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読者投稿  『試合に負けて、勝負に勝つ。 斉藤司選手裁判、千葉地裁判決の真相』

はじめに

 今回は読者からの投稿記事を掲載します。

 本ブログとも関係の深い斉藤司選手。2008年度全日本フェザー級新人王にしてMVPとなり華々しいスタートを切った斉藤選手ですが、2015年末以来二年半以上試合から遠ざかっています。彼が試合が出来なかったのは、所属していた三谷大和ジムとのトラブルが原因でした。斉藤選手は他ジムへの移籍を容認することや、自身があると主張する未払いのファイトマネーを求めて三谷大和ジムを提訴し民事裁判を闘って来ました。

 その裁判の判決が、先週千葉地方裁判所で下され、判決で斉藤選手の請求は全て棄却され敗訴となりました。多大な労力と長い時間をかけた裁判闘争は一見すると苦い結末を迎えたように見えます。ですが『原告の請求を全面棄却する』という主文から続く判決文の本文には、日本のボクシング界の商習慣の根幹を揺るがすような重大な法解釈が記されていました。

 今回の読者投稿は、斉藤司選手の裁判によって露になったボクシング選手の契約に対する重大な問題提起を含んでいます。難解な法律用語が多いですがどうか最後まで読んでみて下さい。


試合に負けて、勝負に勝つ。 斉藤司選手裁判、千葉地裁判決の真相
 Ⅰ.訴訟概要
 主文、原告の請求を全面棄却する。その言葉を法廷で聞けば、誰もが負けを確信するであろう。
 原告、プロボクサー斉藤司選手が前所属ジムである三谷大和氏を訴えた訴訟の地裁判決が7月11日千葉地裁でおこなわれました。
 原告斉藤司氏の請求は 3 点、でした。
 1.ファイトマネーを未払い賃金として278万500円の請求
 2.優越的地位を濫用して、チケットを売りつけ売れ残りの赤字を請求した事に関する精神的苦痛として、100万円の請求
 3.被告は原告に対し、一般財団法人日本ボクシングコミッションが指定する移籍届に署名捺印せよ

 これに対し千葉地裁、小濱浩庸裁判長は判決主文で原告斉藤司選手側の請求を全面棄却しまし
た。しかし判決文の内容を紐解けば、敗訴とはとうてい言えないくらい被告側に、そして業界に厳し
い内容であることが浮かび上がります。その中でも今回は特に、3の移籍に関する判決文を中心に
判決内容を解析してみます。
 Ⅱ.プロボクサーとマネージャ―の契約の法的性質
 原告斉藤司選手側(寺島英輔弁護士)は、ファイトマネーの未払いを、プロボクサーは労働基準法上の労働者と規定し、本件契約は労働契約に当たると主張します。そして仮にこれに当たらない場合は、本件契約は有償準委任契約であると主張します。一方被告三谷大和氏側(石田拡時弁護士)は、プロボクサーは試合に出場する対価としてプロモーターからファイトマネーを得るので
あって、労働基本法上の労働者にはあたらないし、賃金請求権を有していないと主張します。また有償準委任契約にも当たらず、無名契約であると主張します。その理由として「他のプロスポーツに比べて移籍する例が少ないこと、本件契約では期間の定めがあり、契約期間中の解除が予定されていない」ので「無理由解除を認める有償準委任契約とは性格が異なる」と主張します。石田拡時弁護士は早稲田大学出身の元プロボクサーであり、業界の事情は熟知しています。
 
 これに対し判決文ではまず斉藤選手が1年のブランクを空けた等の事実を指摘し、「原告は試合に出ることやトレーニングを
おこなうことについて諾否の自由を有していたということができる」と認め、「原告が労働法上の労働者に当たるということはできず、本件契約が労働契約であるということはできない」と原告の主張を退けます。
 
 そして判決文では

「被告は JBC ルール 33 条 2 項の義務を負い、同義務の履行は被告との間の信頼関係を基礎とするものであるから、本件契約は有償準委任契約の性質を有するものと評価することができる」

とし、本件契約を有償準委任契約であると定義し、さらに踏み込んで、

 「本件契約が、原告と被告との間の信頼関係を基礎として成立しているとの本件契約の有償準委任契約としての性質を左右するものではないから、被告の主張する非典型契約(被告側は無名契約と記載)を採用することはできない」(P.14)と被告三谷大和氏側の主張も退けています。ここで鍵となるのが、2度文面に掲載されている、「原告と被告との間の信頼関係を基礎として成立しているとの本件契約の有償準委任契約」という文言です。

 つまり、プロボクサーとマネージャ―の契約は信頼関係を基礎としている、というのが千葉地裁の判断です。
 
Ⅲ.被告三谷大和氏の、 JBC 移籍届への署名捺印棄却の真相

 さて肝心の原告斉藤司選手の被告三谷大和氏への JBC 移籍届の署名捺印に対する請求棄却に関してですが、原告斉藤選手側は本訴訟において、

「移籍届を JBC に対して提出しなければ原告が被告以外のマネージャーとマネージメント契約を締結することができないという優越的な地位を濫用して」(P.17)

とジムが選手に対して保持する優越的な地位を濫用することが公序良俗に反していることを盛んに主張します。ジムの権限が選手より圧倒的に強いことは、これまでのボクシング業界では当然のことであるのは読者の皆様も当然の常識としてご存知かと思います。判決文ではこの優越的地位に関して判断を下しています。少し長いですが以下判決文を引用します。

「優越的な地位を有しているかを検討する。確かに、前提事実のとおり、本件契約書には、原告が本件契約満了などを除き、他のマネージャーと第二契約に署名しないことに同意するとの記載があり、JBC ルールは、ボクサーが、契約した 1 人のマネージャー以外の他のマネージャーといかなる契約もしてはならないと規定していることからすると、原告がプロボクサーとして活動を続けるために被告と本件契約を継続する必要性が一定程度認められる。しかし後記 4 説示のとおり、原告は民法 651 条に基づき本件契約を解除することができ、前提事実のとおり、JBC ルールは、ボクサーが契約した 1 人のマネージャー以外の他の
マネージャーといかなる契約をしてもならないと規定しているものの、旧ジムのマネージャーとのマネージメント契約が解消された後にも同規定が適用されるとの規定は存在せず、本件契約書 2 項では、他のマネージャーと契約をしないことの例外として、本件契約満了を挙げており、本件契約書及び JBC ルールには、旧ジムのとの間でマネージメント契約を解除した後に新しいボクシングジムとの間でマネージメント契約の締結をすることを制限する規定があるとは認められない。そうすると、プロボクシング界に、プロボクサーが他のボクシングジムに移籍する際、JBC に対し、旧ジムのマネージャーが新しいボクシングジムへ移籍を承諾するという内容の移籍届を提出し、移籍するプロボクサー又は移籍先のジムが旧マネージャーに対し移籍金を支払うという慣習があったとしても、原告と被告との間において、被告が移籍届に署名捺印し移籍金を受領しない限り原告が他のボクシングジムへ移籍することができないとの合意をしたと認めることができなければ、原告が新しいボクシングジムのマネージャーとマネジメント契約を締結することは可能というべきである。しかるに、原告と被告が、上記合意をしたとの事実を認めるに足りる証拠はない。そうすると、被告が原告に対し被告の署名捺印を得た移籍届を JBC に対し提出しなければ原告が被告以外のマネージャーとマネージャ―とマネジメント契約を締結することができないという優越的地位を有しているとはいえない」(P.17)

