュアボクシングを取り巻く状況は厳しさを増しています。日本国内では、国体での競技開催が毎年から隔年に格下げされるという決定が下されました。一方オリンピックでは、昨年末にIOCがAIBA(オリンピックボクシングを統括する日連の上部団体)の財政や競技運営の不透明さを問題視し、分配金の拠出を停止するとともに正式競技からの排除の可能性にまで言及しました。このまま手をこまねいていれば、国体からもオリンピックからも排除されてジリ貧になることは目に見えています。本来なら統括団体のリーダーシップが何よりも求められる局面なのですが、日連の会長である山根氏はなぜか「今は静観する」と意味不明の対応を見せています。静観してたら東京オリンピックからも国体からもボクシングはなくなってしまうと思うのですが…。

ところが、そんな待ったなしの現状も、マイナースポーツの悲しさかいまひとつ世間に周知されていません。今年に入って相撲協会の相次ぐ不祥事や理事長選挙、レスリング協会のパワハラ問題や協会長の福田富昭氏のスキャンダルが報じられ、高い注目を集めているのとは対極です。競技団体の内紛やスキャンダルが報じられることは、内部の人にとっては決していいこととは言えませんが、腐敗状態が世間に注目されることで、競技のあり方や内部統制について当事者以外を含んで様々な議論がなされることは健全なことです。バスケットボールなどは、協会の内部対立や国際団体からの除名危機を逆にチャンスに変えて、トップリーグのプロ化を達成しました。スポーツとて社会の中にあるのであり、村社会の内部で腐敗や不公正が隠蔽されることは良いことではありません。まして日連は日本中の学校現場で行われる部活動を管理する重責を担っています。本来はその運営において一転の曇りもあってはならないのです。

今回澤谷氏のインタビューのテーマは二つ。一つはレスリングと同じパワハラの問題。山根明会長がある人物を目の敵にして、特定の練習場所に出入りするのを妨害したり、不公平な処分を下したりしているという驚くべき内容です。もうひとつは、長年くすぶる不可解な判定を巡る問題。関西の一部の学校を勝たせるために審判不正が行われているという具体的な証言であります。

今回はまず、一つ目の話題であるパワハラについて。澤谷氏によるとパワハラの被害者になっているのは、なんと近畿大学でコーチを務める、元WBAスーパーフライ級世界チャンピオンの名城信男コーチ。元トッププロから大学のコーチに転進し、ボクシング部の再興に大きな貢献をしてきた名城氏がなぜに冷遇されねばならないのでしょうか?

果たして一体どのような内容なのか?澤谷氏の語ることは事実なのか?心してお読みください。(以下澤谷氏の発言は赤文字。発言中に出てくる人物名については敬称を略させて頂きます)

実際の事件があったのは一昨年(2016年)の9月の自衛隊合宿と、10月にあった岩手国体なんですけど…。

その前に伏線として、3月に近畿大学のボクシング部が東洋大学と合同で沖縄合宿に行った時のことです。現地で沖縄の地方紙が取材に来てくれて、ほんで私や名城や選手を写真入りで新聞に載せてもらった。それで「こういう記事が出ましたよ」ということで、その紙面を携帯で撮って、画像を会長(日本ボクシング連盟の山根明会長。以下記事中の『会長』は全て山根明氏のことです)に送ったんですわ。けど会長から何の返事もないんですよ。で、合宿終わって大阪に帰って報告をせなアカンから「今帰りました」と行ったら、えらい会長の機嫌が悪いんですわ。で「お前な、なんであんな写真送ってくるねん」と、こうですわ。「なんの話ですの?えらい歓迎してくれて、新聞社も来てくれて『こんなことありました』と送っただけですがな」と言うたら「名城が写っとる!」と怒ってる。そら写りますやろ、一緒に行っとるねんから(笑)。それを「俺が嫌いな名城が写っとる写真を送ってくるて、お前どういうことや!」言うて本気で怒りよるわけ。「何を言うてますねん」と悲しなるようなことを言うて来るわけです。

まあ、そういうことが(後に)尾ひれ葉ひれがついてくるわけですわ。

その約半年後、に立て続けに事件が起こったのだと澤谷氏は証言します。

その年の9月、当時近畿大学の監督やった鈴木(康弘)が自衛隊出身言うことで、自衛隊での合宿を取り付けて来よったんですわ。この辺は(鈴木監督が)自衛隊の選手やったから、うまいこと渡りをつけてくれて費用も格安で近大の選手を受け入れてくれるというようなことをやってくれた。で、バスもチャーターして、私と鈴木とコーチのFと名城、それに生徒というメンバーで行こうと。

