HARD BLOW !

あいつぐボクシング関係者の重大犯罪 秋山理事長発案の『暴力団等反社会勢力ではないこと等に関する表明・確約書』は効果ゼロ!

いやー貴乃花親方のインタビュー番組凄かったですねえ。視聴率もかなり高かったようで関心の高さが伺えますね。私も帰宅後に録画で鑑賞させて頂きましたが、目が据わった親方の存在感やゆるぎない哲学を語る口調の独特さに時空が歪むのを感じて、思わず意識が持っていかれそうになりました。なかなかドラッギーな話術であります。なぜか聞き手という大役を任されていた山本晋也カントク(←ここはカタカナがマスト)の引き出し術もさすがでありました。この番組を放送したことでテレビ朝日は相撲協会を出禁になったそうですが、そうした措置は相撲協会にとってマイナスだと思います。

今年の年頭から、大相撲のスキャンダル報道は、大砂嵐の無免許運転や女性スキャンダル、春日野部屋の弟子暴行事件、理事選挙における貴乃花親方の落選など次々に新たなテーマが投入されて、一向に沈静化する気配がありません。週刊誌やワイドショーを舞台にしたリーク合戦は対立派閥の代理戦争の様相を呈しています。

そうした騒動を受けて「大相撲は腐敗している!」「相撲協会は何をやっている!」「八角は辞任だ!」と言う声が出る一方で、「貴乃花親方も決して無謬と言うわけではない」「彼も弟子を暴行している疑惑がある」といったバランスをとる意見も出て、まさに百家争鳴。それもこれも相撲に対する国民の関心が高く、メディアの注目が集中していればこそです。相撲記者や外部有識者のトップである池坊保子氏が相撲協会寄りの意見発信をすれば「癒着しているのではないか?」という批判の声もちゃんと上がります。

相撲協会が腐敗しており、相撲業界内ではジャーナリズムが機能していないとはいえ、外部のジャーナリズムやネット論壇では比較的闊達で自由な議論が可能なのです。これは明らかにボクシングよりも開かれていています。

ボクシングは専門誌やスポーツ紙は大手プロモーターや協会ベッタリの広報体制でヨイショ記事と話題宣伝ばかり。そもそもボクシングモバイルが協会の広報で人民日報やプラウダみたいなもんです。その結果ファンの間にも「試合が見れたら別に、業界のあり方や将来なんかどうでもええわ」と言う思考停止が蔓延しています。

まがりなりにも「相撲とは何か?」「相撲協会はどうあるべきか?」と言う議論が成立して、ゴールデンタイムで、一親方が話してるだけというハードコアな構成の番組が、比嘉大吾の素晴らしい世界戦の三倍近い高視聴率を得てしまう相撲にはまだそれだけ大衆の期待と関心があるのです。

業界内が問題だらけなのは別に相撲に限った話ではございません。ボクシング界も実態は似たり寄ったり。ただ事件報道に対する、ボクシング業界の対応が余りに酷く無反省なのです。今年に入ってボクシング関係者による二件の重大犯罪が発生しましたが、JBCに代表されるボクシング業界の事後の対応が余りに酷いのであります。

まずは1月25日、元世界ランカーの健文トーレス氏が大阪の十三付近でひったくり事件の警戒中だったパトカーの停止の呼びかけを無視して乗っていたワゴン車で逃亡し、カーチェイスを繰り広げた末に、JR大阪駅付近でパトカーとクラッシュして逮捕されるという事件を巻き起こしました。まるでアクション映画のような大捕り物に、周囲は一時騒然となったのだとか。トーレス氏が乗っていた車は盗難車だったそうで、引ったくり事件の被疑車両として捜査対象になっていたそうです。

時事通信の記事  
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パトカー振り切り暴走=元ボクサー逮捕、窃盗関与か-大阪府警

事件があったのは金曜の夜で、十三もJR大阪駅付近もどちらも繁華街なので人で溢れていました。一歩間違えば大惨事であります。かく言う私も、その日もう少し早い時間に十三の街を歩いておりまして、まっこと他人事ではございませんでした。

彼にはタクシー強盗の前科があり、2015年末に刑務所から出所したばかり。報道が事実なら、今回は自動車盗にひったくり、道交法違反と公務執行妨害となって、かなり厳しい罰をうけることになりそうです。

