HARD BLOW !

AIBA世界選手権 日本代表チーム瀬部勉監督の謎

唐突ですが、世の中にはどの時代にもある種の人がいます。TPOを問わず、時空の裂け目からひょっこりと出てきて、散々周囲の人を巻き込んだ上で、正体がばれて大騒ぎになる人。そう経歴詐称の人です。

物書きの世界でもそういう人は後を絶ちません。元グリーンベレーを自称していたけれど米軍の軍歴が無かったあの人、元警視庁刑事を自称してけれど交番のお巡りさんだったあの人、キックのチャンピオンや商社の社長だったと自称してるけど全く記録がなく、捏造記事で敗訴したあの人、などなど枚挙に暇がありません。

格闘技界では、元チャンピオンを自称して地方自治体の観光大使的なポジションについたあと、経歴詐称がバレて騒動になった人もいました。ことほど左様に、日本の社会は性善説で運営されており、身体検査というのは曖昧なもんでございます。本当に経歴詐称はケシカランですね!プンプン!

というわけで、ここで話題はガラリと変わります!

オリンピック競技のナショナルチームの監督と言うのは、一般的に物凄く重い仕事であります。実績・専門知識・人格、あらゆる要素を兼ね備え「あいつがやるなら、きっとうまく行くよ」と業界内の人が安心して代表チームを託せる、そんな心技体を兼ね備えた人物こそ、ナショナルチームの監督に相応しいと言えるでしょう。

先日終了した、アマチュアボクシングの最高峰イベント、AIBAの世界選手権で日本代表チームを託されたのは瀬部勉監督でありました。東京オリンピックを控えた日本ボクシング連盟(以下日連)が、満を持して抜擢した監督ですから、当然素晴らしい実績と指導技術や戦略を持っているはずです。果たしてどのような華麗な経歴を持っておられるのでしょうか?

瀬部監督就任を伝える日連のブログ記事
         ↓
AIBA世界選手権大会について①(お知らせ)

記事中の集合写真の後列中央、黒いジャケットの方が瀬部監督です

瀬部監督のブログには氏のプロフィ-ルが掲載されています。以下に引用いたします。

華麗なる経歴


1961年3月生まれ。 1983年、大阪体育大学体育学部体育学科卒業。
幼少の頃から武道や陸上競技に携わり、中・高・大学で陸上競技選手として活躍する。

実績として 
• 1982年 日本選手権 4×100mリレー優勝
• 同年 モスクワオリンピック最終選考会出場
   100mベストタイム 10秒43(公認記録)
 (引用以上)

うーむどうもボクシング出身ではなく、陸上選手だった人のようですね。ナショナルチームの監督と言うのは普通、斯界のトップを経験された方が務めるものの様な気がしますが…。元陸上選手にボクシング競技の監督が出来るものなのか…。不思議であります。まあしかし、経歴によると、日本選手権の4×100メートルリレーで優勝されたようなスポーツエリートでありますから、トレーニングやコンデイショニングについては学ぶところが多いのかもしれません。

ちなみに1982年の日本選手権のリレーの優勝チームはWikipediaによると、早稲田大学のチームで瀬部氏の出身校であるという大阪体育大学の名前はなぜか掲載されていません。当然メンバー名に瀬部氏の名前もありません。

リレー

誤情報が散見されると言うWikiでありますから、きっと何かの手違いでしょう。

もう一つ1982年に『モスクワオリンピックの最終選考会出場』とありますが、モスクワオリンピックは1980年です。本大会の後に行われたという選考会は、まさに文字通り最終の名に相応しいイベントであったのでありましょう。

さらに某セミナーの講師紹介では(リンクはこちらから)、瀬部氏は元オリンピック代表であるとの記述もありますが…

華麗すぎる経歴


JOCのホームページの検索機能で、瀬部監督をサーチしても…


検索


なぜか該当者なし!


検索結果

正式競技のナショナルチーム監督の経歴を入れ忘れるとは、JOCともあろうもんが、なんと杜撰なのでありましょう。


さらに瀬部氏の最も輝ける経歴と言える、100メートル走10秒43という素晴らしい公認記録。これは1982年当時、大阪歴代最高に匹敵する記録であり、日本歴代100傑にも入るようなズバ抜けた記録であります。日本選手権のリレーの優勝やモスクワオリンピックの二年後に選考会に参加したことと並んで、まさに大阪陸上界のレジェンドと言える実績でありましょう。ところがその記録が陸上マガジンの増刊や大阪陸上年鑑に掲載されていないではありませんか!

陸マガ表紙_R

大阪十傑_R

大阪十傑は勿論

日本歴代記録_R
日本歴代の10秒4台に名前なし!

電子計時_R

電動計時の歴代記録にも当然ナシ!

陸連、JOCに続いて年鑑や陸上マガジンにも素晴らしい実績をシカトされてしまった、まさに悲運のヒーロー瀬部監督の名誉回復を祈らずにはいられません。こんな素晴らしい人がナショナルチームを率いているなら、東京オリンピックもメダル間違いなし!ですよね。

ジャガー横田さんのご主人様としてテレビでお馴染みの木下博勝医師のブログにも、瀬部氏が登場します(瀬部氏が登場する記事)。瀬部氏は和泉市議会議員を勤める、プロレスラーのスペル・デルフィン氏とも懇意にされているようで、プロレス界には人脈がおありのようでございます。議員と言う公職にある方が、こういう華麗すぎる経歴をお持ちの方と親しく交友されるなんて、色んな意味で素晴らしいですね。
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なんと瀬部氏は陸上だけでなく格闘技でもチャンピオンだった模様ですが、そちらのほうも陸上同様、なぜかあらゆる記録が抹消されています!神隠しでしょうかね?