そしたら直前になって、鈴木が来て申し訳なさそうに「先生、会長から『名城は絶対連れて行くな』って言われてるんです」って言うて来たから「はあ?なんのこっちゃい?」と。そしたら山根会長が「名城は絶対にダメや。アマチュアの資格もないのに、自衛隊と言う公の施設に入れるわけにはイカン」と言うてイチャモンつけてきたわけです。それでイチャモンつけられた以上は、うちも名城はかわいそうやけど、その時本人にそんな理由は言われへんから「9月の全日本の予選に出る学生が居残りするから、お前は残ってそれを見たってくれ」と...。そしたら当然名城にしたら「先生そんな、僕も自衛隊の練習や設備が見たいです」と、そらそうなりますやろ。「そやけどお前しかちゃんと生徒を管理できるもんがおらんから」というて、まあ名城にはウソをついたわけです。

ほんで向こう行って、4泊やったか結構長いこと居させて貰って、夜は自衛隊の幹部とボクシング班の隊員と食事に行くわけですよ。そしたらその席で自衛隊の方が「いやー先生もう参りましたよ。皆さんが来る前に急に会長から電話あって『お前名城を一歩でも自衛隊にいれたら自衛隊チームは全員処分するぞ』とこんなこと言われちゃったんですよ」と。「僕らとしたら名城君はいい子だし、幾ら来てもらってもいいんですけど、もしこれが会長の耳に入ったら我々が処分される。だから僕らも辛いですよ」と。

それを聞いたらこっちも「それは嫌な思いさせて申し訳なかったですな。こちらも鈴木が監督になった以上はこれからも自衛隊に来たいんです。名城もいつまでもこんな状態にはさせませんから」と言うて謝って。まあいうたらこれ完全な閉め出し、レスリング協会の問題と同じパワハラですわ。


澤谷氏がいう『レスリング協会の問題』とは、オリンピック四連覇を果たした伊調馨選手が、女子の強化委員長を務めていた栄和人コーチと対立し、自身が望む警視庁のレスリング部での練習を妨害されたというパワハラ事件であり、合理的な理由無しに練習場所への出入りを制限するという点で、名城氏の自衛隊練習参加を認めなかったことと、確かに良く似ています。

で、十月の岩手国体を迎えるわけです。岩手国体行くメンバーは監督の鈴木と私と名城コーチやと決めて、新幹線もホテルも取ってたわけです。そしたら移動当日の朝、新大阪に8時だか9時だか集合やったと思いますけど、朝の7時頃になって、また鈴木から困った声で電話があって「先生すいません。今会長から電話があって『お前は連盟の人手として使うからワシと一緒に来い』と言われましたので、今から先に出ます」と言うて来たから、はあ?それは何を言うとんねん?と。私も近大の責任者やからね。いくら鈴木が山根にとって孫の婿か知らんけど、近大の責任者を飛ばして監督を勝手に使いよるわけですわ。でも物事にはスジちゅうもんがあるでしょ?事前にこっちに電話してきて「急遽で悪いけど、鈴木は連盟の仕事で使うから貸してくれ」というのがあって然るべきと違います?でも今更言っても仕方ないので「もうええわ、ほんなら行けや」いうて電話切ったら、すぐ連盟の内海さん(注:日連の内海祥子常務理事)から電話かかってきて「鈴木はホテルも連盟の宿に泊まるから」となって、これで切符もホテルもキャンセルですわ。

出だしからそういうトラブルがあったけどまあなんとか現地入って、翌日僕と名城が検診・計量の立会いしとったら女子選手のSから名城に電話入ってきたんですわ。なんや困った様子やなと思たら、名城が「すいません、Sがいまミット受けるもんがおらんで困ってるみたいです」と。教え子が困って電話してきとるんやから「すぐ行ったれ」と言うて行かせて、ほんで無事ミット打ちして帰って来とるんです。ほんでその翌日ですわ、また朝早うから名城から電話があって「今会長から電話があってブチ切れされました」と。「なんでやねん?」と聞いたら「いや『アップ場でミット受けしたから、処分してまうぞ』て言われました」とこうですわ。