健文トーレス氏については過去記事で一度言及したことがございます。
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なんじゃこれと感じたこと二題

以下に当時の記事内容を引用いたします

もうひとつの話題は健文トーレス選手の復帰についてであります。タクシー強盗などで服役し、出所後プロとしてリングに戻ってきた健文選手。服役によって法的な責任は果たしたことになり、被害者の方への被害回復といった民事上の責任は当方の関知するところではございません。

ただ復帰・ライセンス再交付に当たって、余罪も含めて懲役6年半と言う犯情をどのように評価したのか?というのが、はっきり言って大いに疑問なのであります。まあ普通の会社なら当然クビです。他のプロスポーツでも何らかのアナウンスメントが、統括団体から必ずあるはずです。脱税や性犯罪ではなく、「ボクサーが強盗」と言う要素も鑑みる必要があると思います。

亀田ジムや大沢宏晋選手は言いがかりに近い形でライセンスが停止されたのに、刑務所に6年半入るような事件を起こした選手のライセンスは、すぐに発給されると言うのはいったいどのような価値基準でありましょうか?
(引用以上)

当時のJBCのトップである浦谷氏や秋山氏が、職員や選手の地位確認裁判(全てJBCが実質敗訴)に絡んで、職員の解雇を正当化したり試合管理のミスをごまかすためにライセンスの停止を乱発したことに絡めて、刑務所から出所して間もない健文トーレス氏のライセンス復帰に疑問を呈しております。結果から言うと私の懸念は事実になったということであります。

今回の事件当時はライセンスは返上済みだったそうですが、安易にライセンスを与えたり取り上げたり、何の定見も見られません。競技復帰当時は関西のスポーツ紙は美談仕立てで報じていましたが、その後の顛末を後追い取材して記事にはしないのでしょうか?
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強盗で服役の健文トーレスが復帰戦勝利

はっきり言いますが、ボクシング興行やボクシング記事には『元不良』といった話題性に安易に依拠するようなカルチャーがありゃせんですかね?記事中「いばらの道」とありますが、刑務所から出てすぐにライセンスが降りて試合すればスポーツ新聞にデカデカと載って、一体どのへんが『いばらの道』なのでしょうか?このような特別待遇が更正を妨げたのではないでしょうか?本来は練習態度や生活態度を見て、ボクシングだけで食べていけるわけもないので就業させて、再犯防止策として管理・監督のシステムを作ったうえでライセンスが交付されるべきです。所属ジムやJBCが話題性やトーレス氏のボクシングの強さに安易に飛びついて前のめりにライセンスを交付したことは余りに拙速であったと思います。

個人的には『更正』とまで言っておいて、トーレス氏の処遇にも余りに覚悟がないと感じます。悪いことがおきれば全て選手のせいにされてしまいますが、事件を起こす少し前までは、間違いなく彼はライセンスのあるプロボクサーだったのです。それが「事件起こした時はもうライセンスもないし関係ありませんから」で社会的に通るのでしょうかね?もし歩行者が巻き込まれてたらとんでもないことですよ。こういう事件が世間に与えるイメージは「ボクシング界は喧嘩自慢の悪い奴や刑務所帰りの奴をリングに上げて、スポーツ新聞記事にして話題宣伝して試合させて、なんか事件を起こせば『今は関係ありません』とほりだす世界だ」ちゅうもんになるんじゃないでしょうかね?

もう一つの事件は粗暴犯でなく知能犯。ボクシングジムのマネージャーが振り込め詐欺グループのトップだったという、信じられない話であります。
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詐欺グループリーダー逮捕=被害8000万円超か-警視庁

逮捕されたのはユネイテッドジムのマネージャーとして業界ではお馴染みだった加藤竜太氏。ユナイテッドジムといえば、亀田兄弟の新ジムのプロ加盟が協会側の拒否で頓挫した際に、角海老ジムなどと並んで移籍先として名前が上がったことでお馴染み。最近では国内の人気シリーズ興行DANGANや日本人選手の海外遠征なども積極的に関与しており、業界ではお馴染みの存在でした。そんな人物にこんな裏の顔があったとはということで、協会内でも大きな話題になっているそうです。