ポイントを整理します。

 (1)契約の有効性、契約解除の可否に関して。

  現在のボクシング界では、選手とマネージャ―の契約は3年契約自動更新とされています。移籍には JBC への前所属ジムの署名押印が入った移籍届の提出が必要ですが、 「原告は民法 651 条に基づき本件契約を解除することができ、」 原告斉藤選手は三谷大和氏との契約を解除することができる、と明記しています。また別の部分で、「原告と被告の信頼関係を基礎として成立する有償準委任契約に当たる。民法 651 条は、委任における信頼関係の重要性を基礎として、委任は当事者がいつでもその解除をすることができると定めているから、本件解除は同上に基づく解除として有効というべきである」と記してあります。
 民法第651条には

1.委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2.当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
 
とあります。要するに斉藤選手と三谷大和氏のマネジメント契約は、解除されており現在は存在しない。ということです。

 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。とは双方の合意は必要なく、片側の意思で解除できるのであれば、それが何を意味するのかは明確だと考えられます。もちろん合理的な理由が必要となるでしょうが。

 (2)移籍届署名捺印の請求棄却に関して

 肝心の移籍届署名捺印に関しては、 「そうすると、プロボクシング界に、プロボクサーが他のボクシングジムに移籍する際、JBC に対し、旧ジムのマネージャーが新しいボクシングジムへ移籍を承諾するという内容
の移籍届を提出し、移籍するプロボクサー又は移籍先のジムが旧マネージャーに対し移籍金を支払うという慣習があったとしても、原告と被告との間において、被告が移籍届に署名捺印し移籍金を受領しない限り原告が他のボクシングジムへ移籍することができないとの合意をしたと認めることができなければ、原告が新しいボクシングジムのマネージャーとマネジメント契約を締結することは可能というべきである。しかるに、原告と被告が、上記合意をしたとの事実を認めるに足りる証拠はない。」(P,17) 要約すれば、斉藤選手と三谷大和氏の間で、「移籍届に署名捺印し移籍金を払わないと移籍してはならない」という合意がないのだから、斉藤選手は新しいマネージャーと契約できる、ということです。

 ゆえに、「原告が本件解除後に他のボクシングジムのマネージャーとマネージメント契約を締結することは可能である。」
「原告が主張する移籍届に署名捺印する義務を負うものではないというべきである」「したがって、原告の被告に対する移籍届への署名捺印は理由がない」
 と、原告斉藤選手側の請求は棄却されます。要するに、移籍届への署名捺印は必要がない、ということです。

 (3)判決の業界への判断
 ここをもう一歩踏み込んで解釈すると、判決文の業界に対する姿勢が見えます。

 「被告が原告に対し被告の署名捺印を得た移籍届を JBC に対し提出しなければ原告が被告以外のマネージャーとマネージャ―とマネジメント契約を締結することができないという優越的地位を有しているとはいえない」
 JBC への移籍届の提出ですが、マネジメント契約が存在しないのであるから提出の必要がない。ということです。現在 JBC は原則移籍届の提出を移籍の条件にライセンスを発行していますが、この移籍届への署名押印自体がナンセンスだということです。また契約がすでに存在しない選手に関しては、当然移籍金の発生もするはずがありません。JBC が移籍届がないことを理由に移籍を拒否することになれば、今度は JBC が法的責任を問われる可能性があるのではないでしょうか。
 
 また「 移籍するプロボクサー又は移籍先のジムが旧マネージャーに対し移籍金を支払うという慣習があったとしても」と移籍金等の旧来の慣習も否定しています。JBC と協会はこの斉藤選手の地裁判決を受け止め、判決に基づいたシステムの改定を早急に検討すべきだと考えます。

 (4)優越的な地位に関する判断
 原告が主張するジムの選手に対する優越的地位の濫用ですが、引用部分は重なりますが、
 「被告が原告に対し被告の署名捺印を得た移籍届を JBC に対し提出しなければ原告が被告以外のマネージャーとマネジメント契約を締結することができないという優越的地位を有しているとはいえない」とあります。判決文の判断は、 「優越的な地位を有していない」つまり選手とジム、マネージャ―は対等の関係である、ということです。

 判決文では、立場が弱い選手が立場の強いジム、マネージャーに搾取されているとの原告の主張を退けています。ボクサーが弱い立場である、ということも否定されています。業界の常識が司法の場で強く否定されたのではないでしょうか。

Ⅳ.斉藤司選手は、何故敗訴したのか

 斉藤司選手は何故敗訴したのか、に関して検証すべきでしょう。判決文の内容は選手の権利を強く保障しているにもかかわらず、斉藤司選手はなぜ敗訴したのでしょうか。

 そこには訴訟の論理があります。

 原告斉藤司選手の請求内容は、「被告は JBC の移籍届に署名捺印せよ」というものでした。判決は契約の存続を認めない内容でしたから、「原告が主張する移籍届に署名捺印する義務を負うものではないというべきである。」「したがって、原告の被告に対する移籍届への署名捺印は理由がない」と請求が棄却されました。

 仮に、請求内容が[三谷大和ジムとの契約無効を確認する]としていればどのようになっていたでしょうか。判決文を読めばどうなるかは明らかでしょう。斉藤司選手は敗訴したことによって訴訟費用の全額を負担しなければなりません。いくら内容が良いとは言え、訴訟に敗訴したというのは明確な事実です。個人的には原告側の訴訟戦術に疑念を抱かざるをえません。