でも、そんなもんこっちにしたら、監督の鈴木を急に連盟にとられとるからおきてることなんですよ。名城はライセンスないから選手のエリアに入られへんのはハナから分かってることで、だから会場ではライセンスのある鈴木が選手を見るというつもりでメンバーを組んでたのに、当日の朝になって『連盟で使うから』いうてとっといてやね、何が『ミット受けしたから処分』やねんと。せめて前日に言うてるなら、他のコーチ連れて行ってますよ。その日の朝にドタキャンさせといて、選手が困って電話してきてるのに対応したら処分って、なんやそれは?と。

こんときは、さすがに腹たったから、名城と謝りにもいかんとほっといたったんですわ。そしたら大阪に帰ったら「これは由々しき問題や。処分や!処分や!」と言うて来るから「ミット受けて何が処分ですねん?」と言うたら「あいつはライセンスもないからアップ場に入ったからアカンねや」ちゅうだけで。実際会長が現場で見てるわけやないから、誰かがわざわざ言うて耳に入れてるわけですわ。

それで結局連盟から処分するという通知が二通来て、読んでみたら「名城は誰かのIDカードを借りて入ってる」と書いてある。だけど、実際はそんなん借りてないんですわ。何もつけんと入ってる。まあそこは小さい問題で、カードつけてようとつけてまいと、どっちでええことではある。でも実はその時、TジムのA(元世界チャンピオンの有名プロ選手)が他人のIDカード借りて入っとるんですわ。でもこっちは何のお咎めも無しで、名城だけが物凄く悪いことしたかのようになってる。

名城はそのときの処分で近畿大学以外での指導は一切禁止になりました。そうなるとリーグ戦や近所の大学ですら教え子につけないようになる。こんなアホな処分が未だに続いとるんです。アマ資格申請もほったらかしです。


本来ライセンスがなければ立ち入り禁止の場所に、現役のプロ選手が入ってもお咎め無しな一方で、引退してすでに何年も指導実績がある大学のコーチが選手のミットを受ければ処分というのは確かに合理的な根拠は感じられません。名城コーチへの狙い撃ちのイヤガラセではないのか?という観測が出るのも無理もないことです。

で、いざ処分が下りたら理事やってる連中が「名城君なんか処分されたんですか?」とこっちに聞いてくる。「おかしいやないか、文書には『理事が全員一致で決めた』って書いてあるのに何で理事やってるオマエらが知らんねん」と言うて処分通知を見せたら「これなんですか?ミット受けしただけでこんな処分ですか?!」「ホンマですか?!」とみんながビックリしとったわけです。

全員一致で処分を出したはずの当の理事が処分されたことを知らなかったというのは大変奇妙な話です。これが事実なら何の話し合いもなく、一部の幹部が独断で処分を決定したということです。

そもそも山根氏は、選手やコーチにはプロとの交流を禁じる一方で、自身は積極的にプロの会場で頻繁に試合観戦しておりプロとの関係が非常に近い。明らかに矛盾しています。そういう姿を評して「あの人、プロとは関係持つな言っておいて、自分が一番プロと関係してるじゃないですか」と笑いながら言っていたプロ選手もいました。澤谷氏の話はプロアマの関係に実態について踏み込んで行きます。

(アマの世界にも)プロ上がりのもんはなんぼでもおるわけです。プロ上がりでも山根が気に入ればすぐ資格だして可愛がるわけです。反対に気に入らんもんは「アイツはプロやから」というて遠ざける。

プロの選手で今山根が融通がきくのがI選手とかOジムの選手。O会長との関係がええからそこのジムの子も可愛がるわけです。あとはさっきの国体でアップ場に入ってたAがおるTジム。Aが他人のパスで中に入ったことが不問になっとるのは、僕からしたらTジムとの関係からとしか思えないんですわ。あとはHジムのT。この辺は山根が会場行って試合も見ます。一方で私がプロ時代の高山選手のパーティー行ったら「お前何を連盟の理事という立場でプロの選手のパーティー行っとるねん」と言うて来る。でも何を言うとんねん、アンタが一番プロの選手の試合行ったりパーティー行ったりしてるやんかと思うわけです。

