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HARD BLOW !

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一ヶ月で三つの格闘技興行を見て感じたこと

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4月28日の久保隼×大沢宏晋戦より

四月から五月の連休にかけて、三つの格闘技興行を続けて観戦しました。今回は三つの興行を見て感じたことを書いていきたいと思います。

その前にちょっとお断りを。

最近はネット環境も2000年代と大きく変わり、観戦記や試合の感想はツイッターにあげた方が、速報性や議論のしやすさが段違いで、実際ページビューもかなり差があります。ですので、今後ブログは考えをまとめた上での評論や、一部好事家のニッチな需要を満たす(笑)インタビューやレポートなどの長文を載せる場所にしていきたいと思っています。

今後ご意見、ご感想はHARD BLOW!のツイッターまでよろしくどうぞ。直接会って文句を言いたいと言う方も大歓迎ですよ
       ↓
@hardblowblog

まずは4月14日の、今年初の生観戦となった久高寛之×翁長吾央と久田哲也×板垣幸司のダブル日本タイトルマッチの感想から。

沖縄にルーツをもつ者同士の決定戦となったスーパーフライ級の久高×翁長は、後がない二人のボクサーの日本タイトルへの執念がにじみ出る、なかなかに味わい深い内容でありました。

沖縄タイムスのWEBに、この試合についての素晴らしいエッセイが掲載されています。
[大弦小弦]プロボクシングの比嘉大吾選手が初めて敗れた日…

挫折を経たベテラン同士の意地のぶつかり合いを的確に描写しつつ、直近の世界戦で体重超過をして挫折を味わった比嘉大吾選手にエールを送るという人間味あふれる内容で、無味乾燥な記事ばかりのスポーツ紙や専門誌のボクシング記者は見習って欲しいと思えるようないい文章でありました。

メインの久田×板垣は、強打を狙いすぎて手数が乏しい久田に対して、板垣が軽快な出入りを生かしたボクシングで巧みにペースを握って先行する展開。終盤ようやく久田が手数をまして挽回したものの、板垣逃げ切りかと思いきや久田の僅差判定勝ち。久田は、板垣の速い出入りと軽快な連打につかまって、ここ数試合のパワーを生かして重い左で削って右の強打に結びつけるという展開を作れず課題の残る内容でありました。

日本タイトルマッチが二試合ということで集客はなかなか良かったのですが、やはりセミが終わったら帰ってしまうお客さんが結構いてメインが少し寂しい雰囲気に...。10回戦が二試合判定決着になったら時間的に居られなくなる人が出るのは分かるのですが、もうちょっとなんとかならんもんでしょうかね?

******************

続いて4月28日に神戸で行われた久保隼×大沢宏晋戦。

この日は前座で芦屋大学の出身の山内祐季選手と近畿大学出身の佐伯霞選手の公開プロテストが行われたのですが、なぜか「テストですので声援など送らないように」というアナウンスが。じゃ公開でやる意味なくない?と思いました。
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会場で佐伯選手のプロテストの観覧に来ていた澤谷廣典氏にもお会いしたので少し立ち話。当方はずっと追いかけている大沢選手の応援ですが、その場に居たアマ関係者の皆さんは軒並み久保選手サイドの応援でありました。
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久保選手はリングで見ると一際大きく、大沢選手とはかなり体格差があります。リングに上がると山下会長と手を合わせて相撲のような押し合い。これが今考えたらこの後の展開の複線になっていました。

1Rのゴングがなると大沢はボディストレートを伸ばしますが、久保のジャブと左ストレートが当たってヒットを稼ぐ。ラウンド終盤大沢の右もヒットするも手数は明確に久保。

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2Rには久保の左ストレートで大沢が鼻血を出しますが、ラウンド終盤大沢の右が当たって久保の腰が落ちる場面も。やはり大沢はパンチがあります。とはいえポイントは久保か?

