HARD BLOW !

高山勝成選手のアマ資格登録を求める署名活動が開始 山根明氏を告発する『文春砲』で日本ボクシング連盟が激震!

先日発足した『高山勝成選手のアマチュア登録を支える会』ですが、早速FACEBOOKページが立ち上がるとともに、請願の署名活動が始まっています。署名用紙をダウンロードして署名を集める方法と、電子署名の二つの方法が可能です。皆様のご協力をお願いいたします。

詳しくはこちらをごらんください
    ↓
高山勝成選手のアマチュア登録を支える会のFACEBOOKページ

署名希望の方は以下のリンクからどうぞ
          ↓
署名用紙のダウンロードはこちらから

電子署名はこちらから

繰り返しに成りますが、IOCのルール上はプロ選手の参加を妨害することは出来ません。一刻も早くアマ選手登録が出来ることを望みます。

IOCとAIBAの方針に逆らって、プロ経験者のアマ登録を妨害している、そんな日本ボクシング連盟(以下日連)が、思わぬトラブルで激震しております。なんとびっくり、週刊文春というドメジャーな媒体が山根明会長の告発記事を掲載したことで、記事の一部内容がYAHOOのトップにも掲載され、一連の問題は広く周知されました。これは、プロボクシングを統括するJBCの一連のスキャンダルと同様の病理といいますか、要はプロアマ問わずボクシング業界自体が極端な村社会であり、チェック機能を持たないことからくる構造的問題であります。

週刊文春記事のダイジェストはこちらから
       ↓
村田諒太も犠牲者「日本ボクシング連盟」のドンを告発

 山根氏への告発の端緒となったのは近畿大学ボクシング部を舞台にした、鈴木康弘元監督によるセクハラ・パワハラ問題であります。鈴木氏は女子部員へのセクハラや男子部員へのパワハラなど数々の問題行動で、すでに諭旨解雇されており、監督就任期間はわずか一年強でありました。スパーリングで学生選手を『制裁』するというような陰湿なこともやっていたようで、なんとも人格を疑うような話であります。

NHKが詳しく報じております
   ↓
近大ボクシング部監督 諭旨解雇

 週刊文春によると、ロンドン五輪代表で自衛隊出身の鈴木氏は、山根明氏の孫娘と結婚しており、近畿大学監督就任も山根氏の政治力によるものだということ。報道が事実であれば、近畿大学ボクシング部にとっても、大学当局にとっても、まさに迷惑千万であります。そもそも鈴木氏は北海道出身で拓殖大学から自衛隊という経歴で、関西にも近畿大学にもなんのゆかりもなく、山根氏との縁戚関係をみれば政治的な登用であったことは問題発覚前から明らかでありました。彼のやりたい放題の問題行動も、日連の絶対権力者である山根氏の威光を借りたものであってこそ、だと私には思われます。したがって山根氏にとっても決して他人事ではないのです。


 山根氏の個人支配の問題性は、アマチュアボクシング界では公然の事実であり、アマ選手のプロ転向を妨害する『村田ルール』から始まって、清水選手のAPB参加を巡るトラブルや、IOCの方針を無視したプロ選手の排除宣言など、属人的で非民主的な組織統治は従来から明らかでありました。あの独特のファッションも含めて「オリンピック競技を統括する団体の長である」ということを客観視する素養がないことは明白であると思います。

 近大のスキャンダルに置いても、山根氏は自分の責任は棚に上げて鈴木氏を批判していますが、今回文春の記事で実名の告発者となったのは、元近畿大学ボクシング部のコーチと総監督を歴任し、日連では理事も務め山根会長の側近と言われた澤谷廣典氏。近畿大学や日連の内実についてもっとも詳しいと言ってよい人物です。私が高山選手のスパーリングの見学に行った際も、澤谷氏に現場で取材対応をしていただいたことがございます。当時は現役選手でもあった青年監督の浅井大貴さんと元世界チャンピオンの名城信男ヘッドコーチが選手を指導し、澤谷氏は部全体を統括するというような役割分担に見受けられました。

近畿大学ボクシング部に訪問した際の過去記事二本を以下に再掲しておきます。
                ↓
高山勝成公開スパーリングin 近畿大学ボクシング部レポート
異例の二団体同時決定戦へ!高山勝成インサイドレポート&スパーリングレポートin近畿大学

 その澤谷氏がコーチに対する暴力事件で辞任したことが、6月にまずボクシングビートで報じられ、7月に入って鈴木氏のセクハラ・パワハラが一般紙にも載るようなニュースになり解雇され、その後今度は名城信男ヘッドコーチのアマ会場への立ち入り禁止がアナウンスされると言う奇妙な事態が起こります。