 Ⅴ.判決の意義

 訴訟の判決は、斉藤司選手の敗訴に終わりましたが、判決内容を精査すると、三谷大和ジムならず、ジム関係者、協会、JBC ら業界にとって非常に厳しい結果だということに気づかされます。ここも裁判の論理なのですが、三谷大和氏全面勝訴ですので、被告三谷大和側は高裁に控訴することができない、と聞いております。つまり斉藤選手側が控訴しない限りは判決が確定します。判決の内容は相当踏み込んで画期的ではないでしょうか。斉藤選手と三谷大和氏のマネージャー契約が JBC フォーマットの契約書を使用していることも興味深いです。本判決の影響が、移籍問題で悩む多くの選手の一助になれば幸いです。

 また日本特有のジム制度の今後にも影響を与える判決であったと理解します。
 
                                                           (文責:U)
 ※読者の皆様へ、本文中の内容、解釈はあくまで個人的見解ですので、これを引用して発生したいかなる事態にも執筆者は責任は負いません。

いよいよ最後の戦いか? 亀田とJBCが法廷で直接対決した当事者尋問傍聴記 PART4

亀田興毅氏の尋問の様子はこちらから
     ↓
いよいよ最後の戦いか? 亀田とJBCが法廷で直接対決した当事者尋問傍聴記 PART1
いよいよ最後の戦いか? 亀田とJBCが法廷で直接対決した当事者尋問傍聴記 PART2

浦谷信彰氏(JBC事務局長)の尋問の様子はこちらから
     ↓
いよいよ最後の戦いか? 亀田とJBCが法廷で直接対決した当事者尋問傍聴記 PART3

裁判傍聴記録も今回が最終回。いよいよラスボスともいうべきJBC理事長、秋山弘志氏の登場です。

JBCのトップは本来、コミッショナーの久代信次氏であり組織の意思決定については久代氏が説明するべきだと思うのですが、JBCにトラブルがあるとなぜかいつも秋山氏が前面に出て来ます。これは先代コミッショナーの林有厚氏の時代からそうです。トップが出てくると困ることでもあるんでしょうかね?

秋山氏はもともと東京ドームの子会社である松戸公産の出身。松戸公産の主業務は公営ギャンブル松戸競輪の運営で、なんでまた畑違いのボクシングに関わることになったのか根拠が分からない人選でございます。

そんな秋山氏には「エンタテイメント・ビジネス」という著書があるようで...

アマゾンへのリンク→エンタテインメント・ビジネス

秋山氏がマイク・タイソンやマイケル・ジャクソン、ローリング・ストーンズの招請に関わってきたと言う触込みの内容のようですが、非常に興味深そうな本なのでアマゾンで注文しときました(笑)。

脱線しましたが、本題の尋問の様子をお届けします。

テレビ中継でもリング上で良くお見受けする秋山氏は、法廷でも矍鑠とした印象で、受け答えも語気が強く大変明瞭でありました。

まずはJBC側の弁護士による主尋問から。

旧亀田ジムの吉井氏と嶋氏のライセンス停止について、亀田兄弟の活動を妨害する意図があったのか?と尋ねられた秋山氏は

「そんな意図は無かった。亀田兄弟が試合できなくるとは認識していなかった。吉井氏と嶋氏のライセンスの問題は亀田兄弟の問題とは関係が遠い」

と答えます。ですが、吉井氏と嶋氏のライセンスが止まれば実質的に亀田兄弟は選手活動ができないわけで、関係は「遠い」どころか、むしろ密接であります。秋山氏はJBCの理事長でありながら制度面を良く理解せずに法廷で発言していることが分かります。

さらにTBS関係者の仲介で亀田興毅氏と面談したことを認めつつその際に、弁護士を介した異議申し立てを辞めるように要求した発言については

「選手生命が短いのだから早く手を打ったほうがいいよという意味で言った」

と他人事のような反応。

亀田サイドにライセンス停止の処分を受け入れよと要求した理由についても

「お宅のほうから(ライセンス停止に対する異議申し立てを)引っ込めた方が心象が良いだろう」
「日本の(ボクシングの)世界で生きて行きたいなら、早く手を打った方が良いという意味」

という次元で合理性は特になく、単に「JBCに楯突くのをやめろ」「協会に反省をアピールしろ」と言ってただけのようで、ライセンスの発給の責任者がそういう発言をすることの重さも良く分かっていないご様子。そもそもJBCはこのあと裁判で和解して、吉井氏と嶋氏のライセンスを戻してるわけで、何のためにあんな必死でライセンス止めたのか全く謎であります。

どうも秋山氏は、ライセンスをとめて生活権を侵害した当事者でありながら、損害賠償を請求されること自体が不本意らしく

「原告とJBCが円満に話し合えば結果は違ったのではないか?」

と問われて

「そう思います」

さらに

「協会が(吉井氏に代わる)会長を推薦して来たら亀田ジムを加盟させたか?」

と問われて

「させました。訴訟は心外です」

と憤懣をアピール。ですが強権的にライセンスを取り上げて取り付く島もない対応をしてきたのは秋山氏自身なわけで、話し合う姿勢が無かったのはどっちやねんという話であります。

大竹重幸氏の新会長就任については

「新しいジムは協会に加盟申請するわけだから、JBCは関係ない」

加盟申請をJBCが妨害したか?という質問に対しては

「JBCと協会は別組織だから、妨害なんか出来ない」

と関与を真っ向否定。

「試合の公正を保つ為にも、協会とは適正な距離が必要と」

JBCの独立性をアピール。この裁判でJBCの理事が損害賠償を求められていることについても

「JBCの理事は複雑な問題には対応できない」

と理事長でありながら理事会の能力に疑問を呈し、さらに

「理事は委員会の判断を追認する存在」

と理事会機能の形骸化を法廷の場で堂々主張!大丈夫かJBC?!嘘でも理事会は意思決定の最高機関だと言わなきゃまずくない?さらに

「(ライセンス停止、移籍拒否などの)判断を下すにあたって、理事に対する情報提供は充分だったと思うか?」

と問われると

「たくさん報道があったから大丈夫です」

と情報提供はマスコミ頼りだったことを告白。JBCから独自に情報提供をしていないと法廷で認めてしまいました。あーあ。

資格審査委員会や倫理委員会が機能していないのではないか?という指摘については

「そんなことはない。JBCにはリーガルアドバイザーがいるから法的な問題もない」

と力強く断言。ここ数年訴訟に連戦連敗のJBCのリーガルアドバイザーに全幅の信頼を寄せて大丈夫でしょうか?