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3Rも久保のワンツーにキレがあり、左が良く当たる。大沢は密着から右を当てるもポイントは久保。このあたりから徐々に揉み合い、密着が増えてくる。

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4Rも久保の左が当たるも単発気味。久保の単発の左が当たって密着という展開が増えて、膠着気味になってくる。
5Rに入ると大沢はポイントを意識してか、展開を変えようとプレスを強め、久保はバッテイングで流血。大沢は中間距離でのいきなりの右が有効。ここからポイント挽回できるか?と思いきや、大沢がもみ合いの中でホールディングで減点。クリンチが多いのはお互い様だし、少し唐突な感じがしました。
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6Rも中間距離で大沢の右が有効。久保は打っても打たれても前進&密着が増える。
7Rは大沢の右のビッグパンチで久保の腰が落ちる場面も。さらにホールドで久保が減点。これでポイント差は大分詰まったか?
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終盤も久保のジャブは切れているものの単発&密着が増える。もみ合いの多い展開を受けて大沢応援団からはブーイングが。
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終盤は打っても打たれても前進&密着の久保と、中間距離で右を狙う大沢という展開。見せ場となるような打ち合いがない、噛み合わない終盤を経て試合は終わりました。

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判定は2-1(97-95、96-93、94-95)で久保勝利。確かにヒットは久保が多かったですが、打っても打たれても中間距離を嫌って密着し、フィジカルを生かして押すという戦略一辺倒で、相撲のぶつかり稽古を見せられたような気分になりました。勝ちたいのは分かるのですが、一応安くないお金とって見せてるエンタテイメントとしてこれでいいの?と感じた次第。ボクシングのサバイバルマッチは、得てしてこういう膠着する展開になりがちなところはあるのですが、これは良い試合をすればファンから評価されてキャリアがつながっていくという信頼関係が無いがゆえではないでしょうか?というかお客がボクシングのファンでなく、選手個人を応援してる人ばっかりなので、勝たないと次につながらないんだよなあ。

別に大味な殴り合いが見たいと言ってるわけじゃないのです。例えば「世界ランカー同士の試合があるのか」と思って予備知識無しに見に来た人が「なかなか面白かったな。またボクシングが見たいな」と思わせるようなスポーツになってるか?ということです。

採点やレフェリングについても、北村ジャッジは10-10(減点を含まず)が4Rもあり、半分近く優劣をつけられないというのはジャッジとしてどうなの?と感じたり、川上レフェリーは自分は好きなレフェリーなのですが、最初の減点と帳尻合わせのような久保の減点に、終盤の闇雲な密着に対する注意がなかったことなど、こちらも疑問。

当方は大沢寄りで見ていてバイアスがかかってるとは思いますが、彼が負けたから言ってるわけでなくちょっといろいろモヤモヤする試合でありました。

それと専門誌やスポーツ紙の観戦記が「久保は後半も前進し、正面から打ち合って試合を制した」というトーンの記事ばかりですが、現地で観戦した身としては大いに違和感ありです。むしろ久保選手の前進は、密着してパンチを出させないようにするためじゃなかったですか?

勝つための戦略として密着するのはルールの枠内だから別に良い。ただ打ち合ったと報じるのはちょっと違いやせんですか?と思いました。

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続いてGWど真ん中の5月3日、大阪府立体育館で行われたキックボクシングの『KNOCK OUT』の興行のことを少し。

カードゲームやトレーディングカードの開発で急成長した、株式会社ブシロードが新たに手がける新興キックイベントの『KNOCK OUT』は、昨年首都圏で大ブレイクした連続興行。スキャンダルが続出し、内部統制に問題をかかえるK1や、2000年代のTV格闘技の残滓を大きく引きずるRIZINを尻目に、新たな格闘技メジャープロモーションとして着実な成長を見せています。新日本プロレスを買収してプロレス界に参入すると、あっという間に斜陽と思われていた団体を建て直し、新しいファン層を開拓したブシロードが、新規事業としてキックボクシングに参入してきたことは、個人的には大変喜ばしいことです。大企業が直接経営することで、格闘技興行にこれから果たしてどのような変化・影響が生まれるのでしょうか?