報道が事実であれば、金額の大きさ(半年で8000万)や振り込め詐欺という卑劣な犯罪の首謀者だったという悪質さなどを勘案して、こちらも重い罰が下されそうです。

加藤氏の表の顔は不動産業や自動車関連の会社経営者で、ボクシング界からすれば「景気のいい人が入ってきてくれたな」という感じだったのかも知れませんが、もしも加藤氏が詐欺で稼いだ金がボクシングジムやボクシング興行に流入していたとすれば、詐欺の被害者からすりゃ「ふざけんな」と言う話でありましょう。

自分が敗訴して賠償を命じられた名誉毀損事件については訴訟費用の募金までしておいてまともに総括すらしていないくせに、ボクサーやボクシング関係者が犯罪事件を起こすとすぐブログに取り上げる捏造ライター片岡亮氏もこの事件を記事にしておりますが
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亀田の移籍先だったUNITEDジム・加藤竜太マネが逮捕!犯罪組織のリーダーだった

見出しから殊更に亀田兄弟と結びつけるような『作文』で相変わらず。加藤氏がDANGANと関係が深いことは業界の人は誰でも知ってますが、そのことには言及ナシ。ボクシング業界の現状は何もご存じないのでしょうかね?あと記事本文中「容疑が事実であれば、世間を騒がせている大相撲の力士による仲間内の暴行や無免許運転をも超えそうなボクシング関係者による凶悪事件」とありますが、詐欺事件のような知能犯はふつう『凶悪事件』とは言わないような...(警視庁の定義では殺人、強盗、放火、強姦)。北村晴男弁護士が法廷で片岡氏に言った「あなたは物書きなんだから言葉は大切にしてくださいよ」と言う言葉を、氏には今一度送りたいと思います。

これらの事件から分かることは、JBCが2014年度からライセンス保持者に義務付けている「暴力団等反社会勢力ではないこと等に関する表明・確約書」と言う紙ペラには

全く意味がないということです。むしろ「JBCは一筆取ってるから責任ないもんね」という言い訳の材料でしかないのです。

そもそも反社の人が「私は反社でございます」と書くわきゃないわけで、自己申告など屁のツッパリにもなりません。ライセンス取得時の厳重な身体検査やライセンス保持者向けの啓発活動など地道にやるしかないのです。安易に自己都合でライセンスを出したり引っ込めたり、組織に盾ついた人間のライセンスはすぐに止める割に刑事事件を起こした人間にやけに甘かったり、基準のない適当な運用をしている限り問題のタネがつきることはないでしょう。

しかしあの相撲協会ですら問題になることが、全く問題にならないボクシング界。来るとこまで来てるなと感じます。

オリンピックが始まったらなんやかんや言うて見てしまう(旧徳山と長谷川が好きです)



ドーピング違反についての基礎知識が学べる映画のご紹介

山中慎介×ルイス・ネリ戦におけるドーピング違反や本田明彦氏によるタオル投入批判、不可解な井岡引退に象徴される奴隷契約トラブル問題など、今年も日本のプロボクシング界は問題山積。一方アマチュア側に目を転じてみれば、日本ボクシング連盟のガバナンス不全と組織の私物化は半ば公然となっているにも関わらず、自浄作用はなんら働いていません。

相撲協会のスキャンダルが日夜メディアを騒がせていますが、隠蔽体質や人脈支配の酷さは、正直ボクシング界もドッコイドッコイ。マイナースポーツゆえに社会の注目が低く、批判が起きていないだけであります。

そんなボクシング界ではありますが、年頭から早くも新たな問題が発生。

ラスベガスで殊勲の敵地戴冠を果たしたIBFフェザー級チャンピオンの尾川賢一選手が、なんと当地で受けたドーピング検査で陽性判定となるという事件が発生。昨年ルイス・ネリのドーピング違反への対応で大騒動に見舞われた帝拳プロモーションですが、今度は一転疑惑の目を向けられる立場になってしまいました。

時あたかも漕艇競技において、オリンピック代表クラスの選手がライバルに違反薬物を飲ませて陥れるという事件が発覚したばかり。尾川の事案も、事実関係については虚虚実実の観測が飛び交っています。