続いて反対尋問。

秋山氏が「JBCのルールを守らない選手のライセンスを交付するはずがない」という発言をしていることについて

「JBC相手に法的に争ってはいけないのか?」

と質されると、秋山氏は一転気色ばみ

「発言を一部だけ取り出している!」

と猛反論!では、という感じで亀田側の弁護人が前後の発言もつなげて秋山氏の発言をもう一度読み上げると、逆に「JBCに従わないやつのライセンスは出せん!」という秋山氏の意図がまうます明瞭になってしまい、途端に秋山氏はしどろもどろに。要領を得ないやりとりが続きますが、結局

「『(JBCと)係争をしているのにライセンスを出すはずがない』というのは私個人の考え」

と、なんのことはないさっきの発言をアッサリ認めてしまいました。ついさっき「言動の一部分をとりあげて」云々と怒っていたのはなんだったのでしょうか?業務中に組織のトップとしてした発言を「個人の考え」と言っちゃう感覚も、公人としての自覚が感じられません。

UNITEDジムへの移籍については、浦谷氏と同じく

「書類の書式に不明な点があったから認めなかった」

という見解で、三好会長の意思確認については

「(浦谷氏などの)部下に任せた」

と丸投げだったことを告白。「選手生命は短いから早く手を打った方が良い」というさっきの発言との整合性がないような…。

ここでファンの皆様には思い出して頂きたいのですが、当時JBCは亀田兄弟の移籍について「世界戦の開催経験があるような一流ジムでなければならない」というような、条件付きガイドラインを作っていると言う報道が盛んにされていました。UNITEDジムはそのガイドラインの条件を満たすことができずJBCから移籍先として認められなかった、ということが当時さかんに報道されていたのです。

当時のスポーツニッポンの記事→興毅UNITEDジム移籍断念 ボクシング人生の窮地に

スポニチさんの記事では『JBCはこれまでの亀田家のトラブルを踏まえ、移籍の目安として適切なマネジメントができるか、また、世界戦開催などの実績があるかなどを挙げてきた』と、JBCが移籍に条件をつけていたことを断言しています。

当時のサンケイスポーツの記事→興毅また暗礁…UNITEDジム、移籍申請取り下げへ

サンスポの記事は『JBCは亀田3兄弟については特別な条件を課している。「世界戦開催の実績があり、信頼、信用のあるジム」などというもので、UNITEDジムがこの条件を満たさないと判断される可能性が高い』とこちらもJBCが移籍に条件をつけていることを銘記。

そうした報道記事を根拠に

「JBCが(制約条件をつけて)亀田兄弟のUNITEDジムへの移籍を拒否したのではないか?」

と問われた秋山氏は

「(条件をつけたという)報道は記者が勝手に書いただけ」

と当時の記事を誤報扱い!今更大手スポーツ紙の記事を捏造記事扱いして保身を図りますが、これはいかにも説得力がない。スポーツ紙が横並びでこのような捏造をする理由がそもそもありません。

騒動当時、秋山大本営の発表を垂れ流していたTHE PAGEの本郷陽一記者の記事では、秋山氏本人の『移籍に際して条件をつけた』と断言するコメントが掲載されています。

JBCのタイコモチ本郷陽一記者によるTHE PAGEの記事→亀田興毅、電撃移籍も日本で試合のできない公算大

記事より引用します。

『この日は、慎重な発言に終始した秋山理事長に「以前に定めた亀田3兄弟の移籍先のジムに関する、実績と信用のあるジムという条件は変わっていないのか?」と質問すると、「それは資格委員会で出た結論で何も変わっていない」と断言した』
(引用以上)

これは本郷記者が言ってもいない秋山氏のコメントを捏造したのでしょうか?

秋山氏は「理事は報道を根拠に判断する」と言っていましたが、その報道が捏造だと言ったら判断が間違ってることになると思うのですが…。

当時の記者会見で『三好会長の年齢や体調面も拒否の理由』としたJBCの見解について、未だに高齢の三好会長がライセンスを認めていることと矛盾しないのか?と問われた秋山氏は

「それは協会が決めることでJBCのやることではない」

と断言し、さらに

「JBCは協会の為にある組織!設立の経緯にもちゃんと銘記してある!」

とJBCの責任を協会に丸上げ!ついさっき協会とJBCは別組織で適正な距離を保たねばならないと言ったばかりなのに、直後に「JBCは協会の下請けだ」見たいな主張をするので大変面食らってしまいました。

一時間ほどの尋問でしたが秋山氏の発言は矛盾だらけです。

最後にJBC側の弁護人がもう一度出てきて、UNITEDジムへの移籍願いの書類の筆跡の違いを秋山氏に見せてわざわざ確認を取っていましたが、さきほど浦谷氏の尋問で裁判長が「三好会長の意思を直接確認したら、書類の署名なんかどうでも良いんじゃないの?」と言う主旨の質問をしたのを聞いていなかったのでありましょうか?このような効果のないパフォーマンスに殊更に拘る理由がサッパリ理解できず困惑するのみでありました。

尋問を通してJBC側はしきりに「亀田兄弟の活動を妨害する意図はなかった」と言い募るのですが、私からすりゃアホなボクシングファンや能無し記者を焚きつけて「亀田を追い出せ」とやっていたのは明らかで、実際メディアやファンもそれに乗ってはしゃいでたわけです。

「ライセンスを盾に締め上げて御用記者使って攻撃して、アホなファンにバッシングさせたら亀田は音を上げて謝ってくるやろ」

というJBC側の目論見が外れて、巨額賠償を請求されるという窮地に陥ってるだけで、完全に自業自得です。

JBCは安河内剛氏ら職員の大量不当解雇や、自己陶酔リングアナと捏造ライター片岡亮氏の共同不法行為などの裁判で負け続け、賠償と訴訟費用で財政は火の車、社会的な信用も地に落ちています。この上超高額な賠償を命じられれば組織の存続すら危うくなります。

無責任で無定見なマスコミや、頭の悪いファンに迎合して傲慢に振舞った結果、日本のプロボクシングは重大な危機を迎えています。

もうJBC破綻以後を考える時期に来ているのかも知れません。

というわけで心静かに判決を待ちたいと思います。

夏が嫌いな(旧徳山と長谷川が好きです)

いよいよ最後の戦いか? 亀田とJBCが法廷で直接対決した当事者尋問傍聴記 PART3

亀田興毅氏への尋問の様子はこちらから
       ↓
いよいよ最後の戦いか? 亀田とJBCが法廷で直接対決した当事者尋問傍聴記 PART1
いよいよ最後の戦いか? 亀田とJBCが法廷で直接対決した当事者尋問傍聴記 PART2


前回までは、原告亀田興毅氏の尋問の様子をお伝えしましたが、今回は被告JBC側の浦谷信彰事務局長の尋問です。

証言台に立った浦谷氏は相変わらず丹頂チックで固めたようなビシッと決まった髪形が印象的。口元には笑みをたたえて余裕が感じられますが、今のJBCの状況考えたら笑ってる場合じゃないと思うのですが...。