そんな『KNOCK OUT』が関西発上陸ということで、勉強もかねて観戦に行って参りました。

会場のエディオンアリーナで、東京から遠征に来た某マニアと合流。この人は、私にキックやSBの興行について色々教えてくれる知恵袋的なありがたーい先生でございます。

この日の当日券はなんと立ち見2000円。初期投資としてのお試し価格ということなのでしょうが、それにしても安い。これも業績好調な大企業が運営していて、新規事業として投資しやすいという環境があってこそ可能になることです。個人経営のボクシングジムではとても出来ません。

会場の地下の第二ホールに入ると、小さいながらもビジョンがあり、照明も効果充分。音響機器も持ち込まれており音圧充分で音質もクリア。半月前に同じ会場で見たボクシングのダブル日本タイトルマッチは、立ち見で5000円。勿論試合のクオリティは素晴らしいのですが、会場は蛍光灯で白々と明るく、音響機器も会場備え付けのもので故障していて音は割れててガビガビ。正直、殺風景&低クオリティなものでした。

関係者と観客のゾーニングもボクシングとかなり差がある。控え室に友人や取り巻きがドヤドヤと入っていけるようなつくりになっていない。会場の後ろで封筒にお金を出し入れしてチケット代の精算をやってる選手も当然居ません(笑)。実は久保×大沢の会場でのこと、私の席の真横で椅子に座っていた若いジム生のところに、井岡一翔の応援ジャージを来たジム関係者と思しきオジサンがいきなり駆け寄ってきて「オドリャー」とどやしつけたかと思うといきなりビンタをするという事件があって、客の前でやることかよ...と心底ゲンナリしたのでありました。KNOCKOUTの会場はそういうバイオレントな雰囲気は皆無でありました。

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何の予備知識も無い人はたしてどっちを見ますか?という話であります。

興行の仕切りもプロフェッショナルで、映像と音響とアナウンスの連携もスムース。選手のコールはリングインの時に行い、両者がリングに上がったらすぐゴングというテンポのよい進行で中だるみもなし。照明がリングにしか当たっていないので、観客はみな集中してリングを見ています。ボクシング会場によくいる試合中に試合見ずに立ち話してる人や、ラウンド中に席を立ってウロウロする人も殆どいません。ローブローやダウンシーンがあればすぐにビジョンでリプレイが流れるところも、大変プロフェッショナルでした。要はボクシング興行が手作りなら、こっちはプロがやってるショウビジネスという空気が濃厚なのです。

試合も様々なタイプの対戦が組まれており、マニアの解説を聞きながら堪能。見事な回転ヒジでKO勝ちしたタネヨシホ選手が個人的なMVPですが、メインを任された大月晴明選手の華のある試合も最高でした。

このマニア先生が以前から私に言っていたのは『キックのファンサーヴィスと興行を盛り上げる工夫は、ボクシングよりかなり進んでる』ということでした。会場で次の興行のチケットを販売していたり、受付で試合に出ない選手がサイン会をしていたりといった工夫が普通に行われているのです。またビジョンで選手のプロフィールや試合の見所を流して観客に周知したりといったところも親切。

ボクシングファンはとかくキックや総合を馬鹿にする権威主義者が多いですが、はっきり言って経営面も含めてキックの方が進んでることはかなりあります。特に旧弊なファンがもっている、プロボクシング観戦を巡る陰気な精神主義・権威主義は害毒ですらあります。

ブシロードの参入で旧態依然の格闘技興行の世界に新風が吹き込まれて、沈滞した空気が刷新されることを強く望みます。

JリーグのV・ファーレン長崎は、ジャパネットたかたの創業者高田明氏を社長に迎えることで、破産寸前の経営危機から財務状況がV字回復し、成績も上昇。社長交代から、わずか一年でJ1昇格を果たしました。リクルートのアジア法人トップからヘッドハントされJリーグチェアマンに抜擢された村井満氏は、DAZNとの巨額放映権契約を締結し、Jリーグに一千億円もの巨額の手元資金をもたらしました。