日本のファンの中には、根拠もなく「日本人はドーピング違反なんて卑怯なことはしない!」と断言しちゃうような風潮もありますが、現状はあくまでグレイであり、一般論として一番確率が高いのは運動能力を向上させる為に本人が意図的に摂取したケースです。『悪意がないから大丈夫。裁定は覆る』みたいなチョーチン記事書いてるおめでたい人もいますが(三浦勝夫氏による帝拳援護射撃?記事→米国で世界王座獲得の尾川堅一に薬物反応。But、裁定は覆る?)、意図的かどうかなどということが配慮されたら検査の意味がありません。シャラポアみたいな大スターでもWADAの検査でサスペンドされてるわけで、口先で誤魔化せるような次元の話ではありません。あらゆる予断を排して、事の成り行きを見守る必要があります。

WADAが実施しているオリンピック方式のドーピング検査と言うのは大変厳しいもんで、抜き打ち検査はいつ何時でも拒否できず、尿道から尿が出ている様子も検査官によって目視で確認されます。女子も例外ではありません。

アテネ五輪で室伏広治選手が繰り上げで金メダルを獲得した際に一位失格となったアドリアン・アヌシュ選手は、他人の尿をカテーテルで膀胱に入れて検査を逃れようとまでしました。尿道にカテーテル挿し込んで、他人のションベンを膀胱に入れるという『痛い&汚い苦行』をしてでも勝ちたい!というのがアスリートの本能なのでありましょうか。

ドーピング違反については参考になる映画が二本ございます。まずはアマゾンプライムで見れる『疑惑のチャンピオン』
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アマゾンプライム 『疑惑のチャンピオン(字幕版)』


この作品は2000年代の自転車ロードレースで大スターだったランス・アームストロングの伝記映画。ツール・ド・フランスを7連覇して生きる伝説となった彼が、ドーピング違反の発覚で堕ちたヒーローとなり、永久追放されるまでの過程を描いています。キャリアの初期に癌に罹患したアームスロングは、生存率50パーセントを宣告されながら辛い治療を乗り越えて完治し、復帰後破竹の連勝を続けることで癌サバイバーの希望の星となります。ヨーロッパが主だった自転車ロードレースの市場をアメリカに広めた功績で、業界での地位も不動のものとなり、その特権的な存在感によってマスコミによる批判が及び腰になった結果、問題の発覚が遅れたということも劇中言及されています。ドーピングを請け負う怪しい医者や、ヨーロッパで国境を越えて薬物を買いにいくシーン、検査逃れのドタバタぶりなどもユーモラスに描写されており、ドーピング違反の実態が良く分かる映画となっております。スティーブン・フリアーズ監督なので映画としても普通に面白いです。

もう一本はNETFLIXで見れる『イカロス』
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NETFLIX『イカロス』


こちらはドキュメンタリー映画。映画監督で、自転車ロードレースのハイ・アマチュアでもあるブライアン・フォーゲルは「自分自身を実験台にしてドーピングの効果を確かめたら面白いんじゃないか?」と言うどうかしてるアイデイアを思いつき、ロシアからドーピングの専門家ロドチェンコフ氏を呼びよせる。フォーゲルはロドチェンコフの指導の下『検査でもばれないドーピング』を試みるが、映画製作中に、ソチ五輪でのロシアによる組織ぐるみのドーピング違反が発覚。ロドチェンコフはロシア政府から口封じで抹殺されのを恐れて、フォーゲルに国外逃亡の手助けを求めてくる。フォーゲルの手引きでアメリカに逃亡したロドチェンコフは、捜査機関を通じてロシアのドーピング手法を赤裸々に証言。フォーゲルが個人的な動機で始めた映画は、ロシアの国家的陰謀を告発する映画へと巨大化していく。

その後のオリンピック本大会でのロシア選手団の追放にまで発展した大問題となるこの事件の成り行きや、当事者の口から語られるソチ五輪で行われた不正行為の実行方法、ロシアとアメリカの政治的な暗闘など見所も多く、また当事者であるロドチェンコフさんの明るくひょうきんなキャラクターも最高でありました。

上記二本の映画はネット配信で気軽に見れて、スポーツ界に蔓延するドーピングについて楽しんで学べます。是非見てみてください。

大沢×久保が楽しみな(旧徳山と長谷川が好きです)