結局自分が気に入ってないプロの選手と付き合うと「プロと関係持つな」というてきよるんですよ。

では名城コーチはなぜここまで目の敵にされるのでしょうか?澤谷氏はその背景を説明してくれました。

なんで名城がここまで目の敵というか嫌われてるかというと、結局昔おった六島ジムの枝川会長が名城が近畿大学を中退してプロになるときに「アマの選手をウチのジムに頂きます」と挨拶もなけりゃ、プロになったあとも名城の試合のチケットも持って来えへんかった、とかまあそういう小さいことなんですよ。そんなもん名城本人にはなんも関係ないでしょ?確かに枝川さんは、名城がアマの世界におるねんから、プロのタイトルマッチの会場で山根に会ったら挨拶くらい来たらエエのにな、と思ったことはあります。だから一回枝川さんが「澤谷さん、名城が山根さんに睨まれてるみたいですけど、それって俺のせいですか?」って聞いてきたから「いやいやまあ会場で山根に会ったら挨拶くらいしたってや」とは言うたことはあります。ただそれは枝川さん本人の話で、名城は関係ないでしょ。そういう小さいことで名城が毛嫌いされて、板ばさみじゃないけど一番苦労してる。

こんなことで名城は未だにアマ資格が認められず、近大の監督にもなられへん。近大は鈴木がセクハラでやめてから実質的にはずっと監督不在の状況です。
名城が犯罪をしたとか暴力を振るったとか破廉恥なことをしたとか、そういう事件性はなんもないわけやから、結局話題になったレスリングの問題と同じ、気に入らんもんに対するパワハラなんですよ。

近畿大学には警察のOBや弁護士がおる法務部と言うのがちゃんとあるんですよ。やのに自分のところのコーチが、こういうレスリングと同じような理不尽な目にあって苦しんどるのに直視もせん、対応しようともせんわけです。名城は近畿大学の強化職員なんやから、本来なら大学が守ってやらなアカンわけです。日連にも弁護士がおるんやから法的に話をせなアカンのに、近畿大学の法務部も頼りない話やと思います。


名城コーチが実直な好人物であることはボクシングファンならばご存知であろうと思います。プロを引退してアマのコーチになり、すでに沢山の選手を育成してきたことは、いわばアマチュアへの恩返し・貢献といえるもので、歓迎されこそすれ批難されるようなことではないはずです。

名城は二回世界チャンピオンなったけどね、あんな腰の低い男はおらんのですよ。近大に来て貰うに当たって、私が口説いて引退させたわけやから、こっちにも責任があるんですよ。

私が去年脳梗塞で倒れた時もね、集中治療室で意識が朦朧としてる時に横から「先生、先生」って話しかけてくれて、手が上手く動かせんねんけど手を上げたらあいつが両手で手を取って「良かった~」いうて病院の床にへたりこんでね。それから意識がなくなったり戻ったりを繰り返しても、その度にずっとベッドの横におる。集中治療室やから椅子がないからずっと立ちっぱなしですわ。あんなことできる男はおりませんよ。

それだけにね、口下手やけどマジメで、二回世界チャンピオンになってる男やから。

名城も自分なりに処分といてもらおうと連盟の事務所や山根の自宅にも行って、自宅ではインターホン越しに山根本人と話して「そのうちなんとかしたる」と言うような言葉も貰ってたらしい。

ところが去年私がこうなって、山根と対立するようになってしもて、近大の現場も離れて…。でも、そうなったあとも、ことあるごとにこっちにボクシング部のことを相談してきてくれるんですよ。「俺はもう現場離れてる人間やから自分で決めろよ」って言うても「いや自分は先生にここまでしてもらったんやから」って言いよる。そんなん言われたらこっちは涙出ますよ。

だからこの男だけは、なんも落ち度がないんやから、世の中に本当のことを分かってもらって、どうしても何とかしてやらんといかんのです。


日連はブログ上で近畿大学ボクシング部監督の来訪の写真を掲載していますが(→近畿大学ボクシング部監督及び部長の表敬訪問について(報告))、これで棚上げになっている名城コーチの処分に何らかの進展はあるのでしょうか?そもそも日連のブログに沢山掲載されている山根会長を中心にした集合写真には一体何の意味があるのでしょうか?他のスポーツ団体ではまず目にしない奇妙な体裁のブログになっていると思います。

今回はここまでです。次回は長年くすぶる判定・採点問題について、さらに生々しい澤谷氏の証言をお送りします。

連休は旅行とボクシング観戦に行く(旧徳山と長谷川が好きです)