ボクシング界もまともな投資、まともな経営者を呼び込める世界を目指せばまだまだポテンシャルはあると思います。

大沢選手の敗戦がとにかく残念だった(旧徳山と長谷川が好きです)

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4/28 神戸 久保隼と世界ランカー対決!大沢宏晋打ち上げスパーレポート

大沢宏晋選手についての過去記事はこちらから→大沢宏晋

いよいよ前世界王者の久保隼選手とのサバイバルマッチが迫って来た大沢宏晋選手。昨年の再起以来、全ての試合に進退をかけて挑んでいる大沢選手ですが、小細工をせず世界ランカーを連破して着実にランキングを上げて来ました。ここで久保選手を退ければもう一度世界が見えてきます。

先週火曜4月17日に行われた、最終スパーリングにお邪魔してきました。

ジムに着くと大沢選手はアップ中。ウエイトを伺うとあと4キロ弱で極めて順調とのこと。サウスポー相手のスパーは、先週も日本ライト級8位の脇田将士選手相手にインターバル30秒で長いラウンドをこなしており質量とも充分。私が見学した二週前のスパーではダウンを奪うシーンもあり、サウスポー対策はかなり順調に見えました(そのときの記事はこちらから→4/28神戸 久保隼とのサバイバルマッチに挑む! 大沢宏晋スパーリングリポート

アップ中に雑談していて知ったのですが、なんでも大沢選手本当は左利きなんだそうです。なのになぜか構えはオーソドックス。右利きの人がわざわざ左に変えると言うのはよく聞きますが、逆は珍しい。そうなった経緯を伺うと「初心者の時に『構えてみろ』って言われて自然にやったら左手が前になったんですよ。『左利きやったら逆やん』って言われたんですけど『左を制するものは世界を制するって』聞いたことがあったんで、これでええかって」と、野生児らしい答えが返ってきました。

この日のスパーはインターバル1分で8R。前回の記事でも書きましたが、パートナーの脇田選手も4月30日にスーパーフェザー級の日本ランカー杉田聖選手とのサバイバルマッチを控える身。お互いが試合直前で減量中のキツいコンデイションの中でどこまで想定した動きが出来るか?

序盤は大沢選手がボディストレートから攻勢。
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しかし脇田選手もスパーを重ねて大沢選手のスタイルに慣れてきたようで、体格を生かしてジャブで挽回。

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細かいボディうちやアッパーを織り交ぜて、中盤は脇田選手が押し気味。

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大沢選手はやや疲れ気味か?とはいえ打ち合いになれば階級が下なのに打ち勝つ場面が多い。

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脇田選手も負けずに打ち返す。

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大沢サイドの中島トレーナーからは、再三前足の位置を外に置くように注意が飛ぶが、脇田選手は有利なポジションを渡さずヒットを重ねる。

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大沢選手は後半ロープに詰めて反撃。

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ボディからの連打。

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ラスト30秒は両陣営から「出し切れ」の合図が出て無酸素ラッシュで打ち合い!

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終了と同時に、両者バッタリと倒れこみました。

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仲良く路上でクールダウン。

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大沢選手は「苦しい中で最後まで動けたけど、足の位置は修正が要りますね」とベテランらしく淡々と振り返り、脇田選手は「インターバルが一分になって大分余裕がありました。今日はやれましたけどやっぱり大沢さんは強い。パンチが強いのは勿論ですけど、思ったより伸びてくる。いい人と練習できて本当に勉強になります」と世界ランカー相手にいいスパーが出来て手ごたえを感じた様子でした。

大沢選手は中島トレーナーともう一度足の位置を確認。いかに前の足を外に出すか?が本番では鍵になります。ライト級の選手相手でも打ち合って捕まえてしまうパンチ力は大きな武器で、昇級初戦の久保選手には脅威となるでしょう。

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対する久保選手と経験豊富な真正セコンドは果たしてどのような作戦をとってくるか?週末の試合を楽しみに待ちたいと思います。

連休は二回旅行に行く(旧徳山と長谷川が好きです)