明けまして おめでとうございます。

年頭にあたり 皆さまのご健康と 益々のご活躍を 心よりお祈り申し上げます。

若いファンの純粋無垢な熱に、まだまだこれからだぞと励まされる今日この頃。
ボクシングにはやはり力がある!という認識を新たにしております。

本年もご指導ご鞭撻のほど宜しくお願いいたします。

あらためて時代を変えるものは青雲の志しと熱であると思うB.B

公正取引委員会がプロスポーツ選手契約の違法性を指摘 IOCがAIBAへの分配金の拠出を停止 等々

 今年のボクシングも年末二興行を残して、もうおしまいですね。

 今年ボクシング界は、プロ・アマともに旧来的な人脈支配や不合理な慣行による悪弊があらわになった年であったと思います。今年は当HARD BLOW!において、澤谷 廣典氏のインタビューを掲載するとともに、日本ボクシング連盟=オリンピックボクシングの問題点を指摘する記事を沢山掲載してきました。そこで感じたことはプロアマの抱えている問題は地続きで問題の根は同じだということです。

 不透明な人脈支配や不合理な商慣行、競争条件の不公平さ、選手の地位の低さ、などなど「これじゃ競技人口は増えないわ」と思うことばかり。そんなボクシング業界に僥倖となるような一つのニュースが報じられました。

 この記事の重大さが分かっているボクシング関係者、ファンははたしてどれくらいいるでしょうか?
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 公取委、契約慣行の違法性を指摘

 年の瀬も押し迫った12月27日、公正取引委員会が芸能人やプロスポーツ選手の契約制度について、画期的な見解を表明しました。いわゆる契約していたタレントや選手に対して、移籍後に活動を制限・妨害する行為は違法だとはっきり表明したのです。

 これにより選手の移籍を制限する法的な正当性は一切なくなりました。移籍が自由化されたということです。

 井岡選手も井岡ジムを離れてどこにでも移籍できる法的な自由が担保されたのです。

 これはプロボクシング界を支えたきた、クラブ制度や従来の商習慣についても重大な影響を及ぼすことになります。

 今年はボクシング界で選手契約を巡って様々な問題が起きました。日本を代表する現役チャンピオンである井岡一翔選手が、肉親の脱税事件に巻き込まれて試合枯れした挙句「引退するのでは?」というような話がまことしやかに流れております。これは、選手の望む移籍が出来ないゆえのトラブルであります。

 駿河ジム所属だった日本ランカー青木クリスチャーノ選手が、不可解なギブアップ負けをしたあと、近親者の方が「骨折しているのに所属ジムから『キャンセルすると高額の違約金がかかる』と言われて試合を強行された」とSNS上で暴露し(現在書き込みは削除済み)これも大問題になりました。青木選手は現在角海老宝石ジムに移籍していますが、このトラブルも周辺取材してみるとかなり信憑性が高いです。

 薬師寺ジム所属のマンモス和則選手が支払い額が二万円と書かれたファイトマネーの明細書を画像つきで公開し、その金額がルールに抵触するものだったことも大きな問題になりました。更にリング上で読みえ上げられた激励賞も受け取っていないということで、新人ボクサーにたいする厳しい搾取構造が浮き彫りになりました。→マンモス和則選手のツイート

 私は今までも
・激励賞を会長にとられた
・33%以上のコミッションをとられたので抗議したら試合を組んで貰えなくなった
・会場で「○○の月間賞の賞金が入ったらからこれから飲みに行こう」と某有名ジムの会長が大声で電話してた
・チケット売ったらタイトルマッチさせてやると言われたけどウソだった
・怪我でタイトルマッチをキャンセルしたら会長に「迷惑料50万よこせ」と言われた

などなど様々なボクサーのエピソードを聞いてきましたが、こんだけデタラメしててもダメなジムの会長の権益は強く守られて来ました。ですが、これからはデタラメな経営をしているジムから選手が移籍しても、法的には何の問題もないことを、国がお墨付きを与えたということです。

 井岡一翔選手!自由に移籍していいんですよ!引退なんかしなくていいんですよ!