名城コーチへの出入り禁止処分を伝える記事
       ↓
名城・近大ヘッドコーチ、アマ試合出入り禁止

 この名城コーチに対する処分は、全く不可解で不当なものであると思います。ぶっちゃけ鈴木監督の問題行動を告発した近大ボクシング部に対する、山根氏サイドからの意趣返しだと見えるのですが穿ちすぎでしょうかね?そうでないとタイミングが余りに不自然です。近大のボクシングに近親者を送り込んだものの、問題行動で排除されたことを逆恨みして、試合時にコーチが選手の指導をすることを妨害しているとしたら、これは競技そのものへの冒涜です。

 日連は学校の部活動も統括管理する立場であり、教育現場に顔向けできないような行為をしている人物がトップにいることは大変な問題だと思います。現場で選手を指導するアマチュアボクシング関係者は、選手と業界の未来の為にも自浄作用を発揮して組織の刷新を果たして欲しいと思います。

 そしてこれはプロにとっても決して他人事ではなく、JBCの秋山氏も山根会長と同様の、個人支配による様々な弊害を生んでいることを自覚してほしいと思います。極端な個人支配が生まれる背景には、周囲の人間にも少なからず責任があるのです。

 しかしライセンスの発給をちらつかせて他人を支配するってプロもアマもやってること一緒やん。ボクシング界ってこんなゲスしかトップにおらんの?

日連がどうなるか着目している(旧徳山と長谷川が好きです)

『高校卒業→大学入学』からの『世界王者のままプロボクシング引退!』からの『東京オリンピック挑戦宣言!』 中出博啓マネージャー兼トレーナーに聞いた、展開がダイナミックすぎる高山勝成選手の今までとこれから PART2



 それではいよいよ本題、東京五輪チャレンジ宣言の真意と、その展望をお伺いしていきます。

 引退までの経緯についてはPART1をごらんください→『高校卒業→大学入学』からの『世界王者のままプロボクシング引退!』からの『東京オリンピック挑戦宣言!』 中出博啓マネージャー兼トレーナーに聞いた、展開がダイナミックすぎる高山勝成選手の今までとこれから PART1

 枠にとらわれず越境していく、スケールの大きなチャレンジ精神は一体どこからきているのか?3分3R、ノーヘッドギアというオリンピック競技への順応は可能なのか?引き続き中出氏に伺いました。

中出氏


 海外挑戦で味わった昂揚感

HB- 要は『何をやったら自分がやる気が出るか?』ということですよね。どういうことに対して気持ちが上がるのか、意欲が出るのかという。

中出-変な話やけど、昂揚感ってあるでしょ。現実としてね、IBFを海外でずっと狙ってやってきて、獲って日本に帰って来たでしょ。そうすると海外と違って、日本は設備がきれいで、ちゃんと予定が決まってて、順序に沿ってリングに上がれるわけじゃないですか。それは便利で素晴らしいことなんやけど、あのなんていうんやろうな…。

HB-南アフリカとかメキシコとかで感じた昂ぶる気持ちと、何かが違うと(笑)

中出-だから、おんなじ『君が代』聞くんでも、ヨハネスブルグとかメキシコのリングで聞くのと、日本の府立で聞くのとは、こっちの気持ちとしたらホンマに全然、それはもう全然違うんですよ。

HB-それはそうでしょうね。そういうことを、辛さも面白さも一回体験をしてしまうと、もう後戻りできない(笑)

中出 そうなんですよね。だからと言って「じゃあもう一回海外挑戦やれや!」って言われても俺も仕事あるし(笑)。実際試合行ったら、一週間二週間は本業も手付かずですからね。まあ俺の思いとしては本当はプロで、ライトフライの試合やってからと思ってたんですけどね。

HB-今チャンピオン日本人ばっかりですからね

中出-でも高山にしたら今から、オリンピックの予選に行ける行けへんは別に準備をしたいと。

HB-実際、あと一年プロやったら、オリンピックは時間的に無理ですよね

中出-怪我と付き合いながらはやっぱり必死じゃないですか。正直胸のうちを言うたらね、僕自身も(高山選手が)怪我のストレスをかかえながら試合をすることに結構疲れてたんですよね。実際、スタイルも変わらざるを得んようになってね。僕はメロ戦とか新井田戦のときのスタイルが本来やと思ってるんですよ。パンパンとパンチ入れて遠いところに離れてという。