しかしこのベルトを持ってリングに上がっている瀬部氏の写真を見れば、格闘技で実績があることは明らかでありましょう。なんたってベルトがあるんですよ!ベルトが!

瀬部監督の勇姿

ベルトにはしっかりとネームも入っています。かなりかっこいいベルトなので、凄い価値のあるタイトルだと思われます。アップで見てみましょう。

ベルト

ワールドカラテチャンピオン1982...。えっ1982?!陸上の日本選手権のリレーで優勝して、既に終わってるモスクワオリンピックの選考会に出て、空手の世界チャンピオンにもなってたんですか?

山根会長の的確な人選に唸らざるを得ません。

井岡不在の興行の集客の悪さに驚いた(旧徳山と長谷川が好きです)

スポーツツーリズムを考える旅?!PART2 WBOミニマム級タイトルマッチ in 熊本県芦北町

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すっかり遅くなってしまいましたが、8月27日に行われた福原辰弥選手×山中竜也選手の試合レポートです。

この試合は奇しくも、メイウエザー×マクレガーやコット×亀海と同日という日程。正直世間的には裏番組と言っていい試合ですが、地元熊本にとっては大きなイベントであります。都市部においても、ボクシング興行を取り巻く事情は年々厳しくなっておりますが、地方都市で興行を継続して打って行く難しさは並大抵ではないでしょうか。

まあしかし、そういった頑張る地方ジムや所属選手の足を引っ張るような意識の低い輩もいるようです。懲りない捏造ライター片岡亮氏が、ろくすっぽ取材していないのがバレバレのネガキャンで福原選手が所属する本田フィットネスジムを貶めるような表現をしてて呆れた次第。『その件は別途、伝えるとして』と書いてますが、この人過去に何か調べて続報を書いたことがあったでしょうかね?JBCの内紛や亀田兄弟に関する捏造記事から、金泰泳氏の金銭トラブル、菊池直子がカンボジアにいた!(笑)まで自分が書いたガセネタについてちゃんと総括してから、偉そうなこと書いて下さいなと思いました。それとも、また名誉毀損で訴えられたいんでしょうかね?

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なんかあったと匂わせるだけなら、誰でもできますよ片岡さん!

そういうわけで本題です。まずは交通手段の検討の為、地図を見てみると、試合のある熊本県芦北町は県の南部。新幹線でも行けるが、これだったら鹿児島空港からでも近いなあ、と思って飛行機を調べて見ると神戸空港から鹿児島便があることを発見。値段も新幹線よりかなり安かったので即予約し、鹿児島県の県境の街に安ホテルも抑えて、機中の人となりました。

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ホテルのある出水市に到着して、ぶらぶらと散策などして時間をつぶし、夜は温泉に入ってぼんやりと過ごしました。IMG_1307_R_R.jpg
味わい溢れる市の講堂

翌朝はチェックアウト時間とともに、駅に出てローカル線で芦北町に向けて出発。

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目的地のしろやまスカイドームは最寄り駅から10分ほど。会場につくと露店が出ており、取材のクルーも多く熱気に溢れています。
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会場に入ると玄関ホールでは、熊本地震復興支援の為のチャリテイサイン会の真っ最中。この日テンカウントゴングを行う高山勝成選手に、abemaTVの100万円企画で日本のライブストリーミングの歴史に衝撃を与えた亀田興毅氏、そして『ゾウ・シミンに勝った男』木村翔選手と三人のチャンピオンがそろい踏み。地方都市のファンにとっては、世界チャンピオンと生で触れあえることはとても貴重なこと。こういった工夫は大変いいことだと思いました。聞くところによると、キックやシュートボクシングの興行では、こういうイベントは結構あるらしく、ボクシング興行も工夫の余地が大きいなと感じました。


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サインの料金は1000円で、収益はリング上で来賓の芦北町長を通じて寄付されました。
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寄付金の贈呈者は平仲明信会長。この日は他にも先日引退を表明した内山高志氏も来場し、世界チャンピオンが大勢集う華やかな雰囲気となりました。
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アンダーカードでは、本田フィットネスジム所属で、国境なき医師団の外科医としてイエメンとコンゴに派遣された、『戦うドクター』池田知也選手がこの日も登場。4RTKOでタイ人選手に勝利し、5月の新人王予選の敗戦から再起しました。試合の合間会場内で、試合後の池田選手に偶然お遭いできたので、お願いして写真も撮らせて頂きました。

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池田選手が着用されているのは、国境なき医師団のベストだそうです。少しだけお話させて頂きましたが「新人王になるほうが、国境なき医師団に入るより難しいですよ!」という言葉が印象的でした。

国境なき医師団のWEBで、昨年から今年頭にかけてのコンゴでの活動についての池田選手のインタビューが読めます。
          ↓
フランス語で記載した手術記録!:池田 知也

メインに先立って、日本ボクシング界のイノベイター高山勝成選手のプロボクシング引退式も挙行されました。


とはいえ現役を退くわけではなく、オリンピックを目指して競技生活の続行を宣言していますから、ボクシングを引退するわけではありません。その辺はFightnews.comのインタビューで語られております。デビッド・フィンガー記者による高山選手のインタビューはこちらから→Takayama: I want Olympic gold now

ファイトニュースのレポートは、日本の記事はずっとジョーさんが書いてきましたが、業界人のジョーさんにはなかなか書けない記事だと思います。

空席が目立った会場も徐々に埋まりだし、メインの頃には八分といった入り(主催者発表は2800人)。県庁所在地ですらない、大都市からも遠い地方都市で、この動員はかなり凄い事です。はっきり言って大阪や神戸、京都のタイトルマッチでこれより薄い入りの興行はなんぼでもあります。