ところで浦谷氏は『統括本部長』というPRIDEやRIZINにおける高田延彦みたいな仰々しい肩書きだったはずなのに、いつのまにか事務局長職に逆戻りしてますね。安河内氏の復帰に合わせて無理やり地位を与えられてましたが結局ウヤムヤとは、さすが訴訟で連戦連敗するJBC、確かなガバナンスを感じさせてくれます。

まずはJBC側弁護人による主尋問で、元協栄ジムマネージャーの大竹重幸氏の会長就任が却下された経緯について、興毅氏の「大竹氏がJBCを訪問して面談し、内諾を得た」とする証言を真っ向否定。

「大竹氏はJBCに来ていないし、相談も受けていない」

と証言が食い違います。この辺は大竹氏に聞けば一発で事実関係が分かると思うのですが、陳述を取ることは難しいんでしょうかね?はっきりさせていただきたいものです。

UNITEDジムへの移籍を拒否した理由については

「申請書類の筆跡がまちまちで、UNITEDジムの三好渥義会長の自筆とは思えなかったから拒否した」

とのこと。

IBFに対して大毅氏が所持していたタイトルを空位にするように要求したのでは?という質問に対しては

「大毅選手は当時JBCライセンスを保持していなかったから、『タイトル保持を認めるべきではないという』見解を表明しただけで、妨害ではない。JBCには責任がありませんよという告知をしただけ」

と思わず目が点になるような回答。妨害する意図がなければ、そのような『見解』を伝える必要がそもそも無いじゃないですか。責任回避が目的という発言に至っては、ローカルコミッションの存在意義の否定であります。あなたは一体何でメシ食ってるの?という話。どうもJBC側の回答は、かように役人のような形式主義が目に付くのであります。

ライセンスがないことで亀田兄弟が失ったファイトマネーの算定については

「怪我したりする可能性があるので、単純に過去と同額の金額が得られるとは言えない。ボクサーのファイトマネーは不確定的」

と主張。浦谷氏が言うように『不確定的』なら、減る場合だけでなく増える場合もあると思うのですが、その可能性は考慮なされないのでしょうか?

協栄ジム所属でライセンスが再発行されたことについては

「会長が協会の副会長をやっている協栄ジムだから認めた」

というのですが、ご存知のように亀田兄弟と協栄ジムとは過去に報酬を巡って訴訟までした関係であります。むしろ大竹会長案やUNITED移籍に比べてはるかにハイリスクな気が...。

実際は移籍が認められたのは、どう見てもJBCが一連の裁判で続けて敗訴したことや和解に追い込まれたことが原因だと思えるのですが、裁判じゃそんなこと認められないんだろうなあ、と感じました。

さらに浦谷氏は「TBSに亀田離れの動きも」というネット記事を根拠に、ライセンスがあったところでTBSが撤退していたのでは?というムシのいいシナリオにも言及しますが、筆者が家に帰って調べてみたら、その記事が載ってたのは捏造ライター片岡亮氏のトバシ記事が定期的に読めることでお馴染みの、ヒマつぶしニュースサイト日刊サイゾーでした...。浦谷氏は、裁判官が日刊サイゾーの憶測ヨタ記事を読んで「なるほどそのとおりだな」と判断すると本気で信じておられるのでしょうか?

浦谷氏の『亀田サイドがJBC(の決定)に従わないとライセンスが維持できなくなる』という発言については

「JBCはそういう組織です」

と断言!ですが、いかんせんすでにJBCを訴えた元亀田ジムの吉井氏と嶋氏にライセンスを発給しており、氏の主張の法的根拠は崩れています。さらに浦谷氏はあくまで

「ライセンスの更新拒絶は懲戒ではない」

と主張しますが、問題となるのはJBCの決定によって実質的に損害があったか否かであって、JBC側の心の問題は誰も問うてはおりません。

主尋問の最終盤では

「亀田兄弟ははやく協栄ジムに復帰していれば損害は軽微だった」
「吉井氏と嶋氏は今年ライセンスを申請していない(からJBCが早い時点でライセンスを戻してもあんまり関係なかったという主張?)

と、亀田兄弟のライセンスをとめて国内での活動を制限した当事者とは思えない、他人事感満載の発言を連発。どうも自分が決定を下した責任者だと言う自覚が欠けているようでありました。

続いて原告側弁護人による反対尋問。

UNITEDジム移籍時の申請書類について、三好渥義会長や興毅氏の署名の筆跡が自著ではない、ということを申請却下の理由としてあげる浦谷氏と川口弁護人との質疑を以下に再現します。(発言者については敬称略)

川口「三好会長が興毅氏の移籍を受け入れる意志が明確なら、署名が自著でないことは法的には何の問題もないんじゃないですか?」

浦谷「法的にはどうかというと分かりませんが、三好氏は『サインは私の字ではない』と言った。興毅氏は同席して書類を作成したと言っていたので、話に食い違いがあると思い申請を却下した」

川口「三好会長に移籍を受け入れる意志があるかどうか確認しましたか?」

浦谷「していません」

川口「なぜしないのですか?」

浦谷「必要がありませんので」

川口「(加藤)マネージャーと移籍交渉するのはダメなのですか?」

浦谷「会長が関知していないとダメです」

川口「では不適格な移籍交渉をしたUNITEDジムになんらかの処分は下しましたか?」

浦谷「問題は書類の不備だけなので処分はしていない。個々の移籍交渉の経緯について確認はしない」

とにかく『書類の不備』という一点で移籍拒否を正当化する浦谷氏の姿は、柔軟性ゼロの官僚主義者にしか見えませんでした。これだけ表面的なルール遵守に拘っているJBCが、なぜに裁判では連戦連敗なのでしょうか?エネルギーを振り向ける方向が明らかに間違っていると感じます。

さらに、JBCが嶋氏と吉井氏のライセンス停止に対する法的な異議申し立てをやめるように再三求めてきたのは、亀田兄弟の移籍容認とライセンス復帰の交換条件としてではないのか?問われた浦谷氏は

「違う。ボクサーを守りたいという思いからです」

と答えますが、本当にボクサーを守りたいなら、UNITED側に聞き取りしているんじゃないでしょうか?