4/28神戸 久保隼とのサバイバルマッチに挑む! 大沢宏晋スパーリングリポート

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 当HARD BLOW!ではすっかりおなじみとなった、大沢宏晋選手の近況レポートです。

 JBCの内部抗争に巻き込まれた不当なサスペンドから再起し、連戦連勝でラスベガスでのビッグマッチにこぎつけたものの、痛烈な敗戦。しかし、腐らずすぐに再起し、昨年世界ランカーを連破してすぐに世界の舞台に復帰した大沢選手のキャリアはドラマチックな起伏に富んでいます。是非当方の過去記事を読んで、彼のボクシングロードを知って頂きたいと思っております。

 大沢宏晋選手についての過去記事はこちらから→大沢宏晋選手の過去記事

 その大沢選手の今回の試合は真正ジムの元世界チャンピオン久保隼選手との対戦と言う、関西では珍しい世界ランカー同士のサバイバルマッチ。2016年の世界挑戦失敗後、復帰4戦中3戦が世界ランカーとの対戦と言う濃すぎるマッチメークとなっています。小さなジム所属というハンデをものともせず、世界ランカーに連勝すると言う正攻法で世界への階段を這い上がる大沢選手。

 今回の試合はファンの関心も高く、カードで観客が入ることは滅多にない関西でも異例の注目度となっています。

 当方はずっと大沢選手を取り上げてきた関係上、大沢選手に肩入れしているのは当たり前なのですが、昨年の久保選手のセルメニョ→ローマンと続いた二つの世界戦は失礼ながら、世界との距離を感じさせる内容であったと思います。まして久保選手は再起戦で、尚且つフェザー級への昇級初戦。私としては大沢選手の勝利を予想せざるを得ないところであります。とはいえ大沢選手の直近二試合は正直もどかしい出来で、快勝とは言いがたい内容。久保陣営・真正ジムサイドはその辺も織り込んで『大沢組し易し』と判断しているのやも知れませんが、とはいえ再起戦でいきなりこの試合を選択する心意気はこちらもお見事。両陣営の気風のよさが印象的です。

 というわけで興味津々でロマンサジャパンボクシングクラブにお邪魔したところ、大沢選手はまだ来ておらず中島利光トレーナーとしばしお話。昨年末は試合間隔が短くて大変でしたが、今回は発表も早かったし調整はバッチリですよね?と聞いてみると「いや~実は今年に入ってアキレス腱やって走れなくて大変やったんです」と苦笑い。「二ヶ月前には完治しているので心配なし」とのことですが、相変わらず大沢選手色々あります。先ごろ連勝して日本ランキングに入った大沢選手のジムメイト金井隆明選手について伺うと「これは本当に努力の結果。25から始めてプロになって、4連敗した後日本ランキングに入るというのは凄いこと」とのとこ。

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金井選手の近影。一昨年の写真ですが...。

 としばらくすると大沢選手登場。練習前に少しお話を伺いました。(大沢選手の発言は赤文字

HB「またも世界ランカーとの対戦となりましたが」
大沢 この間真正ジムの世界戦でリングで挨拶してきたんですけど、久保は『新しい自分を見せる』とか言うててはぁ?ってなりましたわ。たった半年で何が変わるんですか?僕ははっきり『自分が勝ちます』と言ってきましたよ。
HB 大沢さんは試合が決まってからずっと久保に怒ってますね(笑)。
大沢 ボクシングビートの記事読みました?『胸を借りる』とか言ったりね。あっちが元チャンピオンで格上でしょ?何を言うとんねんと。あんなこと言うからボクシングと言うスポーツが舐められるんですよ。
HB 僕は正直去年の久保の二試合は評価していないですけどね。特にローマン戦はまさに完封負けで...。
大沢 久保は戦績はええですけどね、僕とはやってきた相手が違いますよ。修羅場は僕のほうがくぐってます。
HB 大沢さんの直近の二試合見て『これならいける』と思われてるフシもありますが...。
大沢 エリック・デストロイヤーとアレクサンドル・メヒア、どっちもやりにくいいい選手でしたよ。全然楽な相手じゃない。あいつらに競り勝ったことは自信になってます。