私、試合前は福原選手の優位は動くまいと言う見解でありました。出所が見にくい変則のボディ撃ちと強靭なメンタルに加えて、タフなキャリアと地元開催の利もあり、かなりアドバンテージがございます。一方の山中選手は、いかに福原選手の変則スタイルを攻略してヒットを稼ぐか?がキモになります。

福原選手が入場すると会場はやんやの声援。熊本の報道関係者も多く訪れており、地元の期待の大きさがヒシヒシと伝わってきます。一方の山中選手は落ち着き払った雰囲気で自然態。陣営も、さすが経験豊富落ち着きが感じられます。

1Rのゴングが鳴ると、福原はオープニングに得意の左ボディをヒットしますが、山中は軽快にジャブを放って積極的に手数を出して反撃。福原は様子見か手数が少なく、ラウンド後半少し反撃するものの山中がペースを握ります。

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序盤山中は福原のスタイルには付き合わず、距離を外してヒットを重ね、福原にとっては得意のボディが当たる距離がなかなか作れずもどかしい展開が続きます。福原はスピードで上回る山中を捕まえようと、ボディを叩いて食い下がりますが、山中はあくまで打ち合いには付き合わず、ジャブと姿勢が低くなる福原に会わせたアッパーなどで巧みにヒットを重ねてポイントをピックアップ。福原のスタイルをかなり研究して試合に臨んでいるのが伝わって来ます。福原は強引に距離を詰めて、ボディを叩いて山中を失速させたいところですが、なかなか自分の距離が作れない。とはいえ山中のヒットも単発が多く両者決め手には欠ける。

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中盤に入ると福原は山中のうるさいジャブをグローブではじいて、得意の投げるような長いボディで反撃。山中がボディを封じようと密着すれば細かいボディを集める。ただこの小さいボディはジャッジに有効打と見られているかは微妙。後半に入るとボディのダメージで徐々に失速するかと思われた山中は、更にスピードアップ。速い出入りで、もう一度福原の距離勘を狂わせて試合のペースを掌握。福原は的を絞らせない山中のスピードを攻めあぐねる噛み合わない展開。終盤に入っても山中は手数はさほどではないものの、ヒット率は高く福原の強打に捕まらず集中して対応、福原陣営は印象的な見せ場を作れないままズルズルとラウンドを重ねる。セコンドは採点で勝っているという読みがあるのか?それとも対応が出来ていないのか?

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最終ラウンドはさすがに福原は打って出て、かなり強引に距離をつぶしに行きますが、最後までボディを叩ける距離は作れず。山中はプランどおりと見えるローリスクでクレバーな戦法のまま。どっちにしろ両者これと言った見せ場はなく、ポイントは僅差のはずですが…。
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健闘を称えあう二人

ポイントの読み上げが始まると、二人目で山中勝利となって真正コーナーは大喜び、客席と福原陣営は意気消沈と好対照となりました。山中陣営は戦前の分析と対策で、見事に福原を攻略。後半になってもスピードも集中力も切れなかった準備のよさも際立っていました。試合中的確な指示で、ペースを渡さなかったセコンドワークも見事。一方福原陣営は、展開を変えられず世界戦経験の少なさを露呈したように見えました。展開を変えるような指示を出せなかったセコンドワークも疑問でした。ポイントを読み間違えていたのでしょうか?体力を余して負けたように感じられて、いかにも勿体無かった。

FIGHNEWSにスコアカードが掲載されていましたが(→ファイトニュースの記事『Full Report: Yamanaka dethrones WBO 105lb champ Fukuhara』)、ジャッジ三者が一致してるラウンドは三つしかなく、採点が難しい試合であったことが伝わって来ます。とはいえ、全体を見れば山中選手のクリーンヒットが多く、判定は納得が行くものでありました。福原選手にとっては持ち味を封じられて不完全燃焼に終わったといったところでしょう。実際試合としても見所に乏しく、噛み合わないまま終わった印象でした。

久々の地方ジム世界チャンピオンが敗れて、私のスポーツツーリズムも一旦終わりですが、今年二回の観戦ツアーは大変面白い体験でありました。帰路の車窓からの眺めは、不知火海の美しい夕焼けが見れて最高でありました。震災直後でありながら、地元での試合開催に拘って、私を素晴らしい土地に誘ってくれた、福原選手と本田フィットネスジムに改めて感謝したいと思います。
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これからはますます、地域密着がプロスポーツの課題になると思います。福原選手の戦った二つの世界戦は、日本中の地方ジムにとっての示唆に富んだ、時代の変化を先取りする非常に重要なイベントだったと思います。

個人的には福原選手の再起を願っている(旧徳山と長谷川が好きです)

なぜ隔年開催?「国体第三期実施競技選定 評価結果」に見るアマチュアボクシングをとりまく危機的状況

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今年の3月4日、国民体育大会(以下国体)でのボクシング競技が2023年度から隔年開催になると言う決定が日本体育協会(以下日体協)から発表され、アマチュアボクシング界には大きな衝撃が走りました。

金メダリスト村田諒太選手も、この決定に対してFACEBOOK上で非常に踏み込んだ意見を発しています。

村田 FACEBOOK

以下に重要と思われる部分を引用します。
『こういった責任は誰がとるんですかね?
良い時に「自分達のおかげだ」
という人間は多いですが、そういった人間達に限って、悪い時に「責任を取ります」
なんて間違っても言わないものでしょう』
(引用以上)