HB-あのスタイルを現在のフィジカルが上がった状態で出来れば一番いいんだけど、目の怪我があって出来ない。

中出-だから、今はもう正直パワーファイトですよ。トレーナーの立場から言えばここ何年は、全部明確な試合なんですよ。例えば日本の選手、小野、原、大平、加納辺りだとフィジカルで圧倒できるから、瞼切っても体力で潰しに行ける。やられたパターンは、明らかにデカいやつ。ロドリゲスはフライでも出来る選手やし、アルグメドはバンタムもやったことあるような、やられたんはサイズが違うやつばっかり。さすがにこういう選手相手だと、攻めれば被弾もするでしょ?自分達としては、アルグメド戦はライトフライへの挑戦の試金石になる試合だと位置づけてて…。

HB-『アルグメドを捌けたら昇級できるやろ』と。

中出-パワーで上回れたらなんの問題もないし、きれいにボックスしきれればそれはそれでよしと思ってたのが、それすらも試す前に1ラウンドから目を切ってね。

HB-とはいえあの試合もスコアは競ってましたからね

中出-そうそう。ボディ大分効かせたからね。まあ、たらればはないんですけど、ただあの試合を落としたことでね、高山本人にちゃんと聞いたわけや無いけど、加納陸との試合はマックスで集中してたと思います。あの試合はこっちにとってはタイトルを取り戻したいという試合やったけど、多分高山にとっては加納に勝ってタイトルをもって卒業したいという、そういう試合やったと思うんですよ。だから最初から思い描いてた通り、チャンピオンのまま卒業して、大学に進学して東京オリンピック挑戦を表明したということじゃないですかね?

プロアマの架け橋になれるか?

中出-アマの関係者に失礼があったらアカンとは思いつつ、一石を投じることにはなってしまいましたよ。だけどアスリートの思いとしては、僕はそれでいいと思うし、そうあるべきやと思うんです。昔からオリンピックについてはね「参加することに意義がある」と言いますけど、別に予選を免除してくれとかそういうことを言ってるんじゃないんですよ。

HB- 同じ条件で挑戦したいと言ってるわけですからね

中出-予選で負けたら、それはそれでしゃあないじゃないですか。

HB-実際問題として僕は、出場は相当厳しいと思うんですよ。

中出 僕は高山に言いましたよ「お前な、プロとは全く違うぞ」と。3 分 3 ラウンドというシステムはね、カルロス・メロとかイサック・ブストスとやってたころやったら、順応するのは速かったと思うんですよ。でも最近の試合なんかね、スコアシート見たら前半殆どとられてるんですよ。

HB-スロースターターになったということですか?

中出-いやスロースターターというか、目が怖くて行けなくなったんですよ。『目にアクシデント起こらなければ徐々にペースを上げて、もし目が切れたらそこから全力疾走』というスタイルやから。ホンマやったら前半からポイント獲って行きたいんですよ。逆に言うたらフィジカルが強くなって技術がついたから、前半 2,3 ラウンド落としても挽回できるようになったとも言えると思います。

HB-引き出しが増えて、前半とられてもまくれるようになったということですね。

中出-典型的なのは小野戦ですよ。前半ラウンド落としてもいいから 8 ラウンド以降で絶対捕まえるという、確信を持ってたんで。小野は変則やか、前半ストレート貰うのは覚悟しとったんです。ただパンチ力が無かったから良かった。パンチで両方切れたけど、あのころはまだ瞼も余裕があったんですよ。

HB-今のアマはルールが変わってかなりバチバチになってますね。昔のアマのイメージというかタッチボクシングと言われた時代とはまるで違いますよね。

中- あれ(現在のルール)は俺らの時代ですよ。俺が大学で競技やってた35年以上前のノーヘッドギアでバチバチのスタイル。プロが 1500 メートル、3000 メートルをペース配分考えながら走る競技やとしたら、アマは 100 メートルダッシュみたいなもんじゃないですか。3 分 3 ラウンドで最初から獲るにはゼロから考えるくらいの気持ちでいかんとあかんなと。ただ、高山が挑戦を表明することで、アマ側にも目が行くと言うか、注目が集まってほしいと思ってるんですよ。

HB-それは本当に思いますね。

中出-プロから国内のトップ選手が来たら、アマ側のトップ選手もね「プロのチャンピオンがなんぼのもんじゃい」となってね、その結果本当に強い選手に注目が行くようになればね、貢献できるんちゃうかなと思うんですけどね。