 実は試合が決まってから大沢選手と何度かやりとりはしていたのですが、モチベーションは一貫して高く対戦に向けて久保選手への敵意はグングンと上昇しており、試合に向けたこういう盛り上がりはファンとしては大歓迎したいところです。

 スパーリングパートナーとして呼ばれていたのは堺東ミツキジム所属の日本ライト級8位の脇田将士選手。二階級上で身長180センチの長身サウスポーを仮想久保に見立てたスパーであります。脇田選手も4月30日に、長らく日本ランキングを守る奈良ジムの杉田聖選手とのサバイバルマッチが控えています。両者生き残りを賭けた本気の調整中と言うことで、緊張感の高いスパーとなりました。

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脇田選手のジャブ
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ボディストレート
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当初6ラウンドの予定だったスパーですが、3R目に大沢選手の右がクリーンヒットして脇田選手サイドがダウンを要請し中断。ダメージを考慮して5Rに短縮となりました。
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とはいえ脇田選手の左のビッグパンチも何度かクリーンヒットしダウンシーン以外は良い打ち合い。
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大沢選手はボディを効かせてラッシュ
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終盤は激しいパンチの交換となりました。
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 終了後は意見交換。ダウンでラウンドが減ったことを謝罪した脇田選手は悔しがりますが、大沢選手は「練習やから、試合で上手く行ったらええねん」と感想を交えてアドバイス。お互い実りが多いスパーとなったようです。終了後お話を伺いました。

HB 距離の詰め方やボディからのコンビなど、サウスポー対策は上手く行ってるように見えましたが?
大沢 今週に入ってやっと感覚が合って来ました。先月は近大のアマのサウスポーに来てもらってたんですけど、その子が強くてやられてたんですけど(笑)。
HB アマの選手も短いラウンドなら本当に強いですよね。
大沢 いやホンマ短いラウンドじゃなくて6ラウンドやっても強いんですよ。ええ経験になりました。さすがに久保相手にジャブだけで展開作れるとは思ってないんで。入り方、距離の詰め方を色々試してね。

HB サウスポー相手となると、攻めれば必ずパンチを貰う場面が出てくると思いますが...。
大沢 それは今までの経験、やってきた相手が自信になります。久保のパンチじゃ倒れないですよ、僕は。
HB 大沢さんに勝ったオスカル・バルデスがこの間体重超過したスコット・クイッグ相手に凄い試合しましたね。
大沢 鼻の骨折ってるのにまっこうから打ち合って本当に凄かった。「俺はコイツとやったんや」と思ったらこんなところで負けられないです。

 サバイバルマッチに向けて意欲の高い大沢選手、この試合はファンの期待に応える熱戦になる予感がします。

 というわけで試合までレポートを続けたいと思います。

 久々にスパーを見て盛り上がった(旧徳山と長谷川が好きです)
 

大沢宏晋が世界ランカーに苦闘判定勝ち 12・24 大阪東和薬品RACTABドーム

大沢宏晋選手についての過去記事はこちらから→大沢宏晋

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 さる12月24日クリスマスイブに、東和薬品RACTABドームというやたら長い名前に変わった、大阪府立門真スポーツセンターで行われた大沢宏晋選手対アレクサンドル・メヒア選手の試合レポートをお送りします。大沢宏晋選手は現在WBAフェザー級11位で、一方はるばるニカラグアからやってきたアレクサンドル・メヒア選手は、WBAスーパーバンタム級12位。最近は国内じゃめっきりなくなった世界ランカー同士のノンタイトル戦であります。

 不景気風が吹き荒れる関西のボクシング興行事情を考えれば、中南米の世界ランカーを一年に二人呼んで試合した大沢陣営の路線は、極めて異彩を放っています。ファイトマネーはもとより渡航費だけでも相当な出費だと思われますが、金銭面以外でも選手の情報も乏しく、対戦そのものがかなりリスキーであります。