この決定に至るには、当然日体協内での選考がございました。選考はポイント制で実施競技を採点・評価した上で、順位をつけることで行われました。採点基準や配点については日体協のホームページ内で情報公開されています。以下のリンクをご参照ください。
  ↓
日体協HPより『国民体育大会における実施競技について』

選考結果の採点表については、WEBでは公開されていなかったのですが、日体協様に電話で採点結果と順位表が見たい旨を問いあわせたところ、快く採点結果の文書を送付していただけました。一般人の要望にも、すぐ対応して頂けるという見上げた情報公開振り!さすがであります。

では、さっそく採点結果を見ていこうと思いますが、その前にひとつだけ留保事項を。

それはこの評価は『競技そのものの評価であって、競技団体を序列化したものではない』言うことです。この順位は競技団体の順位を付けたものでなく、ある基準に沿った競技の評価であり、サッカー協会がテニス連盟より優れているとかそういうことではない、ということは分かっておいてください。勿論、競技団体のガバナンスや運営方針などは採点の対象にはなっていますが、『この順位=競技団体の順位』でないことは、重々ご承知おきください。前置きが長くなりましたが、以下がその順位表です。

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なんとなんとボクシングは実施競技中最下位の41位!40位のクレー射撃との点差は、16点という大差のぶっちぎり。逆に下を見れば、ゲートボールとは5点しか差がありません。

個別の項目を見てみれば、『ジュニア世代の充実』や『女子スポーツの推進』『協議会の開催・運営能力』が最低水準。6項目中3項目がほぼビリでは話に成りません。『競技会の活性化』と『競技団体のガバナンス』も41競技中20位台の後半。実に六項目中五項目が低水準。唯一そこそこの評価だったのは『スポーツ医・科学サポートの充実』の項目ですが、これも丁度中間くらいのランキング。頭部を直接打撃する格闘技としては物足りない水準であります。

正直このままでは隔年開催すら危うい状況で、公開競技一歩手前とさえ言えます。アマチュアボクシングを統括する日本ボクシング連盟(以下日連)にとっては、何を置いても取り組まねばならない喫緊の課題だと思うのですが、何らかの対策は検討されているのでしょうか?「インターハイでも隔年開催にされるのではないか?」ということも囁かれる現状で、果たして有効な対策が打てるのでありましょうか?

関係者の危惧が分かるような気がします。

採点表自体がなかなか興味深かった(旧徳山と長谷川が好きです)

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オマケ情報 『一枚の文書』

先月中旬まで日連のHPに掲載されていたものですが、現在URLは削除されています。題して『会長、山根明の経歴および人間像について』…。
会長、山根明の経歴及び人間像について_R

文中『歴史、伝説、貢献で有りこの三文字を』とありますが、『歴史、伝説、貢献』を足すと6文字ではないでしょうか?

日本ボクシング連盟激震の内幕 澤谷廣典氏インタビューPART2

前回に続き澤谷氏のインタビューをお送りします。

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近畿大学ボクシング部前総監督 澤谷廣典氏

その前にアマチュアボクシングの判定の『政治性』について簡単におさらいを。

ソウル五輪のロイ・ジョーンズjrは言うに及ばず、2012年のロンドンオリンピックでは、清水聡選手とアゼルバイジャン人選手との対戦で、何度ダウンをとってもダウンカウントがとられず、一旦清水選手が判定負けしたのち日本側の抗議を受けて裁定が覆った、というややこしい事件ありました。このときは「AIBAがアゼルバイジャン政府(の息のかかった富豪)からの多額の貸付の見返りに、金メダル二個の約束をしている」という疑惑をBBCが報じましたが、これは真偽は怪しいようです。

ただ、そのような疑惑がでる背景には、AIBAの属人的な組織運営についての不信感が根強くあるのです。

2006年に白夜書房から出たムック本「あしたのボクシング No.2」(←クリックするとアマゾンに飛びます)には、トップアマ出身プロ代表として内山高志選手と佐藤幸治選手の対談が掲載されています。その中で佐藤幸治選手はパキスタンの地元判定の酷さに言及し、内山選手は不当判定で暴動が起きた経験を生々しく語っています。

前回の記事で触れた岩手国体の成年の試合も、アマの関係者の間では試合直後からすでに大きな話題となっており、昨年10月の時点で村田諒太選手も言及していたということを、記事をアップした後ある方から後教えていただきました。

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村田諒太選手のFACEBOOK記事へのリンク

この画像は私が前回の記事でアップしたのと同じ2016年10月7日の岩手日報の切り抜きで、昨年秋の時点でアマボクシング関係者の間で話題となり、SNSを通じて回覧されていたことが分かります。やはり関心は高かったようです。

正直、採点競技が逃れられない宿命なのかも知れませんが、ボクシングはプロ・アマ問わずそういうことが起き易い風土・素地があるということではないでしょうか?プロボクシングにも政治的な判定やおかしな裁定はありますが、プロは少なくとも世間の目に晒されており、露骨な不当判定は容赦なく批判されます。一方アマチュアボクシングは採点基準も不透明で、注目して見ているファンもプロに比べたらずっと少ない。それがオリンピックや国体で『部外者』の目に晒されると、アラがより目立って見えてしまうということではないでしょうか?