HB-レスリングの予選にプロの総合格闘家の山本KIDが出た時も話題になりましたよね。で、アマの選手(アテネ五輪銅の井上謙二選手)に腕折られて、「やっぱり国内のトップ選手って凄く強いんやな」ということが普段アマレスを見ない人にも伝わって。(山本KID選手の敗戦を伝える記事→山本KID、8強どまり レスリング全日本選手権そういう健全なフィードバックがあればいいと思うんですけどね。

中出-そうそう、それがスポーツじゃないですか。ブログに書いたことで、どこまで伝わったか分かりませんけど、俺からしたらオリンピック予選の二回戦で負けて、「アマも強いわ~」ってなったら、それはそれでいいんですよ。ただスタートラインにも着かれへんというのは。

HB-問答無用で門戸を閉ざすのはちょっとね…。

中出-それは何かがおかしいじゃないですか。

HB-オリンピックのボクシング競技を統括する日本ボクシング連盟(以下日連)の山根会長は今のところ「ダメ」という見解みたいですけど。

中出-まあ、まだ分からないですよ。高山は山根さんに会いに行ってますし。

HB-プロ経験者の締め出しは、上部団体のAIBAの方針ともぶつかりますしね。

中出-日連はAIBAの決定に一票を投じてるわけじゃないですか。そこは矛盾してる。まあここからはね、僕らの力だけではどうにもならないことも多いんですけど、ただこの国の憲法では別に何言うてもええわけですから。あとは、出れるならベストを尽くす、ということだけです。

HB-実際にエントリーするとなったらどういう手順を踏むわけですか?

中出-まだわかんねえ!(笑)

HB-そこはこれからで(笑)。

中出-時間的なリミットは決まってますからね。高山とも何日か前に言うてたんですけど、なるようにしかならんで、と。だからリラックスして待ちますよ。逆に、今回のニュース聞いてどう思いました?

HB-出稽古で近大のボクシング部とかに行ったときに、冗談か本気かは分かりませんけど「オリンピックどう?」みたいに言われてたじゃないですか(笑)。当時から「あ、面白いな」とは思ってました。東京であると言うことは大きいですよね。今IOCが方針として「最高の競技レベルを求める」というアジェンダを出してるのがAIBAのプロ容認の根拠なんですよね。だから日連が、IOCやAIBAの方針を無視してシャッタアウトするのは、ルール上おかしいと思います。

 現在オリンピックに参加希望する各競技の統括団体は、正式競技の座を巡って、激しい競争を繰り広げています。ドーピング検査の実施実績、テレビ中継にあわせた様々な工夫(柔道競技のカラー胴着、レスリングのチャレンジ制度・ビデオ判定の導入、陸上競技や水泳競技のマルチカメラによるスペクタクルな映像作り、試合時間の短縮努力)、プロ参加の奨励による競技レベルや注目度の引き上げ、参加国の拡大、女子競技の必須化=ジェンダーフリー化等々、IOCの要求する水準を満たせない競技は正式競技から容赦なく外されていくことになります。このIOC方針の下で、ロンドンとリオ五輪では野球・ソフトが正式競技から除外され、リオ五輪ではレスリングの除外が検討されたことはご存知の通りです(野球ソフトは東京で復活し、レスリングは結局残留)。

 正式競技から外れると言うことは、スポーツ競技としてもマイナー化し、IOCからの巨額の分配金もなくなって統括団体の財政が著しく脆弱化することを意味します。現状IOCに対抗できる発言力をもつ競技団体は、世界最大のNGOと言われ、W杯と言うオリンピックに拮抗するビッグイベントを擁して潤沢な資金力を誇るFIFAくらいでありましょう。ボクシングとて、伝統競技だからと安閑としていられない状況であります。

 IOCが2014年の総会で決議したアクションプラン『アジェンダ2020』には、プロリーグとの関係を構築する、として以下の提言があります(JOCのHPへのリンク→オリンピック・アジェンダ2020)。以下に引用します。

提言8
プロリーグとの関係を構築する
以下を目的として、各国際競技連盟を通じプロリーグやプロ組織に投資し、これら
との関係を構築する。
・最も優れた選手の参加を確実なものにする。
・各プロリーグのさまざまな性質や制約について認識する。
・関連する各国際競技連盟と協力し、臨機応変に最適な連携モデルを採用する。
(引用以上)