 中南米の世界ランカーとのノンタイトル戦といえば、当HARD BLOW!的に忘れられないのは、2010年に行われた、大沢選手と同じフェザー級の榎洋之選手とアルベルト・ガルサ選手の試合。榎選手はガルサの巧妙な反則ヒジうちの餌食となりTKO負けし、結局これが最後の試合になりました。当ブログは榎さんから提供していただいた映像素材を使って反則検証も行いました。以下はそのときの記事です。
   ↓
HARD BLOW!の原点
 ガルサ選手の反則ヒジ打ちを使ったダーティーなスタイルは、アウェイで勝つ為には手段を選ばない中南米選手の気質の一面を表していると思います。実際今回の大沢選手の試合も、メヒア選手の手段を選ばぬ勝利への執念に大いに霍乱される内容となりました。

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メヒア陣営はよく声が出てました。
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大沢陣営はロマンサの田中会長、金井選手、中島トレーナーのいつもの布陣。


 メヒア選手はYOUTUBEの試合映像では前後の出入りが速く、テンポのいいボクシングをするな、という印象。スピードはありますが、スタイル自体は正攻法かなというイメージでした。

 1Rは大沢得意のハードジャブが何発か当たり、距離が詰まればボディと言う定石どおりの攻めでよい滑り出し。メヒアの入り方はビデオ映像のとおり直線的でしたが、ただ上体の動きは良く、避ける技術は独特なものがあります。2Rには戦意旺盛なメヒアに強い左ボディが当たって効いたように見えました。

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 この時点では「このままボディ削っていけば、じきにメヒアの足が止まるかな」と楽観していましたが、メヒアは頭を低くしてもぐりこみ、ジャブとボディを避けながらの乱戦に作戦変更。ひたすら密着しての押し合いに持ち込んで、体力勝負の展開になります。大沢もフィジカルは強い選手なので、一階級下のメヒアのこの戦略は自殺行為ではないか?と思いきや、メヒアが押し勝つ場面が多く、大沢はロープを背負う場面が増える。ロープ際での左ボディでメヒアが失速する場面もあるのですが、すぐに回復し低い姿勢で接近してはしつこく連打を出してきます。

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メヒアの頭の低さをレフェリーにアピールする場面も

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 大沢がロープに詰まると、セコンドからは「押し返せ!」「回って広いところに出ろ!」と言う指示が出るのですが、メヒアのしつこい連打と旺盛なスタミナでなかなか思うような場面が作れず我慢の展開。大沢がいいレバーブローを当てても、メヒアは返しの頭へのパンチを上体の動きで交わして密着をキープし距離を潰す執念を見せる。この泥臭いファイトスタイルはビデオ映像とは全く違うもので、メヒアの試合を投げない勝利への執念と、近距離のデイフェンス技術、戦術の引き出しも見事。試合としては膠着していますが、両者の勝利への執念がぶつかり合う激しい展開となります。

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 12Rの最後大沢がラッシュを見せて見せ場を作って終了。判定は僅差2-0(96-96、97-96、96-95)で辛くも大沢の勝利となりました。メヒアの手数が評価された厳しい判定となりましたが、私の目にはメヒアの作戦は序盤のジャブとボディを受けての、苦し紛れのスタイル変更に見えました。あの作戦を、再三ボディを打たれながら10R完遂した執念と体力は凄いですが、勝ちはないと思います。

 メヒア陣営はセコンドもやる気充分で、「どんな手段を使っても勝つ」という勝利への執念を存分に見せてくれました。やはり勝負はこうでないといけません。大沢選手にとっては、意欲のある世界ランカーとの試合を辛くも勝ち残ったことで得たものは、かなりあったと思います。

 この勝利でランキング上昇は確実で、来年は勝負の年になります。ランカーと試合してなくてもランキングが上がっていく選手や、試合してなくてランキングが落ちない選手とは違う路線で再起ロードを駆け上がる大沢選手に、当方は来年も注目して行きます。ご期待ください。
 
 あメインの辰吉寿以輝選手は勝ちました!詳細についてはスポーツ紙や専門誌をごらんください。

 今年の生観戦は12回だった(旧徳山と長谷川が好きです)