公正取引委員会がプロスポーツ選手契約の違法性を指摘 IOCがAIBAへの分配金の拠出を停止 等々

 今年のボクシングも年末二興行を残して、もうおしまいですね。

 今年ボクシング界は、プロ・アマともに旧来的な人脈支配や不合理な慣行による悪弊があらわになった年であったと思います。今年は当HARD BLOW!において、澤谷 廣典氏のインタビューを掲載するとともに、日本ボクシング連盟=オリンピックボクシングの問題点を指摘する記事を沢山掲載してきました。そこで感じたことはプロアマの抱えている問題は地続きで問題の根は同じだということです。

 不透明な人脈支配や不合理な商慣行、競争条件の不公平さ、選手の地位の低さ、などなど「これじゃ競技人口は増えないわ」と思うことばかり。そんなボクシング業界に僥倖となるような一つのニュースが報じられました。

 この記事の重大さが分かっているボクシング関係者、ファンははたしてどれくらいいるでしょうか?
                 ↓
 公取委、契約慣行の違法性を指摘

 年の瀬も押し迫った12月27日、公正取引委員会が芸能人やプロスポーツ選手の契約制度について、画期的な見解を表明しました。いわゆる契約していたタレントや選手に対して、移籍後に活動を制限・妨害する行為は違法だとはっきり表明したのです。

 これにより選手の移籍を制限する法的な正当性は一切なくなりました。移籍が自由化されたということです。

 井岡選手も井岡ジムを離れてどこにでも移籍できる法的な自由が担保されたのです。

 これはプロボクシング界を支えたきた、クラブ制度や従来の商習慣についても重大な影響を及ぼすことになります。

 今年はボクシング界で選手契約を巡って様々な問題が起きました。日本を代表する現役チャンピオンである井岡一翔選手が、肉親の脱税事件に巻き込まれて試合枯れした挙句「引退するのでは?」というような話がまことしやかに流れております。これは、選手の望む移籍が出来ないゆえのトラブルであります。

 駿河ジム所属だった日本ランカー青木クリスチャーノ選手が、不可解なギブアップ負けをしたあと、近親者の方が「骨折しているのに所属ジムから『キャンセルすると高額の違約金がかかる』と言われて試合を強行された」とSNS上で暴露し(現在書き込みは削除済み)これも大問題になりました。青木選手は現在角海老宝石ジムに移籍していますが、このトラブルも周辺取材してみるとかなり信憑性が高いです。

 薬師寺ジム所属のマンモス和則選手が支払い額が二万円と書かれたファイトマネーの明細書を画像つきで公開し、その金額がルールに抵触するものだったことも大きな問題になりました。更にリング上で読みえ上げられた激励賞も受け取っていないということで、新人ボクサーにたいする厳しい搾取構造が浮き彫りになりました。→マンモス和則選手のツイート

 私は今までも
・激励賞を会長にとられた
・33%以上のコミッションをとられたので抗議したら試合を組んで貰えなくなった
・会場で「○○の月間賞の賞金が入ったらからこれから飲みに行こう」と某有名ジムの会長が大声で電話してた
・チケット売ったらタイトルマッチさせてやると言われたけどウソだった
・怪我でタイトルマッチをキャンセルしたら会長に「迷惑料50万よこせ」と言われた

などなど様々なボクサーのエピソードを聞いてきましたが、こんだけデタラメしててもダメなジムの会長の権益は強く守られて来ました。ですが、これからはデタラメな経営をしているジムから選手が移籍しても、法的には何の問題もないことを、国がお墨付きを与えたということです。

 井岡一翔選手!自由に移籍していいんですよ!引退なんかしなくていいんですよ!

 公取委の見解表明によって、ちゃんと規定のファイトマネーを現金で渡しているまともなジムに選手が集まり、選手を搾取しているブラックジムからは選手が流出してまもとな業界になる契機となることを、念じて止みません。

 当HARD BLOW!でもおなじみの元日本ランカーの斉藤司選手も、所属ジムの三谷大和ジムと待遇や報酬を巡って現在裁判となっていますが、今回の公取の見解を見れば訴訟の行方は火を見るより明らかでありましょう。ただ訴訟と言う手段をとれば、選手は貴重な現役時代に空白をつくることになります。

 そのためにはJBCや協会が、違法とならないような実効性のあるルール変更をする必要があります。

 JBC・JPBAのボクシング興行に改善が見られず不合理性や違法性が浮き彫りになれば、大阪天神ジムの山口賢一会長が現在JBCの枠外でやっているプロボクシング興行の優位性がより明確になります。実際彼の興行に参加する選手は増える一方なのです。草試合とバカにしてすむ段階ではもはやありません。