 公取委の見解表明によって、ちゃんと規定のファイトマネーを現金で渡しているまともなジムに選手が集まり、選手を搾取しているブラックジムからは選手が流出してまもとな業界になる契機となることを、念じて止みません。

 当HARD BLOW!でもおなじみの元日本ランカーの斉藤司選手も、所属ジムの三谷大和ジムと待遇や報酬を巡って現在裁判となっていますが、今回の公取の見解を見れば訴訟の行方は火を見るより明らかでありましょう。ただ訴訟と言う手段をとれば、選手は貴重な現役時代に空白をつくることになります。

 そのためにはJBCや協会が、違法とならないような実効性のあるルール変更をする必要があります。

 JBC・JPBAのボクシング興行に改善が見られず不合理性や違法性が浮き彫りになれば、大阪天神ジムの山口賢一会長が現在JBCの枠外でやっているプロボクシング興行の優位性がより明確になります。実際彼の興行に参加する選手は増える一方なのです。草試合とバカにしてすむ段階ではもはやありません。

 この公取の違法認定と併せて、タイ人選手の招請禁止や練習生・4回戦選手の激減、ランカー・チャンピオンの高齢化などで来年はプロボクシング興行の根幹が揺らぐ年になると思います。

 今月号のボクシングビート誌に、今年引退した内山高志氏、三浦隆司氏、金子大樹氏三者の座談会の記事が掲載されていますが、近々ジムを開業する予定の内山氏はプロ加盟しない方針をその中で語っています。同じく名王者だった西岡利晃氏もプロ加盟はしていません。知名度があり加盟条件が優遇されている元スター選手がプロ加盟を避けているのいうのは、プロボクシング業界が稼げない世界になっているということの証左であり、名門ヨネクラジムの廃業などと並んで業界の沈滞の象徴であると思います。

 まともなビジネスに刷新する為には制度の変更は不可欠であります。

 一方アマ側に目を転じてみれば、更なる大ネタが発生しました。オリンピックの元締めであるIOCがオリンピックボクシングの統括機関であるAIBAへの分配金の拠出を停止したというのです。

 ロイターが配信した記事「IOCがAIBAへの資金拠出を停止」→IOC stops payments to boxing federation AIBA

 AIBAの財政はIOCからの分配金に依存しており、支払いのストップは大問題。そもそもこのIOCの声明はボクシングがオリンピックの正式競技から外される可能性を示唆しており、問題を放置すればAIBAの存亡に関わってきます。もはや、日本国内の国体の隔年開催なんかとは次元が違う大問題です。IOCのバッハ会長は、AIBAの財務や、競技におけるレフェリング・判定、アンチドーピングの姿勢に対して疑問があることを表明し、対策についてのレポートの提出を求めています。ここでIOCを満足させるような回答が出来なければ、最悪正式競技からの転落が待っています。AIBAの対応によっては「オリンピックボクシングは東京が最後」となりかねない状況であり、そうなればさらなる競技人口の流出は避けられません。アマチュアボクシングから人材の供給を受けてきたプロボクシングにとっても、重大な懸念材料となります。

 果たしてAIBAはIOCを納得させる方針を示せるのか?注視したいと思います。

 ボクシング界は相撲協会以下の人権状態だと考える(旧徳山と長谷川が好きです)
 

大沢宏晋が世界ランカーに苦闘判定勝ち 12・24 大阪東和薬品RACTABドーム

大沢宏晋選手についての過去記事はこちらから→大沢宏晋

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 さる12月24日クリスマスイブに、東和薬品RACTABドームというやたら長い名前に変わった、大阪府立門真スポーツセンターで行われた大沢宏晋選手対アレクサンドル・メヒア選手の試合レポートをお送りします。大沢宏晋選手は現在WBAフェザー級11位で、一方はるばるニカラグアからやってきたアレクサンドル・メヒア選手は、WBAスーパーバンタム級12位。最近は国内じゃめっきりなくなった世界ランカー同士のノンタイトル戦であります。

 不景気風が吹き荒れる関西のボクシング興行事情を考えれば、中南米の世界ランカーを一年に二人呼んで試合した大沢陣営の路線は、極めて異彩を放っています。ファイトマネーはもとより渡航費だけでも相当な出費だと思われますが、金銭面以外でも選手の情報も乏しく、対戦そのものがかなりリスキーであります。