 IOCははっきりとプロ選手の参加と、プロ・アマ団体双方の和合を模索することを提言しています。AIBAがプロ競技としてはじめたもののいまひとつ話題性に乏しい、WSB(ワールドシリーズボクシング)やAPB(AIBAプロボクシング)もIOCのこうした提言・方針をうけたものなのでありましょう。プロアマの関係が良くないのは、国内だけでなくAIBAとプロ側のメジャー4団体とて同じであります。ですが、プロ側とて選手育成や『オリンピアン』『メダリスト』という肩書のブランド価値によって、ビジネス上多大な恩恵を受けているわけですから、ボクシングがオリンピック競技から外れれば、少なからぬ悪影響があると思います。不毛な争いはやめて、お互いに益があるような関係構築を模索するべき時期だと思うのですが…。何よりプロ参加の奨励は、IOCとAIBAの方針であり、日連が指針をたがえるのは自己矛盾ではないのか?と個人的には思えます。

中出-どんな風に理論構成をしていくか…。でもIOCがそう言っているなら、それがオリンピックの理念じゃないですか。

HB -今はキックのジムに行ってるような選手でも、パンチの巧い子なら「オリンピックのボクシングに出たい」と言う機運はあるみたいですね。伝統空手も正式競技になって、格闘技間での選手の奪い合いはますます激しくなると思います。

自信はある!挑戦させて欲しい!

HB-ちょっと話が前後しますけど、(プロでの)ライトフライへ上げての二階級目への挑戦は、具体的にかなり模索したんですか?

中出-僕はしましたよ。魅力的なカードの話が具体的にあったんですよ。ただオリンピックは、高山にとってはそれ以上にもともとの目標だったということでしょうね。

HB-やっぱり海外でIBF挑戦や統一戦をやったりしたように、誰もやったことが無いことがしたい、というのが大きいんでしょうね。

中出-それプラス、瞼の治療に一年かかるという条件が出てしまったというのも大きいですけどね。

HB-トレーナーの立場から、中出さんは今の状況でオリンピック予選を戦って、高山選手を勝ち上がらせていく自信はありますか?

中出 そんなもんあるよ!

HB ありますか!

中出 そんなもん何年一緒にやってると思ってるのよ!「これはやったる」というのはあるよ。

HB 秘策と言うか…。

中出 秘策とかじゃないよ。

HB 以前電話で「甘く見てるわけじゃないけど、自信はある」とおっしゃってましたが。

中出 やっぱり基礎力ですよ。ジャブ一発、ストレート一発どれだけノーモーションで打てるか。生命線は基礎に忠実であることでしょう。それと 3 分間の中でいかに速い駆け引きが出来るか。

HB 確かにそこに関しては高山選手はプロの中では向いているタイプだと思いますね。

中出 今のプロ選手のなかではNo1くらいにアジャストしやすい選手やと思いますよ。スピードの中で同時に駆け引きが出来ますからね。

HB 今の採点は手数がないと勝てないですしね。予選に出れるとしたら階級は?

中出 ライトフライになるでしょうね。

HB ありがとうございました。今後もなりゆきを見守りたいと思います。

最後に「自信はある」と言う力強い宣言が出ました。やはりこうじゃないと面白くない。あとはJOCや日連がどのようなリアクションをとるか?注目して待ちたいと思います。ただ、インタビュー中でも触れたように、問答無用で門戸を閉ざすようなことはやって欲しくないなあと思います。

そして、東京オリンピックを契機にして二つのボクシング界が和合し、より大きく発展できる契機になって欲しいと願ってやみません。

キックや総合の選手の五輪挑戦は容認されるのかというのも気になる(旧徳山と長谷川が好きです)

『高校卒業→大学入学』からの『世界王者のままプロボクシング引退!』からの『東京オリンピック挑戦宣言!』 中出博啓マネージャー兼トレーナーに聞いた、展開がダイナミックすぎる高山勝成選手の今までとこれから PART1

 相変わらずのフットワークであります。高山勝成選手とその陣営は、またも日本のボクシング界に風穴をあける『東京オリンピックのボクシング競技への挑戦宣言』という仰天プランをぶち上げました。!

 JBC発給の国内ライセンスを返納し、南アフリカ・フィリピン・メキシコと世界をまたにかけて、当時日本国内未承認のメジャータイトルを追いかけることあしかけ 4 年。2013 年にメキシコにおいて、日本人ボクサーとしては 21年ぶりの敵地勝利でIBFタイトルを奪取。それは日本国内でのIBF承認までわずか 12 時間という、余りにも劇的なタイミングでありました。

 当時の事情が良く分かる、国内復帰直後のインタビューはこちらの過去記事をご参照ください→高山勝成選手インタビュー&スパーリングレポート  インターバル40秒で12R!