 この公取の違法認定と併せて、タイ人選手の招請禁止や練習生・4回戦選手の激減、ランカー・チャンピオンの高齢化などで来年はプロボクシング興行の根幹が揺らぐ年になると思います。

 今月号のボクシングビート誌に、今年引退した内山高志氏、三浦隆司氏、金子大樹氏三者の座談会の記事が掲載されていますが、近々ジムを開業する予定の内山氏はプロ加盟しない方針をその中で語っています。同じく名王者だった西岡利晃氏もプロ加盟はしていません。知名度があり加盟条件が優遇されている元スター選手がプロ加盟を避けているのいうのは、プロボクシング業界が稼げない世界になっているということの証左であり、名門ヨネクラジムの廃業などと並んで業界の沈滞の象徴であると思います。

 まともなビジネスに刷新する為には制度の変更は不可欠であります。

 一方アマ側に目を転じてみれば、更なる大ネタが発生しました。オリンピックの元締めであるIOCがオリンピックボクシングの統括機関であるAIBAへの分配金の拠出を停止したというのです。

 ロイターが配信した記事「IOCがAIBAへの資金拠出を停止」→IOC stops payments to boxing federation AIBA

 AIBAの財政はIOCからの分配金に依存しており、支払いのストップは大問題。そもそもこのIOCの声明はボクシングがオリンピックの正式競技から外される可能性を示唆しており、問題を放置すればAIBAの存亡に関わってきます。もはや、日本国内の国体の隔年開催なんかとは次元が違う大問題です。IOCのバッハ会長は、AIBAの財務や、競技におけるレフェリング・判定、アンチドーピングの姿勢に対して疑問があることを表明し、対策についてのレポートの提出を求めています。ここでIOCを満足させるような回答が出来なければ、最悪正式競技からの転落が待っています。AIBAの対応によっては「オリンピックボクシングは東京が最後」となりかねない状況であり、そうなればさらなる競技人口の流出は避けられません。アマチュアボクシングから人材の供給を受けてきたプロボクシングにとっても、重大な懸念材料となります。

 果たしてAIBAはIOCを納得させる方針を示せるのか?注視したいと思います。

 ボクシング界は相撲協会以下の人権状態だと考える(旧徳山と長谷川が好きです)
 

AIBA世界選手権 日本代表チーム瀬部勉監督の謎

唐突ですが、世の中にはどの時代にもある種の人がいます。TPOを問わず、時空の裂け目からひょっこりと出てきて、散々周囲の人を巻き込んだ上で、正体がばれて大騒ぎになる人。そう経歴詐称の人です。

物書きの世界でもそういう人は後を絶ちません。元グリーンベレーを自称していたけれど米軍の軍歴が無かったあの人、元警視庁刑事を自称してけれど交番のお巡りさんだったあの人、キックのチャンピオンや商社の社長だったと自称してるけど全く記録がなく、捏造記事で敗訴したあの人、などなど枚挙に暇がありません。

格闘技界では、元チャンピオンを自称して地方自治体の観光大使的なポジションについたあと、経歴詐称がバレて騒動になった人もいました。ことほど左様に、日本の社会は性善説で運営されており、身体検査というのは曖昧なもんでございます。本当に経歴詐称はケシカランですね!プンプン!

というわけで、ここで話題はガラリと変わります!

オリンピック競技のナショナルチームの監督と言うのは、一般的に物凄く重い仕事であります。実績・専門知識・人格、あらゆる要素を兼ね備え「あいつがやるなら、きっとうまく行くよ」と業界内の人が安心して代表チームを託せる、そんな心技体を兼ね備えた人物こそ、ナショナルチームの監督に相応しいと言えるでしょう。

先日終了した、アマチュアボクシングの最高峰イベント、AIBAの世界選手権で日本代表チームを託されたのは瀬部勉監督でありました。東京オリンピックを控えた日本ボクシング連盟(以下日連)が、満を持して抜擢した監督ですから、当然素晴らしい実績と指導技術や戦略を持っているはずです。果たしてどのような華麗な経歴を持っておられるのでしょうか?