あの時に移籍を容認するなり、吉井氏と嶋氏のライセンスを戻すなりしていれば、高額の損害賠償を請求されることも無かったのに...。

最後に裁判長から浦谷氏に対して再度

「UNITEDの三好会長に移籍を受け入れる意志があるかどうかなぜ聞かなかったのですか?」

と質問があり、浦谷氏が

「必要が無いので」

と答えると裁判長は

「三好会長に移籍容認の意志があれば、(署名が自著でないことの)どこに不具合があるのですか?」

と再度諭すように質問。川口弁護人の質問時の法的見解を追認するような発言であります。個人的には、このやりとりを見て移籍をめぐる議論には決着がついた気がしました。

次回は秋山弘志理事長の尋問の様子をお伝えします。

地震でエレベーターに閉じ込められかけた(旧徳山と長谷川が好きです)

いよいよ最後の戦いか? 亀田とJBCが法廷で直接対決した当事者尋問傍聴記 PART2

前回に引き続き、亀田プロモーションがJBCを訴えた、損害賠償請求訴訟の当事者尋問のやりとりをお届けします。今回は、被告JBC側の弁護人による、原告亀田興毅氏に対する反対尋問の様子をお送りします。

PART1はこちらから→いよいよ最後の戦いか? 亀田とJBCが法廷で直接対決した当事者尋問傍聴記 PART1

この裁判についてはこちらの記事をご参照ください→スポニチ『亀田3兄弟 JBC相手に“損害請求”総額6億6000万訴訟』
                                 デイリースポーツ 亀田3兄弟JBCに6億円損害賠償請求     

尋問に立ったのは谷口好幸弁護士。株式会社東京ドームの社員弁護士にして、専務取締役と執行役員を兼ねると言う、大変立派な肩書きをお持ちの方でございます。

東京弁護士会のサイトには、この谷口弁護士のインタビューが掲載されています。
                ↓
東京弁護士会 インハウスローヤーに聞く

社員弁護士としての自らの職務について聞かれた谷口先生は『紛争解決業務よりも,紛争予防業務に重点が置かれている』と答えておられます。JBCの問題で、なれない『紛争解決業務』に駆り出されて、法廷に立たれる日々の心労はいかばかりか、と他人事ながら心配になって参ります。訴訟が連戦連敗なのも、『紛争解決業務』に重点をおいておられないなら、致し方ないのかも...。はやく本来の『紛争予防業務』に専念出来る日が来るといいですね。

さて脱線しましたが、谷口弁護士はまずは亀田大毅×リボリオ・ソリス戦での、IBFタイトルの扱いについての質問からスタート。IBFルールと報道の食い違いについて問い質しますが、興毅氏はルールミーティングの結果でなく報道を見て誤解した上で、「大毅が負けたら空位」というブログ記事をアップしたと主張。
「『負けてもタイトルは移動しない』というIBFルールとの齟齬について何も感じなかったのか?」
と問われると
「大毅を勝たせるためのコンデイショニングに夢中で、そんなことを考えているヒマは無かった」
と返答。実際IBFの立会人リンゼイ・タッカーは、メディアに間違った情報を伝えたことを謝罪しており、非を認めているので、その点で亀田が悪いとするのは悪手なんじゃないかしら?と感じました。

そもそも論として、以前から言ってますが、統一戦では団体ごとに異なるルールを確認するのは、むしろローカルコミッションの責務であり、そこを正確に把握して正しい情報をアナウンスできなかったのは、JBCの落ち度だと思います。

さらに試合当日のことを聞こうとする谷口弁護士に対して、原告側の北村晴男弁護士が「ルールミーテイングのことは、すでにもう双方主張は出揃ってるんじゃないですか?」と異議を申し述べると、裁判長から谷口弁護士に対して「反対尋問は主尋問の内容に沿ってください」と注意が与えられ、IBFタイトルを巡る話は唐突に終了。実際良く趣旨が分からない質問ではありました。

裁判長の注意の通り、主尋問への反論として、大竹重幸氏の会長就任が協会に却下された理由について、JBCの処分が協会の決定に影響していると考える根拠は何か?と問われた興毅氏は、協会はJBCの顔色を見ているし大竹氏からもそういう趣旨の話を聞いたと言う理由を上げます。この辺はあくまで伝聞・推測ということなのでしょう。

個人的には、敵対者とみなした関係者のライセンスの停止や、職員への懲戒解雇を乱発していた当時のJBCの姿勢を見れば、興毅氏がそう考えるのもやむないと感じますが、むしろより大きな原因は「あの亀田がまたやったよ」というイメージに流された人が、協会内に多かったということだと思います。そして、そうした空気を醸成したのは、『拳論』の片岡亮氏とリングアナのT氏がでっち上げた「亀田が監禁・恫喝・暴行をした」というデマ情報を使ったネガキャンだったことも忘れてはなりません。当時は、いや一部のバカに至っては未だに、多くの人があのデマを真に受けていたのです。

続いて、騒動当時に興毅氏が三軒茶屋にオープンした新ジムについて、谷口氏は『K3 BOX&FIT GYM』と言う名称は従来の『亀田ジム』とは違いますね?と尋ねます。傍聴席で聞いていて、質問の意図が分からなかったのですが、要はもともとの『亀田ジム』という名称と違うから実態としても違うジムで、そこが原因で協会に大竹氏の会長就任を拒否されたんじゃないの?というようなことを言いたかったようであります。それに対して、興毅氏はぶっきらぼうに

「同じ亀田がやってるんやから亀田ジムじゃないですか」

と答えましたが、別にジムが移転したり名称が変わることなんて、これまで既存のジムで何度もあったことであります。協会の会長達が「ジムの名前が違うから加盟はまかりならん!」なんて不毛なこと言うでしょうかね?JBC側のツッコミはどうも官僚的といいますか、この後も形式を問う質問ばかりが、やたらと増えてきます。

違う場所で名称を変えて、もう一度加盟申請すればよかったのではないか?という質問に対しては

「引越し費用や賃貸契約の補償金、内装工事費がかかるのに、そんなことをするのは現実的ではない」

という、これまた至極当然な反論。通るか通らないか分からない加盟申請の為に引越しまでしろという主張には、私もさすがに呆れました。

損害賠償の根拠になっている収入の減少については

「大毅選手はIBFのタイトルを減量苦を理由に返上しているし、2年以内に身体的な理由(筆者注:網膜はく離)で引退しているから、どのみちそんなに長く活動できていなかったのでは?」

と言う理屈で賠償額をディスカウントにかかりますが、興毅氏は

「IBFは指名期限が厳しく、試合できなければ剥奪されてしまう。剥奪となったらイメージが悪い。また『亀田がやった』と言われる。だから泣く泣く返上した。今は網膜はく離でも復帰できるし、どっちの問題も国内で活動できていれば状況が違っていた」

と譲りません。まあ実際そうでしょう。

ですが谷口弁護士は更に食い下がり、ずっと世界チャンピオンでいられる保証はないし、サラリーマンの給与のように過去の収入×何倍という感じで収入を計算するのはプロボクサーには馴染まないのでは?と逸失利益の計算方式に異議を唱えるのですが、そんなこと言い出したら、防衛を重ねることで数字が上ブレする可能性もあるわけで、減少する場合だけを考慮するのは変ですね。

さらにJBCはabemaTVの番組企画中の引退テンカウントで、カウントをストップして引退を撤回した演出をなぜか取り上げて

「あなたは前言を翻したんじゃないですか?」

と証人の信用性に対する疑義(笑)を呈しますが、放送用の演出として敢えてやってることを大真面目に批判する姿には、ちょっと驚いてしまいました。そんなこと言ったら、裁判で虚言・捏造が確定したリングアナがいるJBCはどうなるのよ?