 IBFタイトルを保持したまま、2013 年に仲里ジム所属で国内復帰。2014 年には、海外挑戦の盟友である山口賢一選手の行き過ぎたサジェスチョンを受けて、愛知県の菊華高校に入学し、なんと三十路の高校生に。

 一回りも年が違う学友達と机を並べて勉学に励みながら、メキシコでの敵地統一戦や国内での二団体同時決定戦など本邦初のビッグマッチを次々戦い、IBFやスポーツイラストレイテッドから年間最高試合に選出され、トレーナーの中出氏はエディ・タウンゼント賞まで受賞。この春には、高校を見事三年で卒業し、4 月からは菊華高校と同じ学校法人が経営する名古屋産業大のスポーツビジネスコースへと進学。

 海外での世界タイトル奪取から、高校入学、海外での統一戦、二団体同時決定戦と前代未聞のチャレンジを連発して、常にボクシング界に一石を投じてきた高山選手とチームライトニングKが、次にぶち上げたのが『東京五輪挑戦』であります。

 2016 年のリオ五輪から、IOCの意向を受ける形でのAIBA(国際ボクシング協会)の方針転換により、プロボクシング経験者がオリンピックのボクシング競技に出場できるようになり、いきなりタイのアムナット・ルエンロンや、来月日本で村田諒太選手と対戦予定のフランスのハッサン・ヌジカムといったチャンピオンクラスの選手がオリンピック本番のリングに上がりました。高山選手の挑戦表明は、そうした情勢の変化を受けてのものでありましょう。

 高山選手の国内復帰後、キャリアの節目節目で常に陣営の話を聞いてきた当HARD BLOW!としては、これは話を聞かんわけにはいきません。と言うわけで、チーム高山の中出博啓マネージャー兼トレーナーに色々とお話を伺って参りました。

    中出氏
   高山勝成選手のマネージャー兼トレーナー中出博啓

ロドリゲスjr戦から加納陸戦まで

HARD BLOW!(以下HB)-高山選手は(オリンピックボクシングに)転向ということなんですけど…。

中出博啓氏(以下中出) -引退や!(笑)

HB-プロボクシングを引退して、東京オリンピックを目指すという発表があったわけですけど、ここのところ毎回瞼の問題があって、まともに終わらない試合が続いたじゃないですか。そのことは引退の決断への影響は、大きかったですか?

中出-(2013年に)メキシコでIBFとって、それで翌年高校に入ったでしょ。そのときに彼(高山選手)が言ってたのは「チャンピオンとして高校に入ったから、卒業する時もIBFのタイトルを持ってたい」ということ。それと「出来れば統一戦でWBOのタイトルも獲りたい」と。それが、ここ数年の彼のモチベーションやし、目標やったと思うんですね。で2014年に不運にも、まあ私も病気(脳動脈瘤)しましたけど、彼もメキシコのフランシスコ・ロドリゲスjrとの試合で負けてね。あれもね、かなりしんどい判定やったんですけど、結果的に落としてしまった。でも、アメリカでスポーツイラストレイテッド誌の年間最高試合貰ったり、競った試合ではあったんですよ。でもやっぱり敵地やったな、えらいことになったな、とりかえさなアカンな、と思ってたら、ロドリゲスが相当ウエイトがきつかったみたいで、結果的に両方返上するんやけど、まずIBFをリリースして。

HB-高山選手との試合でも計量で揉めてましたね

中出-あの時一時間かかったんですよ。あれテカテビールの本社でね、一時間テンカラ干しのところで待たされて、アイツあれでリミットなったんちゃうかな?

HB-暑いところで直射日光浴びてたらウエイトが落ちた(笑)


中出-あの時の秤ね、誰が乗っても、俺が乗っても針が 47.6 キロになるようになってて。秤のチェックのために用意してた、水入れた1リットルのペットボトル乗せても針がグーンと47.6になって(笑)。

HB-「おかしいやろ!」と(笑)

中出-ほんならメキシコ側のやつが「いや1リットルの水と言っても、ピッタリ1キロじゃない」とか言い出して。そんな微妙な次元の話ちゃうやろ!というね。

HB-どうやっても 47.6 キロにはならないですよね(笑)

中出-ほんで秤替えさせて、調整してそれで乗ったら(ロドリゲスは)リミット丁度やったんで、多分5、600のオーバーで、こっちが抗議してる間に落ちたんと違うかな?まあ話とんだけど、あの試合が物凄い白熱したいい試合やったんで、WBOのランキングも好意的に評価してもらえて、次の大平戦で運よくWBO統一できて。それで、問題はその次の試合、ファーラン・サックリンJr戦。この試合で両目いったんですよ。高山のボディでファーランが腰折った時に頭がぶつかって。自分も目の前で見てたから分かるんやけど、TBSのカメラが撮ってた映像をスローで見たら、頭がぶつかって血が出ました、という一部始終が写ってるんです。