またも世界ランカーと対戦 大沢宏晋スパーリングレポート

大沢 ポスター


 12月24日に一階級下の無敗の世界ランカー、ニカラグアのアレクサンドル・メヒア選手(戦績はこちらから→Alexander Mejia)と対戦する大沢宏晋選手の試合前打ち上げのスパーリングを見学させて頂きました。

 大沢選手についての過去記事はこちらから→大沢宏晋

 スパーがあったのは先週の木曜12月14日。前回の試合(11月5日)、から短いスパンで世界ランカー同士のリスキーな試合に挑む大沢選手。再起後三試合のうちの2試合が世界ランカー相手と言うハイペースぶり。

 今年はフェザー級近辺で、竹中良選手や天笠尚選手、林翔太選手、細野悟選手といった大沢選手と同世代のベテラン日本人選手たちが、次々と世代交代を象徴するような手痛い敗戦を喫して、キャリア上の後退を強いられています。

 日本では、フェザー級ともなると世界戦のチャンスすら稀。よしんば挑戦できても、敗戦すれば試合枯れしていくのが普通ですが、大沢選手はラスベガスでの敗戦後、再起戦で世界ランカーに完勝(試合記事はこちら)し、調整試合をはさんでまたも世界ランカーとの対戦を選択。もう一度のチャンスを掴もうと、高いモチベーションで邁進しています。

 はっきり言って日本国内に何度も世界ランカーを呼んで、勝ってランキングを上げていくような手法は金もリスクもかかるやり方です。ですが小さなジムで腕一本が頼りの大沢選手には、この道しかない。理不尽なライセンスの停止後も黙々と連勝してランキングを上げて来た実績のある大沢選手。彼はまたも愚直な、たたき上げのスタイルで世界への階段を登ろうとしています。

 今回の試合はもともと既定路線であり、調整試合を挟んだ世界ランカーとの連戦で年内に一桁ランカーに復帰して、来年もう一度世界戦を目指すと言うのが陣営の狙い。ですが、前回の調整試合は一旦試合が延期されると言うアクシデントはありましたが、正直消化不良で不安の残る内容でした(→記事はこちらから)。調整にぬかりはないのか?その辺も含めてスパー前にお話を伺って来ました。

HB「前回の試合は動きが悪く、少し変な試合になってしまいましたが...」

大沢「試合前のフィジカルのトレーニングが足りなかったのが原因ですね」

HB「急に試合が延期になったりしましたからね...」

大沢「それは関係ないです。自分が怠けたというだけで」

HB「原因は分かっている、と」

大沢「そうですね。今回はフィジカルもきっちりやってコルテス戦のときと同じくらいの仕上げになってます」

 ということで、ベテランであっても調整は常に試行錯誤、調整試合で問題点が出て良かったとも言えるでしょう。しかしベテラン選手ということで、年齢との戦いも既に始まっています。今回の相手はアマ実績(250戦)も充分な無敗選手で、調整ミスは即命取りとなります。ということで7Rの最終スパーをじっくりと見せて頂きました。

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いつもどおりバチバチのスパー。

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折り返しの4R辺りで動きが落ちて、ロープに詰まる場面が増えると、中島トレーナーから容赦ない檄が...。

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後半はもう一度動きを上げて、苦しい中でも7R打ち合い続けて終了。今回も負荷の高いスパーでした。

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 最後はドラムミット打ちをみっちりやって、バッグうちで終了。ウエイトは試合10日前で4キロを切り、あとは前回失敗した試合前の調整をいかにまとめるか?が焦点となります。

 辰吉Jrがメインと言うことで、G+の中継も入るというこの試合、全国のファンにも『大沢強し』を印象付けるような試合をして欲しいと思います。

 追記

 最後にyoutubeにあったメヒア選手の試合映像を貼っておきます。
Ramiro Blanco VS Alexander Mejia

Abelino Caceres VS Alexander Mejia

Manuel Gonzalez VS Alexander Mejia



 大晦日も忙しい(旧徳山と長谷川が好きです)

 



 

 



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