興毅氏が秋山氏との面談や電話での会話を録音してることについて
「あとで揚げ足を取ろうとしてるんじゃないですか?」

と批判しますが、それなら言動に注意すれば済む話です。事ほど左様に、JBCはどうも会話を録音されることに過敏になってるご様子なのですが、普段録音されて困るようなことでも話しているのでしょうかね?ライセンスの停止は生活権に関わる大事な話です。緊張感を持って言動に注意するのが、組織の長として当たり前ではないでしょうか?

興毅氏は録音をした理由については、リングアナT氏の捏造事件をあげ

「あの時もビデオを撮っていたから、ウソを暴けた。録音するのもあとでもめないためにやっている」

と警戒心が当然である旨を説明し、またしても片岡氏とT氏の無駄な行動が亀田を援護射撃する武器になりました。

JBCへの不信を理由を挙げて主張する興毅氏に対して谷口弁護士は

「あなたは『JBCが信用できない。協会もJBCに不信感を持っている』と言うけれど、当の協会の渡辺会長がJBCの理事に入ってるじゃないですか?あなたはそれでもJBCが信用できないのか?」

と、反論。ですが渡辺会長がJBCの理事に入ったのは安河内氏が勝訴して事務局長復帰が決まった後の話で、この騒動当時の理事は大橋氏です。こんな印象操作しても、どの道あとで時系列がおかしいことが分かるのに、谷口弁護士はわざとやっているのでしょうか?

最後に裁判官から

「吉井氏と嶋氏の処分受け入れを交換条件として、興毅氏のライセンスを戻すと言う交渉をするときに、合意書を作成することを代理人を通して正式に提案しましたか?」

と問われた興毅氏が、覚えていない旨返答すると北村弁護士が立ち上がり

「私が興毅氏に『口約束だと後からひっくり返されるかも知れませんよ。ちゃんと合意書を取らないといけないよ』とアドバイスしました」と経緯を説明。北村弁護士も合意書作成という提案に関与していたことを証言しました。

というわけで、興毅氏の尋問は終了。反対尋問では何度も質問を聞きなおすことがありましたが、分からないことは分からないと答える、無難な回答振りでありました。ただ引退を強いられた経緯について話す時には、悔しさが口調から滲んでいました。

次回は浦谷氏と秋山氏の尋問の様子をお伝えします

毎日記事をアップするのは疲れる(旧徳山と長谷川が好きです)

いよいよ最後の戦いか? 亀田とJBCが法廷で直接対決した当事者尋問傍聴記 PART1

もはやすっかり話題に上ることもなくなった感の強い、亀田プロモーションがJBCとJBC理事を訴えた民事訴訟ですが、当然ですがまだ和解せず継続中です。

先日6月11日に、亀田興毅氏と、JBCの浦谷信彰事務局長と秋山弘志理事長が出廷して、原告被告双方の当事者尋問が行われました。

というわけで東京地裁にて、尋問を傍聴して参りましたのでその様子をお伝えします。

ちなみにその日は、本当に偶然ですが、袴田巌さんの再審が開始されるか否かの判断が東京高裁で下されるという日。裁判所前では多くの支援者の方が、激しい雨に打たれながらアピールを行っていました。その前を通ったときには、再審が認められないとはよもや思っていなかったので、尋問が終わった後に決定を知ったときは唖然としました。司法や警察への信頼を損なうような決定がなぜ出たのか、理解に苦しみます。

この日の尋問のタイムスケジュールは、原告の亀田興毅氏が主尋問と反対尋問がそれぞれ45分づつ、被告JBCの浦谷氏が15分づつ、秋山氏が30分づつという順番。傍聴席は報道もおらず、10席ほどしか埋まっていませんでした。

JBC側の弁護士は『七人の弁護士』-1の6人という大弁護団。ですが、発言してたのは、ほぼお一人で、あとの方は何で居るのかしら?という感じでした。報酬はJBCが負担してるのでしょうに財政に余裕があるんでしょうかね?

一方亀田サイドは、おなじみ北村晴男弁護士ともう一人川口弁護士という方の二人体制。

まずは年若い川口弁護士が質問に立ち、興毅氏への主尋問から。

リボリオ・ソリス戦後の、IBFタイトルを巡るゴタゴタが原因で亀田ジムの吉井会長と嶋マネージャーのライセンスが止まったあとの経緯が、興毅氏自身の口から順を追って語られました。

当時丁度三兄弟同時世界王者になっていた時期ということで、またとないチャンスを逃したくない興毅氏は、遅滞無く競技生活が続くように新しい会長を立てるべく、ますは元協栄ジムのチーフトレーナーだった大竹重幸氏を会長に迎える方針を固めます。

「人望があり、エディ賞受賞という実績もある大竹氏は適任だと思った」という興毅氏の発言は、多くのファンも首肯するところでありましょう。

興毅氏の証言では、説得に応じて会長就任を承諾した大竹氏は、「今回のトラブルは選手は悪くないから、兄弟はボクシングに専念しろ。ゴタゴタは全部俺が片付けてやる」と請合って、自ら業界内の根回しへと動いたのだそうです。
帝拳ジムの本田会長や長野マネージャー、ワタナベジムの渡辺会長など業界内の重鎮といわれる人たちに亀田ジムの会長につくことを報告し承諾をえたという大竹氏は、JBCに行き秋山氏にも面談し(秋山氏は否定)、協会から会長就任の内諾を得た旨を報告したと興毅氏に伝えたのだそうです。
これで新会長の下、競技活動を再開できると考えた興毅氏でしたが、大竹氏の会長就任は協会によって却下されてしまいます。以前のインタビューではその背景に、某会長の強硬な反対があったと伺っていますが、まあそれも亀田兄弟の現在の状況見たら、なんでやねんとなる話ですね。(当時の状況についてはこちらのインタビューをご覧下さい→K3 BOX&FIT GYM 訪問記 亀田興毅選手インタビュー PART1