というわけでインタビューの続きです。後半はプロアマの関係についての話を中心に、まずは日本ボクシング連盟(以下日連)の山根明会長と大手ジムの関係ついて…。(澤谷氏の発言は全て赤文字)

澤谷「帝拳ジムは日連に1000万円を二回支払ってることを認めてますけど、その他にも、色んなジムから貰う試合のチケットがあるんです。村田諒太や井上尚哉の世界タイトルマッチの中継見てたら、リングサイドに山根会長が白いスーツ着て映ってますやろ。あれは全部、プロのジム側がチケットを提供してます。テレビの画面に映る位置で、白いスーツ着て観戦することで『俺はこういう場所でタイトルマッチが見れる人間やぞ』とやってるわけです。笑い話とちゃいますけど、私が山根会長と観戦する時にたまたま白い服着てたら、翌日、連盟の副事務局長を介して『山根会長が目立たないから今度はもっと地味な色を着るようにしてくれ』と言われたこともあります(笑)。
帝拳ジムは20~30枚チケットをくれるので、山根会長は貰ったチケットで色んな人を招待しては恩を売ったり、時にはチケットを転売して自分の小遣いにしたりしてます。井岡ジムも毎回、スーパーVIP席チケットを複数枚提供してくれてたんですが、席が帝拳ジムに比べて2列目なのでへそを曲げて最近は行かなくなりました。井岡ジムの好意に背く本当に罰当たりな話です。」


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服装が問題となった日の写真だそうです…

言うまでもないことですが、チケットは有価証券であります。どのように会計処理されているのか分かりませんが、税金も投入されている団体のトップが、こういう不透明な利益供与を受けていても良いのでしょうか?

そしてこのチケットが、実は近大ボクシング部の名城信男ヘッドコーチ(元WBAスーパーフライ級チャンピオン)の冷遇や不可解な処分と関係があるというのです。

澤谷「プロの時、名城コーチのおった六島ジムが、試合のチケットなどを持って挨拶に来んのが山根会長には不服なんですわ。でも、そんなもん名城とは何の関係もないことでしょ?」

HB「そもそもタダでチケット持ってくる必要なんかないですよね。」

澤谷「そうですよ。処分理由の『去年の国体で、会場横のウォーミングアップルームに他人のIDつけて入って教え子のミット受けしたから』というのも無茶苦茶ですわ。試合前にミット受けできる人間がおらんから、困って電話してきた教え子に対応しただけやのに、それだけで大会の会場へ出入り禁止になるなんておかしいでしょ?しかも、その時同じ場所に、他人のID下げて中に入ってる現役プロボクサーもおったらしい。そっちはカード貸したほうも、入ったほうも、何のお咎めもなしです。
山根会長は『名城の処分は理事会の全会一致や』と言うてたんですけど、あとからいろんな理事が『名城君処分されたんですか?何があったんですか?』と聞いてくる。『おかしいやないか、お前らホンマに知らんのか?』となって、理由を説明したら『そんなくらいのことで、そんな処分出されたんですか?』と驚きを通り越して呆れてました。名城は他にも、かいわいそうなくらい苛められとったんです。鈴木監督の伝手で自衛隊に出稽古に行こうとしたら『あいつは入れるな』と手を回されたり。」


統括団体のトップが、処分やライセンスの発給を盾に権力的に振舞うというのは、我々が過去取り上げて来たプロの問題でも沢山ありました、アマも同じようであります。

澤谷「山根会長は『アマの選手は日連が金かけて育てて来た』とことあるごとに言いますけど、別に自分の金じゃないでしょ?もっと言えば税金(JOCやTOTOの助成金)ですよ。プロに行くなら返せというなら、国に返すべきです。」

HB「山根会長の代になってから、国際大会で判定でやられてたのがポイントが入るようになった、勝てるようになった、という声もあるようですが...。関係あると思いますか?」

澤谷「関係ないでしょ。たまたまやと思います。メダルも選手の力ですよ。」

今後オリンピックへの参加問題は一体どうなるのでしょうか?

澤谷「IOCが認めてる以上は、法に基づいてせな仕方がないと思う。ただ実力主義で、アマもプロも入れて、有名なプロボクサーがリングに上がることで、人気も出ますよね。ただまあ今のアマの状況では、今すぐというのは難しいのも事実ですよね。」

今回の告発の動機については、様々な憶測が出ていますが、この問題は今後どのように進展行くのでしょうか…。最後に胸中を伺いました。

HB「全国の関係者の中に今の状況に不満を持っている人はいないんですか?」

澤谷「それは一杯いますよ。ただ、やっと今回、山根会長なって6年なりますけど、初めて私が反逆と言うか告発の狼煙あげたわけです。そうしたら『澤谷さんの告発を見て、今まで分かっていながら声を上げられなかった自分がはずかしい』と連絡をくれた先生もおるし、ぽつぽつとは動きは出てきてます。みんな元をただせばスポーツマンで、教育者ですもん。

ただ、逆らったら自分の立場も悪くなるというのもある。洗脳されてるようなもんじゃないですか。それを、どこかで気付いて力を合わせてくれたら、そこだけなんですよ。

私の今回の動きを、所詮権力争いや、次の会長のなろうとしてるんちゃうか?と言うてる人がいるのも知ってます。でも本当にそうじゃないんですよ。山根会長がおらんようなっても同じ穴のムジナが後とったら同じなので、最後まで見届けますけど、そういう邪念じゃないけど、気持ちがあったらダメです。爆弾巻いて山根会長に抱きついてあの世に一緒に行ったるぞ!というくらいの気持ちじゃないと、とても戦えない。」


最後は少し物騒な例えが出ましたが(笑)、病み上がりとは思えぬ意気軒昂ぶりでありました。

確かについ先日まで「オヤジと息子」と呼び合って、蜜月関係と見られていた同士に諍いが起これば、何かあったと勘繰るのが当たり前であります。告発の動機については、私も推し量るしかありません。