 中南米の世界ランカーとのノンタイトル戦といえば、当HARD BLOW!的に忘れられないのは、2010年に行われた、大沢選手と同じフェザー級の榎洋之選手とアルベルト・ガルサ選手の試合。榎選手はガルサの巧妙な反則ヒジうちの餌食となりTKO負けし、結局これが最後の試合になりました。当ブログは榎さんから提供していただいた映像素材を使って反則検証も行いました。以下はそのときの記事です。
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HARD BLOW!の原点
 ガルサ選手の反則ヒジ打ちを使ったダーティーなスタイルは、アウェイで勝つ為には手段を選ばない中南米選手の気質の一面を表していると思います。実際今回の大沢選手の試合も、メヒア選手の手段を選ばぬ勝利への執念に大いに霍乱される内容となりました。

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メヒア陣営はよく声が出てました。
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大沢陣営はロマンサの田中会長、金井選手、中島トレーナーのいつもの布陣。


 メヒア選手はYOUTUBEの試合映像では前後の出入りが速く、テンポのいいボクシングをするな、という印象。スピードはありますが、スタイル自体は正攻法かなというイメージでした。

 1Rは大沢得意のハードジャブが何発か当たり、距離が詰まればボディと言う定石どおりの攻めでよい滑り出し。メヒアの入り方はビデオ映像のとおり直線的でしたが、ただ上体の動きは良く、避ける技術は独特なものがあります。2Rには戦意旺盛なメヒアに強い左ボディが当たって効いたように見えました。

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 この時点では「このままボディ削っていけば、じきにメヒアの足が止まるかな」と楽観していましたが、メヒアは頭を低くしてもぐりこみ、ジャブとボディを避けながらの乱戦に作戦変更。ひたすら密着しての押し合いに持ち込んで、体力勝負の展開になります。大沢もフィジカルは強い選手なので、一階級下のメヒアのこの戦略は自殺行為ではないか?と思いきや、メヒアが押し勝つ場面が多く、大沢はロープを背負う場面が増える。ロープ際での左ボディでメヒアが失速する場面もあるのですが、すぐに回復し低い姿勢で接近してはしつこく連打を出してきます。

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メヒアの頭の低さをレフェリーにアピールする場面も

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 大沢がロープに詰まると、セコンドからは「押し返せ!」「回って広いところに出ろ!」と言う指示が出るのですが、メヒアのしつこい連打と旺盛なスタミナでなかなか思うような場面が作れず我慢の展開。大沢がいいレバーブローを当てても、メヒアは返しの頭へのパンチを上体の動きで交わして密着をキープし距離を潰す執念を見せる。この泥臭いファイトスタイルはビデオ映像とは全く違うもので、メヒアの試合を投げない勝利への執念と、近距離のデイフェンス技術、戦術の引き出しも見事。試合としては膠着していますが、両者の勝利への執念がぶつかり合う激しい展開となります。

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 12Rの最後大沢がラッシュを見せて見せ場を作って終了。判定は僅差2-0(96-96、97-96、96-95)で辛くも大沢の勝利となりました。メヒアの手数が評価された厳しい判定となりましたが、私の目にはメヒアの作戦は序盤のジャブとボディを受けての、苦し紛れのスタイル変更に見えました。あの作戦を、再三ボディを打たれながら10R完遂した執念と体力は凄いですが、勝ちはないと思います。

 メヒア陣営はセコンドもやる気充分で、「どんな手段を使っても勝つ」という勝利への執念を存分に見せてくれました。やはり勝負はこうでないといけません。大沢選手にとっては、意欲のある世界ランカーとの試合を辛くも勝ち残ったことで得たものは、かなりあったと思います。

 この勝利でランキング上昇は確実で、来年は勝負の年になります。ランカーと試合してなくてもランキングが上がっていく選手や、試合してなくてランキングが落ちない選手とは違う路線で再起ロードを駆け上がる大沢選手に、当方は来年も注目して行きます。ご期待ください。
 
 あメインの辰吉寿以輝選手は勝ちました!詳細についてはスポーツ紙や専門誌をごらんください。

 今年の生観戦は12回だった(旧徳山と長谷川が好きです)