瀬部監督就任を伝える日連のブログ記事
         ↓
AIBA世界選手権大会について①(お知らせ)

記事中の集合写真の後列中央、黒いジャケットの方が瀬部監督です

瀬部監督のブログには氏のプロフィ-ルが掲載されています。以下に引用いたします。

華麗なる経歴


1961年3月生まれ。 1983年、大阪体育大学体育学部体育学科卒業。
幼少の頃から武道や陸上競技に携わり、中・高・大学で陸上競技選手として活躍する。

実績として 
• 1982年 日本選手権 4×100mリレー優勝
• 同年 モスクワオリンピック最終選考会出場
   100mベストタイム 10秒43(公認記録)
 (引用以上)

うーむどうもボクシング出身ではなく、陸上選手だった人のようですね。ナショナルチームの監督と言うのは普通、斯界のトップを経験された方が務めるものの様な気がしますが…。元陸上選手にボクシング競技の監督が出来るものなのか…。不思議であります。まあしかし、経歴によると、日本選手権の4×100メートルリレーで優勝されたようなスポーツエリートでありますから、トレーニングやコンデイショニングについては学ぶところが多いのかもしれません。

ちなみに1982年の日本選手権のリレーの優勝チームはWikipediaによると、早稲田大学のチームで瀬部氏の出身校であるという大阪体育大学の名前はなぜか掲載されていません。当然メンバー名に瀬部氏の名前もありません。

リレー

誤情報が散見されると言うWikiでありますから、きっと何かの手違いでしょう。

もう一つ1982年に『モスクワオリンピックの最終選考会出場』とありますが、モスクワオリンピックは1980年です。本大会の後に行われたという選考会は、まさに文字通り最終の名に相応しいイベントであったのでありましょう。

さらに某セミナーの講師紹介では(リンクはこちらから)、瀬部氏は元オリンピック代表であるとの記述もありますが…

華麗すぎる経歴


JOCのホームページの検索機能で、瀬部監督をサーチしても…


検索


なぜか該当者なし!


検索結果

正式競技のナショナルチーム監督の経歴を入れ忘れるとは、JOCともあろうもんが、なんと杜撰なのでありましょう。


さらに瀬部氏の最も輝ける経歴と言える、100メートル走10秒43という素晴らしい公認記録。これは1982年当時、大阪歴代最高に匹敵する記録であり、日本歴代100傑にも入るようなズバ抜けた記録であります。日本選手権のリレーの優勝やモスクワオリンピックの二年後に選考会に参加したことと並んで、まさに大阪陸上界のレジェンドと言える実績でありましょう。ところがその記録が陸上マガジンの増刊や大阪陸上年鑑に掲載されていないではありませんか!

陸マガ表紙_R

大阪十傑_R

大阪十傑は勿論

日本歴代記録_R
日本歴代の10秒4台に名前なし!

電子計時_R

電動計時の歴代記録にも当然ナシ!

陸連、JOCに続いて年鑑や陸上マガジンにも素晴らしい実績をシカトされてしまった、まさに悲運のヒーロー瀬部監督の名誉回復を祈らずにはいられません。こんな素晴らしい人がナショナルチームを率いているなら、東京オリンピックもメダル間違いなし!ですよね。

ジャガー横田さんのご主人様としてテレビでお馴染みの木下博勝医師のブログにも、瀬部氏が登場します(瀬部氏が登場する記事)。瀬部氏は和泉市議会議員を勤める、プロレスラーのスペル・デルフィン氏とも懇意にされているようで、プロレス界には人脈がおありのようでございます。議員と言う公職にある方が、こういう華麗すぎる経歴をお持ちの方と親しく交友されるなんて、色んな意味で素晴らしいですね。
木下医師_R

なんと瀬部氏は陸上だけでなく格闘技でもチャンピオンだった模様ですが、そちらのほうも陸上同様、なぜかあらゆる記録が抹消されています!神隠しでしょうかね?

しかしこのベルトを持ってリングに上がっている瀬部氏の写真を見れば、格闘技で実績があることは明らかでありましょう。なんたってベルトがあるんですよ!ベルトが!

瀬部監督の勇姿

ベルトにはしっかりとネームも入っています。かなりかっこいいベルトなので、凄い価値のあるタイトルだと思われます。アップで見てみましょう。

ベルト

ワールドカラテチャンピオン1982...。えっ1982?!陸上の日本選手権のリレーで優勝して、既に終わってるモスクワオリンピックの選考会に出て、空手の世界チャンピオンにもなってたんですか?

山根会長の的確な人選に唸らざるを得ません。

井岡不在の興行の集客の悪さに驚いた(旧徳山と長谷川が好きです)