ただ澤谷氏の提示した告発内容は極めて具体的であり、日本ボクシング連盟についての多くの重要な問題を含んでいます。

今回当方が記事にしたことも、あくまでお聞きした情報の一部分に過ぎません。今後も取材を進めつつ事の成り行きを見て行きたいと思います。

AIBAの世界選手兼やってることがほとんど知られていないことに危機感を持ったほうがいいと思っている(旧徳山と長谷川が好きです)







日本ボクシング連盟激震の内幕 澤谷廣典氏インタビュー

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前近大ボクシング部総監督 澤谷廣典

 『村田諒太を私物化する「ボクシング連盟のドン」』と銘打たれた、山根明会長告発記事が、週刊文春8月10日号に掲載されて以来、沈黙を守っていた日本ボクシング連盟(以下日連)ですが、8月18日になって公式ブログ上に『文春砲』への反論とも言うべき文書を掲載しました。

日連ブログ反論記事へのリンク→「週刊文春」の記事について

反論文中で日連は、文春報道を全否定していますが、そこは週刊文春側が続報で裏付けと反論を出してくれるでしょうからそれを待つとしましょう。

私が、この文書で個人的に気になったのは、週刊文春へ情報提供した、前近大ボクシング部総監督である澤谷廣典氏へのむき出しの敵意であります。「山根会長への反逆者は許すまじ」という、人格攻撃とも言うべき激しい筆致に、私は思わず鼻白んだのでありました。

以前から日連のブログには、海外や国内の大会で活躍した選手や海外からの賓客、プロ側の重鎮などが山根会長に『謁見』する様子を伝える写真や記事が多数掲載されており、どこかの国のニュースのような個人崇拝的ノリがありましたが、ここに来て組織防衛のために攻撃性がより先鋭化しているという印象です。

直接取材が信条の当HARD BLOW!としては、ここでも当事者のお話を伺うしかない!ということで、山根会長に反旗を翻した告発者、澤谷廣典氏にFACEBOOK経由でコンタクトをとってみたところ、インタビューを快諾していただき、じっくりとお話を伺うとともに、様々な資料も見せて頂きました。

元々は赤井英和総監督(当時)の後輩であると言う個人的な結びつきから、部員による強盗事件で廃部状態だった近畿大学ボクシング部の復活プロジェクトに関わったと言う澤谷氏は、ボクシングには門外漢でした。そこから個人的な人脈を駆使してマスコミなどに働きかけながら、学生選手や大学当局と協力してボクシング部を復活させ、一部に返り咲くまでの強豪へと部を育て上げてきました。


実は澤谷氏は、今年の三月に高校選抜大会の視察に訪れていた岐阜で、脳梗塞に見舞われ、生死の境を彷徨うという経験をしており、この取材時もリハビリ中。当初は、担当医師から確実に後遺障害が残る、と言われたそうですが、現在は右手の指二本と顔面にやや麻痺が残る程度にまで驚異的な回復を見せており、取材当日も特に何の障害もなく会話が出来ました。 

インタビューを読んでいただく前に、筆者のこの問題に対するスタンスを間単に説明しておきます。週刊文春誌上では、山根氏の金銭問題や強健的な組織運営、女性問題などが俎上にあがっておりましたが、当ブログはボクシングブログであり、何を置いても問題とするべきなのは「日連が政治力を持って特定の選手を勝たせているのではないか」「IOCやAIBAと方針をたがえるような組織運営をしているのはなぜか?」「プロとなぜ協力関係築けないのか?」と言う疑問であります。競技の本質を歪めているかもしれないこれらの問題を、日連の内情を良く知る澤谷氏に質すのが今回のインタビューの大きな目的でありました。

澤谷氏はざっくばらんに、その胸中と数々の疑惑について語ってくれました。(澤谷氏の発言は赤文字

澤谷「今、アマの選手はヒーローインタビューする時には、猫も杓子も『山根会長のおかげです』と言います。これ言わないやつは全部チェックしてますからね。

近畿大学が、二年前入れ替え戦に勝ってマスコミは、テレビも新聞も山盛り来てくれてました。あくる日、どの新聞見ても『近畿大学7年ぶり復帰。赤井男泣き。』とダーっと出たわけです。で、我々もコメント出してたんですが、そこに『山根会長のおかげです』と言う言葉がないから、エラい私に怒って来たんです。そういうことを露骨にトップが要求してくることは『情けないな』と思ったんですけど、私は父親もおりませんので山根会長との関係は『オヤジと息子』やという気持ちもあったし、(山根会長に)いいところも勿論あるし、我慢して尽くしていかなアカンと。ただそれもあくまで、近畿大学のため、近畿大学ありきですよ。選手を世界の舞台に送ってもらうには山根会長の力も必要や、と。そういうことで私も我慢に我慢を重ねてきた。

今回の話でも、事件にもならんような私のことを拾ってきて『暴行やから処分する』『事件や!』『事件や!』というけど、何が事件やと。」


 『ボクシングビート』誌が2017年7月号で報じた、当時総監督だった澤谷氏による『コーチ暴行事件』が氏の総監督辞任の直接の引金となりました。その顛末は澤谷氏によると以下の様なものでした。暴行事件があったのは今年の3月18日のことです。