瞼の怪我との戦い

中出-試合後にファーラン側が「最後まで出来たやろ」「TKOやろ」ということでIBFに提訴して、IBFも審議したんですけど、我々が違うアングルからの二つのビデオ映像を送ったら、明確なバッテイングやと分かってもらえて、ファーラン側の提訴は認められなかった。けれど、その審議の間こっちは待機状態になったんですね。怪我してたから、良かった面もあったんですけど、6 月くらいまでファーランと再戦するのか、それとも指名試合を優先するのかが決まらない状態になってしまった。僕らからすれば、再戦でも良かったんですけど、カードとしても新鮮味はないし、試合自体も競ってる内容でも無かったし、何よりはっきりバッテイングやと分かってましたから。
 一方で当時のトップコンテンダーだったアルグメドは二重契約のトラブルがあって、試合契約が出来ない状態が続いてた。だから審議の結果が出るのを待ってる間も、IBFには「指名試合が出来ないのはアルグメドの契約問題が原因なんやから、こっちの落ち度じゃない。こっちは指名試合をする意志はあるんだから、早く指名挑戦者を決めてくれ」と言う要求はしてたんです。こっちとしては早く指名試合をクリアしたかったのに、なかなか決まらなかった。そしたら大橋ジムから、原隆二戦の話が来て、そっちを先にしようということで原戦を決めてきた忘れもせんその日の夜、帰りの新幹線の中でIBFからアルグメドとの対戦命令が出たと知ってね。「いやこっちは原戦決めたから」と言っても、IBFは「原戦の対戦契約があるにしろ、先に指名試合をしろ」と言ってくるしで、それを交渉でアルグメド戦は 12 月にしましょうということでなんとか合意して、それで原戦をやったら(ファーラン戦と)同じ場所にまたバッテイング食らって…。あの時の傷がまたものすごい大きくて。見た?

HB-かなりパックリといってた、と。

中出-血止めするときに綿棒の先端が完全に入ってしまうくらいの深さで、あの試合が 9 月やったからとても12 月に間に合うような怪我やないぞ、と。

HB-原戦の前に電話した時も「なかなか調子が上がってこない」みたいな話はされてたじゃないですか。

中出-結局実戦が出来ないんですよ。スパーが。アルグメド戦はノースパーやし、原戦の前も 30 ラウンドもやってないんと違うかな?だから圧倒的に実戦勘が足りない。アルグメドに関しては、強引に振り回してくる選手やから、離れたら見えるやろと思ってました。だから近づかんようにして、試合はおもろないか分からんけどアウトボックスしようやと決めてた。ところが結論から言うと、アウトボックス出来なかった。アルグメドが、最初から思いっきり出て来たんで。傷は治ってないから、1 ラウンドから血が滲んできて、被弾して出血量が増えて目に血が入ってくるし。もう、ひっつかな仕方が無い、ということでくっついて打ちあって。でもサイズが全く違うし、やっぱり被弾も増えて。まあ、止むを得ない結果やったと思うんですね…。でタイトル失ったけど、これはもう無理やり行ってるような試合やったんで、半年から一年くらい開けてもライトフライに上げるかしかないよな、と思ってたら(田中恒成の保持していた)WBOが返上になって空位になって。でも加納とサビージョの試合の時、高山が会場に行ったら丸元会長が「高山君それ目治ってるの?」と聞いてくるくらい腫れてる状態で、「これは目を狙って来るやろうな」と思うくらい腫れが全く引かなかったんですよね。まあ加納戦はアルグメッド戦よりはスパーは出来たけど、それでも 30 から 40 ラウンドくらい。やれるだけマシやみたいな。で自分個人の構想としては、なんとかここでWBOのベルト取り返して、実際にオファーはあったので、年末にベルト持ったままライトフライにアタックして、で年が明けてから一回くらい防衛戦してチャンピオンのまま卒業というふうに出来へんかな?と思ってたんですけど、加納戦でもやっぱり切ってしまって…。

HB-8 ヶ月開いてたわけですよね。それでも難しかった。

中出-アルグメド戦後の医者の診断では、最低でも 6 ヶ月開けないと難しいという話で、まあ 6 ヶ月後でもボクシングやっても切れないという強度があるというわけでもないよということでね、きついなと。で、案の定切れてしまった。

HB-切れたと言うか古傷がまた開いたということですよね。

中出-そうそう。で 4 ヵ月後の試合のオファーは来たんですけど、出来ないと。

HB-指名試合ですか?