(大竹氏は会長就任を断念しますが、その時「興毅君には『お世話になりました』と言ってもらった。ぜひ4階級王者を目指してほしい」というコメントを残しています)

新会長案を潰された興毅氏は、次は既存のジムへの移籍を模索します。まずは古くからの知り合いだった、実業家(だと思ってたら振り込め詐欺で最近捕まった)加藤竜太氏が実質的なオーナーを務めていたUNITEDジムへの移籍を模索しますが、契約書類に書かれた名義上の会長だった三好渥義氏のサインが自筆ではない、ということなどを問題視されてJBCから移籍の許可おりずに移籍が却下されたとのこと。当時は「世界戦をした経験の有無などの、JBCが架していた条件をクリア出来なかったため」と言った理由が、スポーツ紙などで報じられていましたが、なんのことはない書式が原因とはなんとも小さな話であります。

ちなみに当時はJBCが移籍のガイドラインを決めていると複数のスポーツ紙やネットメデイアが報じていました。こちらのTHE PAGEの本郷陽一記者の記事にもその旨がしっかり書いてあります→亀田興毅、極秘移籍交渉に失敗)。JBCによるとこの記事は誤報と言うことですね。

加藤氏が詐欺事件で逮捕されるというその後の顛末を考えると、結果的には良かったんじゃないかな?と思えなくもないですが、UNITEDジムへの移籍は不可能になります。加藤氏とはそれ以来没交渉になったのだそうです。

その後亀田サイドは、新日本木村ジムや角海老宝石ジムと言った伝統のあるジムとも移籍交渉をしますが、一旦は上手く行きかけても最終的には決裂する、という形で悉く頓挫。

「その背景に何があると思うか?」と弁護人に問われた興毅氏は、JBCから徹底的に敵視されたことで移籍候補だったジムの側が尻込みしたのではないか?という観測を語ります。

亀田サイドは大竹氏の会長就任や移籍交渉に関して、何度か秋山氏や浦谷氏と面談したり、電話で交渉したりしています。

その話し合いの中で、JBCサイドは興毅氏に対して再三「吉井会長と嶋マネージャーに下した処分を受け入れないかぎり、新会長も移籍も認めない」「北村弁護士を通じてやっている法的な動きも止めろ」という趣旨の発言をしています。

しかし体重超過ではIBFのタイトルが移動しないことはIBFのルールブックに明記されており、亀田サイドが工作をした変更を加えたというようなものではないし、法治国家において弁護士が民事係争に介入することは当たり前のことです。それともJBCは弁護士が介入すると困ることでもあるのでしょうか?

結局新会長も、ジム移籍も出来なくなった興毅氏は打つ手がなくなります。JBCの秋山氏は「選手の現役期間は限られているのだから」「選手に罪はないのだから」と、口では言っているのですがやってることはライセンスの発給を阻害する動きばかりです。

興毅氏はJBCに対して、吉井氏と嶋氏に対するJBCからの処分を受け入れる代わりに、自分のライセンスを発給するという交換条件を出しますが、そのことについて合意書と言う形で書面を残すことを提案し拒否されてしまい(秋山氏はそのこと自体を否定)、移籍の道も事実上断たれてしまいます。

ここまで聞いてJBC側の対応は取り付く島もないという感じでありますが、私には物凄く無意味な主張に感じられます。なぜかと言うと、その後の裁判で吉井氏と嶋氏のライセンス差し止めは撤回されており、要はこのときのJBC側の処分に適法性がないことが分かっているからです。(ライセンス復帰を報じるサンスポの記事→亀田ジム・吉井会長らライセンス再交付へ JBCと和解/BOX

裁判で否定されている理由を、今更根拠にしているJBC側の主張は、私には説得力が感じられませんでした。

ライセンスの停止によって生じた損害の請求額については、証拠として提出されている興行の収支票や確定申告書が根拠になっているとのこと。収支表はコンサルタントが作成し、それを元に税理士によって確定申告書が作成されているということで、それをもとに逸失利益を算定していると言う説明がなされました。

ライセンス停止によって陥った経済的苦境について問われた興毅氏は
「折角三兄弟同時世界王者になり、様々なプランがあったのに、選手活動が出来なくなってファイトマネーや放映権料が入ってこなくなった」
「仕方なく海外で活動したが、国内のジムと交流できないのでスパーリングすら出来す、フィリピンに行ったりパートナーを日本に呼んだりしたので練習に余計な経費がかかった」
「亀田が悪いと言う宣伝をされて練習生も思ったように集まらなかった」
「ジムの家賃や経費が出て行く一方で、苦しかった」
「国内で活動出来ていれば、経済的にここまで苦しまなかったので、自分も弟の大毅も引退していなかったと思う」


と訴えました。途中、当時を思い出して悔しかったのか、感極まって言葉に詰まる場面もありました。

最後に主任弁護人の北村氏が質問に立ち、興毅氏がJBCに対して強い不信感を抱くに至った根拠について質問。

北村氏が

「JBC職員T氏が世界戦の舞台裏で亀田興毅氏と和毅氏から『監禁・恫喝・暴行』を受けたという虚偽の情報をフリーライターに流してブログに捏造記事を書かせ、同様の内容の記者会見をするということがあり、名誉毀損で賠償を命じられましたが未だに解雇されていない。この事件が不信感の背景にあったのではないか?」

と尋ねると興毅氏は

「それは関係がある。今もT氏はJBCで普通に働いているので信用できない」と返答。片岡亮氏が拳論に書いたデマ記事が、ここまでJBCとの関係性がこじれた遠因だと法廷で認めました。

JBC職員T氏は、この件ですでに自身の不法行為を認めており、自身の軽挙妄動で自分が所属するJBCを裁判で苦境に立たせることになりました。そして片岡氏の記事は、結果的に裁判で亀田を利する根拠になっています。二人とも、短絡な行動で敵に塩を送ったのと同じだけだったようです。

さらに北村氏は「T氏の裁判や安河内氏の地位確認裁判でのJBC側の敗訴が、協会のJBCに対する考えを変えるきっかけにもなったのではないか?」と質して、JBCのガバナンスの問題点を指摘。


主尋問の最後に、わざわざこの問題に言及したことは、T氏と片岡氏の問題点をずっと指摘してきた私にとっては非常に印象深いものでした。

というわけで今回はここまで。次回は興毅氏に対する反対尋問と、浦谷氏秋山氏に対する尋問の様子をお送りします。

久々に沢山記事を更新してつかれた(旧徳山と長谷川が好きです)