澤谷「当時はボクシング部が、新しい寮に引越す費用の700万円の金策のさなかでした。道場で仕事をしてたら、そこにコーチのAがやって来て『日連のコーチ登録費3万円がないんで、出してくれないか』と言うて来たんです。私は金策で頭が痛い状態で、というかこの二日後に脳梗塞で倒れたわけで、実際に頭が物凄く痛くて体調は最悪でした。そんなときにわずかな金額の話を言ってきたので『おまえそれぐらい自分でちゃんとせい』と言うたら、Aは『ほんなら辞めますわ』と言い返して来たんです。

私は最初は『ほんなら辞めんかい』と言って無視してたんですけど、段々頭にきて、Aに詰め寄って足を蹴り上げて、そのあと道場ではアカンと思って場所を変えて、『お前カネ、カネ言いやがって、ええ加減せいよ!』言うて平手打ちもしたんです。」


 暴行があったのは事実でした。そのことは澤谷氏も認めています。どのような事情があったにせよ、やってはならないことです。

 その二日後、澤谷氏は旅先の岐阜で脳梗塞を発症し、死線をさまよいます。岐阜の救急病院で意識が戻った後、澤谷氏は見舞いに来たボクシング部の関係者からAコーチが引き続き練習指導に来ている事を聞かされて安堵します。

澤谷「Aは大学時代の後輩の弟で、その後輩から『Aのことを頼むで』と言われてきたような関係です。コーチ業以外の昼間の仕事の身元引受人も私がなっています。今までコーチ業に関わる経費もほとんど私が負担してきました。ずっと面倒見てきた人間が甘えたことを言ってきたから、パチンとやってしまったわけです。」

 『パチンとやった』という表現が、適切かどうかは暴行を受けた当人の捕らえ方とは違うかもしれませんが、澤谷氏にとっての認識はそのようなものでした。脳梗塞発症から10日後の3月29日、大阪の病院に転院した澤谷氏のもとに、後にセクハラ・パワハラ事件で諭旨解雇となる鈴木康弘監督がAコーチを伴って現れ、そこで話が出来たことで澤谷氏はAコーチとは『和解が出来たものと思っていた』そうです。

ところが、それから一ヶ月以上経過した5月上旬になって、澤谷氏は突然近畿大学の理事から「A氏への暴行事件について聴取したいから来てください」という呼び出しを受けます。その際の理事との面談で、Aコーチが事件直後に診断書をとっていたことを知らされ、澤谷氏は「とっくに和解したはずなのに、なぜ?」と驚いたそうです。澤谷氏は自らの暴行の事実は認めて、すでに当事者と和解したことを説明し総監督に留任しますが、氏の脳梗塞発症に乗じて発生した近大ボクシングの内部抗争は一気に顕在化します。

事件直後にA氏に診断書取得を命じて(経費も負担していた)、保管していたその診断書を五月になって大学当局に持ちこんだのは、ボクシング部OB会長のB氏でした。学生選手を置き去りにしたこの人事抗争は、一部リーグ戦の優勝争いが激しくなった6月まで続きました。指導者の内輪もめに巻き込まれたボクシング部員の境遇は気の毒としか言いようがありません。

澤谷氏の見解では、そのリーグ戦の優勝争いがこの問題の背景にあるというのです。

澤谷「こっちはゴタゴタを乗り越えてリーグ戦も全勝で来て、芦屋大学と4勝0敗で並んで、さあこれから決戦やと思ってました。そしたら、6月に入って鈴木監督とAに対して日連から呼び出しがあって、山根会長は『Aに対する暴行事件は問題やから、澤谷は処分や!』と言うて来たんです。でもAはそのときに『和解してるし、この問題は選手は関係ない』と言ってます。私も『事件や言うなら警察でも何でも行ったらよろしいがな。処分でも何でもしなはれ』と言ってたんです。そしたら『いや澤谷の暴力事件は、マスコミが嗅ぎつけとる』と。それが、ボクシングビートに載ったあの記事ですわ。でもこれは、なんのことはないリークして書かしとるんですわ。ビートの発売前に前田編集長から『山根さんが澤谷さんを処分するって言ってるけど、どういうことなの?』という電話が来ましたから。

そこからは、とにかく総監督を『辞任せい』『辞任せい』の一点張りですわ。『澤谷が辞めんかぎり、近畿大学はリーグ戦に出さん。優勝しても、全日本には出さん。』とも言われたようです。これを丁度、芦屋大学と近畿大学が4勝0敗で並んだ時に言うて来たんですよ。これもしね、ウチがどっかで星を落としとったら、こうはなってなかった思いますわ。僕がAを怒って叩いたことなんかとっくに分かってたことでしょ?問題にするならその時やったらいいじゃないですか。それが、二週間後に優勝かけて一騎打ちやいう時に急に言うてきて、ボクシングビートにも載せて。」


ボクシングビートに記事が掲載されたこともあって、澤谷氏は近畿大学に辞任届けを提出しました。

澤谷「それでいざ決勝迎えたら、関東から山根会長が子飼いにしてる腰巾着連中を審判に呼んどるわけですよ。以前、山根会長は私に『そのうちオマエのところ(近畿大学)がぶっちぎって優勝するようになるんやから、今はあんまり焦ってガタガタ騒ぐなよ』と言ったことがあるんです。これって要は『その内優勝できるんやから、今年は芦屋大学でええやろ』と言ってるようなもんでしょ。

去年も二回ダウン取ってるのに負けにされて、アマに嫌気さして中退してプロに行った子がおるんです。それで、今度やったらゆるさんぞ、と思ってたところにこれですわ。」


 ここで澤谷氏の口から飛び出したのは、判定が操作されているという衝撃的な告白でした。俄かには信じられないような話です。

とはいえ、以前からアマチュア・ボクシングをよく観戦している人から「奈良出身の特定選手が、判定で優遇されているとしか思えない勝ち方をする」と言う話を、聞くことはありましたし、ネット上でもそのことに言及した書き込みは多々あります。果たしてそんなことが実際にあるのでしょうか?