中出-そうじゃなくてライトフライで。

HB-ああそうなんですか。大晦日ですか?

中出-そう。いい条件だったんですけどね、でも目の状態で出来ないとなって、その頃から僕もチラチラと、もうかなり不安が大きいし、高山自身も悩んでたようやし。

HB-毎回万全な状態で試合は出来ないということで悩んでたわけですね。

中出-それで一月から二月くらいに「引退」と言う言葉がちらほら出だして。まあ僕自身はね、万全な状態やったらまだ続けられるやろと思ってて。

HB-中出さんとしたら「もう一度万全な状態を作って続けたらええがな」と思ってたんですか?

中出-そう、目も手術してちゃんと治して。WBOは負傷を認めて暫定王者立ててくれてるし。でも本人が、ちゃんと治るのか確信が持てなかったと思うんですよ。実際今も腫れてますしね。

HB-幾ら医学が進歩してると言っても、出来ないことは出来ないですからね。

中出-信頼できる先生に相談してみて分かったのは、今までの治療で使った溶ける糸というのが均一に溶けるわけじゃないんで溶けてない部分が残ってたりして悪くなってるのもあるみたいなんですよね。だから一回瞼を開いて、そういうのもきれいにして、それと目の周りの骨が肥厚現象という、まあ一言で言うと分厚くなってるみたいなので、それを削ったほうがいいだろうと言われて。

HB-体が怪我した部分をリカバリーしようとした結果起きてることなんですよね。

中出-まあ一言で言うと骨がとがってるということなんですよ。

HB-中が尖ってるから、外から衝撃が来たら切れやすい。だから平らにする手術をするということですね。

中出-ただそのためには、手術のために二週間入院して一年間はボクシングの試合は出来ないと言われて。これは、年齢考えると非常に厳しい。もう一回、ミニマムでもライトフライでもタイトルを取り戻すと言うのは大変やな、と分かって、そのときもう高山はオリンピックのこと考えてたと思います。実は高校進学が決まった当時に、高校卒業して大学に入ったときにオリンピック挑戦を表明したいという話をしてたこともあるんですよ。僕はそういう予定についてはフレキシブルに考えとったんですけど、今年に入って引退と言う言葉がちらほら出た時に「まさかオリンピックか?」とは思ってたんですよ。俺としては、やつの口から直接それを聞くまでは、とは思ってたんですけど。まあ実際に、リオにアムナットとかが出て、でもう野球やサッカーではプロアマの垣根は無くなってるのは知ってましたし。

HB-IOCがもう方針としてアマチュイズムという観念は放棄してますからね。

中出-実質的にすでに最高の舞台でのプロのスポーツイベントということになってるんですよ。ブログにも書きましたけど→(中出博啓氏のブログ4月7日の記事『プロ アマ雑感・・』 )、高度成長期のサッカーで言えば古河電工とか、野球では言えば社会人野球の三協精機とかの時代も知ってますけど、今はもうまったくそういう時代ではないじゃないですか。

HB-そうですね。

中出-個人競技の選手も企業に所属するのでなく、肖像権を自分で管理したり企業にスポンサーになってもらって金銭を得て競技に専念できる環境を作るというプロ化がドンドン進んでるじゃないですか。

HB-トップ選手はそれが主流ですよね。

中出-まあ出来るかできへんか分からんけど、オリンピック…。まあ行けなかったらしゃあない。だからローマン・ゴンザレス戦負けた後の「WBOとかIBFとかプロの未知のタイトルに向かってやってみようか」という時と一緒なんですよ。俺はだから高山には何回も聞いたんですよ「あと一年はやってもいいんじゃないの?大体、試合して金稼がんでいいの?」って。

HB-まあそうですね。

中出-そしたら「僕はいいボクシング人生送ってきたけど、そっちじゃない」と。「誰もやったことないことをやってみたい。プロでは 4 団体獲ったんで、今度はプロからオリンピック行ってメダル狙いたい」って言ってるんで、そういう意味では高山は昔からぶれてへんなと思って、じゃそれを表明するしかないなと。

瞼の怪我が影を落とした高山選手のキャリアですが、果たしてオリンピックへの挑戦という大願は成就するのか?次回PART2へ続きます。

日曜は京都でなく刈谷に行く(旧徳山と長谷川が好きです)