もしそれが事実なら、実際にどのような手法で、審判を操作するというのでしょう?澤谷氏は私の疑問に、よどみなく答えてくれました。

澤谷「今はC、D、Eという三人の理事が審判団を仕切って、多い時で一日40試合くらいの審判を決めてます。対戦表の横に審判割りというのがあって、試合前にそれを山根会長のところに持っていって、それを見ながら奈良の選手のところを『ちょっとこいつとこいつ代えとけや。」とやるわけです。ほんなら入れ替えられた人間は、なんで自分が入れ替えられたか分かるわけです。私は以前インターハイで滞在していたホテルで、山根会長が奈良出身の選手に負けの判定をつけたジャッジを自室に呼び出して『お前は舐めとるんか?!今度やったら処分や』恫喝するのも目の前で見てます。」

HB「もし思ったような判定が出なければ、個別に呼び出されて叱責される、ということですか?」

澤谷「そういうことです。最近は、何かあったら奈良県が総合優勝、国体も二連覇してるわけです。私も奈良県ボクシング連盟の理事も兼ねとったから、ここの祝賀会にいかなあかんわけです。スピーチもせなあかん。でもどんだけ情けないか。ホンマに情けない。こんなことしてて、よお『勝った!勝った!』と喜べるな、とやっぱり思うじゃないですか。奈良の体育協会は、ある高校に新品のリングまで寄贈してます。

去年の国体でも地元岩手の選手が、奈良の選手相手に最終ラウンドに二回ダウンを取ってるのに、判定で負けにされて、会場は『おいなんだこれ!逆じゃねえのか?!』ってお客が騒ぎ出して、物凄い雰囲気になったんですよ。」


その騒動について岩手県の地方紙の報道を調べてみると、確かに判定のおかしさを指摘する内容になっていました。
 新聞記事
2016年10月7日付 岩手日報より

記事を書いている記者がアマチュアボクシングの採点基準を理解していないことや、岩手県の新聞が地元選手について書いていることから生じているバイアスなどを考慮しても、判定が納得のいかないものであったことが伝わって来ます。会場が騒然となったことも事実のようです。

澤谷「いつも思うんですよ。山根会長が奈良の会長やったら奈良県の子を勝たせたがるの分かるけど、アンタはもう日本の会長やろ、と。それやったら奈良が勝とうが、広島が勝とうが、北海道が勝とうが、ホンマに強い子を育てたらええんちゃうの?と。なんでこないに、奈良奈良奈良というのか...。まあ息子(日連理事の山根昌守氏)が奈良の会長やっとるからね。」


現在の日本におけるアマチュアボクシング報道の第一人者である、ノンフィクションライターのせりしゅんや氏は、アマチュアボクシングの判定の政治性についてブログの記事中で以下のように述べています。

 2015年8月4日のインターハイについての記事より以下に引用いたします。

『負けた選手側の応援団がなかなか納得できないのが現在の採点法だが、明らかに不公平な採点がなかったわけではない。大げさではなく、観戦した最低8割が逆だと思っていた判定まであった。分の悪い試合で勝者になり続けると、選手は誤った感覚を磨き続けるため、結局、伸び悩むことになってしまう。それを考えても「ジャッジが勝手に保身に入った採点」は、今後も抑制に努めていくべきだろう。これはこの競技における伝統的な問題である。』(引用以上)
 
『ジャッジが保身に入った採点』という表現は、澤谷氏の語った内容と合致するものがあると思います。
氏の口から語られた日連の内情は驚くべきものでした。はたして一連の氏の告発は事実なのでしょうか?次回はオリンピックのプロ選手出場問題や、大手プロジムとの金銭やチケットを介した密接な関係について触れて行きます。

またも熊本に来てる(旧徳山と長谷川が好きです)

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(補足)

発言中で触れられている国体の総合優勝ですが、実はボクシング競技は2023年度から、国体では隔年開催になることが決まっており、関係者からは失望の声が広がっています。金メダリストの村田諒太選手も、FACEBOOK上でこの件にふれて厳しいコメントを発しています→村田諒太選手のFACEBOOK記事へのリンク。以下に引用します。

 7月27日の書き込みより
『国体のボクシング競技って隔年開催になるそうですね。僕の時代では日本記録にあたる、高校6冠王という記録を目指したりもしたもんですが、隔年開催じゃ、それも難しくなりますね。そして選手からしたら、試合するチャンスが失われるなんて最悪の事態です。競技団体に下された評価を元にしているそうですが、こういった責任は誰がとるんですかね?根本的に、良い時に「自分達のおかげだ」という人間は多いですが、そういった人間達に限って、悪い時に「責任を取ります」なんて間違っても言わないものでしょう愛する世界が陥っている状況に悲しみを覚えています』(引用以上)

村田 FACEBOOK



村田選手が『競技団体に下された評価を元にしているそうですが』と書いている判断の根拠については、日本体育協会によって採点基準が公表されています→日本体育協会『国民体育大会における実施競技について』

1800点満点で競技団体を並行比較して、ふるい落としが行われたようですが、採点基準を見れば分かるとおり、ボクシングはオリンピック競技であるために入れ替わりで毎年開催になった柔剣道に比べて200点のアドバンテージがありました。にもかかわらず、隔年開催になってしまった。このことは日連のガバナンスに対する冷徹な評価といえるでしょう。

金メダリストからの苦言は、果たして日連のトップには響いているのでしょうか?